第7章 公安の維持 

(5) 海外における邦人の安全対策

 近年、世界各地で宗教問題や民族問題を背景としたテロが多発しており、2001年(平成13年)9月の米国における同時多発テロ事件では邦人24人が犠牲になるなど、日本企業の海外展開の拡大や国民の海外旅行の増加に伴い、邦人が海外でテロに巻き込まれる危険性が高まっている。また、政治、経済両面にわたり我が国が国際的に重要な役割を果たすようになったことに伴い、日本権益を標的としたテロ、誘拐、襲撃事件等も発生している。15年11月、我が国の外務省職員2人がイラク国内で殺害される事件が発生した。また、16年4月に、イラクで3人の邦人が人質となり、更に2人の邦人が拘束される事件が発生したが、その後全員が無事保護された。16年5月には、同じくイラクで2人の邦人が襲撃を受けて殺害される事件が発生している。
 我が国警察は、平素から専門知識を持つ職員を海外に派遣し、各国治安機関との情報交換を行うなど積極的に情報収集活動を行い、国際テロ組織、国際テロリストの動向把握に努め、その分析結果を随時外務省に提供し、海外における邦人の安全対策に貢献している。
 また、警察庁は、職員を海外安全対策会議(注)にパネリストとして派遣し、国際テロ情勢や在外邦人が講ずべき具体的な安全対策等を教示している。


注:(財)公共政策調査会等が、平成5年以降、毎年1回、海外主要都市において在外邦人の安全対策のために開催する会議。

コラム 国際テロに対する国民の意識
 テロに対する国民の意識を把握するため、15年10月に2,000人を対象に面接調査を実施し、1,416人から回答を得たところ、日本国内における国際テロについて、回答者の6割が不安を感じており、そのうち8割が危険度が以前と比べて高まっていると感じていることが判明した。

 
国際テロに対する国民の意識
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 2 国際テロに対する警察の取組み

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