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犯罪被害者等施策
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支援のための連携に関する検討会及び民間団体への援助に関する検討会
第6回合同会議 議事要旨

日時:平成18年11月2日(木)15:00~17:30
場所:合同庁舎4号館4階共用第2特別会議室
出席者:
〔支援のための連携に関する検討会〕
座長長井 進常磐大学大学院被害者学研究科教授
奥村 正雄同志社大学大学院司法研究科教授
本村 洋全国犯罪被害者の会幹事
山上 皓東京医科歯科大学難治疾患研究所教授
荒木 二郎内閣府犯罪被害者等施策推進室長
小田部耕治警察庁給与厚生課犯罪被害者対策室長
代理荻野 剛総務省自治行政局自治政策課理事官
井上 宏法務省大臣官房司法法制部司法法制課長
木岡 保雅文部科学省初等中等教育局児童生徒課長
北村 彰厚生労働省参事官(社会保障担当参事官室長併任)
依田 晶男国土交通省住宅局住宅政策課長
〔民間団体への援助に関する検討会〕
座長冨田 信穂常磐大学大学院被害者学研究科教授
林 良平全国犯罪被害者の会幹事
番 敦子弁護士
荒木 二郎内閣府犯罪被害者等施策推進室長
小田部耕治警察庁給与厚生課犯罪被害者対策室長
代理荻野 剛総務省自治行政局自治政策課理事官
井上 宏法務省大臣官房司法法制部司法法制課長
依田 晶男国土交通省住宅局住宅政策課長

(議事次第)


1.開会

2.海外調査の結果について

3.連携調査の結果について(中間とりまとめ)

4.連携の現状と問題点について

5.民間団体の現状と問題点等について

6.自由討議

7.その他

8.閉会


(配布資料)

資料1海外調査関係資料
 資料1-1米国での現地調査における聴取結果概要[PDF形式:17KB]
 資料1-2欧州での現地調査における聴取結果概要[PDF形式:24KB]
資料2連携調査結果(中間とりまとめ) [1][PDF形式:21KB] [2][PDF形式:311KB] [3][PDF形式:351KB]
資料3連携の現状と問題点[PDF形式:29KB]
資料4民間団体の現状と問題点等[PDF形式:32KB]


(議事内容)

1.海外調査の結果について
 ヨーロッパ(イギリス・フランス・ドイツ)及びアメリカでの調査結果の概要について報告がなされ、質疑応答が行われた。
 詳細な報告は入手資料の翻訳作業終了後に行うこととされた。

