2 性犯罪被害者のための総合的支援としてのワンストップ支援センター
○ワンストップ支援センター設置促進にかかる各種施策
性犯罪被害者が被害直後に総合的な支援を1か所で受けることができる支援センターの設置促進は、犯罪被害者団体及び犯罪被害者支援団体からの要望を踏まえ、第2次基本計画の中で、以下のような施策として盛り込まれた。
- ワンストップ支援センターの開設・運営の手引の作成・配布(内閣府)
- 性犯罪被害者対応拠点モデル事業の検証及び結果の提供(警察庁)
- 医療機関に対する啓発・協力可能な医療機関の情報の収集及び提供(厚生労働省)
- 医療機能情報提供制度における登録内容への追加(厚生労働省)
○設置促進に必要な調査・検討
ワンストップ支援センターの開設を検討している地方公共団体・民間団体等に役立つものとなるよう、以下のように、設置促進に必要な調査・検討を行った。
- 性犯罪被害者からの被害後の二次被害等に関する聞き取り調査
内閣府では、性犯罪被害者11人について、被害による心身への影響、社会生活上の影響、被害についての相談状況などについて臨床経験者との対面形式での聞き取り調査を行った。
- 我が国におけるワンストップ支援センター先行事例の調査・検討
次の2つの先行事例の運用状況等について調査・検討を行うとともに、警察庁による性犯罪被害者対応拠点モデル事業の検証結果を参考とした。
① 性暴力救援センター・大阪(Sexual Assault Crisis Healing Intervention Center Osaka)」(通称「SACHICO」。大阪府松原市・阪南中央病院内)
SACHICO見取図SACHICOは、阪南中央病院の一角に、一般外来・病棟とは隔離された形で設置されており、専用の待合室、面談室、診察室、スタッフルーム、トイレ・シャワールームを備えている。② 「ハートフルステーション・あいち」(警察庁・愛知県警察による平成22年度性犯罪被害者対応拠点モデル事業。愛知県一宮市・大雄会第一病院内)
○諸外国における性犯罪被害者支援の状況
先進的な性犯罪被害者支援の取組を行っているカナダ及び韓国について訪問調査を実施した。
- カナダ・オンタリオ州の性犯罪被害者支援
訪問調査を行ったオタワでは、カウンセリングサポート、医療、刑事司法の3つが中心となった被害者へのサービスが提供されており、「性的暴行プロトコール」に、提供されるサービスの提供機関、サービス内容、利用方法などが書かれ、被害者及び一般社会へ周知が図られている。
- 韓国のワンストップ支援センター
2006年8月、ソウル市の警察病院内に最初のワンストップ支援センターが設置されて以降、2012年3月現在までに、警察病院などの国公立病院、大学病院、民間病院など16か所に設置されている。
ソウル市ポラメ病院内ポラメ・ワンストップ支援センター
○ワンストップ支援センターの設置促進のための手引作成
前記の調査・検討を踏まえ、内閣府において、関係機関・団体等の間で共通の理解と認識を持つことにより、相互の連携協力の密度を上げてワンストップ支援センターを促進する環境を作り、また、それぞれの地域で活用できる資源や実情に応じた性犯罪・性暴力被害者支援の充実を図ることを目的として「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター開設・運営の手引」を作成した。