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第3節 地域における支援ネットワークの構築

第2節で述べたとおり、地方公共団体における取組は、団体によって開きがあるものの、推進が図られつつある。しかしながら、地方公共団体のみで犯罪被害者等の様々なニーズに応えることはできず、警察、検察庁、民間支援団体等犯罪被害者支援に関わる様々な機関、団体との連携協力関係を構築する必要がある。

犯罪被害者等からは、必要とする相談や情報提供等の支援を一元的に提供できる機関・団体が必要であるとの声が聞かれるところである。しかしながら、犯罪被害者等が置かれている状況やニーズは、個々の犯罪被害者等によって様々である上、時間の経過によっても変化するものであるから、個々の事情に応じた支援を適切に行うためには、求められる分野が多方面にわたり、また専門化することは避けられず、このような多岐にわたる犯罪被害者支援の全てに一元的に対応できる組織を全国各地域に設置することは現実的には困難である。したがって、犯罪被害者支援に関わる様々な機関・団体がそれぞれの役割を適切に果たし、相互に連携協力して、地域における犯罪被害者支援のネットワークを構築していくことが必要である。

▼地域における犯罪被害者支援のネットワークのイメージ
地域における犯罪被害者支援のネットワークのイメージの図

※1 被害者の遺族または体に障害を負った被害者などに、経済的な支援を行います。

※2 捜査員とは別の警察職員が被害者に付きそい、情報提供や説明などの支援を行います。

※3 被害者に、事件の処分結果、裁判の結果、犯人の状況、刑務所からの出所時期、刑確定後の処遇状況などの情報を提供します。

※4 被害者からの相談を受けたり、法廷への案内・付きそい、事件記録を見る手助け、他の支援を行っている団体を紹介するなどの支援を行います。

※5 事件担当とは別の職員・保護司が、被害者からの相談を受けたり、更生保護における被害者施策を始めとする利用可能な制度の説明をするなどの支援を行います。

※6 犯罪被害者支援の経験や理解のある弁護士を紹介する制度です。

このようなネットワークを構築するためには、犯罪被害者支援に携わる各関係機関、各団体が、どのような機関・団体においてどのような支援を提供しているかなどについて、認識を共有している必要がある。内閣府では、平成20年12月に、関係省庁や有識者の協力を得て、犯罪被害者支援に関係する機関・団体等に関して全国的標準的な内容の犯罪被害者等への対応や連携に当たっての留意事項を取りまとめた「犯罪被害者支援ハンドブック・モデル案」を作成・配布しており、これを踏まえて、各地域の実情に則した、都道府県レベルでのハンドブックの作成が進んでいる。

このようなハンドブックによる情報共有や、被害者支援連絡協議会(「被害者支援連絡協議会及び被害者支援地域ネットワークにおける連携の推進」参照)といった定期的な会合などを通じて、地域における支援ネットワークの整備・充実が進められている。犯罪被害者等の誰もが、必要な時に必要な場所で適切な支援を受けられるためには、このような地域レベルでの支援体制の充実が不可欠なのである。

▼犯罪被害者支援ハンドブック・モデル案
犯罪被害者支援ハンドブック・モデル案の写真

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