民間団体への援助に関する検討会(第8回)概要
日時: | 平成19年2月9日(金)15時01分~17時09分 |
場所: | 中央合同庁舎第4号館共用第4特別会議室 |
出席者: |
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座長 | 冨田 信穂 | 常磐大学大学院被害者学研究科教授 |
中島 聡美 | 国立精神・神経センター精神保健研究所 成人精神保健部犯罪被害者等支援研究室長 |
林 良平 | 全国犯罪被害者の会幹事 |
番 敦子 | 弁護士 |
荒木 二郎 | 内閣府犯罪被害者等施策推進室長 |
小田部耕治 | 警察庁給与厚生課犯罪被害者対策室長 |
生嶋 文昭 | 総務省自治行政局自治政策課長 |
辻 裕教 | 法務省刑事局参事官 |
北村 彰 | 厚生労働省社会保障担当参事官 |
(議事概要)
○国による民間団体への援助の在り方について検討が行われた。主な意見等は、以下のとおり。
<財政的援助以外の援助>
- 民間の団体への支援の充実(基本計画 第4. 3(2))において、事務所等の提供というのが読み込めないのではないか。この検討会で事務所の提供についての協力を地方公共団体に強く呼びかけるとか、何らかの提言的なものを取り入れた方がよいのではないか。
- 地方公共団体自体は自立した行政主体で、地方分権の中で自主決定していくので、義務を課すということではなくて、呼びかけとして要請という形で今後やっていくことになると思う。
- 支援のための連携に関する検討会で標準的な研修プログラムの作成、周知というのが出ている。これは非常に重要なもので、今後さらに同検討会で検討されることであるが、これが進められることを期待したい。
- 支援のための連携に関する検討会でも、支援者に対する研修が非常に重要だということが出てきており、研修に対してどのようにサポートするかということが、本検討会の課題になるのではないか。
- 講師派遣等についての情報を積極的に民間団体等に提供したらよいのではないか。
<援助の経路及び財源>
1.援助を拡充する方向性について
- 民間団体への援助の充実を図っていくのであれば、警察だけでなくて、警察以外の国の関係機関、都道府県・市町村、あるいは民間自身が寄付金をもっと募っていく。いろいろなやり方があると思うが、それぞれの立場で支援の充実に向けて努力していくということが必要ではないか。
- (現状の制度では地方公共団体で予算化しない限り措置されないのではとの指摘に対し)地方公共団体でも行革が進められる中、限られた財源を使っているので、地方公共団体側で相応の理解がなければ、施策は進まない。総務省だけではなく関係省庁の協力を得て、政府を挙げて地方公共団体に働きかける必要がある。
- 一般財源からの支出である場合、従来のように国と地方公共団体がということになると、支援に当たって国としては大まかなガイドラインは設置するが、細かい審査基準は地方公共団体にゆだねるというような形になるのだろう。そうすると、国が非常に負担をかけて団体の審査ということは余り必要でなくなると思う。しかし、デメリットとして、地方公共団体の努力が要るので、非常に経営困難な地方公共団体でこれに積極的に手を挙げてもらえるかどうかというところに、やはり不安がどうしても残ってしまう。例えば、これは可能なことかどうかよくわからないが、地方公共団体の負担を減らすような形で国の補助を増やすということで、少しでも地方公共団体のメリットというか、努力をサポートするような形になってくると思う。
- 国による財政援助ではないが、市町村などから負担金や分担金ということで、かなり財政援助を受けているという例がいくつかある。この制度も有効な方法だと思う。
- 今までのような警察ルートでの援助、とてもよくやっていただいている。これ以上警察を通じた援助を厚くする方向で考えるのはまずいのではないか。
- 警察による援助の限界がどこまでで、今後早期援助団体の指定を目指す上で足りない部分があって、そこは警察ができない部分だとした場合、それをどこから出すのかということになってくると思う。例えば、経済的支援に関する検討会で出てくるカウンセリングについては、警察の方の委嘱という形での援助の仕方は難しいのではないか。
- 初期支援的な対応のカウンセリングはすでに警察でも行っているが、中長期な対応となると別の行政分野であり、警察で援助していくのはなかなか難しい。
