第5章 安全かつ快適な交通の確保 

7 総合的な駐車対策による都市の再生

(1) 違法駐車の現状
 違法駐車は、幹線道路の交通渋滞を悪化させる要因となるだけでなく、歩行者や車両の安全な通行の障害となるほか、緊急自動車の活動に支障を及ぼすなど、住民の生活環境を害し、国民生活全般に大きな影響を及ぼしている。

 
違法駐車の実態
違法駐車の実態

 また、違法駐車は、交通事故の原因ともなっており、平成16年中には駐車車両への衝突事故が2,459件発生し、108人が死亡した。
 さらに、110番通報された苦情・要望・相談のうち、25.0%が駐車問題に関するもので、国民の関心も高い。

 
表5-5 大都市圏における瞬間路上駐車台数(平成16年)

表5-5 大都市圏における瞬間路上駐車台数(平成16年)
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表5-6 駐車車両への衝突による交通事故の状況(平成16年)

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(2) 違法駐車対策の推進
 [1] きめ細かな駐車規制
 警察では、道路環境、交通実態、駐車需要等の変化に対応し、より良好な駐車秩序を確立するため、時間、曜日、季節による交通流・交通量の変化といった時間的視点と、道路の区間ごとの交通環境や道路構造の特性といった場所的視点の両面から、現行規制の見直しを行い、駐車の効用にも十分配慮して、きめ細かな駐車規制を推進している。

 
駐車需要に対応した時間制限駐車区間規制
駐車需要に対応した時間制限駐車区間規制

 [2] 違法駐車の取締り
 駐車違反の取締りは、幹線道路、横断歩道や交差点、バス停留所付近等での悪質・危険性、迷惑性の高い違反に重点を置いて行っている。16年中の駐車違反取締り件数は166万7,608件で、36万2,581台をレッカー移動した。
 また、車両の放置行為を防止するために必要な運行管理を怠っている使用者に対する指示及び自動車の使用制限命令や放置行為の下命・容認事件の検挙により、違法駐車の背後責任の追及に努めている。

 [3] ハード・ソフト一体となった駐車対策
 特に違法駐車が著しい幹線道路において、都道府県公安委員会と道路管理者等が協力して、カラー舗装による駐停車禁止区域の明示、違法駐車抑止システム(注)の整備、路外駐車場や荷さばきスペースの整備、きめ細かな駐車規制の実施、違法駐車の取締り、積極的な広報・啓発活動等ハード的な手法とソフト的な手法が一体となった集中的な違法駐車対策を推進している。


注:交差点に設置されたテレビカメラ及びスピーカーを用いて、違法駐車車両を監視し、必要に応じ音声で警告することにより、違法駐車を抑止するシステム

 
カラー舗装による駐停車禁止区域の明示
カラー舗装による駐停車禁止区域の明示

 
荷さばきスペース
荷さばきスペース

 [4] 保管場所の確保対策
 道路が自動車の保管場所として使用されることを防止するため、警察では、自動車の保管場所の確保等に関する法律に基づき、保管場所証明書の交付、軽自動車の保管場所に係る届出の受理、保管場所が確保されていない自動車の運行供用制限命令等を行うとともに、道路を自動車の保管場所として使用する、いわゆる青空駐車や、自動車の使用の本拠の位置、保管場所の位置を偽って保管場所証明を受ける、いわゆる車庫とばしの取締りを行っている。

 7 総合的な駐車対策による都市の再生

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