○説明者 資料の1-1に基づき、アメリカ合衆国での現地調査において聴取した結果について、概要を報告する。
 訪問先は、連邦レベルでは、司法省司法プログラム局犯罪被害者対策室(OVC)、全米被害者支援機構(NOVA)、ニューヨーク州においては、犯罪被害者補償と各種の被害者支援プログラムを担当しているCVB、ニーヨークの民間の被害者支援団体で、全米でも最も大きいものの1つで、罪種を限らず被害者支援で様々なプログラムを運営している、SAFE HORIZONを訪問した。
 連邦のOVCの果たしている役割が非常に大きいと言える。合衆国には、被害者支援団体の全部をカバーする民間団体がない。また、州においても制度が違う。その中で各種のモデルになるような政策を開発したり、あるいはその展開を図ることなどでリードしているのがOVCである。
 具体的には、連携を確保する取り組みとしては、シンポジウムの開催で、司法省、国務省、国土安全保障省といった連邦機関の関係者が参加しているものがある。
 研修システムについては、全米被害者支援アカデミー(NVAA)が、4大学の協力を得て1995年に設立され、基礎レベルカリキュラム等を行っており、主として各州の検察事務官事務所に付随している被害者支援プログラムの人が多く参加している。
 また、もう1つOVCが担当している州立被害者支援アカデミー(SVAA)が、各州固有の特徴やニーズを踏まえた基礎レベルの教育を提供している。2010年までに全州でできるのではないかと言われている。
 支援者の水準を確保する方策としては、全米被害者支援基準協会(NVASC)が、支援団体が満たすべき倫理基準等を列記したガイドラインを作成している。
 研修プログラムとしては、OVCが民間団体に委託して、支援を行う機関・団体が使用できる標準的な研修プログラムを作成している。
 また、NOVAにおいて、比較的新しい試みとして、2003年から被害者支援担当者の認証制度により、各支援団体からの申請に基づき支援者をレベル別に認定するということが行われている。まだ完全に定着しているとは言えないが、NOVAとしてはかなり力を入れている。
 情報共有システムについては、全米レベルの全米自動被害者情報通知システム(VNS)により、連邦法違反の犯罪について、当該事件についての情報にアクセスすることが可能になっている。州レベルでは、民間の会社が作成したソフトを基にシステムが構築されてVNSと同種の情報提供システム、VINEと呼ばれる制度が動いている。ニューヨーク州でも動いているが、他の州でもかなり採用されている。なお、SAFE HORIZONにおいては、効率的な被害者支援ができるような調整システムとして、ケースマネジメントシステムと呼ばれるものがある。
 次に、民間団体への援助に関する検討会関係のうち、民間団体への財政援助については、OVCで詳細なガイドラインを定めていて、連邦の犯罪被害者基金のかなりの額が、民間団体への支援活動への援助に使われ、その援助を受ける団体の満たすべき基準が定められている。これは犯罪被害者法(VOCA)が基になっている。まずノンプロフィットの団体であること、犯罪被害者に効果的なサービスを提供していること、地域社会における犯罪被害者支援の取り組みを奨励すること、州政府が設定した需給資格またはサービス基準に従うこと、州の犯罪被害者と同基準のサービスを連邦犯罪被害者にも提供すること、犯罪被害者に関する情報の機密を保持することなどの基準が定められている。
 アメリカでは、団体の運営費ではなく、その実施するプログラムに対して援助が行われており、基本的には競争的な資金として提供されて、各支援団体が州を通じて応募している。州レベルでは、プログラムのそれぞれの目標が何であるのか、どんな支援をしたのか、その効率性がどうであるのかなどの評価を行い、各支援団体はそれを提出する義務を負っている。
 財源については、連邦においては犯罪被害者基金があり、基金の財源は連邦犯罪に係る罰金や没収された財産となっている。州レベルでは、州にも基金があり、各民間団体に補助していて、その州の基金の6割は連邦の補助金(犯罪被害者基金)からなっている。残りの4割については、ニューヨーク州の場合にはニューヨーク州法違反の犯罪の罰金や追加の課徴金、交通違反、刑務作業に係る収益などが使われている。各州では様々な工夫がなされている。
 民間団体に対する財政的援助以外の援助については、1998年に設立されたOVCのトレーニングアンドテクニカルアシスタンスセンター(TTAC)において、研修や技術的な支援活動を普及させるための活動をしており、州における被害者支援の水準を高めるための活動を連邦が行っている。
○説明者 経済的支援に関する検討会関係、支援のための連携に関する検討会関係、民間団体の援助に関する検討会の3点について、6月の合同会議でそれぞれご報告のあった知見を基にして、さらにわからない点、新たな情報を求めて訪問した。
 イギリスにおいては、内務省とビクティムサポート(VS)というイギリス全国の犯罪被害者支援団体の本部を訪れた。
 イギリス、フランス、ドイツもそうであるが、支援のための連携に関する検討会で問題となっているシームレスな支援体制については、各国とも大きな課題であって、始めるべきだという段階に入ったにすぎない状況である。
 パイロットスキームの実施については、昨年12月にグリーンペーパーが出され、継ぎ目のない支援を実施することで、ビクティムサポート(VS)もこの点については、継ぎ目のない支援が必要だとして内務省に訴えている。具体的な方策として、ビクティムケアユニットとウィットネスケアユニットの2つのパイロットスキームが動いている。証人ケアユニットについては、各裁判所の中に、主にクラウンコートに証人のケアユニットが設けられ、特に警察と検察が非常に結びついた支援をしていて、特に情報提供を中心に支援をしている。これについては既にかなり行われている。
 被害者ケアユニット、ビクティムケアユニットについては、まだ始まったばかりであり、これをビクティムサポート(VS)のようなボランティア組織がメインにリードするものにするのか、警察とボランティア組織を中心としたものにするのか、警察主導型のものにするのかなどの組織面についてもまだ確定していない模索段階である。
 刑事司法機関が警察とかビクティムサポート(VS)とか検察、裁判所、それから犯罪被害者保障委員会といった被害者にかかわる各刑事司法機関が連携して被害者支援に当たることについて、継ぎ目のないという点についてはまだこれからの課題である。
 刑事司法機関以外の連携については、ビクティムサポート(VS)ではボランティアが被害者等に専門家を紹介しているが、それがどうなっているかということのその後のフォローについては統一化されておらず、まだフォローされていない。また、日本でも犯罪被害直後に住宅の問題などが起こるが、地方行政機関との連携は組織化されていない。
 ボランティア・コーディネーターの育成については、ナショナルラーニングプログラムとして本部が様々な研修プログラムを立て、かなりレベルの高いトレーニングを行っている。犯罪類型に応じた被害者支援のプログラムがあり、犯罪被害の類型によって被害者の支援の仕方も異なり、共通項と異なる点があるため、その支援体制を充実させるためのトレーニングプログラムがある。イギリスのビクティムサポート(VS)は、かなり組織化された研修プログラムに基づいて支援を行っているとの印象を受ける。ボランティアは、基礎的な研修の後に各支部のマネージャーが個別面接して一定の水準に達しているかどうかを判断するといったチェック体制も行われている。資格認定についても全国職業水準といわれるものを遵守して研修を実施している。
 次に、民間団体への援助に関する検討会関係のうち、ビクティムズファンドの問題については、現在、犯罪収益の不当な収益のお金を基にして、特に性犯罪被害者に対する支援を行っている。ビクティムズファンドの中のサーチャージという、5ポンドから30ポンドを犯罪の被害者がないような薬物事犯などについてもこれを徴収する一種の犯罪者に対する税金としての刑罰賦課金については、ITのシステムが未整備のため、実際はサーチャージを原資とした支援体制はまだ行われていない。今は、犯罪収益から得たお金を400万ポンド、約9億円そこそこを財源としている。いずれはサーチャージを基に、性犯罪以外の犯罪被害の支援にも応用したいとしている。
 昨年度は、日本円にして約60億円ぐらいの財源に基づき、そのうち90数%は内務省が補助していることもあり、政府や警察とかなり密接な連携をとりながら支援活動を行う半ば準公的なビクティムサポート(VS)という組織に対して全面的な財政的援助を行っている。イギリスの場合はチャリティ財団、財団法人で社会的な貢献をしているところであれば、補助金を出せることになっている。そのような被害者支援組織はほかにもあるが、ビクティムサポート(VS)だけに多額の補助金を出していることについては、警察や政府の機関と非常に密接に連携して支援体制を行っていることから、あくまでもこれは内務省政府の政策として出しているとのことである。ただ、最近はビクティムサポート(VS)がきちんとした支援を本当に行っているのかどうか、特に会計監査院との関係で補助金が適正に使われているかどうかを監督するために、財政的援助の効果を検証する取り組みを開始し、貸借対照表とか支援サービスの必要性と費用対効果を分析するとともに、コンサルタントに分析評価の方法についてアドバイスをもらうプロジェクト委員会を立ち上げ、外部的なチェックをするようになっている。
 ビクティムサポート(VS)内部でも支援のクオリティについて評価、監視する仕組みができ、3年おきに検査官を現地派遣して地方の支部が全国水準、ナショナルスタンダーズを遵守しているかどうかという観点からリポートを作成し、これをファンディングパネルに提出するなり、あるいは行われないところは自己評価、自己点検を行っている。いずれにしても調査結果が悪い場合には見直し、行動計画の提出を地方支部に求めて見直し期間を設定するなどのチェック体制を構築している。検査官については、公募で採用しており、調査に赴く2人のうち1人は財務面を調査する能力を持つとのことである。
 ビクティムサポート(VS)の税制上の問題については、財団としての税制上の優遇措置を受けている以外は特にそれ以外の優遇措置はないとのことである。
