警察庁 National Police Agency

警察庁ホーム  >  犯罪被害者等施策  >  公表資料の紹介:犯罪被害者白書  >  令和元年版 犯罪被害者白書  >  トピックス 保護観察を受けている加害者への心情等伝達制度

第3章 刑事手続への関与拡充への取組

目次]  [戻る]  [次へ

1 刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための制度の整備等(基本法第18条関係)

トピックス 保護観察を受けている加害者への心情等伝達制度

【心情等伝達制度とは】

心情等伝達制度とは、制度利用を希望した犯罪被害者等から、被害に関する心情、その方の置かれている状況、加害者の生活や行動に関する意見を聴取した上で、保護観察を受けている加害者を別の機会に呼び出して、聴取した心情等を伝達するものである。

【本制度利用者からの意見】

本制度を行う保護観察所(地方裁判所の管轄区域ごとに設置)には、本制度を実際に利用した方の中から、本制度に対する肯定的な意見等が届くことがある。例えば、「加害者に自分の気持ちを伝えられて良かった」という意見や、「話を聴いてもらえてよかった」、「制度を利用することにより、自分の気持ちに区切りがついた」といった感想が届くこともある。

これは、犯罪被害者等が、被害に遭ったという事実や被害による辛い思い等を、家族や友人等を含めた第三者に話すことができない状況にあることが少なくない中、本制度が、被害に関する心情等を話すことができる機会となったためであると考えられる。また、本制度の利用を契機に謝罪や被害弁償を実行するなど加害者の言動に変化が見られた場合に、「制度を利用して良かった」という意見が届くこともある。

【本制度の内容】

本制度を利用できる方は、<1>加害者が保護観察に付される理由となった犯罪等により被害を受けた方、<2>被害を受けた方の法定代理人、<3>被害を受けた方が亡くなった場合又はその心身に重大な故障(病気やけがなど)がある場合におけるその配偶者、直系親族又は兄弟姉妹(以下このトピックスにおいて「被害者等」という。)である。

本制度は、被害に関する心情等を加害者に伝えたいという被害者等の希望に応えるとともに、加害者の改善更生を図る上で、被害者等の心情等をできるだけ具体的に加害者に認識させることにより、自らがした犯罪等による被害の実情等を加害者に直視させ、加害者の反省・悔悟の情を深めさせるために行われる。

具体的な手続の流れとしては、次のとおりである。

<1> 本制度を利用する被害者等が、被害者担当官(保護観察所に配置されている被害者等専任の保護観察官)に被害に関する心情等を伝えると、被害者担当官がその内容を記載した書面を作成する。

<2> 加害者を担当する保護観察官が、別の機会に加害者を呼び出し、心情等を聴取した際に作成した書面を加害者の面前で朗読することにより被害者等の心情等を伝達し、加害者に対し必要な指導・助言を行う。

<3> 被害者等の希望に応じ、伝達した被害者等の心情等に対して加害者が述べた、被害弁償・慰謝の措置や特に被害者等に対し伝えることを希望したことについて、保護観察所から通知する。

また、保護観察所では、本制度の円滑な実施のための工夫も行っている。被害者等の希望に応じ、例えば、被害者担当官や被害者担当保護司(保護観察所に配置されている被害者等専任の保護司)が本制度その他の諸制度の説明を行ったり、被害者担当保護司が本制度利用中に被害者等に同席したりすることができる。

【最後に】

本制度は、例えば、「謝罪や被害弁償をしてほしい」、「被害を与えたという事実を忘れないで持ち続けてほしい」、「反省をし続けてほしい」等の様々な被害者等の心情等を、確実に加害者に伝達するという意味で、加害者の指導監督等を担う保護観察所だからこそできる被害者等の方々への支援といえる。

今後も、制度利用者の心情等を丁寧にしっかりと受け止め、加害者の指導助言を適切に行うことで、被害者等の方々にとって少しでもお力となれるよう、努めたい。

目次]  [戻る]  [次へ

警察庁 National Police Agency〒100-8974 東京都千代田区霞が関2丁目1番2号
電話番号 03-3581-0141(代表)