第1節 損害回復・経済的支援等への取組
4 雇用の安定(基本法第17条関係)
(1) 事業主等の理解の増進
【施策番号28】
ア 厚生労働省においては,母子家庭の母等が犯罪被害等により求職活動に困難を伴う場合に,当該者の早期就職の実現を目的としたトライアル雇用奨励金を,試行雇用を実施した事業主に対し支給している。同奨励金の平成26年度の支給実績は,約3万3千人,約36億7千万円であり,当該施策に基づく実施はその内数である。
【施策番号29】
イ 公共職業安定所においては,事業主に対して,雇用管理全般に関するきめ細かな相談援助を行っている。
【施策番号30】
ウ 公共職業安定所においては,様々な事情により,やむを得ず離職したり,新たに仕事を探す必要が生じた犯罪被害者等に対して,求職者の置かれた状況に応じたきめ細かな就職支援を行っている。
【施策番号31】
エ また,平成26年度に独立行政法人労働政策研究・研修機構労働大学校が実施する労働行政職員基礎研修,公共職業安定所課長・統括職業指導官研修,職業安定行政職員上級研修,公共職業安定所長研修において犯罪被害者等への理解促進を図った。
(2) 個別労働紛争解決制度の活用等
【施策番号32】
ア 厚生労働省においては,「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」(平成13年法律第112号)に基づき,個別労働紛争解決制度(http://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/index.html)について,ホームページやパンフレット等を活用し,周知を図るとともに,その適正な運用に努めている。
【施策番号33】
イ 全国約380か所に設置された総合労働相談コーナー(http://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html)において,犯罪被害者等の労働者と事業主との間で生じた労働問題に関するあらゆる相談に対し,情報提供,相談等を行うワンストップサービスを実施している。
(3) 被害回復のための休暇制度の周知・啓発
【施策番号34】
犯罪等の被害に遭った労働者は,治療や裁判への出廷のために休まなければならないこともあるが,被害を回復するための休暇制度については,いまだ十分な認知がなされていない状況にある。そこで,厚生労働省においては,企業や労働者に対し,同制度についての周知・啓発を図るため,平成26年度にはリーフレット等を作成し,関係行政機関や,経済団体,労働団体等222団体に送付するとともに,セミナーを開催した。
なお,平成26年度,同制度の導入につきアンケートを実施したところ,企業,労働者とも9割以上が,同制度を導入すべきという意見があることさえ知らないという状況であった。27年度においても,引き続き周知・啓発を行うこととしている。