 イギリスのビクティムサポート(VS)の場合は、警察と深く結びついて、警察から自動的又は重大な犯罪については被害者の同意を得た上で情報提供を受け、支援活動を行うという流れになっており、被害直後から裁判終了までの短期、中期、長期にわたる支援活動を行っている。
 次に、フランスにおいては、パリの司法省とINAVEMという全国被害者支援団体の本部を訪れた。
 支援のための連携の点については、関係各機関の連携を確保する仕組みとして、シームレスな支援体制というのがまだ課題であるが、INAVEMの加盟機関の多くが警察と協定を結んで交番に担当窓口を設置しており、INAVEMのパリ本部が加盟機関の間の連携を図っている。例えば、被害者がパリで事件に遭ってマルセイユに引っ越したような場合、パリで支援を受けることになるが、マルセイユに引っ越したらマルセイユにまた新たに申し込まなければいけないのかということになるが、パリとマルセイユの加盟機関の間で連絡体制がつくられているとのことである。また、集団事故、例えば、モンブランのケーブルカーの事故のように、被害者が地理的に分散している場合、被害者の氏名や住所のリストを基にINAVEMが地元の関係機関に対して支援を行うよう指示を出しているとのことである。モンブランのケーブルカー事故の場合は24時間体制で司法省の担当者が電話対応したと言われている。
 INAVEMにおける相談事業については、全国からいろいろな相談の電話がかかってくるが、司法省の民間委託事業という形で行っている。INAVEMの本部で集中的に電話を受け付け、データベース化された情報を基に関係機関やそれ以外の被害者支援にかかわる機関を紹介している。これらの機関とは定期的に情報交換を行うとともに、協定を締結したINAVEMから適切な橋渡しができるようにしており、現在50余りの協定を結んでいてさらに増加傾向にある。
 電話相談としては、適切な関係機関・団体の連絡先を教えたり、その内容を転送したり、ファックスをしたりして関係機関と連絡をとりやすいようにするなどのサービスをしている。電話対応では、すべて有給の相談員がいて、相談員と上級相談員とで対応していた。臨床心理とか法律関係、社会福祉関係の修士号を取得したレベルの人が多いということであった。法律関係でも弁護士とかの資格がないので、権利、手続についての情報提供がメインになるが、修士レベルの学位は持っているということでかなりのレベルの対応ができるということであった。
 財政的援助の問題については、INAVEMに対し国からお金が援助されているが、これは民間委託サービスとしている。フランスの考え方として、被害者支援というのは民間団体による方が好ましく、公共サービスについての一環としての被害者支援ということで、これを民間委託サービスとして位置づけているようである。このためには、控訴院と協定を締結している団体であることが条件で、約180団体あるようだが、そのうち168団体に司法省から財政的援助を実施している。そのうち148団体がINAVEMの加盟機関、残り20団体は市民と司法という、これは加害者に対する検察による取り調べから加害者が裁判に出頭するまでの間における監視を主な活動内容としている、市民と司法という団体が別にあるようで、ここにも支援を行っている。団体内の職業倫理とか組織体制がしっかりしており、控訴院のお墨付きを得た団体であれば認められる。
 INAVEM本部と加盟機関全体の予算が約3,000万ユーロ、約45億円。このうち900万ユーロ、約13.5億円が司法省からの補助金で行われている。補助金以外の援助については、税制上の寄附控除は、地方組織の各団体の規模が小さくて控除基準に満たないということで、実際には余り行われていない。寄附といったものも余りないので、寄附控除は余り行われていない。
 民間団体の支援団体、INAVEMの本部や各支部の評価・監視する仕組みについては、フランスでは年間15万ユーロ、約2,250万円以上の補助を受ける団体というのは控訴院と協定を締結するために毎年会計報告、活動とか会計に関するアンニュアルレポートを提出することが義務づけられている。控訴院にいる団体政策担当の司法官が評価・監視を担当しているという形をとっている。もしサービスの質などに問題があれば、司法官は改善策を講じるよう提言する。結局、司法官の認定評価が予算配分にも影響するという仕組みになっている。
 次に、ドイツにおいては、デュッセルドルフの援護庁と白い環(バイサーリング)の2ヶ所を訪れた。
 支援のための連携に関する問題については、シームレスな支援体制に関して、最終目標としては、被害者が気づかない間に支援が行われる体制を構築していくことが大事だということであった。まだそれはできていないが、現在は、女性開放運動団体とか保健所とか被害者支援を行っているボランティア団体とか病院とか悩み相談窓口、かなりのネットワークがあって活発に活動しており、関係機関の連絡先一覧を市町村ごとに発行している。現在は各機関がそれぞれ個別に行っている状況で、相互の連携がまだできておらず、組織化あるいは統一化されていない。また、関係機関の中でも特に専門性を持ったボランティアが必要だと言われた。
 マインツに本部があるドイツの全国的な被害者支援組織の白い環(バイサーリング)では、専門性を持った心理学的療法やソーシャルワーカー的な支援を直接行わず、病院や市町村レベルの相談所、民間シェルターなどのいわゆる専門機関に紹介する橋渡しの役割を担っている。ドイツの特徴として、専門機関における初回の相談費用として最高額150ユーロを提供している。また、法的な法律相談には150ユーロが必要であるが、初回について各支部長の裁量で給付するという事業を行っている。
 警察との情報提供のリンクの問題については、被害者情報を提供する仕組みはドイツでは制度化されていないが、警察が白い環の存在を被害者に知らせるということが義務づけられている。ただ、警察では、どの機関が適切に支援ができるかというのを検索できるようなビクティムズプログラムというコンピュータシステムを構築しており、白い環では本部に地方支部の活動情報が検索できるデータベースがある。
 民間団体への援助関係については、白い環の活動財源として3つあり、1つが寄附、寄附というのは遺言状による寄附と言われるものである。2つ目は、会費、1人30ユーロの会費。3つ目が罰金刑。寄附や会費というのはそれほど多額ではない。興味深いのは罰金刑で、ドイツでは罰金刑を区裁判所とか検察庁が徴収するシステムになっているが、罰金刑を使うという趣旨ではなく、罰金刑を被害者支援のために拠出させるという解釈をしている。アメリカとかイギリスその他の国々で行われているビクティムズファンドの場合は、あくまでも犯罪被害者支援のために一種の目的税のような形で犯罪者から徴収するが、ドイツの場合の罰金刑を使うというのは、社会的貢献のある非営利団体に支給するという一種のダイバージョンの一環としてとらえられている。このような社会的貢献をする団体の活動資金に充てるということになっており、被告人から直接公益法人に振り込まれ、約半分は国庫に納まるようであるが、そのあとの半分は公益法人に振り込まれることになっている。被害者支援も社会的貢献活動のうちの1つという形で、その他赤十字や様々な社会的な貢献をする団体の活動資金に充てられている。それを白い環も活用している。
 財政的な援助に関して、白い環の場合については、政府や地方自治体からの補助金をもらうという形はなく、財政的援助をもらっていない点が評価されているとしていた。
 白い環が活動する場については、イギリスにしてもフランスにしても支援団体のオフィスがあるが、通常は家賃を払って事務所を借りたり、多くはボランティアの実際支援をしている人の自宅を利用しているとのことである。ミュンヘンでは警察本部が場所を提供しているという例もあるようだが、これは希有の事例である。
 白い環については、所得税の税制上の控除が行われている。
 白い環の本部と地方支部との関係については、地方本部のイニシアチブによって設立され、独立した組織ではない。運営経費として、2006年上半期には400の地方支部に対して50万ユーロ、18の州レベルの活動拠点について70万ユーロが出されている。実際の交通費や通信費の運営、ランニングコストがほとんどである。人件費というのは研修費程度でしかない。オフィスについては、ほとんとがボランティア宅で行っており、あるいは被害者宅で行うこともあるとのことで、オフィスの建物自体のコストはほとんどかからないということである。
 活動に対する評価と監視システムに関して、会計監査を実施している。
 イギリス、フランス、ドイツの支援のための連携の問題と民間団体への援助に関する問題を外観したが、我々の課題となっているシームレスな被害者支援体制の構築というのがいずれの国も大きな課題として始めようとしているという段階で、まだその成果は見られていない。部分的には警察と検察の連携とか部分的なところは行われているが、まだ全体の構成はこれからの課題だというところである。
○構成員 OVCという組織は各アメリカに存在する民間の支援団体等に資金援助しているようだが、この団体が直接犯罪被害者等を支援することはあるのか。アメリカに存在する各被害者団体に対して資金を提供することと、その各被害者団体が抱えている支援をする方に対して教育制度やカリキュラムをつくるというだけであって、実態的な支援をしているのかしていないのかという点について教えてください。
○説明者 OVCは犯罪被害者法という法律に基づいて設立されたもので、被害者に対する直接的な援助活動はしていない。一番大きな仕事は、犯罪被害者基金の運営であり、それを通じて連邦や各州の被害者補償に対する資金援助と、支援プログラムに対する州を通じての補助、被害者の権利の実現に関する活動をしている。
○構成員 アメリカ国内で当然民間とか州レベルで被害者担当局部といったところはどういう連携をして、例えば民間団体の手に負えない支援は例えば公共団体に頼むとか、州を超えてどこかのできるところへ頼むとかそういう連携をしようと思った場合に、このOVCというところは特にその連携を構築するために作用しているわけではなく、結局は資金援助をしている各民間の団体が独自に連携をとっているということになるのか。それともOVCがきちんとした制度をつくって、例えばOVCが資金援助をしている団体はきちんと把握していて、ここはこんな援助ができるからこういう連携をしなさいとかそういったことをイニシアチブをとってやっているのか。
○説明者 OVCが具体的な各関係機関の連携を必要とするような事案について、具体的な紹介といった活動はしていないということである。
