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第2章 犯罪被害者等のための具体的施策と進捗状況

1節 損害回復・経済的支援等への取組

(1) 損害賠償請求についての援助等

○主な取組

  • 日本司法支援センターによる支援の検討及び施策の実施(法務省)

    被害者参加人のための国選弁護制度においては,日本司法支援センターは,国選被害者参加弁護士の候補となる弁護士の確保のほか,国選被害者参加弁護士の候補を裁判所に指名通知するなどの業務を行っている。平成25年1月現在,被害者参加弁護士契約弁護士は3,189人となっており,平成24年4月1日から同年12月末日までの国選被害者参加弁護士の選定請求受付件数は215件289人であった。

    損害賠償請求訴訟等の準備及び追行の過程で,日本司法支援センターがカウンセラー等を犯罪被害者等との打合せに同席させることについて検討を行い,必要な施策を実施するとされたところ,所要の調整を進めている。

犯罪被害給付制度の運用状況

(2) 給付金の支給に係る制度の充実等

○主な取組

  • 現行の犯罪被害給付制度の運用改善(警察庁)

    平成20年7月,大規模な法令改正により,生計維持関係のある遺族に対する遺族給付金及び重度後遺障害者(障害等級1~3級)に対する障害給付金の引上げ等を図った。さらに,平成21年10月,親族犯の犯罪のうち,配偶者からの暴力事案について特に必要と認められる場合には,全額支給ができるように特例規定の見直しを行うなど,継続的に制度の拡充を行っており,平成24年度における犯罪被害者等給付金の裁定金額は,約15億900万円となった。

  • 犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討(内閣府,警察庁,法務省,厚生労働省,国土交通省)

    平成24年度中には,平成20年に改正された犯罪被害給付制度の運用状況の確認,犯罪被害者等の経済的支援となり得る各種社会保障制度の概要の確認,海外調査などを行ってきた。

  • カウンセリング等心理療法の費用の公費負担についての検討(内閣府,警察庁,法務省,文部科学省,厚生労働省)

    最終取りまとめにおいて,公費負担制度の対象として相当と認められる心理療法・カウンセリングの範囲を明らかにするための研究会が設置され,その研究に基づき,公費負担制度が導入されることを期待すること,および,既存の公的機関・制度において提供されている心理的支援を一層充実させるため等の措置が執られるべきであるとの提言が出され,平成25年3月,推進会議において,同提言内容に従った施策の実施の推進が決定された。

(3) 居住の安定

○主な取組

  • 被害直後及び中期的な居住場所の確保(厚生労働省,警察庁,内閣府)

    厚生労働省において,平成24年度から,婦人相談所からの退所後の自立に向けた支援の一環として,施設の近隣アパート等を利用して生活訓練を行う場合に,建物の賃貸料の一部を措置費算定している。

    また,児童相談所において,必要があると認めるときは,子どもの一時保護(委託を含む。)を実施している。平成23年度の所内一時保護件数は20,289件,委託件数は9,985件となっている。 

    警察庁において,平成19年度から,自宅が犯罪行為の現場となり,破壊されるなど居住が困難で,自ら居住する場所が確保できない場合などに,一時的に避難するための宿泊場所を公費により提供し,犯罪被害者等の経済的,精神的負担の軽減を図っている(犯罪被害者等に対する一時避難場所などの借上げに要する経費(国庫補助金): 24年度16百万円,25年度16百万円)。

(4) 雇用の安定

○主な取組

  • 被害回復のための休暇制度の周知・啓発(厚生労働省)

    企業や労働者に対し,犯罪などの被害に遭った労働者が被害を回復するための休暇制度導入についての周知・啓発を図るため,平成24年度にはリーフレットやポスターを作成し,経済団体,労働団体等224団体に送付するとともに,セミナーを開催。なお,24年度,同制度の導入につきアンケートを実施したところ,企業,労働者とも9割以上が,同制度を導入すべきという意見があることさえ知らないという状況であった。

被害回復のための休暇制度
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