第4章 支援等のための体制整備への取組

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1 相談及び情報の提供等(基本法第11条関係)

コラム4 総合法律支援法の改正

平成28年5月、日本司法支援センター(通称「法テラス」。以下このコラムにおいては、「法テラス」という。)の根拠法である総合法律支援法の一部を改正する法律が成立した。同改正は、<1>認知機能が十分でない高齢者・障害者、<2>大規模災害の被災者、<3>ストーカー等の被害者に対する法的支援の拡充を図るものである。ここでは、新たに創設されるストーカー等の被害者に対する法的支援制度について、その概要を紹介する。

1 法テラスとは

法テラスは、総合法律支援法に基づき、民事、刑事を問わず、あまねく全国において、法による紛争の解決に必要な情報やサービスの提供が受けられる社会の実現を目指すことを基本理念として、18年4月に設立された法人である。

法テラスは、同年10月の業務開始以来、犯罪被害者支援として、法制度や相談窓口に関する情報提供、犯罪被害者支援の経験や理解のある弁護士の紹介、資力の乏しい者に対する民事法律扶助を活用した無料法律相談や弁護士費用の立替え等を実施している。

2 ストーカー等の被害者に対する新たな法的支援制度創設の趣旨

ストーカー事案、児童虐待事案、DV事案については、生命・身体への深刻な再被害に急速に発展する危険性があり、再被害防止の必要性・緊急性が特に高いことから、被害が深刻化・顕在化する前の初期段階からの対処が特に重要である。

また、証拠関係が不十分であるなどの事情から刑事事件としては対応し難い場合であっても、弁護士であれば、仮処分や保護命令の申立てといった法的手段を始め、深刻な被害への進展を防止するための有効な方策を助言するなどの適切な対応が可能である。

従来の民事法律扶助制度では、対象者が資力の乏しい者に限られ、また、法律相談の対象から刑事に関するものが除外されていた。本改正により、法テラスにおいて、ストーカー等の被害者については、資力を問わず、刑事に関するものを含む法律相談を実施できるよう、新たな法的支援制度が創設された。

3 ストーカー等の被害者に対する新たな法的支援制度の内容

(1)対象者

ストーカー規制法上の「つきまとい等」、児童虐待防止法上の「児童虐待」又は配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(以下「DV防止法」という。)上の「配偶者からの暴力」(これらを「特定侵害行為」という。)を現に受けている疑いがあると認められる者(資力のある者も含む。)

(2)法的支援の内容

警察への被害申告に関するもの、DV防止法上の保護命令に関するもの等、再被害の防止に関して必要な法律相談の実施(刑事に関するものを含む。)

(3)費用

利用者の資力が法テラスの定める基準を超える場合には、法テラスの定める法律相談費用を負担

(4)施行期日

平成30年6月2日までに施行予定

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