1 問題解決の起点
犯罪被害者等が関与する手続や,支援のための枠組みは様々であり,利用できるかもしれない制度等についての詳細は,それら制度等を所管する部局や機関等が明らかなときは,直接問い合わせることにより,判明する(2から5において後述)。しかし,思いがけず被害に見舞われた犯罪被害者等は,自分がどのような状態にあり,何をどのように相談してよいか分からない,あるいは,当該地域での相談窓口が分からない,ということも少なくない。
ここでは,犯罪被害の種類等を問わず,まずは個々の犯罪被害者等の相談に応じ,その直面している課題を整理し,適切な支援につなげるための起点となる主な相談先を紹介する。
(1) 一般的な窓口
○ 地方公共団体
犯罪被害者等からの一次的な相談窓口として,関係部局の所管する各種支援制度や申請補助に関する相談,問合せのほか,関係機関・団体に関する情報提供や橋渡しに関する相談・問合せにも応じている。
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地方公共団体の総合的対応窓口
(http://www8.cao.go.jp/hanzai/local/madoguchi/madoguchi.html)
(http://www8.cao.go.jp/hanzai/local/bukyoku/bukyoku.html)
○ 都道府県警察
犯罪被害者からの様々な相談や,被害者本人からだけでなく,家族や友人からの相談のほか,警察だけでは対応できないことについての専門の機関等の紹介を行っている。また,犯罪被害者等の要望を踏まえ,相談や支援などの機会や民間被害者支援団体を通じて,犯罪被害者等に自助グループを紹介している。
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都道府県警察の被害相談窓口
(http://www.npa.go.jp/higaisya/shien/prf/index.htm)

○ 犯罪被害者等早期援助団体
犯罪被害等に関する相談,警察や検察庁,裁判所,自治体等への付添いなどの役務の提供,物品供与又は貸与その他の方法による犯罪被害者等の援助,犯罪被害者等給付金の裁定の申請補助に関する相談や問合せに応じている。
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犯罪被害者等早期援助団体等
(http://www.nnvs.org/list/index.html)

○ 日本司法支援センター(通称:法テラス)
刑事手続への適切な関与や損害・苦痛の回復・軽減を図るための法制度に関する情報の提供,犯罪被害者支援を行っている機関・団体の案内,犯罪被害者支援の経験や理解のある弁護士の紹介,被害者参加人のための国選弁護制度に関する業務を行っている。