○構成員 そういう意味では連携という点においては、余り見える形では、もしくは制度化としてはきちんとできていないと認識してよろしいか。
○説明者 基本的にはそうである。ただ、各機関の連携ができるようにガイドラインを作って、そのガイドラインに従って運営がきちんとなされているところにはより多くの資金配分をするということを通じて、つまり、資金というか補助を通じて徐々にいい連携ができるような方向に向けていると理解している。
○構成員 各団体が自ら自分の支援できる幅を広げたり連携をとることで、さらに多くの援助をいただける制度のインセンティブをそこで与えているということですね。
 また、情報の共有システムについて、全米自動被害者情報通知システムとは、連邦政府が管轄しているのか。
○説明者 連邦が管轄しているシステムと、各州が管轄しているシステムがある。
○構成員 互いに独立しているのか。
○説明者 基本的には別々である。
○構成員 被害者が当該事件の詳細情報にアクセスできるということだが、詳細情報というのは具体的にはどのような情報なのか。
○説明者 連邦の方のシステムは、捜査から矯正にわたる情報を含めた刑事司法の各段階についての情報である。
○構成員 加害者の逮捕、摘発等、もしくは加害者の個人情報を含めてということになるのか。裁判記録等も見れるということなのか。
○説明者 その点はよくわからない。
○構成員 アメリカという国において、被害者の支援を迅速かつ的確に、しかも精度よく、しかも内容を充実したものにするためにどのようなところを日本と違って積極的に取り組んでいるのかというポイントがあれば、アメリカ全体を見渡したときにどこを我々は見習えばいいのかというものがもしあれば教えていただきたい。
○説明者 シームレスな連携ということでは、アメリカから何を直接的に学ぶことがあるのかというと、もう少しよく考えてからお答えしたい。
○構成員 アメリカの州レベルとか市とかそういう地方レベルであるといろいろな支援団体が連携し、あるいは知事部局とかその市の中枢が把握して、そして資金援助を通じてということができていると感じるのだが、国のOVCからのお金と州単位あるいは市単位のお金というのはどういう兼ね合いで動いているのか教えていただきたい。
○説明者 基本的に連邦OVCからの資金は、被害者支援プログラムについては、州の被害者支援部局を通じてもらうわけだが、連邦の資金だけを受け取ることは出来ず、外部資金の割合、基本的には20%だと理解しているが、それ以上の資金がなければ受け取ることが出来ないということで、あくまでも連邦からのお金は補助ということである。そういう意味では、連邦以外の自主財源を確保することが求められている。
○構成員 フランスについて、被害者支援は民間によるサービスの方がいいんだということをフランスでは考えているというお話があったが、そのように考えている理由を伺いたい。
 また、民間支援団体のうち控訴院と協定を締結しているということが条件になったりするということだが、この控訴院と協定を結ぶということがどういう意味合いなのか、その協定の中身について分かる限りで教えていただきたい。
○説明者 第1のご質問について、公共サービスというのは、フランスでは民間委託事業ということを多く行っており、被害者支援については、特に官が直接被害者支援にかかわるよりも同じような目線で等身大の立場で被害者支援を行う民間団体の方がよりふさわしいという考えではないかと思う。
 第2の点については、控訴院と協定を締結している具体的な中身については、いただいた資料を検討する必要がある。
○構成員 イギリスのVSの本部とINAVEMの本部と比較して、違いを教えていただきたい。私の認識では、VSは本部として50人ぐらいのスタッフを抱えて、全国の研修を準備したり、全国の活動を監督したり、資金を配分したりという役割も果たしているように思うわけだが、INAVEMはいろいろな団体が集まっているので、本部としての機能とは大分違うような感じがする。今回の報告を見ると、むしろ今日本で司法支援センターが行っているような電話での相談で適切なところに伝えていくという役割が中心なのだろうか。だとすると、一体どのくらいの人数規模で本部を運営しているのか。
○説明者 イギリスのVSの場合も全国に特にイングランド・ウェールズについてはある。基本的にはもともとはフランチャイズ化された組織であるが、ドイツの白い環のような直轄方式ではない。それがフランチャイズ化されて、それをビクティムサポート(VS)の中に入って、そのための条件をビクティムサポート(VS)に入るための条件を設定して活動しているということである。VS本部の役割というのはご指摘のとおりだと思う。
 これに対してINAVEMであるが、INAVEMの本部に伺ってみたところ、各加盟機関と言っているので、これもいわばフランチャイズ的な形ではないかと理解した。特にINAVEM本部自体は直接の支援というよりも、電話相談のような形で、情報の管理とかいったことを特にやっている有給の職員が700名でボランティアが600名いる。
○構成員 本部に700名ですか。
○説明者 本部は25名である。全国で有給700名である。
 予算は約170万ユーロ、本部の予算である。加盟機関の全体の有給職員が約700名で、ボランティアが約600名で、予算は約3,000万ユーロである。本部職員が25名で、予算が約170万ユーロである。全国の加盟機関の3,000万ユーロのうちの900万ユーロが司法省からの補助金である。
○構成員 フランスについて、控訴院と協定を結んでいる団体というものは、前回勉強させてもらったオルレアンというものと認識してよろしいか。各地方にINAVEM本部から傘下に加盟機関としてオルレアンというものがあって、地方自治体とか各部門の専門家、裁判所、県議会などが専門的な連携チームをつくっていると勉強させてもらったと思ったのだが。
○説明者 多分同じだと思う。
○構成員 実態は、民間に実務は移管しているということか。
○説明者 そのように理解した。
○構成員 控訴院と協定を結んでいる団体に対する人材の育成もしくは人材の確保等はすべて民間の団体に委託しているので、INAVEM本部が直接、700名もいらっしゃるので相当な活動をされていると思うのだが。
○説明者 それをチェックする体制として、司法省の担当官がチェックしているということで、財政的な評価にも関係してくるとのことである。
○構成員 他の機関との連携という意味では、例えば、控訴院と協定を結んでいる加盟団体と警察からの情報のやりとりであったり、フランスは被害者補償委員会(CIVI)、法律扶助組織等があるということもお聞きしたのだが、そういうところとの連携は控訴院と協定を結んでいることで情報がとりやすくなる、もしくは連携の枠組みに入ることができるといったものはあるのでしょうか。
○説明者 協定を結ぶことで、いろいろな情報の交換ができているのかということについては、関係機関の連携というのはこれからだということなので、十分うまく連携ができているのかどうかというのはちょっと疑わしいと感じる。
○構成員 ドイツの白い環はいつも高い評価を受けているとのことで、どういったことをやられているのか大変興味があったのだが、警察から情報をいただいていないということは、基本的には被害者が自分で白い環に連絡をとって、それによって支援が始まるという認識でよろしいのか。介入的な支援はできないことになってしまうと思うのだが。
○説明者 したがって、警察は白い環というのがありますよという紹介はするのだろうが、被害者の情報を白い環に提供して、支援をお願いしますという形のものはないということであり、被害者自らが求めないと支援が行われないのではないかと思う。
○構成員 各州にある援護庁には当然警察の情報が流れていて、むしろこちらの方で直接的というか介入的な支援はやっている可能性があると思った方がよろしいのか。
○説明者 被害者については、受けた傷害という形で病院とかいろいろな機関があり、そういうところがかなりスムーズに対応するようである。お金の面も生活費などはすぐに対応するようである。
○構成員 例えば、病院の受け入れる側も、この人はこういう犯罪に巻き込まれた方だということを認識してるからということではなく、一般の方に対してもすべてそのような対応をするのか。
○説明者 いずれにしても関係機関がかなりそれぞれが活発に行っているということであった。ただ、それの統合というかシームレスな連携についてはこれからの課題ということであった。
○構成員 そうすると、イギリスはVS、フランスはINAVEM、アメリカはOVCという少なくとも確たる機関があるなと思っていたのだが、ドイツについては白い環が中心とはとても言い難いと思った方がいいということか。
○説明者 そのような認識を持った。
○構成員 アメリカでは助成、財政援助についてはプログラムに対して行われるとのことでした。では、SAFE HORIZONのような直接に支援しているような団体は運営費はどのようになっているのか。スタッフの有給と無給のボランティアの割合とかそのような運営に関しての苦労とかは何かあるのか。
○説明者 基本的には各プログラムについて出ており、人件費、運営費には補助金はない。次に、SAFE HORIZONについては、平均して700人から800人のスタッフがいて、現在は735人で、常勤が519人である。これらの人件費等は主として州政府からきたり、それから独自の財源からきているということになる。
○構成員 では、今日本の民間団体は非常に財政苦労しているが、余り苦労はないと考えていいのか。
○説明者 SAFE HORIZONに関しては、人件費等で余り苦労しているという話はなかったように記憶している。
○構成員 フロリダでそのようなプログラムを応募している団体を見てきたのだが、マネージャーが1人で幾つかのプログラムを応募していて、そのプログラムがなくなれば切れるというのではなく、また次の年も入るだろうということで次々とやっていきながらということであった。あのプログラムは国全体で額も大きいし、人件費とかにもかなり使えるのではないかと思いながら帰ってきたのだが、その辺もしわかれば教えていただきたい。
○説明者 個々の民間団体、特にアメリカの場合は補助の対象となっているのは検察関係のプログラムが多く、民間関係ではシェルターとレイプクライシスセンターがメインで、そこは連邦の基金以外の枠の予算があるので、そこの補助金は人件費等にも使えるかもしれないと思う。

