第5章 組織犯罪対策の推進 

(3) 外国捜査機関等との協力

 〔1〕 外国捜査機関との協力
 国際犯罪の増加に伴って、外国捜査機関に各種照会や証拠資料の収集の依頼等を行うことが一層重要になり、従来に増してICPOルートや外交ルート等による外国捜査機関との情報交換その他の相互協力の必要性が高まっている。
 平成15年中に警察庁が行った国際犯罪に関する情報の発信件数及び受信件数は1万7,513件であり、過去10年間で2.0倍に増加した。また、外国から捜査共助を要請された件数は998件、外国に捜査共助を要請した件数は827件で、過去10年間でそれぞれ1.4倍、2.7倍に増加した。

 
表5-17 国際犯罪に関する情報の発信・受信件数の推移(平成6~15年)

表5-17 国際犯罪に関する情報の発信・受信件数の推移(平成6~15年)
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表5-18 外国から捜査共助を要請された件数の推移(平成6~15年)

表5-18 外国から捜査共助を要請された件数の推移(平成6~15年)
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表5-19 外国に対して捜査共助を要請した件数の推移(平成6~15年)

表5-19 外国に対して捜査共助を要請した件数の推移(平成6~15年)
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 〔2〕 国際刑事警察機構(ICPO-Interpol)との協力
 ICPOは、国際犯罪捜査に関する情報交換、犯人逮捕と引渡しに関する円滑な協力の確保等の国際的な捜査協力を迅速かつ的確に行うための、各国の警察機関を構成員とする国際機関であり、2003年(平成15年)末現在、181か国・地域が加盟している。
 ICPOでは、国際組織犯罪対策に関連する様々な会合を開催しており、警察庁もこれらに積極的に参加している。このほか、警察庁は、捜査協力の積極的実施、事務総局への職員の派遣、分担金の拠出等により、ICPOの活動に貢献している。

 
ICPO本部外観(フランス・リヨン)

ICPO本部外観(スイス・ジュネーブ)

 
図5-26 ICPOの組織

図5-26 ICPOの組織

 〔3〕 国際捜査共助に関する新たな法的枠組み
 2004年(16年)5月、刑事に関する共助に関する日本国とアメリカ合衆国との間の条約(日米刑事共助条約)の締結につき国会で承認され、同年6月、この条約の批准に必要な国際捜査共助法等の改正が行われた。

 この条約は、捜査共助に関する我が国最初の二国間条約である。我が国と米国との間で共助の実施を条約上の義務とすることにより、共助が一層確実に実施されることを確保するとともに、共助の実施のための連絡を外交ルートではなく中央当局間で直接行うことにより、関連する事務処理の合理化・迅速化を図ろうとするものである。
 なお、この中央当局については、米国の場合には可法長官が務め、我が国の場合には、米国に共助の要請を行うときは法務大臣又は国家公安委員会が、米国からの共助要請を受けるときは法務大臣がそれぞれ務めることとなる。
 また、我が国が既に署名している国際組織犯罪防止条約及び人身取引、密入国及び銃器の3分野に関する議定書、サイバー犯罪に関する条約、その他の捜査・司法共助等に関する国際約束等についても、締結に向けた準備が進められている。

 第4節 来日外国人犯罪対策

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