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第2章 第4次犯罪被害者等基本計画の概要

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2 重点課題に係る具体的施策

トピックス 被害が潜在化しやすい犯罪被害者等への支援

第4次基本計画において示された課題の一つに、性犯罪・性暴力や児童虐待等の被害に遭ったにもかかわらず、自ら声を上げることが困難なために被害が潜在化しやすい犯罪被害者等への適切な支援がある。

性犯罪・性暴力被害者は、その羞恥心や自責感から被害に遭ったことを他人に知られたくない、加害者との関係性等から被害を訴えにくいなどの理由により、被害が潜在化しやすいとされている。また、児童虐待を受けた子供は、被害を受けていること自体を認識できない、言葉にして適切に周囲の人間に伝えることができない、加害者や周囲の人間との関係性等から被害を訴えることができないなどの理由により、被害が潜在化しやすいとされている。

第4次基本計画においては、性犯罪・性暴力被害者や児童虐待を受けた子供をはじめ、被害が潜在化しやすい犯罪被害者等への支援を一層推進していくこととしている。

以下、第4次基本計画に盛り込まれた、性犯罪・性暴力被害者や児童虐待を受けた子供への支援に関する主な施策を紹介する。

性犯罪・性暴力被害者への支援 児童虐待を受けた子供への支援
損害回復・
経済的支援等への取組
■警察庁において、性犯罪被害者の緊急避妊、人工妊娠中絶及び性感染症等の検査に要する費用、初診料、診断書料等の公費負担に要する経費を補助(14) ■児童相談所の一時保護所において個別対応ができる職員体制の強化や環境整備を推進(26)
■婦人保護施設において、性暴力被害者に対する心理的ケアや自立支援を推進(28)
■地方公共団体やDVシェルターを運営する特定非営利活動法人等が、性犯罪被害者を含む相談者に対し、地域生活に定着させるための継続的な支援を一体的に行うために必要な協力を実施(31)
精神的・身体的被害の回復・防止への取組 ■医師、保健師、精神保健福祉士等の医療従事者等を対象に、「PTSD(心的外傷後ストレス障害)対策専門研修」を実施し、性犯罪被害者を含む犯罪被害者等への適切な対応・治療を行うために必要な、司法を含めた専門的知識と治療に関する内容の充実を図る(38) ■医師、看護師、保健師、精神保健福祉士、公認心理師、臨床心理士、児童相談員等を対象に、「思春期精神保健研修」を実施(47)
■警察庁において、公認心理師、臨床心理士等の資格を有する部内カウンセラーが効果的に活用され、警察によるカウンセリング費用の公費負担制度が効果的に運用されるよう、都道府県警察を指導(56) ■児童福祉司(指導及び教育を行う児童福祉司スーパーバイザーを含む。)、児童心理司、保健師、弁護士、医師等の配置を支援(48)
■性犯罪被害者を含め、緊急避妊を必要とする者がその方法等に関する情報を得られるよう、保健所や女性健康支援センター等による情報提供を実施(57) ■児童相談所が夜間・休日を含めいつでも虐待通告 等の緊急の相談に対応できる体制を整備(50)
■医療機関に対し、性犯罪被害者への対応に関する専門的知識・技能を備えた看護師、助産師等の活用について啓発を推進(58) ■虐待を受けた児童に対する医療ケアの重要性に鑑み、地域の医療機関との連携・協力体制の充実に努める(51)
■ワンストップ支援センターについて、24時間365日対応化や拠点となる病院の整備促進、コーディネーターの配置・常勤化等の地域連携体制の確立、専門性を高めるなどの人材の育成や運営体制確保等、運営の安定化及び質の向上を推進(59) ■スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置時間の充実等、学校における専門スタッフとしてふさわしい配置条件の実現(53)
■全国共通短縮番号「♯ 8891(はやくワンストップ)」の周知、夜間・休日においても相談を受け付けるコールセンターの設置、各都道府県の実情に応じた被害者支援センターの増設等、相談につながりやすい体制を整備(59) ■警察、婦人相談所、児童相談所等の連携の一層の強化(81)
■13歳未満の子供を被害者とした強制わいせつ等の暴力的性犯罪で服役して出所した者の再犯防止を図るため、定期的な所在確認等を実施(77) ■児童相談所等の関係機関との連携や児童虐待への専門的な対応に関する警察職員に対する指導等の業務を担う「児童虐待対策官」を都道府県警察本部に設置(93)
■性犯罪等の事件の公開の法廷では氏名、住所その他被害者の特定につながる事項を明らかにしない制度等について周知徹底を図るとともに、訴訟関係者への注意喚起を含めた制度の一層適正な運用に努めるよう、検察官等の意識の向上を推進(83) ■法的問題の解決が必要な児童虐待及び児童虐待を伴う配偶者等からの暴力事案について、日本司法支援センターの法律相談援助等の利用を促進(94)