- 警察でやられていることを警察がそのままやるのか、あるいはそれを引き継いで、どこかへその内容を持ってくる。警察はもっとさらに別の発展形を考えていただくというのがあると思うが、統合してもっと大きな支援を行えるようなお金の出し方というと、イメージでは、やはり地方公共団体できちんと窓口があって、それは一般財源からきちんとおりてくるというようなことがあるのかと思う。
- 現状では早期援助団体が活動の中心となっているので、早期援助団体及び同団体の指定を目指す団体への援助が現実的ではないかと思う。早期援助団体以外の団体については、具体的な援助のニーズが明確になった段階で、個々のプログラムに対し援助という形もあり得るのではないか。
2.基金構想について
- 一般論でしかいえないが基金が一体どういう業務をやるのか。その業務の内容どういう団体がやるか、どういう業務に対し援助しようとするのかという、その辺の具体的な中身がどういうものなのか、基金という形態をとるということは、財源を何に求めるのか。いろいろなアイデアが出ているようだが、財源をどこに求めて、どこがそういう形で財源を確保してくるのか。その辺のところが具体的にならないと、基金がどうというのは一概に論じられないのではないか。
- 公的な資金を入れて基金を造成するのであれば、既存の援助との役割分担も議論する必要があるのではないか。
- 一般財源と基金の二本立てでいくということで、一般財源からはある程度限定されたプログラム、地方公共団体としてここまではできるという形のものについての支援をするとともに、民間の基金を立ち上げることによって、なかなか国として積極的に援助するのが難しいものについて柔軟性をもって援助するやり方があると思う。そうすると、今度は事務費が2倍かかるということになるのかなと思い、財源をどこにするかでかなり影響があるのではないか。
- 全国被害者支援ネットワーク(以下「全国ネット」という。)の提案で、基金があり、その基金を統括する新機構があるという形である。基金から財政援助を受けて全国ネットはその加盟団体に財政援助をし、それ以外の加盟団体も基金からというような流れは比較的わかりやすいと思う。
- 基金のようなものを立ち上げた場合、民間の寄附を受けられるというメリットはあるが、全国からの申請を受け付け、活動報告を求め、審査することになるので、かなり大規模な事務が必要になると思う。一方、各地方公共団体の格差が消えること、支援するプログラムに対する援助の柔軟性は基金の方が高いと思う。
- 基金のイメージとしては、米国のOVCを考えている。地方公共団体の財政状況や民間団体の現状では、こちらの方がよいのかなという印象をもっているが、財源をどこからもってくるかで決まってくるのではないか。
- 全国ネットが基金の受け皿組織になる場合には、全国ネット非加盟団体にとってアクセスする窓口が減ってしまうというデメリットがある。また、将来的な問題だと思うが、それだけのお金を任されるということになると、全国ネットが相当法人格をきちんと持っていないと難しい。
3.財源について
- 3月に解散される予定の(財)法律扶助協会に充てられていた贖罪寄付をどうするかということが現在、議論されている。1つの受け皿をつくっておけば、今後は被害者支援に係る財源として大きな可能性があるかなと思う。
- 経済的支援に関する検討会でも、財源について、いろいろ罰金、追徴金などはどうかとか、有罪判決を受けた者から一定の金額を徴収するとか、保険的なものというフランス的な発想もあるのかなと思う。ある程度金額がわかるもの、毎年確実に入ってくるものをベースにした上で、あとは広く、やはり寄付とかを求められるような開いた形にしておくというのがよいのではないか。
○座長私案「民間団体による犯罪被害者等支援の在り方、被援助団体及び援助の対象となる事務の範囲」について座長から説明が行われた。主な意見等は、以下のとおり。
- 今までの議論の部分で、支援の経路の問題であるとか財源の問題についてはここでは触れていない。これからの議論を踏まえて、それを含めて、それをパブコメ等の対象にするということである。
- 座長私案については、本当に今までの議論を非常によくまとめていただいた。
- 検討していかなければならない一番大きなことは、財源がどこから出るかということもあるが、どういう支援に対してどのような形で補助をするか、一番最たる問題は、全国ネット及び早期援助団体と他の民間団体を分けて支援をするような形にするのかということと、何に対して支援をするのかという、この2点なのかなと思う。
○ その他
次回の民間団体への援助に関する検討会は、平成19年3月12日開催予定。
(以上)