5.犯罪被害者等基本計画(平成17年12月27日閣議決定)の実施状況の評価(平成22年10月13日犯罪被害者等施策推進会議決定)
第1 損害回復・経済的支援等への取組
項目 | 講じられた主な施策 | 評価 |
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1 損害賠償請求についての援助等 |
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損害賠償命令制度の導入により,被害者の立証の負担が軽減されるとともに,手数料も低額とされ,犯罪被害者等の損害賠償請求に当たっての負担軽減に効果があったものといえる。 また,一般国民の日常生活では弁護士と関わることが少ないことから考えれば,日本司法支援センターにおける被害者支援精通弁護士の紹介は犯罪被害者の利便の向上につながったものと考えられる。ただし,紹介された被害者支援精通弁護士による二次被害がみられるという指摘もあり,今後も,弁護士会等と連携・協力の上,犯罪被害者支援に携わる弁護士によるサービスの質の向上に取り組む必要がある。 |
2 給付金の支給に係る制度の充実等 |
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犯罪被害者に対する経済的支援の重要な役割を果たしている犯罪被害給付制度が拡充されたことは大きな改善である。ただし,障害の固定に期間を要するなどから制度改善の効果が現時点では検証できない面もあり,今後,実際に給付された額を踏まえて拡充の効果についての検証を行う必要がある。 また,性犯罪被害者の緊急避妊等に要する費用の公費負担制度など,犯罪被害給付制度以外の経済的支援制度についても全国的に整備が進められている。一方,警察に被害の届出をする前に自費で受診した場合には適用できない場合があるなど,改善が必要な点も認められ,より一層の制度の充実を図る必要がある。 |
3 居住の安定 |
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公営住宅への優先入居等の制度や被害直後に一時的に避難するための宿泊場所を公費で提供する制度は,犯罪被害者等の居住の安定を図ることに効果があるものと認められるが,公営住宅の優先入居については,DV被害者以外の被害者については対応がなされていない例がある,優遇内容が不十分であるなどの指摘もあり,制度や運用方法の改善を図る必要がある。 |
4 雇用の安定 |
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被害回復のための休暇制度についていまだ十分な認知がなされていない状況にあることから,引き続き,アンケートによる実態把握を行うとともに,リーフレット等により事業主や被雇用者に対して,犯罪被害者等の置かれている状況などについての周知・啓発を図る必要がある。 |