第5章 安全かつ快適な交通の確保 

8 総合的な暴走族対策

(1) 暴走族の実態
 平成16年末現在、警察が把握している暴走族の構成員数は約1万8,800人と、前年より約2,400人減少し、最近では減少傾向にある。暴走族は、その形態により、爆音を伴う暴走等を集団で行う共同危険型と、山岳道路等で運転技術を競う「ローリング族」、400メートルの直線区間の走行時間を競う「ゼロヨン族」等の違法競走型とに分けられる。
 16年中の暴走族に関する110番通報件数は、昭和63年以来初めて10万件を下回ったものの、依然として暴走族対策の強化を求める国民の要望は強い。
 暴走族の引き起こす犯罪は、道路交通関係法令違反のほか、刑法犯、薬物乱用等様々な罪種にわたっている。中には、暴走族同士の金属バット、鉄パイプ等を使用した対立抗争や脱会者等に対するリンチ事件、さらには、暴走族に関係のない者を巻き込んだ凶悪事件も発生している。また、一部には、上納金を納めるなど暴力団とのかかわりが深く、その予備軍的な存在となっている集団も確認されている。
 平成16年中は、道路交通法違反により6万1,549人(うち共同危険行為等2,990人)を検挙したのを始め、殺人罪、強盗罪、公務執行妨害罪、凶器準備集合罪等で合計6万6,355人を検挙した。

 
図5-9 共同危険型・違法競走型別暴走族構成員の状況(平成16年)

図5-9 共同危険型・違法競走型別暴走族構成員の状況(平成16年)
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暴走行為
暴走行為

 
(2) 暴走族の取締りと解体
 警察では、交通部門、少年部門、地域部門等が連携しながら、平成16年11月に施行された改正道路交通法を活用した共同危険行為等の現場検挙に努めているほか、その他の道路交通法違反や番号表示義務違反等の道路運送車両法違反等の取締りを推進することにより、暴走族の解体や構成員の脱退を図っている。また、初日の出暴走等の大規模な集団暴走に対しては、機動隊を出動させるなどしてその取締りを徹底している。

 
(3) 関係機関等と連携した諸対策の推進
 最近の暴走族の実態や、これに対する国民の取締り要望の強さにかんがみ、警察では、学校関係者、保護司等と協力した暴走族加入阻止・離脱支援の措置、運輸支局等と協力した不正改造の検挙等の強化に加え、地方公共団体や市民等と連携して対策を推進することを定めた暴走族根絶条例の制定・運用に協力するなどの諸対策を推進している。

 8 総合的な暴走族対策

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