第4章 支援等のための体制整備への取組
1 相談及び情報の提供等(基本法第11条関係)
トピックス 被害者担当保護司の座談会について
被害者担当保護司とは、保護観察事件等は担当せず、被害者等施策に係る保護観察官の事務を補助する役割を担う保護司であり、被害者等からの相談対応、意見等聴取制度や心情等聴取・伝達制度で被害者等がお気持ちを述べる際の同席等を行っています。
今般、現被害者担当保護司3名、元被害者担当保護司1名の計4名に御自身の経験や思いを話していただきました。
※ 全国の保護観察所では、被害者担当保護司男女1名以上が指名されています。
― どういったいきさつで被害者担当保護司になったのでしょうか。
A保護司:
元々加害者担当保護司を16年していたのですが、被害者が取り残されているのではと疑問を感じていました。その中で被害者担当保護司の存在を知り、希望しました。
B保護司:
私は平成23年に保護司になってから今に至るまで、ずっと被害者担当保護司をしています。元々被害者学を学んでいたところ、実際の支援についても知りたいと思っていた中で被害者担当保護司の存在を知り、希望しました。
C保護司:
加害者担当の保護司となって10年が過ぎたところ、加害者の中には身勝手で、被害者への謝罪の気持ちを持たない人が多くいることに気付きました。そして、被害者の現状や気持ちを学び、加害者に理解させなければ、加害者が真に更生することはできない、そのように加害者を更生させられる保護司になりたいと思い、被害者支援センターで被害者のことを学びました。その後被害者担当保護司として活動しましたが、現在は加害者担当の保護司に戻っています。
D保護司:
加害者担当の経験はなく、被害者担当の保護司としてずっと活動しています。元々被害者支援センターで活動していたのですが、前任の被害者担当保護司の交代のタイミングで声を掛けていただきました。加害者と被害者の両方について学びたいという気持ちがあり、引き受けました。
― 加害者担当保護司と異なり、被害者と接する際にどのようなことを心掛けていますか。
A保護司:
加害者の場合は、守るべき事項などがはっきりしていて、比較的しっかりとした枠組みの中で活動していると思います。被害者の場合は、御相談をお受けするという立場になるので、相手の状況に合わせて柔軟に対応を変える必要がありますし、リラックスしてもらう必要があります。これは加害者への対応とも共通する部分はありますが、被害者への対応にはより一層のスキルが必要だと感じます。
C保護司:
被害者支援にはスキルが必要だと思いますし、実際、被害者支援センターでは毎月研修会があり、定期的にロールプレイが開催されています。被害者によって状況は全く違いますし、被害者が感じている悲しみの全てを理解することはできないですが、気持ちに寄り添いつつ、少しでも前向きになってほしいと思いながら対応しています。
B保護司:
被害者には感情をそのまま表現してもらえるよう、被害者の気持ちや状況を想像し、自分の価値観を押しつけず、被害者の気持ちを受け止め、見守るよう努めています。被害者担当保護司は良い聴き手であることが大切だと思います。
D保護司:
保護観察所に行くことにプレッシャーを感じる被害者は多いので、被害者の警戒や緊張が和らぐような雰囲気作りに努めています。思いを言葉で吐き出してもらえるよう心掛けています。
― 被害者によって必要な対応が異なるとお話がありましたが、どのような違いがあるのでしょうか。
D保護司:
同じ御遺族であっても、亡くなった方が自分のこどもか、親族かによってお気持ちは変わってきます。被害者によっては、亡くなった方がまだ生きているようにお話される場合もありますので、そのままのお気持ちを受け止めるよう心掛けています。
B保護司:
同じ事件でも、被害者ごとに悲しみの濃淡があります。被害者はもやもやした感情を抱えたまま消化できずにいることが多いですが、色々な機関が支援していくことで消化されていくケースもあると感じます。また、保護観察所で話すことで孤独が和らぐ方もいるように思います。
― 財産的被害を受けた被害者にどのように接していますか。
B保護司:
財産的被害の場合でも、心情等聴取・伝達制度であれば利用することができます。実際に被害者のお話を聴いていると、殺人や性犯罪の場合と変わらず深い悲しみを抱えていると思うのですが、必要な支援を受けてきていないと感じます。そのため、保護観察所が、被害者御自身のお気持ちを話せる貴重な場所となれる可能性はあると思います。
D保護司:
そうですね。被害者の方には更生保護の被害者施策についてもっと知ってほしいです。制度を通して誰にも言えなかった本音を吐き出すことができると思っています。
― 職員とは異なる存在である被害者担当保護司としてできることとはなんでしょうか。
A保護司:
普通に接して、じっくり話を聞くことだと思います。お話を聞いているときは表情も場面に合わせたものになるよう、気をつけています。
C保護司:
被害者の方が心情等聴取・伝達制度を利用される際、被害者の発言を文書でまとめるのですが、文書の表現ぶりについては、被害者、被害者担当官及び被害者担当保護司の三者で相談して決めています。また、被害者担当官が文書をまとめている間、空気が重くならないよう、また被害者が言い残したことがないよう、被害者に声を掛けるようにしていました。更生保護の心情等聴取・伝達制度は加害者への思いを最後に話せるチャンスで、とても良い制度だと思っています。
― 心情等聴取・伝達制度の果たす役割についてどんな感想をお持ちですか。利用することでかえって被害者が傷つくこともあると思いますが。
B保護司:
心情等聴取・伝達制度を利用しても、被害者の期待どおりの結果にならないことの方が多いです。しかし、来て良かった、誰にも言えなかったことを言えたとおっしゃる被害者は多いです。
C保護司:
制度を利用する前にあらかじめ「加害者から思ったような回答が得られないかもしれませんが、まずはお気持ちを伝えてみてはいかがでしょうか。」と声を掛けるなど、被害者に制度利用のメリット・デメリットを正確にお伝えした上で、被害者の意思に寄り添い、フォローすることが大切だと思っています。
― 心情等聴取・伝達制度を含む、更生保護における被害者施策の利用を迷っている方に一言お願いします。
A保護司:
私は更生保護における被害者施策は、被害者が加害者に気持ちを伝えることのできる数少ない手段として、意義のある制度だと思っています。ただ、被害者のすべての希望がかなうわけではありませんので、そこは丁寧に説明をしていく必要はあると思っています。
B保護司:
被害者が行動を起こすことの大変さはとても理解しています。ただ、もし制度の利用を悩んでいるなら、まずは電話をしてほしいです。希望の全てはかなわないかもしれませんが、できるだけ御希望に沿えるよう尽力します。
C保護司:
まずは被害者等通知制度を利用いただきたいです。被害者等通知制度では知りたい情報は得られないかもしれないですが、利用することで意見等聴取制度や心情等聴取・伝達制度につながりやすくなります。せっかく制度があるので、知らずに過ごしてしまうのはもったいないのでは、と思います。
D保護司:
制度が気になる方は、まずは被害者専用ダイヤルからお問い合わせいただき、御説明を受けていただきたいです。