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第2章 犯罪被害者等のための具体的施策と進捗状況

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第4節 支援等のための体制整備への取組

コラム14 犯罪被害者等支援体制整備促進事業

内閣府では,都道府県・政令指定都市と共催で,犯罪被害者等支援体制整備促進事業として,地方公共団体の職員向けの研修会やモデル事業を実施しています。平成26年度は,北海道,秋田県,愛知県,和歌山県,沖縄県及び新潟市において開催しました。

【北海道】

北海道では,犯罪被害者等の総合相談窓口である「北海道被害者相談室」を設置するなど,犯罪被害者等の尊厳が守られる社会づくりの推進に努めているところです。

平成26年は,子供が犯罪被害に遭う事件が相次ぎましたが,北海道でも女児監禁致傷事件が発生しました。このような事件の後は,被害に遭った子供はもとより,両親,兄弟姉妹,そして同じ学校の児童,生徒も精神的に大きな傷を負います。

こうした被害児童等に対する,教職員やスクールカウンセラー,警察,民間支援機関等の連携による早期の適切な支援体制整備に資することを目的として,「犯罪被害と子どもの心理的支援」をテーマに「犯罪被害者等支援連携研修会」を開催しました。

研修会では,災害や事件後の子供の心理的支援に長年携わっている冨永良喜先生(兵庫教育大学大学院教授)の基調講演の後,北海道において支援に携わっている関係者によるパネルディスカッションを行い,会場参加者からの意見・質疑も踏まえ,更なる連携体制の整備に向けて,理解を深めることができました。

パネルディスカッション

【秋田県】

秋田県では,毎年,市町村等総合的対応窓口担当者研修会を開催し,犯罪被害者等の支援に携わる人材の養成に取り組んでいます。平成26年度は,犯罪被害者等施策における地方公共団体の役割について理解を深めるとともに,市町村,県,警察,犯罪被害者等早期援助団体の連携を更に強化するため,犯罪被害者等施策研修会を開催しました。

研修では,内閣府からの施策説明や犯罪被害者による講演,大学研究者による講義(テーマ:犯罪被害者等施策における地方公共団体の役割)やグループ討議による事例検討を行いました。

出席者からは,「信頼関係の構築が必要である。」,「行政機関からの二次的被害について考えさせられた。」,「各機関とのグループ討議により,具体的で有効な連携の強化が図られた。」等の感想がありました。

研修会
グループ討議

【愛知県】

愛知県では,犯罪被害者等が犯罪等により受けた被害から立ち直り,再び地域において平穏に過ごせるようにするため,関係機関・団体における支援体制の整備・充実を図るとともに,実際に犯罪被害者等支援に携わる県,市町村及び関係機関の担当者の資質の向上を図ることを目的に,研修会を開催しました。

研修会では,横浜市の支援体制の紹介,犯罪被害者等による講演,地方自治体,警察,民間支援団体の役割と連携をテーマとしたパネルディスカッションを実施しました。また,会場内において,犯罪被害者等支援の必要性を訴えるパネル展示を併せて実施しました。

愛知県では,今回の研修等を踏まえて,平成27年度には県内全ての市町村において総合的対応窓口が設置される見込みとなり,今後も,関係機関と連携して被害者支援施策の一層の充実に取り組んでいきます。

講演会
パネル展示

【和歌山県】

和歌山県では,「犯罪被害者等支援における社会福祉分野等の役割」について,学生や地域住民と一緒に考える「犯罪被害者支援出前講座」と「犯罪被害者支援フォーラム」をそれぞれ開催しました。

犯罪被害者の方々は,様々な支援を必要としています。それらの支援を効果的につなぎ,被害者の方に寄り添っていく上で,社会福祉士等,福祉の専門家が果たす役割は大変重要です。このことを踏まえ,社会福祉士等を目指している学生の皆さんに犯罪被害者支援について,理解を深めていただくとともに,学生の方々にとって被害者支援が将来の職業選択の一つになるようにと考え,「犯罪被害者支援出前講座」を開講しました。また,これと関連して,地域住民に犯罪被害者支援の取組の現状や課題,被害者に「寄り添うこと」,支援を「つなげること」の大切さを実感していただく機会を提供するため,犯罪被害者週間に先立ち「犯罪被害者支援フォーラム」を開催しました。

これらの学びを通じて,被害者の方のための途切れのない支援に対する気運が醸成され,被害者支援の社会的環境の整備につながるきっかけになればと考えています。

出前講座
フォーラム

【沖縄県】

沖縄県では,毎年,市町村の総合的対応窓口担当者等を対象に,犯罪被害者等相談業務に必要な基礎知識の習得等を目的とした研修を行っています。

平成26年度は,他機関連携による支援スキルの向上を図るための研修会を開催しました。研修では,性被害問題に長年積極的に携わっている精神科医・竹下小夜子氏を講師及びコーディネーターとしてお招きし,二次被害を防ぐ面接方法等の講習に続いて,DV・児童性虐待の複合事例を基にロールプレイを行いました。ロールプレイでは,窓口に相談に来た被害者を,支援の担い手である女性相談所,警察,弁護士といった関係機関へつなぎ,助言を受けるという犯罪被害者支援の実務を学びました。出席者からは,「被害者支援には多くの機関が関わっていることを知ることができた。」,「専門機関の方々と顔の見える関係ができた。」等の感想が寄せられ,県,市町村,関係機関間の理解と連携が深まりました。

ロールプレイ

【新潟市】

新潟市では,これまで公益社団法人にいがた被害者支援センターや新潟県警察,新潟県と連携し,被害者支援に関する自助グループの開催や広報活動等を行ってきました。

今回は,戸籍・住民基本台帳,福祉,税など直接市民と接する窓口部署における犯罪被害者支援の必要性に着目し,「犯罪被害者等施策研修会」を開催しました。

犯罪被害者等支援に係る法整備や国の施策の現状,また,被害者に寄り添うことの大切さを意識し,各種支援制度や相談窓口をまとめた手引を交付している新潟県警察の実例を学ぶとともに,同センターの中曽根理事・支援局長からは,御自身の体験に基づく被害者遺族の心の痛みや,求められている支援をお聞きすることで,犯罪被害者に配慮した窓口対応の在り方等を学びました。

犯罪被害者の方々の写真で作った「ひまわり」
研修会

これら犯罪被害者等支援体制整備促進事業の詳細は,内閣府犯罪被害者等施策ホームページで公開しています(http://www8.cao.go.jp/hanzai/local/model/model.html)。

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