第1章 地域社会との連帯 

(7) 地域の交通安全活動

 〔1〕 全国交通安全運動
 毎年春と秋に実施される全国交通安全運動は、広く国民に交通安全意識の普及・浸透を図り、交通事故防止の徹底を図ることを目的としており、毎回、国民各層の幅広い参加を得た国民運動として展開されている。

 〔2〕 地方公共団体が行う活動への協力・支援
 警察では、地方公共団体が行う交通安全活動に対し、協力・支援を行っている。

事例1
青森県では、平成12年から、各市町村が、「高齢者の交通安全対策」、「飲酒運転の追放」、「シートベルト・チャイルドシートの着用」のうち1つのテーマを選び、それを重点的に展開する「一自治体一施策運動」を推進している。青森県警察では、各市町村の交通安全担当者に対し、運動の進め方を助言したり、交通関係団体に対する協力要請を行ったりするなどの支援を行っている。

 
飲酒運転追放の呼び掛け(青森)

飲酒運転追放の呼び掛け(青森)

 
街頭における自転車安全指導(山口)

街頭における自転車安全指導(山口)

 〔3〕 ボランティアが行う活動への協力・支援
 警察では、地域交通安全活動推進委員や交通指導員等のボランティアが行う交通安全教育、広報啓発活動が効果的なものとなるよう、交通安全教育の指導者に対する研修会を開催したり、交通事故情報を提供したりするなどの支援を行っている。

事例2
15年、警察庁は、高齢者や身体障害者による電動車いすの利用中の交通事故を防止するため、全国8地区をモデル地区に指定し、ボランティアを対象とした指導・教育研修会を開催した。その後、この研修会の参加者が主体となって、電動車いすの利用者を対象とした交通安全教室等が実施された。

 
電動車いす安全利用講習会(和歌山)

電動車いす安全利用講習会(和歌山)

事例3
14年以降、千葉県では、県に登録したボランティアで構成する「交通安全推進隊」を小学校の学区ごとに設置している。「交通安全推進隊」は、警察や市町村等の協力・指導の下、通学路での児童の保護・誘導といった交通安全活動を実施している。

 
ボランティアによる児童の誘導(千葉)

ボランティアによる児童の誘導(千葉)

 〔4〕 ヒヤリ地図の作成
 自治会や老人クラブの集会等では、参加者同士が協力して、交通事故に遭いそうになるなど、道路で「ヒヤリ」、「ハッと」した経験のある地点にシールを貼るなどして、「ヒヤリ地図」を作成している。この地図を作成する過程で、参加者が交通事故防止に関する意見交換を行うことにより、地域の危険箇所を認知し、交通安全意識を高める効果が得られることから、警察では、作成手順を助言するなど、住民の自発的な取組みを支援している。

 
ヒヤリ地図の作成(山形)

ヒヤリ地図の作成(山形)

 〔5〕 交通安全総点検
 警察では、8年度から、道路管理者等と協力して、高齢者、車いす利用者、児童等の幅広い人々の参加を得て、地域が一体となって道路交通環境の点検を行う「交通安全総点検」を実施している。実施に際しては、健常者が車いすを利用して点検を行ったり、点検を昼間と夜間の2回実施したりするなどの工夫を凝らし、その結果を交通安全施設の整備や交通規制の見直し等に反映させている。

 
交通安全総点検の実施状況(東京)

交通安全総点検の実施状況(東京)

 第2節 治安回復に向けた地域社会との協働

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