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第4章 支援等のための体制整備への取組

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1 相談及び情報の提供等(基本法第11条関係)

トピックス 広島県犯罪被害者等支援条例の制定について

広島県環境県民局県民活動課

広島県における刑法犯認知件数のうち凶悪犯・粗暴犯の数は、依然として1,100件を超えており、県民の誰もが予期せぬ重大な犯罪に巻き込まれ、犯罪被害者等となる可能性がある。

県では、総合計画に「犯罪被害者等への支援」を位置付け、施策を推進してきたところ、犯罪被害者等支援の窓口には、被害による心身の不調、経済的負担の増加、訴訟対応などの様々な相談が寄せられている。さらに、自ら被害を訴えることが困難で、支援が十分に行き届いていない犯罪被害者等も少なくないと考えられる。

こうした状況を踏まえ、犯罪被害者等支援を総合的かつ計画的に推進し、もって犯罪被害者等が平穏な生活を営むことができる社会を実現するため、令和4年3月に「広島県犯罪被害者等支援条例」(以下「条例」という。)を公布し、同年4月に施行した。

条例では、犯罪被害者等支援の基本理念を定め、県の責務及び県民・事業者・民間支援団体の役割を明確化している。また、犯罪被害者等支援の推進について、関係機関による総合的な支援体制を整備すること、犯罪被害者等支援に関する県の取組方針を策定すること等を定めている。

さらに、県の基本的施策として、「相談、情報の提供等」、「損害賠償の請求についての援助等」といった基本法に対応した施策を掲げるとともに、県独自の条項として、「被害が潜在化しやすい犯罪被害者等に対する支援」及び「重大事案における支援」を定めている。

県独自の条項の内容について、「被害が潜在化しやすい犯罪被害者等に対する支援」には、子供や性犯罪・性暴力被害者等、自ら被害を訴えることが困難なため被害が潜在化しやすい犯罪被害者等が、犯罪被害者等支援を受けることができるようにするため、啓発や環境整備等を実施すること、「重大事案における支援」には、死傷者多数に上る事案が発生した場合においても、必要な犯罪被害者等支援を実施できるよう、関係機関による支援体制を整備することを盛り込んでいる。

また、県は、条例の規定に基づき、4年3月に「犯罪被害者等支援に関する取組方針」(以下「取組方針」という。)を策定し、県の犯罪被害者等支援に関する基本的な考え方、施策の方向、施策を推進するために必要な事項等を定めている。

取組方針では、犯罪被害者等が平穏な生活を営むために必要となる要素である「被害の軽減・回復に向けた支援」、「必要な支援にアクセスしやすい環境」、「社会全体の理解・支援基盤」を踏まえ、条例に基づく施策を整理し、施策体系としている。

施策の方向としては、既存の犯罪被害者等支援に関する施策に加え、条例制定を契機に新たに実施する施策についても整理している。具体的には、二次被害の防止・軽減に必要な費用の負担軽減に向けた支援、医療・福祉に関する制度を含む必要な支援制度に関する相談窓口での情報提供、子供・行政職員等に対する子供の性犯罪・性暴力被害に関する啓発等を実施することとしている。

4年度以降は、条例及び取組方針に基づき、犯罪被害者等支援を充実させ、必要な支援を途切れることなく提供することができる体制を構築するとともに、社会全体の理解と配慮を促進し、犯罪被害者等が平穏な生活を営むことができる社会を早期に実現していく。

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