第2章 犯罪被害者等のための具体的施策と進捗状況
1 損害回復・経済的支援等への取組
(1) 損害賠償請求についての援助等
○主な取組
- 日本司法支援センターによる支援の検討及び施策の実施(法務省)
損害賠償請求訴訟等の準備及び追行の過程で、日本司法支援センターがカウンセラー等を犯罪被害者等との打合せに同席させることについて検討。
(2) 給付金の支給に係る制度の充実等
○主な取組
- 現行の犯罪被害給付制度の運用改善(警察庁)
平成20年7月、大規模な法令改正により、生計維持関係のある遺族に対する遺族給付金及び重度後遺障害者(障害等級1~3級)に対する障害給付金の引上げ等を図った。さらに、平成21年10月、親族犯の犯罪のうち、配偶者からの暴力事案について特に必要と認められる場合には、全額支給ができるように特例規定の見直しを行うなど、継続的に制度の拡充を行っており、平成23年度における犯罪被害者等給付金の裁定金額は、約20億6500万円と過去最高となった。
犯罪被害者等給付金の申請・裁定・決定状況 区分 20年度 21年度 22年度 23年度 前年比 申請に係る被害者数(人) 462 589 585 652 +67 裁定に係る被害者数(人) 407 566 563 715 +152 支給裁定に係る被害者数 388 538 534 663 +129 不支給裁定に係る被害者数 19 28 29 52 +23 仮給付決定に係る被害者数(人) 5 7 8 4 -4 裁定金額(百万円) 907 1,277 1,311 2,065 +754 提供:警察庁 - 犯罪被害給付制度の拡充及び新たな補償制度の創設に関する検討(内閣府、警察庁、法務省、厚生労働省、国土交通省)
拡充後の犯罪被害給付制度の運用状況や社会保障制度に関するヒアリング、遺族から犯罪被害給付金の支給状況、被害後の経済的状況等に関するヒアリングを実施。
犯罪被害者等施策に係る会議等の構成図 - カウンセリング等心理療法の費用の公費負担についての検討(内閣府、警察庁、法務省、文部科学省、厚生労働省):第1章参照
- 地方公共団体による見舞金制度等の導入促進(内閣府)
- 生活保護制度における犯罪被害者等給付金の収入認定除外についての検討(厚生労働省)
犯罪被害者特有の特別な事情が認められれば、収入認定から除外することが可能であることを地方自治体に通知。
(3) 居住の安定
○主な取組
- 公営住宅への優先入居等(国土交通省)
(4) 雇用の安定
○主な取組
- 被害回復のための休暇制度の周知・啓発(厚生労働省)
平成23年度、犯罪などの被害に遭った労働者が被害を回復するための休暇制度の導入につき、アンケートを実施したところ、企業、労働者とも9割以上が、同制度を導入すべきという意見があることさえ知らないという状況が明らかになった。そこで、企業や労働者に対し、同制度の導入についての周知・啓発を図るため、23年度にはリーフレットやポスターを作成し、経済団体、労働団体等224団体に送付するとともに、セミナーを開催した。24年度においても、引き続き周知・啓発を行うこととしている。