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民間団体への援助に関する検討会(第5回)議事録


(開催要領)
日時: 平成18年8月3日(木) 15時00分~16時54分
場所: 合同庁舎4号館共用第4特別会議室
出席者:
座長冨田 信穂常磐大学大学院被害者学研究科教授
中島 聡美国立精神・神経センター精神保健研究所成人精神保健部成人精神保健研究室長
林 良平全国犯罪被害者の会幹事
番 敦子弁護士
荒木 二郎内閣府犯罪被害者等施策推進室長
廣田 耕一警察庁給与厚生課犯罪被害者対策室長
代理荻野 剛総務省自治行政局自治政策課理事官
辻 裕教法務省刑事局参事官
代理矢田 真司厚生労働省政策統括官付参事官付政策企画官



説明者番 敦子(上記構成員)
説明者廣田 耕一(上記構成員)
説明者薬師寺 順子厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子家庭等自立支援室女性保護専門官
説明者塚崎 裕子内閣府男女共同参画局推進課配偶者間暴力対策調整官
説明者高津 守内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官

(議事次第)

1.開会

2.有識者からのヒアリング

 ○ 民間団体の活動の実態等について

 番 敦子構成員(性被害を対象とした支援団体の活動実態と財政運営状況について、同団体が必要とする財政的援助以外の具体的援助について)

3.行政からのヒアリング

 ○ 我が国における民間団体への援助の実態について

 (1)警察庁(警察庁及び都道府県警察における民間団体への援助の実態について)

 (2)厚生労働省(DV、児童虐待等による被害者等を支援する民間団体への援助の実態について)

 (3)内閣府男女共同参画局(民間シェルター等に対する財政的援助に関する交付税措置について)

 (4)内閣府犯罪被害者等施策推進室(民間団体に対する地方公共団体からの援助の実態について)

4.今後のスケジュールについて

5.その他

6.閉会


(配布資料)

資料1番構成員資料[1]PDF形式:26KB] [2]PDF形式:113KB] [3]PDF形式:260KB] [4]PDF形式:277KB]
資料2警察庁資料[PDF形式:74KB]
資料3厚生労働省資料[PDF形式:28KB]
資料4内閣府男女共同参画局資料[PDF形式:26KB]
資料5内閣府犯罪被害者等施策推進室資料[PDF形式:141KB]
資料6今後の検討スケジュール(案)[PDF形式:12KB]
資料7海外調査関係資料[PDF形式:49KB]



(議事内容)

○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室長) 皆さん、こんにちは。大変お暑い中をお集まりいただきましてありがとうございます。法務省の方が遅れていらっしゃいますけれども、定刻になりましたので、始めさせていただきます。 ただいまから第5回の民間団体への援助に関する検討会を開催いたします。
 司会を冨田座長にお願いいたします。よろしくお願いします。

○冨田座長 それでは、司会を務めさせていただきます。 本日の議題につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局(犯罪被害者等施策推進室長) お手元に議事次第をご覧ください。
 本日は、まず番構成員から性被害を対象とした支援団体の活動実態等につきましてご説明をいただくこととなっております。それから、関係省庁より我が国におけます民間団体への援助の実情につきまして、ご報告をいただくこととなっております。
 また、地方公共団体からどういう援助が行われているかということにつきまして、当室の方でアンケート調査を行いましたので、その結果についてご報告をしたいと考えております。
 質疑につきましては、それぞれの説明の後で、5分ほど設けるということで考えております。
 その後に、秋以降の検討スケジュールについてご議論を賜りたいというふうに考えております。さらに、先般ご議論いただきました海外調査の調査項目、訪問先等につきまして、ご意見を踏まえて改訂したものがございますので、ご報告をしたいと考えております。よろしくお願いします。

