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第2節 地方公共団体における取組の現状等


3 地方公共団体における取組の充実に向けて

これまで述べたように、地方公共団体の取組については、上記のような先進的な取組をしている団体もあれば、施策を担当する部局すら確定していない団体もあり、開きがあるのが実情である。

そのため、地方公共団体における犯罪被害者等施策の総合的な推進を図るため、内閣府において、知事部局の窓口となる部局・体制を確認し、当該窓口との間で、連携・協力・情報共有を行っている。また、内閣府において、以下の取組を実施している。

○ 関係省庁と地方公共団体の職員を対象として配信している「犯罪被害者等施策メールマガジン」では、各省庁の犯罪被害者等施策、各地方公共団体の先進的な取組事例の紹介など、情報の共有を図っている。

○ 都道府県、政令指定都市の犯罪被害者等施策主管課室長の会議(以下「主管課室長会議」という。)を開催しており、平成21年5月に開催された主管課室長会議では、有識者による講演のほか、先進的な取組を行っている地方公共団体からの事例発表を行うとともに、関係省庁から施策の説明を行うなど、情報の共有を図った。

▼主管課室長会議
主管課室長会議の写真

○ 地方公共団体の取組が更に推進されるよう、犯罪被害者等施策ブロック研修会(地方公共団体職員研修)を開催しており、平成21年度は、9月から11月にかけて、山形県、埼玉県、富山県、兵庫県、島根県、長崎県の全国6地区において、それぞれの地方公共団体と内閣府の共催によって実施した。

▼犯罪被害者等施策ブロック研修会(地方公共団体職員研修)
犯罪被害者等施策ブロック研修会の写真

○ 地域社会における犯罪被害者等支援の促進を図ることを目的として、「地域における被害者支援の普及促進事業(モデル事業)」を実施しており、平成21年度に内閣府において実施したモデル事業では、地方公共団体や地域の関係機関・団体との連携の下、被害者支援の気運の醸成に関する取組などが地方公共団体の提案した企画によって実施された(コラム1「地方公共団体の取組」参照)。

犯罪被害者支援団体などからは、地方公共団体の取組について法による義務付けを求める声もあるが、地方自治の尊重の観点からは、法による一律な義務付けは適当ではなく、地域住民が、地方公共団体に対して支援制度の充実を訴え、施策の推進を促していくことが必要である。

しかしながら、犯罪被害については地域住民の身近な問題として捉えにくいことから、「犯罪被害者等は社会の例外的な存在であって、自分たちとは関係がない。」と思われがちであるとの声もあり、国としては、犯罪被害者等の置かれた状況等に関する啓発活動等を強化し、国民一人ひとりの犯罪被害者等への支援の重要性に対する理解の増進に努めていく必要がある。


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