第5章 組織犯罪対策の推進 

(2) 国際捜査体制の強化

 〔1〕 総合的な取組み体制の確立
 近年急増している来日外国人犯罪の捜査は、日本人による犯罪の捜査とは異なる点が多く、また、同一の人物や同一グループが多種多様な犯罪を引き起こしている場合も多いことから、様々な分野に関する知識及び技能を有する各部門の専門捜査員が共同して捜査に当たる必要性が高い。
 このため、警察では、平成16年4月、警察庁刑事局に組織犯罪対策部を設置し、都道府県警察においても所要の体制を整備しながら、来日外国人犯罪対策を総合的に推進している。

 〔2〕 国際捜査官の育成
 来日外国人犯罪の捜査に従事する警察官は、外国語の修得はもとより、出入国管理、国際捜査共助、刑事手続等に関する内外の法制等、幅広い分野にわたる特別の知識が要求される。警察では、語学や国際捜査実務に関する研修等を行っており、そのための組織として警察大学校に国際捜査研修所を設置し、全国の警察官がそこで学んでいる。

 
国際捜査研修所における語学研修

国際捜査研修所における語学研修風景

 〔3〕 通訳体制の整備
 近年、アジア諸国出身者を中心とする来日外国人による犯罪の増加に伴い、捜査の現場ではアジア諸国等の言語の通訳人の需要が急増している。都道府県警察では、高い語学能力を備えた者を警察職員として採用し、取調べの通訳等に当たらせているが、警察部内の人材だけですべての需要に対応することは困難であり、事務の一部を部外の通訳人に依頼している。
 部外通訳人に対しては、刑事手続等への理解を深められるよう、「通訳ハンドブック」等を配布しているほか、各種の研修会等を開催している。また、都道府県警察に通訳センターを設置するなどして、夜間等に突発的に発生する事件にも迅速に対応できるようにするなど、体制の整備に努めている。
 なお、外国人の被疑者に対しては、刑事手続の流れ等を各国語で記した資料を適宜提示しながら通訳人を介して説明するなど、法令で定められた権利内容等の理解の徹底を図っている。

 第4節 来日外国人犯罪対策

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