○冨田座長 それでは、最初に、番構成員から性被害を対象とした支援団体の活動実態などについてということでご説明をお願いいたします。

○番構成員 それでは、私の方から東京・強姦救援センターについてのヒアリングのご報告をいたします。
 お手元の資料1、これはヒアリング報告書と題するものですが、これは6月16日に私の事務所にスタッフの方に来ていただいて行ったヒアリングの報告書です。私が作成したものをさらに強姦救援センターに送って、見ていただいて、付加、訂正の上、今回お出しいたしました。ですから、私が書いたもの         がベースになっておりますが、細かい点については確認していただいて、今日お出ししております。
 まず、活動内容の項目につきましては、1980年、国連の女性差別撤廃条約を批准せよという女性たちの集会があり、そこで、ポルノは暴力だという主張のアメリカのスライド映画を上映して、その後また映画上映イベントがあって、映画上映については映画上映グループがあったそうですが、女性の問題について活動しているメンバーの方に声がかかり、そして上映イベント活動の手助けをした。そこから、女性に対する暴力被害者の救援活動をしようという話が持ち上がって、そして設立に至るということです。
 ちょうど1980年といいますと、私も思い出しますが、日本においてはフェミニズムの動きが活発になっていた時期という印象を持っております。ですから、私の事務所にいらしたスタッフの方3名のうち2名は発足時からのメンバーのようですが、年齢的には私より少し上の世代の方たち、ちょうどこの1980年代にしっかり社会で活動し初めていた方たちが中心で設立されたように思われます。
 1年間準備期間を経て、1983年9月に発足したということです。この発足に当たっての費用ですが、これは海外と連携していらして、例えばロンドンのWOMAN’S CENTERからの援助が50万円で一番多く、この援助で事務所などの設置ができたとおっしゃっていました。それから、在日外国人女性からの援助とか、アメリカ人の女性シンガーによるコンサートの収益などもあったということです。それから、キリスト教矯風会や外国人の慈善団体からの支援にも支えられたとおっしゃっていました。つまり、日本における問題意識がまだ低くて、なかなか日本人から、あるいは日本の団体からの援助資金は受けられなかったということのようです。
 センターの活動の中心は電話相談と啓発、これはずっと変わっていないということです。電話相談については、電話は2本、そして週2回です。水曜の午後6時から9時、土曜の3時から6時に電話相談を受け付けているということです。この電話相談についてですが、今日お配りしております資料の強姦救援センターニュース、こちらにそれぞれ電話相談の集計等もございますので、ご覧いただければと思います。いろいろ波がありますが、月20件から30件くらいということです。
 電話相談では、まずとにかく緊急性があるかどうか、それを判断する。それから、被害者が何を求めているのか、話を聞くという形でそれを探っていくということです。あくまでも相談の解決を示すということではなくて、被害者が自分で解決できるような方向を模索する、そのための手助けをするということだと、これはかなり強調していらっしゃいました。
 ですから、例えば医療や法律などの知識を伝えることもあるし、もちろん無料の法律相談があるこということを教えたり、それから後で申し上げますが、アドバイザー弁護士がいるので、そちらの情報を伝えたりもするけれども、このような情報提供が電話相談の目的なのではなくて、あくまでも話を聞いて、ご本人が自分で解決する手助けをするということが任務だとおっしゃっています。
 それからもう一つ重要な活動が啓発活動で、年3回、お手元にある東京・強姦救援センターニュースを発行して、それからブックレット「もし、強姦の被害にあったら」を発刊されています。これこのようなブックレットで、ちょっと枚数が多いので今日は資料としませんでしたけれども、かなり細かく項目ごとにコメントが記載されており、情報としても立派なものだと思います。
 それから、ホームページの情報も豊かです。それともう一つは「レイプ・クラシス」、こういうハードカバーの本を発行していらっしゃいます。これは連続講座をまとめたものです。このような活動を通じて啓発をしているということです。
 それから、講座の開催、講師派遣も行っているということです。
 93年に発足10周年の事業として全国9カ所を回って公開、非公開の研修を行って、各地の民間団体とも交流したということです。
 このセンターの活動の特色、これが一番の特色ですが、フェイスレスということを原則としているということです。これには2つ意味があって、一つは被害者側から見た場合に、フェイスレスな相談対応ということで、被害者のプライバシーを守ってくれるのではないかという点から、被害者との信頼関係を保つということの意味です。どこのだれではなくて、自分の話を聞いてくれるだれかというような匿名性、そのことによって被害者が安心して話ができるという環境づくりに役立っているということです。