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法テラス・サポートダイヤル(コールセンター)
一般ダイヤル
(0570-078374「おなやみなし」)
犯罪被害者支援ダイヤル
(0570-079714「なくことないよ」) -
地方事務所(全国各都道府県50か所)
(http://www.houterasu.or.jp/chihoujimusho/)
○ 法務局・地方法務局
法務省の人権擁護機関では,法務局・地方法務局又はその支局や特設の人権相談所において,犯罪被害者等からの相談を含む人権に関する相談に応じている。また,最寄りの法務局・地方法務局につながる全国共通人権相談ダイヤル「みんなの人権110番」を設置し,電話による相談に応じている。さらに,インターネットでの相談は,「インターネット人権相談受付窓口」で応じている。被害者,その法定代理人,配偶者等からの申告等に基づき,人権侵害の疑いのある事案を認知した場合は,人権侵犯事件として調査を開始し,事案に応じた適切な措置を講じている。
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みんなの人権110番 (0570-003-110)
(http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken20.html) -
インターネット人権相談受付窓口(24時間受付)
(http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken113.html)
(2) 児童・子どもの被害
○ 子どもに関するあらゆる相談
児童相談所では,被害によって心のケアなどを必要とする少年の相談や問合せにも応じている。相談や問合せは,夜間・休日を問わず対応している。
また,棄児,迷子,家出した子ども等,緊急にその子どもを保護する必要がある場合,虐待,放任等の理由によりその子どもを家庭から一時引き離す必要がある場合などに,一時保護している。
- 全国共通ダイヤル(0570-064-000)(管轄する児童相談所に自動で電話がつながる)
- 児童相談所一覧(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/dv-jinshin/index.html#hid0_mid2)
○ 犯罪被害に遭った少年に関する相談
都道府県警察で応じている。
「ヤングテレホンコーナー」などの名称で電話による少年相談窓口を全都道府県警察に設置しており,フリーダイヤルや電子メールなどにより,夜間,休日でも受け付けている。また,全都道府県警察に設置されている少年サポートセンターや警察署の少年係も相談に応じており,警察官や少年補導職員による助言,指導を行っている。
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都道府県警察の少年相談窓口
(http://www.npa.go.jp/higaisya/shien/torikumi/madoguchi.htm)
○ スクールカウンセラー等による相談
学校,教育委員会,教育相談所,教育センターで対応している。
少年被害者に対する学校のカウンセリング体制として,スクールカウンセラーの配置の拡充や生徒指導推進協力員・学校相談員の配置を行っている。
地域の実情に応じて,児童虐待などの問題へ対応するために,教育分野に関する知識に加えて,社会福祉の専門的な知識・技術を用いて児童生徒を支援するスクールソーシャルワーカーを学校など教育機関に配置している。
- 学校
- 教育委員会
- 教育相談所
- 教育センター
(3) 性犯罪等による女性の被害
○ 性犯罪被害に関する相談
都道府県警察において,性犯罪被害相談専用電話を設置し,相談に応じている。
また,事件化を望まない性犯罪被害者に対しても,民間被害者支援団体が提供し得る支援の内容や秘密が守られることなどを十分に説明した上で,犯罪被害者の同意を得て当該被害者の連絡先や相談内容等を犯罪被害者等早期援助団体に提供するなど,当該被害者が早期に犯罪被害者支援団体による支援を受けやすくなるように応じている。
- 性犯罪被害相談電話(http://www.npa.go.jp/consultation/sousa1/index.htm)
○ ストーカー・配偶者からの暴力に関する相談
都道府県警察,配偶者暴力相談支援センター,婦人相談所,福祉事務所で応じている。
都道府県警察では,ストーカー事案や配偶者からの暴力事案を始めとする恋愛感情等のもつれに起因する暴力的事案に対しては,被害者等の安全の確保を最優先に,ストーカー行為等の規制等に関する法律や配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律その他の法令の積極的な適用による加害者の検挙,行政手続の実施や被害者の保護措置等を行っている。
配偶者暴力相談支援センターでは,相談,カウンセリング,被害者及びその同伴家族の一時保護,各種情報提供等を行っている。連絡先が不明の場合は,「DV相談ナビ」にかければ最寄りの相談窓口の情報を得ることができる。
婦人相談所では,配偶者からの暴力被害者等の相談に応じ,心身の健康回復のため医学的・心理学的な指導,被害者及び同伴家族の一時保護及び自立支援,保護命令制度の利用についての援助などを行うとともに,婦人保護施設や民間シェルターなどへの一時保護委託を実施している。
福祉事務所では,母子生活支援施設(配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子及びその者の監護すべき児童を入所させて,これらの者を保護するとともに,これらの者の自立の促進のためにその生活を支援することを目的とする施設)利用の申込みに応じている。
- 最寄りの警察署・都道府県警察本部
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配偶者暴力相談支援センターの機能を果たす施設
(http://www.gender.go.jp/e-vaw/soudankikan/pdf/center.pdf) -
「DV相談ナビ」全国共通ダイヤル
(0570-0-55210) - 婦人相談所(http://www.gender.go.jp/e-vaw/advice/advice03list.html)
- 福祉事務所(http://www.mhlw.go.jp/bunya/seikatsuhogo/fukusijimusyo-ichiran.html)
(4) 虐待等による高齢者の被害
○ 高齢者虐待等に関する相談
市区町村高齢者福祉担当課・地域包括支援センターで応じている。
市区町村のほか地域包括支援センターでは,行政機関,保健所,医療機関など必要なサービスにつなぐ支援,成年後見制度の活用促進,高齢者虐待への対応などを行っている。
- 市区町村高齢者福祉担当課又は地域包括支援センター
(5) 交通犯罪被害者
○ 交通事故に関する相談
都道府県・政令指定都市が設置・運営する交通事故相談所で応じている。
交通事故に起因して生じた損害賠償問題,生活福祉問題,一身上の悩み等の解決のための相談を行っている。
- 交通事故相談所(http://www8.cao.go.jp/koutu/juten/sodan.html)
○ 政府保障事業の受付
損害保険会社(組合)の全国各支店等の窓口(保険代理店以外の損害保険会社(組合)の窓口であればどこでも対応可能)で応じている。

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損害保険会社(組合)の全国各支店等の窓口
(http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/04relief/accident/nopolicyholder.html)
(6) 暴力団による被害
○ 暴力団による被害に関する相談
都道府県警察・都道府県暴力追放運動推進センターで応じている。
都道府県警察では,暴力団員による暴力的要求行為の相手方や暴力団員による犯罪の被害者等について,本人からの申出に基づき,被害の回復などのための助言や交渉場所の提供などの援助を行っている。
都道府県のセンターでは,暴力団による被害の相談活動のほか,民事訴訟費用の無利子貸付も行っている。
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都道府県警察の被害相談窓口
(http://www.npa.go.jp/higaisya/shien/prf/index.htm) -
都道府県暴力追放運動推進センター
(http://www1a.biglobe.ne.jp/boutsui/category/center/index.html#itiran)
(7) 海外における犯罪被害
○ 海外における被害に関する相談
海外での相談は在外公館が応じている。相談を受けた在外公館では,現地警察への届出に関する助言や弁護士・通訳者のリスト,医療機関に関する情報提供のほか,本人による連絡ができない場合に家族との連絡の支援や緊急移送に関する助言,死亡者の身元確認に関する支援などを行っている。
帰国時及び帰国後の支援に関する相談については,最寄りの警察署や都道府県警察の被害相談窓口が応じている。警察では,外務省と連携し,海外における邦人の犯罪被害に関する情報の収集に努めるとともに,関係機関・団体と連携し,帰国する犯罪被害者や日本国内の遺族等に対し,国内での支援に関する各種情報の提供や帰国時の空港等における支援などを行っている。
- 在外公館(http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/zaigai/list/)
- 最寄りの警察署
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都道府県警察の被害相談窓口
(http://www.npa.go.jp/higaisya/shien/prf/index.htm)