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3.犯罪被害者等基本計画 (平成17年12月27日閣議決定)

4.雇用の安定(基本法第17条関係)

[現状認識]

犯罪被害者等が仕事を維持・確保することは、経済的負担の軽減になるだけでなく、精神面における被害の軽減・回復にも重要な意味を有する。犯罪被害者等は、精神的・身体的被害によりやむを得ず従前に比べ仕事の能率が低下したり、対人関係に支障を生じたり、治療のための通院、裁判への出廷等のために欠勤したりすることになるが、犯罪被害者等が被る精神的・身体的被害の重篤さや、刑事手続等による負担に関する雇用主や職場の知識の欠如・無理解により、仕事をやめざるを得なくなる場合が少なくないとの指摘がある。

[基本法が求める基本的施策]

基本法第17条は、国及び地方公共団体に対し、犯罪被害者等の雇用の安定を図るための施策として、

・犯罪被害者等が置かれている状況について事業主の理解を高めること

・その他の必要な施策

を講ずることとしている。

[犯罪被害者等の要望に係る施策]

犯罪被害者団体等からは、

《1》 事業主等の理解の増進

《2》 被害回復のための休暇制度の導入

に関する種々の要望が寄せられている。

[今後講じていく施策]

(1) 事業主等の理解の増進

厚生労働省において、犯罪被害者等に対する十分な理解に基づき、以下の施策を実施する。

ア 母子家庭の母等に対するトライアル雇用事業の適正な運用に努める。【厚生労働省】

イ 公共職業安定所や独立行政法人雇用・能力開発機構都道府県センターにおける事業主に対する配置や労働条件等雇用管理全般に関するきめ細やかな相談援助の適正な運用に努める。【厚生労働省】

ウ 公共職業安定所における求職者に対するきめ細やかな就職支援の適正な実施に努める。【厚生労働省】

エ 独立行政法人雇用・能力開発機構都道府県センターにおける事業主を対象とした雇用管理講習会において、犯罪被害者等の雇用管理に資するテーマについて取り上げる。【厚生労働省】

オ 公共職業安定所職員に対する研修において、犯罪被害者等への理解に資するテーマを取り上げる。【厚生労働省】

(2) 個別労働紛争解決制度の活用等

ア 厚生労働省において、犯罪被害者等に係る個別労働関係紛争の解決に当たって、個別労働紛争解決制度について周知を徹底させるとともに、その適正な運用に努めていく。【厚生労働省】

イ 厚生労働省において、犯罪被害者等が事業主との間で生じた労働問題に関し、情報の提供、相談等を行う公的相談窓口として、労働問題に関するあらゆる分野の相談に専門の相談員がワンストップで対応する総合労働相談コーナーについて周知を徹底させるとともに、その積極的な活用を図っていく。【厚生労働省】

(3) 被害回復のための休暇制度導入の是非に関する検討

厚生労働省において、警察庁及び法務省の協力を得て、犯罪等の被害に遭った労働者が被害を回復するための休暇制度の導入につき、現状に関する必要な調査を行い、1年以内を目途に結論を出し、必要な施策を実施する。【厚生労働省】


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