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第1章 損害回復・経済的支援等への取組

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2 給付金の支給に係る制度の充実等(基本法第13条関係)

コラム2 犯罪被害者等のカウンセリング費用の公費負担制度

警察庁では、各都道府県警察において犯罪被害者等のカウンセリング費用の公費負担制度が適切に運用されるよう、平成28年度から、これに要する経費を予算措置している。これは、26年3月から開催された「犯罪被害者の精神的被害の回復に資する施策に関する研究会」において、27年4月に提言が取りまとめられ、当時既に一部の都県警察で運用されていた同制度を全国展開していくことが望ましいとされたことを踏まえたものであり、30年4月現在、45都道府県において同制度が運用されている。

【経緯】

第2次基本計画を受けて開催された「犯罪被害者等に対する心理療法の費用の公費負担に関する検討会」の「最終取りまとめ」(25年1月)において、犯罪被害者等に対する心理療法等に係る公費負担制度を整備する必要があるとして、その整備に向けた研究会を設置すべき旨の提言がなされた。これを受けて、警察庁では、有識者から成る「犯罪被害者の精神的被害の回復に資する施策に関する研究会」を開催し、26年3月から27年3月にかけて議論を行った。

同研究会において、当時の犯罪被害者等に対する心理療法等の現状について、次のような指摘がなされた。

○ 医師による心理療法等は保険診療として行われているものが大半であるが、臨床心理士等の心理職による心理療法等の多くは保険診療外として行われ、犯罪被害者等の経済的負担が高額であること。

○ 心理療法等の経済的負担がネックとなり、通院をやめるなどした犯罪被害者等がみられること。

○ 大都市圏において診療等を行っている医師や心理職が多く、地域間格差が顕著であること。

精神的被害を受けた犯罪被害者等に対する警察の支援制度等として、警察部内の臨床心理士資格等を有する警察職員若しくは警察官(以下「部内カウンセラー」という。)又は警察が委嘱した民間の精神科医や臨床心理士等によるカウンセリングがあるほか、26年11月現在、6都県警察において、カウンセリング費用の公費負担が制度化されていたところ、同研究会の「犯罪被害者の精神的被害の回復に資する施策に関する報告書」(27年4月)において、次の内容を含む心理療法等に係る犯罪被害者等の自己負担を軽減する制度の実現方策が提言された。

○ 各都道府県警察において、部内カウンセラーを確実に配置すること。

○ カウンセリング費用の公費負担制度を全国展開すること(全国展開に当たっては、都道府県ごとの制度内容の差をできる限り少なくする観点から、警察庁において、予算措置するとともに、運用モデルを示すこと)。

同提言を踏まえ、警察庁では、28年度から、犯罪被害者等のカウンセリング費用の公費負担制度に要する経費を都道府県警察に補助するとともに、同制度の運用モデルを示し、その全国展開を図っているところである。

【概要】

犯罪被害者等のカウンセリング費用の公費負担制度は、犯罪被害者等が受診する精神科医等を自らの意思で選定できること、医師以外の心理職が行うカウンセリングについてもその対象としていること等が特徴として挙げられる。

警察庁が都道府県警察に示している同制度の運用モデルの概要については、次のとおりである。

○ 公費負担制度の対象者

犯罪被害者やその遺族(自らが被害に遭ったこと又は家族が犯罪被害により死亡したことを都道府県警察に対して申告した者)が、公費負担制度の対象者となり、必要に応じて、犯罪被害者の家族その他の関係者についてもその対象となる場合がある。ただし、それらの者が、集団的に、又は常習的に暴力的不法行為を行うおそれがある組織に属していることその他の事情から判断して、公費負担制度の対象とすることが社会通念上適切でないと認める場合は、この限りでない。

○ 公費負担制度の対象となるカウンセリング

精神科医等の医師、臨床心理士等が公費負担制度の対象者の精神的被害の回復に効果があると認めた診察又はカウンセリングとしている。

○ 公費負担制度の対象期間等

公費負担制度の対象期間は、初診日より原則として上限3年間とし、また、受診等の回数に関する制限は特に設けないこととしているが、同制度の趣旨等を勘案し、必要に応じて3年間を超える期間を対象期間としてもよいとしている。

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