2.連携調査の結果について(中間取りまとめ)  「犯罪被害者等の支援に携わる関係機関・団体の連携に関する現状把握調査」(中間とりまとめ)について報告がなされた。

○事務局 連携調査の中間とりまとめ結果について説明する。今回はあくまで中間とりまとめで、単純にそれぞれの調査項目に関する回答がどうであったか、各項目単独集計結果しか把握できておらず、複数調査項目間の関係性を把握するようなクロス集計の結果については今回はできないので、その点ご理解願いたい。
 まず調査方法等について、資料2の1のところにまとめてあるとおりである。今回の調査については、犯罪被害者等にとって有益な活動を行う全国の公的・民間の団体・機関の中から7,500団体を選定して郵送調査の方法により調査を実施した。各機関・団体については全部で数百程度以内の数の機関・団体であると全団体を対象にして、それ以上のものは無作為抽出によって数百程度を選定して行った。およそ関連するあらゆる機関・団体を網羅した非常に広範かつ大規模な調査だったが、それにもかかわらず、現段階で40%を超えるというこの種の調査としては非常に高い回収率を確保することができている。この場をお借りして協力いただいた機関・団体の皆様に感謝申し上げる。
 次に調査結果について、資料2の2にまとめてあるとおりである。詳細については調査報告書(中間とりまとめ)を見ていただければすべて書いてあるのでそちらを参照していただきたい。
 調査対象機関・団体については、対応する職員数は「2~3人」が26.5%、10人未満で68.4%と7割弱を占めており、比較的少数の人員体制で対応しているところが多い。対応実績件数も「該当なし/50件未満」で75.5%を占めており、多数件を取り扱う機関・団体は多くないということがうかがえる。
 情報提供や直接的支援等の対応した犯罪被害者の類型については、いずれの類型も2、3割程度という回答になっているが、類型別の対応件数はいずれも10件未満が過半数を超えるという結果になっている。
 犯罪被害者全般や交通事故の関係については、「100件以上」対応している機関・団体も1割半ばを超えているが、これは発生数の多さや捜査機関、司法関係機関も調査対象に入っていることによるものと思われる。
 情報管理の方法については、紙媒体で管理が6割以上を占めており、電子媒体で管理はわずか8.8%にとどまっている。このうちデータベース構築までしているところは半分に満たず、7割以上がデータの共有も行っていない。
 情報の共有化については、犯罪被害者等の要望として、「プライバシーの保護」が挙げられているなど、保秘の要請も強いものがあり情報共有化の方策を考えるに当たりこのような現状や要請を十分に踏まえていく必要があると考える。
 実施している支援、サービスについては「情報提供」が50%を超え、次いで「法律相談」、「カウンセリング」が25%ほどになっている。
 他機関・団体からの犯罪被害者等の紹介について、紹介元となる機関・団体としてはやはり「警察署」が多く、ほかでは「市区町村」、「児童相談所」、「婦人相談所」からの紹介が多くなっている。提供される情報については、「被害の経緯や詳細」、「被害の原因となった犯罪の種類」、「犯罪被害者等の要望等」に関するものが多くなっており、今後提供を望む情報については、今述べたものに加え、「紹介元機関・団体の支援内容」、「支援における留意点・所見等」、「対応した機関・団体や支援内容の履歴」がいずれも多く回答されている。
 他機関・団体からの紹介については、犯罪被害者等からの要望として、「被害の説明を何度もしたくない」ということがよく言われていることはご存じのとおりであり、関係機関・団体間における情報共有の在り方として、紹介に当たって紹介先に伝達すべき情報に関し、あらかじめ一定の指針を定めておく必要性が認められるのではないかと考える。
 なお、中間とりまとめ報告書本体について、法務省から指摘があり、17ページ末に「刑事施設(拘留所)」とあるが、「拘置所」の間違いなので、この場をお借りして訂正する。
 他機関・団体への犯罪被害者等の紹介について、紹介先については「警察署」、「児童相談所」、「市区町村」、「弁護士会」への紹介が多く、紹介先機関・団体が実施している支援内容については「把握している/ほぼ把握している」が多いと言える。また、紹介先に提供する情報としては、「被害の原因となった犯罪の種類」、「被害の経緯や詳細」、「自機関・団体の支援内容」、「犯罪被害者等の要望等」が多くなっている。
 紹介に当たって犯罪被害者等に提供する情報の方は、「紹介先の機関・団体の連絡先」が40%を超えており、次いで「紹介先の機関・団体が提供する支援の内容等の説明」が37%余り、「紹介先や提供する支援に関するパンフレット等の配布」が20%強、「紹介先の機関・団体の担当部署・担当者」が19%程度となっており、「情報は提供していない」というところも13%くらいあるという結果が出ている。
 関係機関・団体への紹介については、犯罪被害者等からの要望として、「紹介先の機関・団体のより詳細な情報」が挙げられており、紹介先となり得る関係機関・団体の支援内容や連絡先、担当部署等、犯罪被害者等のために必要有益な情報を提供できるような形で整備しておく必要性が認められる。
 支援ネットワークについて、既存のネットワークに「参画している」と回答した機関・団体が4割強という結果になっている。ネットワークの運営主体は警察が半数を超えており、次いで地方公共団体が3割強となっている。内容としては定期的な情報交換や会合の実施が8割を超えている。
 既存のネットワークの問題点としては、「協議会等会議の形骸化」、「支援ネットワークの実際上の連携・役割分担が不透明」、「定期的な会議や会合の開催数が少ない」等が挙げられている。
 今後の連携の在り方について、重視するものとして、提供情報の内容や連携先担当者との信頼関係、情報の詳細さがいずれも3割近くと高い割合を占めている。
 連携が必要と思われる機関・団体としては、「警察・海上保安庁」が約6割、「司法に関する相談機関」が約4割と高いのは当然として、「地方公共団体」が45.5%を占めている。
 必要と思われる連携の在り方については、「役割分担を明確にして相談内容の一覧を作成し周知徹底」と、「応対や機関・団体の支援内容・連絡先等をまとめたマニュアル作成」がいずれも5割近くを占めている。
 今後の連携の在り方についての意見・提案等としては、「支援体制の確立」、「個人情報保護の観点から、どこまで情報を提供・共有するか」、「勉強会・研修・会議等の必要性」などが挙げられている。
○構成員 資料の見方を教えていただきたい。例えば33ページについて、民間の被害者団体からの紹介というものがあって、どのような分野の機関から紹介されてきますか、「ある」が6.8%という円グラフになっている。次の34ページの問12との関連性を聞きたいのだが、連携している機関・団体、特に紹介件数の多い具体的な機関・団体ということで、この6.8%の中の内訳がこの民間被害者団体が61%、自助グループが16.9、民間シェルターが39.6ということで、これ以外はないということか。それとも上位のものだけを3位出しているということか。
○事務局 恐らく6.8%の内訳ではないか思う。詳細な調査結果が発表できると思うので、そちらに委ねていただきたい。
○構成員 今後クロスチェックをしていろいろなところの相関とか見られると思うのだが、例えば、この33ページから考察できることとすると、民間の被害者団体は全体の3,317機関のうち6.8%しか連携しておらず、その連携しているものは同じ被害者団体とその自助グループだけとしか連携はとれていない。例えば警察署長であったりとか司法機関とか弁護士会だとかそういったところとは連携がないと見れるという解釈でよろしいのか。となると、本当にそうなのか思う。
○事務局 問6は民間団体からの紹介がありますかという問なので、それを受けて、民間団体では自助グループなどからあるという内訳だと考える。ほかのところに別の全体のその他の機関・団体とかいろいろなものがあるので順番に見て、交通事故相談機関から来るとか、学校から紹介があるとかいろいろあるのだと思う。
○構成員 これの裏返しが61ページに、民間団体へ紹介している機関が全く同じ62ページを見ると、民間被害者団体と自助グループ、民間シェルターと同じことになっていたので、重複していることを言われているのかと思い、要はそのような連携しかないのかということでご質問させていただいた。
○事務局 限られていると思う。

3.連携の現状と問題点について  これまでのヒアリング、海外調査及び連携調査の結果を踏まえ、連携の現状と問題点についての整理を行った。

○事務局 支援のための連携に関する検討会におけるこれまでの検討結果を踏まえ、現状と問題点についての事務局のとりまとめ内容を説明する。
 本検討会においては、「各種「協議会」等既存の枠組みを活用した、ネットワークの構築」と、「起点となることが想定される機関・団体や連携の範囲に着目した、更なるネットワークの構築」が検討事項となっており、検討に当たり「現状の連携状況を把握するとともに、更に連携が必要な機関・団体を洗い出し、現状では連携が不十分な部分を補い、かつ、新たな機関・団体との連携の在り方を検討するとともに、対応窓口の起点として想定される機関・団体を核とした更なる連携の在り方を検討する」ことを検討方針として、これまで必要なヒアリングや調査を重ねきた。
 まず最初に、これまでのヒアリングや調査の結果について概略を述べ、最後に事務局でまとめた連携の現状と課題について説明したい。時間の都合もあるので、本日ご説明いただいた海外調査の結果や、先に説明した連携調査結果については省略する。
 現行の取り組みに関するヒアリング結果について、既存のネットワークについてそれぞれの関係省庁よりご説明をいただいた。
 警察を中心としたネットワークとしては、「被害者支援連絡協議会」・「被害者支援地域ネットワーク」がある。いずれも総合的な被害者支援を目的としてつくられたネットワークであり、前者は各県警単位、後者は警察署単位などより小さい単位で構成されている。これらのネットワークには司法関係機関、医療関係機関、厚生福祉関係機関、教育関係機関、報道、民間支援団体等々、全国の協議会に計1,682の関係機関・団体が参画しており、もちろん個別の機関・団体が全部入っているというわけではないが、およそ犯罪被害者等の支援に何らかの関係があると思われる機関・団体については代表となる団体や幹となる団体・機関がほぼ網羅的に参画しているものと考えられる。
 次に、日本司法支援センター「法テラス」における取り組みについて、10月2日より法テラスの業務が開始されている。法テラスでは今述べた被害者支援連絡協議会への参加を申し入れているほか、地方事務所が主体的に協議会等を実施することも検討しているとのことである。法テラスの中期目標では、「連携を確保する犯罪被害者支援関係機関・団体の範囲の拡大及び連携強化を図る。」こと、「関係機関・団体が法テラスで集約整理したデータベースを活用し自ら情報提供を行う態勢の促進を図る。」ことが盛り込まれており、また中期計画では「地方事務所単位で、平均12以上の犯罪被害者支援機関・団体と連携・協力関係を構築する。」こと、「連携指数を平成21年度までの間に上昇させる。」こと、「関係機関・団体に対し、業務マニュアルの配布や研修の実施等の方法により、データベースの利用方法の周知徹底と積極的活用を促進する。」ことが盛り込まれている。
 連携指数については、資料3の1のページに※で記載している。
 学校・教育委員会における取組について、児童・生徒の「心の問題」に焦点を絞った学校・教育委員会を中心とするサポートチームが形成されており、教育委員会のほか、学校、PTA、地域住民、警察、児童相談所、保護司等で構成されているとのことである。
 児童虐待・DVに関する取組について、児童虐待に焦点を絞った「要保護児童対策地域協議会」が形成されている。これは児童福祉法に基づく法定の協議会であり、児童福祉担当部局、児童相談所、社会福祉協議会、医療機関、教育委員会、学校、警察、弁護士会、法務局、NPOなど様々な機関・団体で構成されており、一定の守秘義務の中で情報共有も行われているとのことである。
 また、配偶者からの暴力被害女性保護支援ネットワーク事業に基づき、配偶者からの暴力被害に焦点を絞ったネットワークも形成されており、市町村、警察、弁護士会、民間団体、児童相談所等の関係機関・団体で形成されているとのことである。
 これらの既存のネットワークの現状、問題点について、定例会議等開催したり「手引書」や「事例集」を作成するなどして、構成機関・団体相互の連携の強化が効果的に行われた場合は連携調整や情報共有がスムーズに行われ、支援の連携(橋渡し)についても相応の成果をおさめているという例はある。しかし、これらのネットワークについては地域ごとの、あるいは構成機関・団体の間でも意識や取組に差があり、構成機関・団体相互の役割や所掌についての共通認識が図られていなかったり、連絡調整を担う人材の確保が困難であったりなどの問題が指摘されている。また、被害者情報の共有化がなされず、いわゆる縦割りの弊害として被害者がたらい回しになるなどの指摘もなされている。
 最後に連携の現状と課題について、事務局ではヒアリングや調査の結果を踏まえ、資料3の2に記載したとおり、連携の現状と課題をまとめている。我が国では、各種の「協議会」等既存の枠組みが存在しており、そこにはおよそ犯罪被害者支援に関係する機関・団体が網羅されていると思われるわけだが、各機関・団体の意識、取組の差や互いの役割、所掌についての共通認識の欠如によって必ずしも有機的な連携が図られているとは言い難い現状にある。特に協議会が単なる情報交換の場にとどまっているような場合には、各機関・団体の共通認識、役割、機能、連携方法について不明確になっている。
 また、被害者情報の共有については、他機関・団体から提供される情報について、その内容や詳細さが重視されているという反面、プライバシーの保護等の問題も指摘されている。
 一方で、効果的な支援の連携がなされたと評価される場合は、定例会義のほか、関係機関・団体の役割等を掲載した手引書の作成や事例検討による事例集の作成などによって、実務者レベルで関係機関・団体の連携が強化されている。また、諸外国を見ても、関係機関・団体の連絡先一覧の作成や支援専門家のリストの作成、関係機関情報のデータベース化などによって円滑な連携を目指していくことがうかがえる。
 以上を踏まえ、更なるネットワークの構築のためには、支援を行う際の留意点、関係機関・団体の役割、支援内容、連絡先等を関係機関・団体の間で周知するための方策や、紹介先に伝達すべき情報に関する指針の提示など、実務者レベルでの連携を促すための方策について検討していく必要があるのではないか。

