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第2次犯罪被害者等基本計画(平成23年3月25日閣議決定)


II 基本方針

犯罪被害者等が直面している困難な状況を打開し、権利利益の保護を図るという目的を達成するために、個々の施策の策定・実施や連携に際し、実施者が目指すべき方向・視点として、第2次基本計画においても、第1次基本計画と同様、基本法に定める基本理念等を踏まえ、以下の4つの基本方針を設定することとする。


〔4つの基本方針〕

<1> 尊厳にふさわしい処遇を権利として保障すること

基本法第3条第1項は、「すべて犯罪被害者等は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する。」と規定している。

犯罪被害者等のための施策は、例外的な存在に対する一方的な恩恵的措置ではなく、社会のかけがえのない一員として、犯罪被害者等が当然に保障されるべき権利利益の保護を図るためのものである。施策の実施者は、犯罪被害者等はその尊厳が尊重され、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有していることを視点に据え、施策を実施していかなければならない。


<2> 個々の事情に応じて適切に行われること

基本法第3条第2項は、「犯罪被害者等のための施策は、被害の状況及び原因、犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情に応じて適切に講ぜられるものとする。」と規定している。

犯罪被害者等のための施策は、個々の犯罪被害者等が直面している困難を打開し、その権利利益の保護を図るために行うものである。施策の実施者は、個々の犯罪被害者等の具体的事情を正確に把握し、その変化にも十分に留意しながら、個々の事情に応じて適切に施策を実施していかなければならない。


<3> 途切れることなく行われること

基本法第3条第3項は、「犯罪被害者等が、被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、必要な支援等を途切れることなく受けることができるよう、講ぜられるものとする。」と規定している。

犯罪被害者等のための施策は、犯罪被害者等が直面するその時々の困難を打開することにだけ注目するのではなく、犯罪被害者等が再び平穏な生活を営むことができるようになることに視点を置いて行うべきである。施策の実施者は、制度や担当機関等が替わっても連続性をもって当該犯罪被害者等に対する支援等が行われるよう、また、犯罪被害者等の誰もが、必要なときに必要な場所で適切な支援を受けられるよう、途切れることのない支援等を実施していかなければならない。


<4> 国民の総意を形成しながら展開されること

基本法第6条は、「国民は、犯罪被害者等の名誉又は生活の平穏を害することのないよう十分配慮するとともに、国及び地方公共団体が実施する犯罪被害者等のための施策に協力するよう努めなければならない。」と規定している。

犯罪被害者等のための施策は、犯罪被害者等がその名誉又は平穏を害されることなく、共に地域で生きていけるよう国民が総意で協力する社会を形成していくという視点を持って実施されなくてはならない。同時に、国民の総意が形成されるよう、犯罪被害者等のための施策の策定・実施は、国民からの信頼を損なわないように適切に行われる必要がある。


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