第1部 犯罪被害者等のための施策と進捗状況

第2章 犯罪被害者等のための具体的施策



《基本計画において、「速やかに実施する」とされたもの》

(6) 「PTSD対策に係る専門家の養成研修会」の継続的実施等

 犯罪被害者や災害被災者のPTSDは、長期間の療養を要するものとして、非常に注目されており、専門家による専門的なケアが重要である。

 そのため、厚生労働省において、平成8年度から医師、看護師、保健師、精神保健福祉士等を対象としたPTSD専門家の養成研修等を行い、精神保健福祉センター、病院、保健所等でPTSD相談事業活動を取り入れ、各施設での活動の充実を図り、精神保健福祉の増進を図っている。平成18年度からは、より高度な診断評価・治療の技法を修得させるため、医師・保健師等を対象としたアドバンスコースを設けている。

(7) 地域格差のない迅速かつ適切な救急医療の提供

 厚生労働省において、地域格差なく迅速かつ適切な救急医療が提供されるよう、初期救急医療、入院を要する救急医療、救命救急医療の体制の整備を図るとともに、総務省と連携し、メディカルコントロール体制(注1)の充実強化を図ることとされた。

 これまでも、設備整備費及び運営費に係る補助事業等を通じ、ドクターカー及びドクターヘリの普及を図ってきたところであり、救急救命士が行うことのできる処置範囲については、一定の講習・実習を終了すること等を条件に、心肺機能停止状態の患者に対して、平成16年7月から気管挿管を可能とするとともに、平成18年4月からはエピネフリン(注2)の投与も可能としている。

 今後とも、地域格差なく迅速かつ適切な救急医療が提供されるよう、これまでの施策を推進していく。

(注1)救急現場から医療機関に搬送されるまでの間において、救急救命士等が行う救急医療活動について、医師による指示、指導・助言、事後検証を行い、その質を保障する体制。
(注2)アドレナリンともいう。副腎のホルモンであり、心筋の収縮力を高め、心・肝・骨格筋の血管を拡張、皮膚・粘膜等の血管を収縮させ、血圧を上昇させる作用を持つ。止血剤、強心剤などに利用される。

(8) 高次脳機能障害(注3)者への支援の充実

 厚生労働省において、平成13年度から平成17年度にかけて「高次脳機能障害支援モデル事業」を13か所で実施し、「高次脳機能障害診断基準」、「高次脳機能障害標準的訓練プログラム」、「高次脳機能障害標準的社会復帰・生活・介護支援プログラム」を作成した。

(注3)脳外傷や脳血管障害の後遺症として、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害を生じる障害。

 このモデル事業で得られた成果を踏まえ、平成18年度からは、障害者自立支援法(平成17年法律第123号)に基づく都道府県地域生活支援事業として、高次脳機能障害者に対する専門的な相談支援体制の構築を行うとともに、高次脳機能障害者への支援に当たる人材の育成を図る「高次脳機能障害支援普及事業」を実施し、高次脳機能障害を有する方に対し全国的な支援ができる体制を提供している。

 本施策については、厚生労働省ホームページより確認できる(「高次脳機能障害支援モデル事業(13か所で実施)」(http://www.rehab.go.jp/ri/brain/aboutModel.html)、「高次脳機能障害診断基準」(http://www.rehab.go.jp/ri/brain/handankizyun.html)、「高次脳機能障害標準的訓練プログラム」(http://www.rehab.go.jp/ri/brain/hyoujyun.html))。

高次脳機能障害支援モデル事業 【概念図】

出典:国立身体障害者リハビリテーションセンターホームページ



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