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第3章 刑事手続への関与拡充への取組

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1 刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための制度の整備等(基本法第18条関係)

トピックス 少年年齢・犯罪者処遇の見直しに関する法制審議会の答申について

平成29年2月、少年法における「少年」の年齢を18歳未満とすることや非行少年を含む犯罪者に対する処遇を一層充実させるための刑事の実体法及び手続法の整備の在り方等について、法務大臣から法制審議会に対して諮問がなされた。

法制審議会では、当該諮問事項について調査審議を行うため、犯罪被害者等を含む学識経験者を委員・幹事とした、少年法・刑事法(少年年齢・犯罪者処遇関係)部会を設置し、三つの分科会における検討を含め、計58回(うち29回は分科会)の会議を開催した。そして、令和2年10月、法制審議会から法務大臣に対して答申がなされた1

以下、当該答申に盛り込まれた、「刑の執行段階等における被害者等の心情等の聴取・伝達制度」や「犯罪被害者等の視点に立った保護観察処遇の充実」といった事項の内容を紹介する。


1 法制審議会第188回会議 http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi03500038.html

1 刑の執行段階等における被害者等の心情等の聴取・伝達制度

刑の執行段階等における被害者等の心情等の聴取・伝達制度について、本答申において法整備等の措置を講ずるべきとされた事項は、次のとおりである。

<1> 刑事施設の長又は少年院の長(以下「刑事施設の長等」という。)は、受刑者又は少年院在院者(以下「受刑者等」という。)に被害者及びその親族の心情等を理解させることの重要性に鑑み、被害者その他の者から申出があったときは、その心情等を聴取するものとし、ただし、その聴取をすることが相当でないと認めるときは、この限りではないものとする。(答申の別添2の4の一)

<2> 聴取した心情等については、矯正処遇・矯正教育にいかすほか、刑事施設における処遇要領又は少年院における個人別矯正教育計画を策定・変更するに当たっては、必要に応じ当該心情等を参酌するものとし、仮釈放等の申出・審理を行うに当たっては、そのようにして行われた矯正処遇等の状況・結果を踏まえるものとする。(答申の別添2の4の二)

<3> 刑事施設の長等は、<1>で聴取した心情等のうち、申出をした者が希望するものは、受刑者等に伝達するものとし、ただし、その伝達をすることが相当でないと認めるときは、この限りではないものとする。(答申の別添2の4の三)

<4> 刑事施設の長等は、<1>の聴取又は<3>の伝達について、地方更生保護委員会及び保護観察所の長と連携を図るように努めなければならないものとする。(答申の別添2の4の四)

<5> 更生保護法第38条第1項に基づき、地方更生保護委員会が聴取する内容に、生活環境の調整及び仮釈放等の期間中の保護観察に関する意見が含まれることを明らかにするものとする。(答申の別添2の4の五)

法制審議会の答申の概要

2 犯罪被害者等の視点に立った保護観察処遇の充実

犯罪被害者等の視点に立った保護観察処遇の充実について、本答申において法整備等の措置を講ずるべきとされた事項は、次のとおりである。

<1> 地方更生保護委員会及び保護観察所の長は、更生保護法第3条の規定により保護観察等の措置をとるに当たっては、措置の内容に応じ、被害者等の被害に関する心情、被害者等が置かれている状況その他の事情を考慮するものとする。(答申の別添2の8の一)

<2> 被害者等の被害に関する心情、被害者等の置かれている状況その他の事情を理解し、その被害を回復すべき責任を自覚するための保護観察官又は保護司の指導に関する事実について、保護観察官又は保護司に申告し、又はこれに関する資料を提示することを保護観察における遵守事項の類型に加えるものとする。(答申の別添2の8の二)

このほか、本答申において、施策が講じられることを期待するとされた事項は次のとおりである。

具体的な賠償計画を立て、賠償に向けて就職活動を行うことや、就労により貯蓄した一定額を被害者に送金することを含め、被害者等に対して慰謝の措置を講ずることについて、生活行動指針に設定し、これに即して生活し、又は行動するよう指導を行うための運用に関する規律を規則等で設け、当該指導の充実を図る。(答申の別添3の5)

犯罪者処遇の一層の充実化のための制度・施策(別添2・3)の概要

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