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第4章 支援等のための体制整備への取組

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2 民間の団体に対する援助(基本法第22条関係)

トピックス 民間被害者支援団体における犯罪被害者等支援

犯罪被害者等支援に当たっては、個々の犯罪被害者等が抱える様々な事情等に即し、警察等の関係機関・団体等と連携しながらきめ細かな対応を中長期的に行う民間被害者支援団体の存在が不可欠である。

これらの民間被害者支援団体における特徴的な取組及び支援者の手記を紹介する。

■飲酒運転根絶 新商品「飲んだら乗るな」

益社団法人 ひょうご被害者支援センター

兵庫県加西市中の町にある酒造が、加西警察署の要請に応じて「飲んだら乗るな」(限定100本)を新商品として発売しました。「飲んだら乗るな」は加西市産の山田錦を使用した純米吟醸酒。同酒造の直販店やオンラインショップで販売されました。この商品の販売は飲酒運転根絶キャンペーン協力の一環として行われ、売上げの一部を公益社団法人ひょうご被害者支援センターに寄付いただきました。

飲酒運転根絶 新商品「飲んだら乗るな」

■オンラインによるリモートカウンセリングの実施

公益社団法人 被害者支援都民センター

公益社団法人被害者支援都民センターでは、Zoomを使ったリモートカウンセリングを実施しています。新型コロナウイルス感染症の流行により行動制限がある中、相談者の方と支援者が対面できない場合でも、実際にお顔を拝見して相談に乗ることができるのが、リモートカウンセリングの利点です。

オンラインによるカウンセリングを取り入れることで、これまで全く方策がなく、電話をかけるという支援の提供しかできなかったのが、ご自宅から外出が困難な場合、また、事情により東京都を離れ遠隔地に居住することになった場合でも、心理的支援の提供を実施できるようになりました。

オンラインによるリモートカウンセリングの実施

■幼児期の性暴力から子どもたちを守る 「おしえて!くもくん」オリジナル動画

公益社団法人 にいがた被害者支援センター

公益社団法人にいがた被害者支援センターでは、「すべての子どもたちに、自分の大切な心と体の守り方や必要な知識を伝えたい、必要な知識を身につけてほしい」という思いから、著者及び出版社から承諾を得て、絵本「おしえて!くもくん」の読み聞かせ動画を制作しました。子どもたちの心と体、そしてその後の長い人生を脅かす性暴力や性虐待。性被害にあった人の1割は「小学生」で、男の子の被害も少なくありません。また、知らないうちに子ども自身が加害者になっているケースもあるのです。動画には「被害者」、「加害者」、「目撃者」が登場します。性被害を受けている/与えている認識が薄く、また周囲にSOSを出す力が弱い子どもたちとプライベートゾーンについて語り合うきっかけとして、この動画をぜひ様々な場でご活用下さい(動画は学校版と家庭版があります)。

「おしえて!くもくん」

■支援者の手記 「支援するということ」

公益社団法人 いばらき被害者支援センター
横須賀美和子

《偕楽園》 民と偕(とも)に楽しむ場。

その名のとおり、春に魁て咲く花を愛で、香を感じ、緑を仰ぐ。後の実は、軍事の際の食糧として確保したといいます。今世間で話題となっている、烈公こと徳川斉昭が植樹したという偕楽園の梅の木のお話です。

太平洋に面した南北約190キロに渡る海岸線中央から、10キロほどの内陸の県庁所在地・水戸市に、私の所属する「いばらき被害者支援センター」はあります。

平成7年に「水戸被害者援助センター」として設立して以来、25年の流れの中で、法人化され、犯罪被害者等早期援助団体としての指定を受け、現在では、公益社団法人としての認定とともに、性暴力に特化した「性暴力被害者サポートネットワーク茨城」の相談電話を併設し運営しております。

その間には、東日本大震災、鬼怒川決壊による水害被害、令和元年東日本台風の豪雨と避ける事の出来ないうねりの中、センターとして出来る範囲での業務を続けて参りました。

一昨年からは、日本だけでなく世界中の平常な日々が奪われてしまった未曾有のコロナ禍。未知のものとの対峙は、不安と疑心と憶測だけが飛び交い、正常な判断を致しかねる状態をも招きました。

我がセンターではその間、地震や台風被害による交通手段の断絶、感染回避での対面での対応不可等、支援に関わるあらゆる面での不自由さを強いられたのも事実でした。そこに加え、センターの引越しという大きな転機の中、人員不足や財源不足という慢性的な問題を抱えながらも、センター支援員同士が、お互いの生活の事情を気遣いながら、依頼人にとって、“何が一番の支えになるか?”“何を必要としているのであろうか?”を皆で考え、その時々で対応出来得る事を続けてきたと感じています。

しかし、幾度重ねた支援でも、その後には、『果たして被害に遭った方に最善の支援となったのであろうか?』、『あの時掛けた言葉に、失礼はなかったであろうか?』、『あの時の気遣いは、相手にとって必要とされている事だったのだろうか?』と毎回思いあぐねるのです。

言葉掛けひとつにしても、被害者の感じ方や受け取り方は、その時々の心の機微で揺れ動く時もあるのも事実です。それ故、予想だにしない事も起きうるという事を常に心して活動を続けて来たように憶い(おもい)ます。

図らずも長い間支援に携わらせて頂けた中で、私が念う(おもう)支援するという事は、発した言葉や行動の先には、相手の感情があるという事実を常に認識し、それらに責任を持って接してく事、そして、相手の立場に立って、必要とする支援を考え続けていく事ではないのかと、未だ応えが出るわけもなく、自問自答し続けていく事なのであろうと思うのです。

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