4.民間団体の現状と問題点等について
 これまでのヒアリングの結果を踏まえ、第2回会合で提示した論点に沿って、関連する現行制度や民間団体の現状等、現状等に関する問題点についての整理を行った。

○事務局 民間団体援助に関する検討会においては、今後、民間団体による犯罪被害者等支援の在り方、国による民間団体への援助の在り方についてご議論いただく予定になっている。その前提として、これまで民間団体の現状と問題点や現在の援助実態等について構成員からご発表いただいたのをはじめ必要なヒアリングや調査を重ねてきた。資料4については、それらの結果を論点ごとに現状、問題点として整理し、ヒアリング等の過程で出てきた各論点に対する意見や事務局において想定した論点等まとめて表にしているものである。
 民間団体による犯罪被害者等支援の在り方について、ここでは国・地方公共団体と民間団体との役割分担や民間団体で行った方が効果的な活動など、被害者支援全体における民間団体の活動の位置づけやその在り方についてご議論いただくことになる。論点に関する意見等の欄に記載してあるように、ヒアリング等の中でも民間団体の支援活動の重要性や有効性等について積極的に位置づけるご意見があった。民間団体の活動の意義としては、公的機関に接触できない被害者の支援が可能であること、関係機関の現場レベルでの連絡調整など公的機関のみで十分対応できない部分をきめ細やかに対応できること、公的機関における人員不足の補完やコスト削減が期待できること、などが指摘されている。
 国による民間団体への援助の在り方について、ここでは被援助団体の範囲、対象となる事務の範囲、財政的援助に代替し得る人的、物的援助策の内容、援助の経路、財源という5つの点が主な論点になると考えられる。
 被援助団体の範囲について、支援団体については、性格等の違いに応じて犯罪被害者等早期援助団体と早期援助団体以外の被害者支援団体、自助グループの3つに分けて整理されている。早期援助団体は警察と連携を持ち、またいずれの団体も地方公共団体から財政的援助を受け、我が国の被害者支援においては非常に重要な役割を果たしているわけだが、その数は9団体にとどまっていて、財政的な基盤も必ずしも安定的とは言えない状況にある。
 各国を見ると、イギリスの民間支援団体VSは警察と強い結びつきを持っており、組織規模も非常に大きく活発な活動を行っていることもあって、多額な援助や情報提供を受けているところである。
 VSとは比較できないが、フランスの民間支援団体INAVEMも警察とは連携を図っているという発表が先ほどあった。
 早期援助団体以外の被害者支援団体については、全国被害者支援ネットワーク加盟団体と、加盟団体以外の団体がある。全国被害者支援ネットワークは、早期援助団体のほか、将来的に早期援助団体となることを目指す団体で構成されており、全都道府県には至っていないが、加盟団体は42団体に達し、全国規模で活動し、早期援助団体となっていない団体においても多くの団体については地方公共団体から財政的援助を受けている。ただ、活動の中心は無償のボランティアであり、加盟団体間で活動内容や財政規模には相当大きな差があり、受けている援助の額も大きく異なっている。
 傘団体に当たる支援ネットワーク事務局については、体制が脆弱、人数が少なく、情報提供や研修等、加盟団体への支援が十分に行えないという問題がある。
 全国被害者支援ネットワーク加盟団体以外の団体については様々な団体があるため、統一的な把握はできないが、これらの団体の中ではDVや児童虐待を対象とする団体を中心として地方公共団体から財政援助が行われている。また、公募型事業に応募して援助を受けるなどの工夫をしている団体もある。
 公的援助については、税金を投入するという性質上、援助の適正な使用やその有効性等に関するチェックをしなければならず、これらの被害者支援団体のうち早期援助団体以外の団体については法人に対してではなく、活動に着目して財政的援助を考えるのも1つの方法ではないかという指摘がなされている。
 各国でいうと、アメリカがそのような形態で援助を行っており、イギリスでも性被害支援団体に対してそのような試みが行われている。
 自助グループについては、定例会等を開催するのに会場の確保や交通費等で会員に負担がかかってしまう、専門家の協力を得るのが難しい、自助グループ同士の連携が十分でないという問題点が指摘されている。自助グループに対しては、民間支援団体に援助することを通じて援助を行うという間接的な形での援助が行われているが、支援団体と異なり当事者の団体であるということのほか、早期援助団体以外の団体に対する援助と同じこともいえ、直接的な援助を行うことが可能なのかどうかについてはご議論をいただく必要がある。
 対象となる事務の範囲について、どういう事務を対象として援助すべきか、現状を見ると犯罪被害一般を支援対象とする支援団体について地方公共団体による財政的援助の対象としている事業は相談や面談、広報、啓発、人材育成が中心となっている。一部の地方公共団体では付添いや情報提供、自助グループ支援、運営管理一般も支援の対象としている。
 一方、活動内容に関する問題点として、特に被害直後における付添いや家事支援等のアウトリーチ活動や自助グループ支援、会員獲得に向けた活動を十分に行えていない。広報啓発活動を充実させる必要があるといった点が指摘されている。また、組織運営面では現場や管理運営事務を統括するもの、あるいは支援員としての有給のスタッフが不足しているといった点が指摘されている。
 ヒアリングの結果では、財政的な問題がなければ被害者の様々なニーズに対応した支援をより充実できるとのことであったが、民間団体の現状等を踏まえ、財源に限りがある中で具体的にどの活動から重点的に援助すべきかについて検討してはいかがかと考えている。
 財政的援助に代替し得る人的・物的援助策の内容について、ヒアリングの結果等を踏まえ、事務所等の提供、人材育成への協力、広報啓発への協力、税制上の優遇措置等と4つに分けて整理した。事務所等の提供については、地方公共団体から7団体に対し施設庁舎の一部が提供されており、また、基本計画においても関連施策が盛り込まれているところ、これらを踏まえてさらに必要な取組があるかどうかについて検討することとしてはどうかと考える。
 人材要請への協力については、支援活動を行う者を対象とした研修が十分でない、標準的な研修プログラムがないといった点が問題点として指摘されるとともに、関係団体・省庁からの人材の出向を得たいという要望があることが把握されたが、これらについては基本的には支援のための連携に関する検討会において検討することとなっている。人材出向についても講師派遣という形で、基本計画において関連施策が既に盛り込まれており、これらを踏まえてさらに必要な取組があるかどうか検討することとしてはどうかと考えている。
 広報啓発への協力についてもほとんどの地方公共団体で取組が進められており、かつ基本計画にも関連の施策が盛り込まれているので、これらを踏まえてさらに必要な取組があるかどうかを検討することとしてはどうかと考える。
 税制上の優遇措置についても、現在公益法人等改革が進行中の段階であり、必要に応じて適宜把握してはいかがかと考えている。
 なお、このような財政的援助に代替し得る人的・物的援助策についても早期援助団体とそれ以外の団体とに分けて考える必要があるのではないかとの指摘がなされている。
 援助の経路については、現在、地方公共団体が民間団体に対して直接財政的援助を行い、国が援助に要した費用の一部を補助金や交付税措置として負担するという方式になっている。一方、ヒアリングや昨年の基本計画検討会の場では国も直接的財政的援助を行うことがあり得ることを想定し、財政的援助を行うに当たって受け皿となる組織が必要である、また、総合的な支援を行う犯罪被害者保護法人というようなものを設立してほしいといった指摘や意見がある。
 なお、公的援助はその前提として適正なチェックが必要なので、援助の経路を議論する際には民間団体の活動の評価、監視の仕組みをどのようにすべきか、あるいはどのような仕組みが実現可能かということも合わせて議論をいただければと考える。
 最後に財源について、現在民間団体の財政的援助の財源は一般財源となっている。一方、昨年の基本計画検討会の場では罰金などを財源とする犯罪被害者基金というようなものの設立を検討してほしいといった意見もあった。
 議論の進め方については、財源の問題を考慮しつつ、被援助団体の範囲や援助の対象となる事務の範囲を検討していくというイメージだと考える。財源については経済的支援に関する検討会とも深く関連する事項になるので、同検討会における検討状況も随時見ながら検討していかなければならない。

