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第1章 特集「第3次犯罪被害者等基本計画の策定」

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第2節 第3次犯罪被害者等基本計画の概要

コラム1 第3次犯罪被害者等基本計画の検討を終えて

第1次基本計画及び第2次基本計画の下では、犯罪被害給付制度の拡充、被害者参加制度の創設、犯罪被害者等の精神的被害の回復・軽減への取組等、犯罪被害者等のための具体的施策は着実に成果を挙げてきました。しかし、なお、犯罪被害者等の抱える問題が全て解決したわけではありません。推進会議の下で、基本計画の見直しに当たり、新たな計画に盛り込むべき事項の検討や犯罪被害者等施策の実施状況の評価の補佐を行うことを任務とする当専門委員等会議においては、以下の手順で第3次基本計画案の策定に向けた検討を行いました。

まず、諸外国における犯罪被害者支援の現状を把握し、また、被害者、支援団体及び国民一般の方から要望意見を募集しました。それらを参考にして、第2次基本計画の実施状況を評価しました。議論の結果、個別の項目としては、海外での犯罪被害者に対する経済的支援については、引き続き、その具体化に向けた取組を推進していく必要があるとし、また、カウンセリング等心理療法の費用負担については、犯罪被害者の精神的被害の回復に資する施策に関する研究会において取りまとめられた「犯罪被害者の精神的被害の回復に資する施策に関する報告書」(平成27年4月2日)の提言内容を早期に実現するため、予算を確保していく必要があるとしたほか、第2次基本計画全体としては、着実に推進が図られ、一定の成果をあげたものと評価しました。他方、課題がないわけではなく、その課題等が第3次基本計画案策定の重要論点として検討されました。

専門委員等会議は、27年1月から9月にかけて9回、会議を開催し、精力的に議論を重ねた結果、28年1月に第3次基本計画案を確定しました。同案の策定に当たっては、犯罪被害者等の要望が反映されなければならず、また、関係府省庁、地方公共団体及び民間支援団体との連携・協力の充実・強化が欠かせません。さらに、犯罪被害者支援の重要性が国民に広く理解されるためには広報啓発活動も重要です。そのような認識を背景に検討がなされ、第3次基本計画案は261項目の具体的施策を掲げています。そのどれもが実現すべき施策ですが、中でも、性犯罪や児童虐待等潜在化しやすい犯罪被害者等への支援及び地方公共団体と民間の団体の協力による、犯罪被害者等への生活全般にわたる、継ぎ目のない、中長期的な支援体制の整備をすべきとしている点に特徴があります。さらに、実効性の確保の観点から、具体的施策の進捗状況の点検においては、定量的に把握することに努め、これが困難な場合でもできる限り定性的に把握することを求めています。

第3次基本計画が実行に移されれば、犯罪被害者支援は格段に進展することは間違いないと確信しています。ともあれ、第3次基本計画案の策定過程では活発な、時には激しい議論がなされましたが、最終的に取りまとめることができたのは、各構成員、関係府省庁の担当者及び事務局の熱心かつ真摯な取組のおかげであり、改めて各位の御協力に感謝いたします。

椎橋 隆幸 (中央大学大学院法務研究科教授)(基本計画策定・推進専門委員等 会議議長)
椎橋 隆幸
(中央大学大学院法務研究科教授)
(基本計画策定・推進専門委員等 会議議長)

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