第3章 生活安全の確保と犯罪捜査活動 

3 犯罪防止に配慮した環境設計

(1) 公共施設や住居の安全基準の策定等
 警察では、道路、公園等の公共施設や住居の構造、設備、配置等について、犯罪防止に配慮した環境設計を行うことによる、犯罪被害に遭いにくいまちづくりを推進している。
 警察庁では、平成12年2月に、「道路、公園、駐車・駐輪場及び公衆便所に係る防犯基準」及び「共同住宅に係る防犯上の留意事項」を定め、これらを含む「安全・安心まちづくり推進要綱」を制定した。また、内閣官房都市再生本部を事務局とし、警察庁、文部科学省及び国土交通省によって構成された防犯まちづくり関係省庁協議会が調査検討した結果、市街地を「まちなかの商住混在地区」、「密集市街地」、「都市開発事業が計画されている地区」、「大規模住宅団地を含む地区」、「郊外住宅地区」の5類型に分け、それぞれの地区の特性に応じた防犯対策や関係省庁が講じる施策等を取りまとめた「防犯まちづくりの推進について」と題する文書を公表した。これらを受けて、警察では、住宅等の防犯性能の向上や防犯に配慮した公共施設等の整備及び管理の推進を図っている。

 
図3-21 道路、公園、駐車・駐輪場及び公衆便所に係る防犯基準(抄)

図3-21 道路、公園、駐車・駐輪場及び公衆便所に係る防犯基準(抄)
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図3-22 共同住宅に係る防犯上の留意事項(抄)

図3-22 共同住宅に係る防犯上の留意事項(抄)
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(2) 集合住宅や駐車場の防犯性能の認定・登録制度
 防犯に配慮した構造や設備を有するマンションを「防犯モデルマンション」として登録し、又は認定する制度を、平成17年3月末現在、8都道府県(北海道、東京、静岡、京都、大阪、広島、愛媛、大分)で整備・運用している。
 また、防犯カメラやモニターの設置、十分な照度の確保といった基準を満たす、自動車盗や車上ねらい等に対する防犯性能が優れた駐車場を「防犯モデル駐車場」として登録し、又は認定する制度を、17年3月末現在、5都府県(東京、京都、大阪、広島、大分)で整備・運用している。

 
(3) 街頭防犯カメラの整備
 犯罪の抑止や事件発生後の捜査活動等に資するため、警察では、繁華街等において、平成16年12月末までに8都府県で174基の街頭防犯カメラを整備している。例えば、警視庁では、同年3月に渋谷区宇田川町地区に10基、豊島区池袋駅西口地区に20基の街頭防犯カメラを設置しており、設置前と比較して、地区内の刑法犯認知件数が減少したほか、記録映像が窃盗事件や傷害事件の検挙に活用されるなどの効果が上がっている。
 そのほか、地方公共団体や商店街等の民間団体が、地域の防犯活動の一環として街頭防犯カメラを設置するようになった例も多い。

 
(4) 街頭緊急通報システムや子ども緊急通報装置の整備
 街頭緊急通報システム(スーパー防犯灯)とは、非常用赤色灯、非常ベル、防犯カメラ、インターホン等を備えた防犯灯で、緊急時には警察への通報と周辺の映像の伝送ができるものである。平成13年度及び14年度は国費によるモデル事業として、15年度からは国からの補助事業として整備が進められ、17年3月末現在の整備数は全国39地区で合計408基である。このほか、都道府県における独自の事業として、5都府県19地区で合計168基が整備されている(東京、大阪、香川、京都、山口)。このシステムを使用した緊急通報により、公然わいせつ事件や放火事件の被疑者を逮捕した事例もあり、事件の早期解決にも役立っている。

 
街頭緊急通報システム(スーパー防犯灯)
街頭緊急通報システム(スーパー防犯灯)

 子ども緊急通報装置とは、非常用赤色灯、非常ベル、通報者撮影カメラ、インターホン等を備えた装置で、通学路、児童公園等に設置され、緊急時には警察への通報ができるものである。14年度は国費によるモデル事業として、16年度は国からの補助事業として整備が進められ、17年3月末現在の整備数は全国53地区で合計368基である。このほか、大阪府の独自の事業として、6地区で合計27基が整備されている。不審者に抱きつかれた女性がこの装置を使って緊急通報したため不審者がそのまま逃走した事例もあり、犯罪被害の防止に役立っている。

 
子ども緊急通報装置
子ども緊急通報装置

 第3節 安全で安心な暮らしを守る施策

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