5.自由討議
 上記3.及び4.を踏まえ、更なる連携のために取りうる方策、民間団体の援助に関する今後の議論の進め方、各論点に関する検討方針等について、自由討議を行った。

○構成員 資料3の連携の現状と問題点中、連携の現状と課題のまとめについて、基本的には警察が主導とする被害者支援連絡協議会をメインとする協議会はあるにもかかわらず、各単独の機関は同じような同類の機関だけと連携をとっているという縦割りになっていることは事実だと思うので、その各関係機関を橋渡しする機関がいるということはまとめに書かれているとおりだと思う。ただ、縦割りになってしまっている機関を連携させるに当たって、核となる機関を新たにこの国に置くべきなのか、それとも今現状にあるものをうまくネットワークをするために運営のやり方を考えるのか、もしくはそのコーディネーターという方を置いて縦割りになっている各機関を橋渡しをする人をつくるのかというところをそろそろ具体的に考えていくべき時期かと思う。
 課題のまとめのところには、支援を行う際の留意点、関係機関・団体の役割、支援の内容、連携先等の関係機関・団体への周知や関係機関・団体に伝達すべき情報に関する指針の提示、実務者レベルの連携を促すための方策を検討する必要があるに加えて、これらを統括する機関の創設の必要性有無、もしくはそれの運営方法等も併せてという文言もいるのではないかと思う。
○構成員 連携ということですが、法テラスのことでこの間弁護士と話する機会があり、その方がおっしゃるには、ずっと1時間ぐらい話を聞いていたら本当の被害者ではなくて、相談マニアの人だったと。結構たくさんいるようで、私も当事者の会を立ち上げた時に、電話のうちの大半は被害者ではないのにそれを装う相談マニアがいて、ものすごくいろいろなところにいくようだ。連携をするあたっては、本当の被害者のデータというのも必要だが、真の被害者でない相談マニアみたいな人たちのデータを関係機関・団体で共有することも必要ではないか。
○構成員 被害者情報の共有については、一方で詳しい情報の提供が求められているのと同時に、一方でプライバシーをどこまで確保するかということも検討項目の中に入っているので、そこに含まれる問題として今後議論していけばいいのではないかと思う。
○構成員 連携に関する取組のところで、民間援助団体については、実際の直接的な支援をして、被害者にとって一番必要なところに取り組むときには、このケースについては保健所に行かなければいけないとか、児童相談所に行かなければならないとか、あるいは弁護士のところに行って支援を相談してくるとか、あらゆる有機的な連携の要になる部分を担う。連携というのは上から組織としてつくるというよりは、被害者にとって最も重要な支援、ニーズに応える支援を広げていけば自然とその周辺にできていくものであり、連携を全体で見ることも大事だが、有効な支援ができる活動を活発化させれば自然とそこを中心に連携が広がっていくと思う。そのような意味で、有機的な連携を今あちこちの組織で、少しずつ地域において広げているので、さらに有機的な連携というのは、そのような地域社会の中で広がっていくものだと思う。民間の支援団体の取組といった、被害者のニーズに応える活動を中心にして、連携を拡げていくことも重要だと思う。
○構成員 実際の支援、連携の現場できめ細かい、配慮のある対応や紹介が行われれば結構だが、被害者の心情及びニーズと、連携に関わる方々の認識及び配慮との間にはかなり差があるように思う。団体から団体、機関から機関への、連携の担当者はよいと思われるかもしれないが、利用する被害者はむしろ個人から個人へという紹介をされた方がよほど安心なさると思う。連携に携わる方々が自身の役割をよく理解できるよう、「顔の見える連携」というか、「連携担当者同士が互いの顔が見える関係を築いた上で、担当者個人が責任を持って他の機関や団体等の個人に紹介する」という文言を入れていただきたい。
○構成員 イギリスにおける犯罪被害者の支援に係る基金について、イギリスでは2004年4月から犯罪被害者基金を運営を始めたとのことだが、これを管理しているのは内務省になるのか。
○説明者 サーチャージについては、ビクティムズファンドのことか。
○構成員 はい。
○説明者 これについては、2004年のDV犯罪及び被害者法の14条によって設置されている。そのお金は内務省の管轄であり、現在、ITシステムがうまく機能していないので、これを使って被害者支援に充てるわけではなく、現実にもう既に始まっている犯罪収益を原資としてやっている。従って、現在はまだサーチャージを基にしてやっているわけではない。今後ITシステムが制度化され、うまく機能するようになれば、それを使っていくということであった。
○構成員 性犯罪等を含めた支援組織の助成基金として活用しているとのことだが。
○説明者 ボランタリーがコミュニティセクターを基盤とした性犯罪被害者支援に、特に性犯罪の場合はトラウマとかPTSDの被害も精神的な被害も特に強く、対応が十分ではないということで、今現在はそれを中心に行っているが、今後は交通事故被害者とか被害者遺族に対する支援対策にも活用したいし、これは被害者補償制度とは全く別ものだという説明を受けた。
○構成員 ドイツにはこういった基金はないが、フランスには犯罪被害補償基金(FGTI)というものがあるということも教えてもらったし、今イギリスにも犯罪被害者基金があり、アメリカにも犯罪被害者基金があって、それをOVCが管理しているとのことであった。フランス、イギリス、アメリカには基金があって、それを管理する団体としての公的機関があって、OVCはその基金をもとに犯罪被害者支援団体に支援をしたり、プログラムをつくったりしているとのことであった。イギリスもそれをやり始めているし、フランスは犯罪被害者補償制度の財源として使うということで支援とか民間団体は使っていないということであった。
 今後議論する上で、日本において、一般財源から犯罪被害者の支援、経済的補償は別として、民間団体やこういった連携をつくる上で当然資金が必要だが、罰金、反則金、賦課金等を特定財源にし基金化して、それを運用する団体をつくって、その機関が日本の犯罪被害者支援や資金の流れすべてを把握するような団体をつくるのか、それとも今の現状で一般財源から補助金や助成金のような形にするのか、もしくは各支援団体が行った支援に対して査定する機関があって、プログラムに対しては実費を払うようにするのかとかいったところも含めて今後の議論で具体的に発議させていただきたい。その上で、更に新しい団体がいるのかいらないのかとか、まずそこをかっちりと決めないといけないと思う。
○事務局 今最後に出てきました基金の問題は、経路をどうするのか、財源をどうするのかということで、一番大きな問題になってくる。それは、経済的支援に関する検討会の財源とも絡んでくるので、ぜひ活発な今後の議論をお願いしたい。
 もう1つ、連携のネットワークにおける核となる機関については、連携のネットワークの検討会は今ある現状を前提としてどのようにしたら効果的にネットワークできるのだろうかというものを考えていただくというのが基本で、そのための人材育成や研修、コーディネーターとかいった効果的な制度を考えるというものである。したがって、そこをまずきちんと固めた上で、その上で何かやはりもっと全く別のものがいるというような話になれば、それはまた考える必要があると思う。まずは、現状でどこをどのようにしたらもっと被害者のためになることができるかというのを十分にご議論いただければと考える。
○構成員 民間団体への援助に関して、どのような団体のどのような活動に対して援助をするのかという1つ大きな問題と、財源は経済的支援に関する検討会が中心で考えるとしても、どのようなルートでその援助をしていくかという大きな問題があると思う。
