第1部 犯罪被害者等のための施策と進捗状況

第2章 犯罪被害者等のための具体的施策



2 安全の確保(基本法第15条関係)

○ 証拠開示の際に証人等の住居等が関係者に知られることがないよう求める制度について、また、性犯罪の被害者等について公開の法廷では仮名を用いる運用がなされていることについて、平成18年1月、最高検察庁から各高等検察庁及び各地方検察庁あてに、留意事項を通知しているほか、会議や研修などの様々な機会を通じ、検察の現場へ周知徹底。

○ 住民基本台帳の閲覧制度について、個人情報保護に十分留意した制度として再構築するための「住民基本台帳法の一部を改正する法律」が平成18年6月9日に可決・成立、同年6月15日に公布。現在、施行に向けて準備中。

○ 配偶者等からの暴力被害者等が入所する婦人保護施設及び母子生活支援施設における支援の充実を図るため、夜間警備体制の強化や心理療法担当職員を配置する等適切なケア体制の充実に加え、平成18年度からは母子生活支援施設に配置される心理療法担当職員の常勤化について予算措置。

○ 再被害防止要綱の徹底のため、再被害防止の指定状況や再被害指定事件に係る刑事施設との連絡状況等について、定期に報告を求めることによって状況の把握に努め、制度の周知徹底を図ることとし、再被害防止のための各規定に報告要領を盛り込み、改正を行う予定。

○ 保釈に関しての犯罪被害者等に対する安全への配慮の充実について、平成18年1月、最高検察庁から各高等検察庁及び各地方検察庁あてに、適切な対応が行われるよう留意事項を通知しているほか、会議や研修等の様々な機会を通じ、検察の現場へ周知徹底。

○ 非行や犯罪被害等個々の少年の抱える問題行動に応じた的確な対応を行うため編成される少年サポートチームの効果的な運用を図るため、警察庁と文部科学省が合同で、全国6か所において、都道府県警察や関係機関・団体の実務担当者等に対する研修を実施。また、「『犯罪から子どもを守るための対策に関する関係省庁連絡会議』決定に係る各種対策の推進について」(平成17年12月)、「スクールサポーター制度の拡充について」(平成18年1月)を発出し、子どもを非行や犯罪被害から守る施策の一環としてスクールサポーター制度の拡充を図ることを都道府県警察に指示。

○ 「児童生徒の問題行動等への対応の在り方に関する再点検について」(平成17年6月児童生徒課長通知)において、学校と警察の連携体制の確保、教育委員会等との緊密な連絡等、学校と学外の諸機関との連携・連絡体制の再点検をするよう通知するとともに、「要保護児童対策地域協議会設置・運営指針について」(平成17年2月25日)を、各都道府県・指定都市教育委員会等に通知し、虐待を受けている子どもを始めとする要保護児童の適切な保護を図るための関係機関との適切な連携について周知。

○ 平成17年度以降、児童虐待又は被害少年対策に関する業務を担当する警察官等に対し、少年保護対策に関する専科教育を実施。また、平成17年3月、「児童福祉法の一部を改正する法律の施行について」を発出し、要保護児童対策地域協議会への積極的参加による関係機関と連携した児童虐待への取組の推進について、都道府県警察へ指示。

○ 学校等における児童虐待防止に関する現状調査と国内外の取組事例を調査研究し、平成18年5月、「学校等における児童虐待防止に向けた取組について」を公表。本報告書を教育委員会等に周知する際に、通告義務などの虐待防止法等の趣旨の周知徹底、学校等における児童虐待防止のための取組が一層適切に推進されるような指導について通知。

○ 「児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会」において、児童虐待の防止等のために必要な事項について全国の事例を専門的かつ多角的な角度から検証し、その検証結果の第1次報告を平成17年4月に、第2次報告「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について」を平成18年3月30日に公表。

○ 刑事施設、少年院双方において、平成16年度に開催した「被害者の視点を取り入れた教育」研究会における提言等を踏まえて策定した標準プログラムに基づき、被害者感情理解用オリジナルビデオ教材等を活用した指導を実施。平成17年度末に「被害者の視点を取り入れた教育」研究会のフォローアップ報告会を開催し、これまでの取組について検証。平成18年度においては、犯罪被害者等や支援団体の方々から直接話を伺うゲストスピーカー制度を拡大するなど、同教育の充実に努めており、刑事施設においては、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の施行(平成18年5月24日)に伴い、必要な者には被害者の視点を取り入れた教育を義務付け。

○ 各保護観察所において実施しているしょく罪指導について、平成18年3月までに、その実績に関する情報を収集して指導の在り方について検討を進めたところであり、執行猶予者保護観察法一部改正法の施行後は、ストーカー事犯者、性犯罪事犯者等の保護観察付執行猶予者に対して、被害者等への接近を禁止する特別遵守事項を設定して指導を強化。さらに、遅くとも平成18年中を目途に、標準的な指導プログラムを策定する予定。

○ 性犯罪等の被害者について、一定の場合に、《1》起訴状朗読の際、被害者の氏名等を朗読しないこととするなど、公開の法廷において被害者の氏名等を明らかにしないようにする制度、《2》検察官又は弁護人が、証拠開示の際に、相手方に対して、被害者の氏名等が関係者に知られないようにすることを求めることができる制度の導入に向けて、被害者団体等からのヒアリングの実施等、積極的に検討中。平成18年9月6日、法務大臣より法制審議会に対し、法整備に関する諮問。

○ 婦人相談所による一時保護の現状や、配偶者からの暴力被害者及び人身取引被害者の一時保護委託先である民間シェルター等における一時保護委託の状況に関する調査を行い、現在集計中。

○ 医療施設における児童虐待や配偶者等からの暴力(DV)の早期発見のための取組を促進するため、関連法律の周知徹底等の施策を検討中。

○ 「子ども・子育て応援プラン」(平成16年12月24日少子化社会対策会議決定)に掲げる、虐待を受けた子どもと非行児童との混合処遇を改善すること等の個別対応できる一時保護所の環境改善について、平成18年4月1日現在、17県・指定都市において実施済み。



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