■ワンストップ支援センターの相談員等に対する研修を実施するとともに、オンライン研修教材の開発・提供を推進(106) ■学校教育関係者等の職務上虐待を受けている子供を発見しやすい立場にある者が児童虐待に適切に対応できるよう、学校・教育委員会等における早期発見・早期対応のための体制整備や的確な対応を促進(95)
■性犯罪の捜査及び支援に従事する警察官等を対象に、男性や性的マイノリティが被害を受けた場合の対応を含めた研修を実施(110) ■子育ての悩みや不安を抱えながらも、自ら学びや相談の場等にアクセスすることが困難な家庭等に配慮しつつ、地域の多様な人材を活用した家庭教育支援チーム等による保護者に対する学習機会や情報の提供、相談対応等、地域の実情に応じた家庭教育支援の取組を推進(96)
■警察本部や警察署の性犯罪捜査を担当する係への女性警察官の配置及び職員の実務能力の向上等の取組を推進(120) ■警察、検察庁、児童相談所等の関係機関が被害児童からの事情聴取に先立って協議を行い、関係機関の代表者が聴取を行う取組を実施(121)
刑事手続への関与拡充への取組 ■当初は警察への届出をちゅうちょした性犯罪被害者が、後日警察への届出意思を有するに至った場合に備え、医療機関等において性犯罪被害者の身体等から証拠資料を採取しておくため、協力を得られた医療機関等に性犯罪証拠採取キットを整備する取組を推進(127)
支援等のための体制整備への取組 ■性犯罪の被害に遭った児童生徒及びその保護者の相談等に対し、学級担任、生徒指導担当教員、養護教諭、スクールカウンセラー等が連携し、適切な対応ができるよう、学校内の教育相談体制の充実を図るとともに、関係機関との積極的な連携を促進(179) ■日本司法支援センターにおいて、深刻な被害に発展するおそれの大きいストーカー事案、配偶者等からの暴力事案及び児童虐待の被害者を対象とした事前の資力審査を要しない法的支援を適切に実施(208)
■警察において、性犯罪被害相談者の希望する性別の職員が対応するとともに、執務時間外においては当直勤務中の職員が対応した上で担当者に引き継ぐなど、適切な運用を推進(185) ■学級担任、生徒指導担当教員、教育相談担当教員、保健主事、養護教諭、スクールカウンセラー等が連携し、犯罪被害に遭った児童生徒、その兄弟姉妹である児童生徒及びその保護者の相談等に学校で継続的かつ適切に対応できるよう、必要に応じて学校の教員の加配を行うとともに、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の配置等による教育相談体制の充実等を推進(211)
■都道府県警察の性犯罪被害相談電話につながる全国共通番号「#8103(ハートさん)」に関する広報、性犯罪被害者に対する「被害者の手引」の交付等を実施(223) ■教職員が犯罪被害に遭った児童生徒及びその兄弟姉妹である児童生徒の相談等に的確に対応できるよう、犯罪等の被害に関する研修等を実施(211)
■虐待を受けた子供の保護及び自立支援を専門的知識に基づき適切に行うことができるよう、児童相談所及び児童福祉施設等関係機関の職員、市区町村の職員及び保健機関等の職員の資質の向上等を図るための研修を充実(238)
国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組 ■性犯罪・性暴力の加害者・被害者・傍観者にならないよう、幼児期からの子供の発達段階に配慮した教育を充実(254) ■子供がいじめ・虐待・暴力行為等の被害に遭ったことを認識し、かつその対応について主体的に学ぶことができるようにするため、教育委員会に対し、地域の実情に応じた取組がなされるよう促す(253)
■毎年4月の「若年層の性暴力被害予防月間」中に、SNS等の若年層に届きやすい広報媒体を活用し、性暴力の加害者にも被害者にもならないための広報啓発活動を効果的に展開(263) ■体罰によらない子育てや児童虐待の範囲、現状及 びその防止に向けた取組を広く国民に周知するた め、様々な媒体を活用した広報活動を実施(268)
■毎年11月に実施している「女性に対する暴力をなくす運動」において、性犯罪を含む女性に対する暴力を根絶するため、関係省庁、地方公共団体、女性団体その他の関係機関・団体等と連携・協力し、広報啓発活動を実施(265) ■毎年11月の「児童虐待防止推進月間」に、ポスターの作成、全国フォーラムの開催等の集中的な広報啓発活動を実施(268)
※(  )内は第4次基本計画における施策番号を表す。

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