3 保護、捜査、公判等の過程における配慮等(基本法第19条関係)
○ 主な取組
・女性警察官の配置等
【施策番号109】
警察においては、性犯罪被害者が捜査の過程において受ける精神的負担を少しでも緩和するためには、性犯罪被害者の望む性別の警察官が対応する必要があること等から、警察本部や警察署の性犯罪捜査を担当する係への女性警察官の配置を推進するとともに、性犯罪捜査の研修を行うなどして性犯罪捜査を担当する職員の実務能力の向上を図っている。
平成28年4月現在、性犯罪事件において、性犯罪被害者から事情聴取等を行う性犯罪指定捜査員として指定されている女性警察官等は、全国の都道府県警察において7,974名である。

年度 | H15 | H16 | H17 | H18 | H19 | H20 | H21 | H22 | H23 | H24 | H25 | H26 | H27 | H28 |
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人数 | 4,162 | 4,572 | 4,933 | 5,369 | 5,459 | 5,832 | 6,069 | 6,280 | 6,494 | 6,712 | 6,752 | 7,022 | 7,505 | 7,974 |
平成28年4月現在 |
また、全国の都道府県警察本部の性犯罪捜査担当課に性犯罪捜査指導官の設置を推進しているほか、同課の性犯罪捜査指導係への女性警察官の配置等により、性犯罪捜査に関する指導体制の構築を行っており、28年4月現在、都道府県警察の性犯罪捜査指導係員は295名、うち女性警察官は124名である。
さらに、性犯罪事件の認知後、証拠採取を行うに当たって、性犯罪被害者の精神的負担を軽減するため、証拠採取に必要な用具や当該被害者の衣類を預かる際の着替え等をまとめた性犯罪証拠採取セットを、28年4月現在、全国で3,013セット保有し、また、性犯罪事件の被害状況の再現を行う際の性犯罪被害者の精神的負担を軽減するため、当該被害者の代わりとして使用する性犯罪被害者捜査用ダミー人形を、28年4月現在、全国で2,182体整備している。
このほか、事情聴取における相談室や被害者支援用車両の積極的な活用や、事件発生時における迅速かつ適切な診断・治療、証拠採取や女性医師による診断等を行うため、産婦人科医会とのネットワークを構築し、具体的支援を提供するための連携の強化等を図り、適正かつ円滑な性犯罪捜査を推進している。


・被害児童からの事情聴取における配慮
【施策番号110】
検察庁、警察及び児童相談所等においては、児童の負担軽減及び児童の供述の信用性の確保の観点から連携を強化しており、具体的には、被害児童の事情聴取に先立って協議を行い、関係機関の代表者が聴取を行うことについて積極的に検討したり、被害児童からの事情聴取に際しては、聴取の場所・回数・方法等に配慮するなどの取組を進めている。
・ビデオリンク等の措置の適切な運用
【施策番号111】
法務省においては、刑事訴訟に関して、犯罪被害者等の意見をより適切に裁判に反映させるための犯罪被害者等の意見陳述の制度や、証人の証言時の負担・不安を軽減するためのビデオリンク等の制度の運用について、適切な対応が行われるよう、会議や研修等の様々な機会を通じて、検察の現場への周知徹底を図るとともに、施策の実施状況の把握に努めている。また、犯罪被害者等向けパンフレット「犯罪被害者の方々へ」にもこれら制度の情報を掲載している。



平成28年中に、証人尋問の際に付添いの措置が採られた証人の延べ数は128人、証人尋問の際に遮へいの措置が採られた証人の延べ数は1,623人、ビデオリンク方式による証人尋問が行われた証人の延べ数は303人であった。
年次 | 証人の保護等 | ||
---|---|---|---|
付添い | 遮へい | ビデオリンク | |
平成24年 | 121 | 1,757 | 288 |
平成25年 | 116 | 1,792 | 278 |
平成26年 | 112 | 1,661 | 299 |
平成27年 | 141 | 1,563 | 290 |
平成28年 | 128 | 1,623 | 303 |
(注) 1 最高裁判所事務総局の資料(概数)による。 2 いずれも高等裁判所、地方裁判所及び簡易裁判所における証人の数(延べ人員)である。 |
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提供:法務省 |
20年4月から、民事訴訟法が一部改正され、民事訴訟において犯罪被害者等を証人等として尋問する場合に、付添い、遮へい又はビデオリンクの各措置を採ることが認められている。
28年中の民事訴訟における付添い回数は7回、遮へい回数は204回、ビデオリンク回数は17回である(いずれも証人尋問及び当事者尋問の数値であり、各措置を併用した場合であっても、それぞれ各別に1回として計上している)。