犯罪被害者等施策に関する基礎資料

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4.第3次犯罪被害者等基本計画(平成28年4月1日閣議決定)の実施状況の評価(令和2年10月29日犯罪被害者等施策推進会議決定)

第1 損害回復・経済的支援等への取組

項目 講じられた主な施策 評価
1 損害賠償の請求についての援助等 ・加害者の損害賠償責任の実現に向けた調査の実施 第198回国会において、債務者の財産状況の調査に関する制度の実効性の向上を目的の一つとした民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律(令和元年法律第2号)が成立している。日本弁護士連合会の協力を得て実施した調査において、債務名義等を得たにもかかわらず回収できなかった理由として、債務者の資力不足、財産開示手続の実効性等の回答が得られたところ、本改正は、加害者の損害賠償責任の実現に資するものと考えられるが、今後、施行後の状況を踏まえて検討を重ねていく必要がある。
2 給付金の支給に係る制度の充実等 ・犯罪被害給付制度に関する検討 「犯罪被害給付制度に関する有識者検討会」が平成29年7月に取りまとめた提言の内容を踏まえ、重傷病給付金の給付期間の延長、仮給付の柔軟化、遺児への手厚い支援及び親族間犯罪被害に係る支給基準の抜本的見直しを内容とする犯罪被害給付制度の改正を行い、30年4月1日から施行されている。本制度改正は、必要な調査結果等を踏まえて行われた、犯罪被害者の遺族等との検討会における議論の結果を反映したものであり、現下の課題に対して一定のあるべき方向性を示したといえる。今後は、都道府県警察等の支援の現場に対して、改正の趣旨や内容等を踏まえ適正に制度を運用するよう指導していく必要がある。
・カウンセリング等心理療法の費用の公費負担 警察庁において、都道府県警察に対し、臨床心理士資格等を有する警察部内カウンセラーの確実な配置に努めるよう指示を行っているところ、これまで44の都道府県警察において配置が行われている。また、平成28年度から、犯罪被害者等が自ら選んだ精神科医、臨床心理士等を受診した際の診療料又はカウンセリング料を公費で負担する制度に要する経費について予算措置を講じており、30年7月までに、全国警察において制度の整備がなされている。今後も引き続き、都道府県警察に対し、同制度の適切な運用及び周知に取り組むよう指導していく必要がある。
・地方公共団体による見舞金制度等の導入促進 地方公共団体に対し、犯罪被害者等に対する見舞金等の支給制度や生活資金等の貸付制度の導入について要請していたところ、地方公共団体による見舞金制度等の導入が進んでいる。今後も引き続き、これら制度の導入を要請する必要がある。
3 居住の安定 ・公営住宅への優先入居等 犯罪被害者等の公営住宅への優先入居等については、着実に推進されているといえる。
 また、平成28年度からは、一時保護所が満床でなくても婦人相談所による一時保護委託が可能となる対象として、ストーカーや性犯罪・性暴力の被害者を追加することにより、犯罪被害者等の居住場所の確保に関する利便性が拡大したものといえる。
 引き続き、犯罪被害者等の利便性も考慮しつつ、犯罪被害者等の居住場所の確保に取り組むとともに、上記制度の周知を図る必要がある。
・被害直後及び中期的な居住場所の確保
4 雇用の安定 ・被害回復のための休暇制度の周知・啓発 被害回復のための休暇制度については、アンケートによる実態把握を行った結果、いまだ十分な認知がなされていない状況にあるといえる。引き続き、民間企業のほか、行政機関も含めて社会全体として被害回復のための休暇制度の認知度を高めるための取組を行っていく必要がある。

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