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第4章 支援等のための体制整備への取組

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3 民間の団体に対する援助(基本法第22条関係)

トピックス 民間被害者支援団体における犯罪被害者等支援
~公益社団法人被害者支援都民センターの1か月~

公益社団法人被害者支援都民センター(以下「都民センター」といいます。)は、犯罪被害者等のため、毎年延べ5,000件以上の相談・支援活動を行っている民間の公益団体です。

都民センターは、平成12年4月に発足し、14年に東京都公安委員会から犯罪被害者等早期援助団体に指定されました。

警察が都民センターによる支援が必要と判断した場合、犯罪被害者等の同意を得た上で、都民センターに支援要請がなされます。これにより、事件直後からの速やかな支援が可能となっています。

都民センターには、「犯罪被害相談員」、「犯罪被害者直接支援員」等の25名の職員が交替で勤務し、日々支援に尽力しています。

○月○日:犯罪被害者からの電話相談

都民センター事務室において、傷害事件の被害者の男性から電話相談を受け付けました。相談の内容は、「飲食店において、客同士のトラブルに巻き込まれて入院をする大けがをした。仕事に行けず経済的な不安を抱えている。」というものでした。都民センターでは、東京都の犯罪被害者等からの総合相談窓口として見舞金制度の受付業務も担当しているため、一度、面接で詳しく話を聞くこととしました。電話相談では、被害状況や被害者の様子、要望等を聴取しながら必要な情報をお伝えしたり、他の機関につないだりしています。

また、都民センターで継続的な支援を行うことができる方には、面接相談を案内しています。

電話相談の受理状況(イメージ)
電話相談の受理状況(イメージ)

○月○日:面接相談、臨床心理士によるカウンセリング

この日は、性犯罪被害に遭われた女性Aさんの継続的な面接相談の中で、臨床心理士によるカウンセリングを行いました。

都民センターにおける初回の面接相談では、犯罪被害相談員が犯罪被害者等から話を伺って問題を整理し、その後の支援内容を説明した上で、犯罪被害者等が希望する支援に必要な各種手続等のサポートも行います。都民センターにおいて継続的な面接相談を行う場合は、刑事手続等に関する相談と並行して、専門の職員(臨床心理士)による精神的ケアを行っています。

Aさんは、被害後に強い恐怖と自責感を抱えており、不眠等の症状もあったため、PTSD症状の改善を目指すプログラムを週1回受けていただいています。

事件の記憶と向き合うことは勇気の要ることですが、臨床心理士が丁寧に伴走しながらプログラムを進めています。

これまでにプログラムを受けた方からは、「辛かったけど、徐々に被害前の自分に戻ることができた。」「事件後の症状がなくなって生活しやすくなった。」といった声が聞かれました。

コロナ禍の現在は、犯罪被害者等の状況を踏まえてオンラインカウンセリングも取り入れています。

オンラインカウンセリングの実施状況(イメージ)
オンラインカウンセリングの実施状況(イメージ)

○月○日:裁判への付添い支援

この日は、殺人事件の御遺族Bさんの裁判への付添い支援を行いました。

数日間にわたる裁判員裁判において、Bさんは被害者参加制度を利用して連日傍聴され、遺族としての心情の意見陳述も行うことになっています。

この日は被告人質問があり、被告人の自分勝手な言い分に、Bさんは「全く反省していない。」と憤りを感じている御様子でした。

そのようなお気持ちを受け止めつつ、辛い時間を共にします。

担当検事や代理人弁護士と連携しながら、Bさんの負担を少しでも減らし、刑事手続を乗り越えられるよう気を配っています。

裁判への付添い支援の状況(イメージ)
裁判への付添い支援の状況(イメージ)

○月○日:関係機関との検討会の開催

都民センターでは、東京都、警視庁等の関係機関と定期的に検討会を開催し、情報共有を図っています。

犯罪被害者等のための支援制度や環境整備だけでなく、支援活動でスムーズに連携するため、日頃からの情報共有や意見交換が大切であると考えています。

また、都民センターの犯罪被害相談員は、警察、法務省、弁護士会、市区町村等で講演をさせていただいています。

○月○日:広報啓発活動の実施

都民センターでは、一般の方々に犯罪被害者等が置かれている状況や支援の必要性を理解してもらい、犯罪被害者等が配慮を受けられる社会を作っていくため、様々な広報啓発活動を実施しています。

令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の影響でキャンペーンや街頭募金活動等を実施することはできませんでしたが、エコバッグ等の広報グッズを作成・配布しました。

また、年3回発行している機関誌「センターニュース」では、都民センター20周年特集号として、これまでの歩みを振り返り、ゆかりのある皆さんからのメッセージを掲載しました。

機関誌「センターニュース」と広報グッズ
機関誌「センターニュース」と広報グッズ

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