1 国民の理解の増進(基本法第20条関係)
コラム6 天国のお父さん、いつまでも「ありがとう」
公益社団法人みやざき被害者支援センター
自助グループ「あおぞら」
古川 静子
平成21年3月24日、主人は家の近くの交差点で事故に遭いました。
朝の散歩に行く途中、交差点を渡り切る一歩手前でした。
早いもので、年が明けるともう10年になります。
あのような事故に遭わなければ、温泉でも自由に行けたのに。
一生懸命働いて、やれやれと今からゆっくり自由な時間ができたのに、と思うこの頃です。
私は主人にいつも、「お父さんは長生きするわね、じいちゃんに似て。」
と言っていました。
じいちゃん、主人の父は、96歳でこの世を去りました。
不便と言ったら耳が遠いくらいで、いつも新聞を隅から隅まで見る人でした。
主人を見ているとじいちゃんを見ているようで、私は、親子ってよくこんなに似るものだなあ、お父さんもじいちゃんみたいに長生きするやろうね、と思っていました。
それが、散歩に出て、ただいまを聞く事もなくいなくなってしまうなんて。
主人には、伝えられなかった「ありがとう」が、まだたくさんあったのに。
お父さんいつも仏様のお茶をあげてくれたね。
ありがとう
畑仕事、大変だろうに愚痴ひとつ言わずに頑張ってくれた。
仕事がひと段落すると、私の友達も一緒に、三股にしゃくなげを見につれて行ってくれたね。
お父さん、ありがとう。
いなくなってから尚更、お父さんのありがたさが身にしみるよ。
もう帰ってこないお父さんを思うと寂しいけれど、周りの人が助けてくれる。
息子は私の事を気にかけ、家事を手伝ってくれるようになったよ。
毎日仏壇に手を合わせ、お線香をあげてくれるのは、お父さんもきっと見てくれているよね。
近所の人や友達もお父さんと私たちのことを思って、家に来てくれるよ。
曲がった事が嫌いで働き者のお父さん
私たちにたくさんの優しさを与え、残してくれました。
もう二度と、大切な人を失いたくない。
こんなに辛くて苦しい思いはもうたくさんです。
他の誰にもこんな思いはさせたくありません。
だから、息子が外出する時にはいつも、「気を付けて運転するとよ」
と声をかけます。
皆さんにも、お願いしたい事があります。
交通の規則をしっかり守りましょう。
運転手さん、携帯を見ながらの運転はしないで下さいね。
歩行者、自転車の皆さん、遠くにいるように見える車でも、思っているよりずっと速いので、車が見えたら止まって待って下さい。
皆それぞれ規則をよく守っていれば、事故は起こらないと思います。
ひとつしかない命を大切にしましょう。
公益社団法人全国被害者支援ネットワーク発行
「犯罪被害者の声第12集」より