 それから、もう1つのどのような団体にというとき、早期援助団体と早期援助団体ではないところと、これは明らかに確かにメルクマールで分かれるのは事実だが、日本の現状を考えると、9団体を別枠にして手厚くやってもはっきり言って意味がない。つまり、全国になければいけないものが9団体しかなくて、ましてその9団体というのはかなり数的にもなかなか増えていかなくてようやく9になったという印象を持っている。そうであれば、ネットワーク加盟団体の中の早期援助団体を希望しているようなところに対して底上げを図るというか、全体としてのアップを図るような形での援助を考えていければと思う。そのような意味合いでは、どのような活動にというのもそのようなところの活動が活発になるような方向で考えたいと思う。したがって、どのようなところとどのような活動というのはかなりリンクして考えていくべきだろうと思う。
 ただ、論点整理については特に異論はなく、これ中心にやっていけばいいと思うが、1つ非常に難しいなと思うのは、DVとか児童虐待とか別枠であり、別枠でいろいろな援助をどこまで取り込むのかということは非常に問題なので、それについても大きな問題だと思う。
 それからもう1つ、連携のところで、日本司法支援センターは、確かに基本法、基本計画では非常に役割が期待されていて、これは今後被害者支援において大きな役割を果たしてほしいと願っているし、果たさなければいけないと思うが、現状はかなり厳しい。これは将来的な観測であってまだ情報を収集している段階だが、実際はかなり日弁連と協議して犯罪被害者支援の方はバタバタとやっている状況で、ようやく、この連携指数も精通弁護士の紹介が1、2、3ぐらいまでいってるという感じで、これもまだ協議しながらやっている最中だということで、法テラスの役割をもう少し重視して、中身の重視ということでどのように法テラスを使っていくかということはこちらから逆に提言して、法テラスの方に投げかけていくようなことでもいいと思う。
○構成員 早期援助団体のことが出た。ネットワークとしては早期援助団体をできるだけ増やしていって、それ全体で全国に連合体をつくるということを今目指している。確かにまだ少数だが、基盤を整備して早期援助団体になれたものが9団体ある。それを国がもし財政援助できるなら、それを目指してほかの団体も努力するし、それになれるように別の枠で援助していただくということが可能であればいいと思う。
 また、現状からの連携を深めるということについては、やはり今被害者支援にしっかりと取り組もうとしているところがいろいろ困難にぶつかって、その連携を求めながらいろいろな壁にぶつかるので、国としては関連機関・団体がそこに協力しやすいような体制をつくることが非常に大事ではないかと思う。例えば、都民センターではいろいろなケースがあるが、児童相談所に本来対応してほしいケースでもなかなか拒否されて受けていただけないとか、当然児童相談所の受けるべきケースなのに、犯罪被害者に関わると全部こちらで見ろというようなことになってしまったりする。あるいはようやく今基本法ができて少しずつ状況変わってきたが、被害者のための住居を探すのでもさんざん苦労していたとかいったことがあるので、関連機関の窓口が柔軟に有機的に動いて対応できるような仕組みをつくっていただきたいと思う。
 更に、恐らく被害者団体あるいは自助グループでも、自分たちがこういうことをしたいと思っても、一体どこに行けば有効な援助がもらえるかという判断が非常に難しい。例えば、いろいろなシンポジウムとか、勉強会を開くときでも、公的な施設などを無料で開放してくれると随分助かると思う。連携という意味では、被害者支援の問題で動いている人たちを、関連機関が援助しやすくするシステムを作るということが、非常に有効ではないだろうかと思う。
○構成員 私どもとしましてもやはり早期援助団体が指定されていくということは非常に重要なことだと思っているので、警察としてできる限りの援助をやっていきたいと思っている。
○構成員 現在、早期援助団体は全国で9団体ということであるが、これが全国にすべて各都道府県に指定団体ができることが望ましい、それはぜひ実現しなければいけないわけだが、そのための施策というのが非常に重要になってくる。財政的援助の場合について、もし財政的援助として公的な補助金という形で出すとして、やはり信頼のおける組織、民間団体といっても信頼のおけるところでないとそれは世間の納得はないだろうと思う。そのためにもきちんとした対応ができる組織であることが必要だと思う。
 例えば、イギリスでは、イギリスのビクティムサポート(VS)以外にもたくさんの民間団体、支援団体があるのだが、ビクティムサポート(VS)だけに出している状況である。それは、内務省の政策であるわけだが、やはり危機介入からできる、そして短期、中期、長期の支援できる組織として存在して、やはり警察からの情報なども入ってくるので、そのような情報管理がきちんとできる組織でないとこれはまずいだろうということである。もちろん早期援助団体以外のところでもそういう仕組みを持つことは理屈としては可能だが、やはりそれは法的な裏打ちがなければまずいのではないかと思う。
 現在ある早期援助団体以外の団体もできるだけ早く民間団体にできるような、早期援助団体になるような仕組みの構築が必要ではないかと思う。
 それから、もちろんいろいろな考えで国の動きとは、あるいは自治体等の動き、公の機関との動きとは一線を画した支援活動というのも当然あり得るだろうと思うし、それはそれとして行うべきだが、公的な補助金という形で支援に援助するということについては、やはりイギリスのVSなり政治的にも宗教的にも透明というか偏らない組織のところであることが絶対必要条件ではないかと思う。したがって、いろいろな考えや思想を背景にした支援団体もあっても当然いいと思うが、それは今我々がここで議論しているところとは違うのではないか、早く早期援助団体の全国ネットが構築されるような仕組みの検討が必要ではないかと思う。そこで、各省庁や地方自治体の連携ということが求められてくるわけだが、いわゆる縦割り行政の中で、お役所の中では非常に難しいが、被害者を核としてそれぞれの担当部局が何とか情報交換して、被害者相談窓口をセットしていこうということと、いろいろなパートパートがそれぞれ連携をしていく際に、それをつなぐものとして、現にある組織の活用、その1つの選択肢として民間被害者支援団体というのもが考慮の1つになるのではないかと思う。
○構成員 1つは、これからの民間機関の在り方として、早期援助団体の活動というものを民間機関としては充実させていく必要があるので、この立ち上げ支援等も十分行っていく必要があると思う。もう1つは、早期援助団体であれそうでない団体であれ、公的な基金から財政的な援助を受けるときの基本的な資格というか要件というものについて、一体どのような団体が対象となり得るのか、今後かなり議論する必要があると思う。
○構成員 DVとかストーカーとか性犯罪というのは犯罪の進行形の人が多い。そのような人たちが殺人の被害者に至らないうちに保護できるようにすることも大事である。予算措置できるところは早くやって、一人でもいいから命が助かるような状況をつくってもらえたらなと思う。早くやるものは早くやるように予算措置していただきたい。
○構成員 地方公共団体の中には、被害者支援に有効に活かせるいろいろな資源があるから、連携を考えるときには地域で、地方公共団体がまず内部での連携をしっかり行い、被害者にきちんと窓口で応じることができる、随分内容は充実してくるのではないかと思う。

6.その他  次回の支援のための連携に関する検討会は、12月11日(月)を予定。
 次回の民間団体への援助に関する検討会は、12月7日(木)を予定。
 11月25日から12月1日まで、初めての犯罪被害者週間を実施する。25日が秋田大会、27日が中央大会、29日が神奈川大会、12月1日が大阪大会となっている。


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