 もう一つの意味は、これも大きいのですが、スタッフの危険を排除するということです。つまり、どこのだれがこういう活動をしているということがわからないようにするということです。スタッフの方たちは、皆それぞれ職業をお持ちです。そして、そこで社会的にも活動している。この強姦救援センターの活動はあくまでもボランティアとしての活動なわけです。女性の性被害者に対する援助とかという活動をしておりますと、やはり思想的な問題で反対派といいますか、そういう方たちから攻撃を受けるとかということもあるわけですね。そういうような危険を排除するために、匿名性を保っているということです。これについては、センターは徹底していまして、私がこのセンターにアクセスするときに、面識のある弁護士の角田由紀子先生を通じてアクセスしたわけですが、角田先生は、私の認識から言うとセンターの顧問弁護士的な役割を果たしていらっしゃると思っていたのですが、角田先生にお話ししたところ、実は自分も事務所の所在地は知らないとおっしゃっていました。つまり、外側に出て発信する役割を果たすことはあるのだけれども、事務所の中に入ってはいないということでした。スタッフの方たちは、実名、事務所の所在地等、ホームページでも明らかにしていません。今日、ホームページで確認しましたら、郵便等は私書箱をお使いでした。そういう意味では、特定する形では表に出ていないということですが、一方この東京・強姦救援センターの名前は非常に古くから知られているという状況です。
 ですから、スタッフは活動するときに別の名前をお持ちでした。強姦・救援センターの名刺を1人のスタッフの方からいただきましたが、そこには活動のときのお名前を使っているということです。私が知っているDVなどの支援の人も同じように、やはり活動をするときの名前は実名ではないというようなことはありますが、このセンターの場合はそれが徹底しているということが言えると思います。
 それから、組織体制ですが、現在は十二、三名のスタッフで、全員無償のボランティアで女性です。
 トレーニングもかなり徹底しておりまして、まず直接被害者からの電話相談を受けるのには半年間のトレーニングを終了し、トレーニング終了後、さらに半年間、見習いとして事務所の雑用などの活動をし、その後、電話相談を受けるスタッフになるということです。この過程で脱落する方もいるということでした。トレーニングはアメリカ式のトレーニングを活用していらして、非常に厳しいようでした。ですから、トレーニングを受け始めた全員が被害者からの電話相談を受けるスタッフには必ずしもなかなかなれないということです。
 このトレーニング方法ですが、70年代のワシントンの女性グループがつくった「How to start Rape Crisis Center」というものをモデルとした内容で、同じ女性として被害を共感できるまで徹底してトレーニングを行うということでした。
 アメリカの方式を取り入れているというのは、スタッフのうちアメリカで学んでいらっしゃった方などがいて、アメリカとの連携がかなり密のようですので、そういうような形でアメリカ式を導入してトレーニングをしているということです。
 このセンターニュースの61号の最終ページのところに、「スタッフ養成トレーニング 5月27日スタート」という記事がありますが、半年間のトレーニングがこの5月27日に始まったようです。このように毎週土曜日の夜、都内の公共施設を借りて、1回2時間半のトレーニングを約半年間かけて20回行うということです。トレーニングに公共施設を借りたときには、借りる団体名も東京・強姦救援センターとは書かないということでした。
 そして、専門家との協力体制ですが、これもかなり厳しいハードルを課していらして、まずセンターの趣旨を十分理解してくれる人に厳選していらっしゃるそうです。弁護士もアドバイザー弁護士として登録している弁護士が10人ぐらい、全員女性だということです。これは女性でなければだめということでした。アドバイザー弁護士は、もちろん自分から手伝いたいと申し入れをした弁護士の中から選ばれるようですけれども、まず最低条件として加害者側の弁護をしないことと言っていらっしゃいました。
 それから、いろいろな話をした上で、本当にこの弁護士が被害者のことをわかっているかどうかというようなことも判断基準になさっているというお話でした。
 アドバイザー弁護士ということですが、アドバイザー弁護士の情報を必要な、あるいは求めている被害者には提供しますけれども、依頼や受任にはセンターはかかわらない。その後は自分たちの手から離れるということでした。それは、先ほど申し上げたとおり、こちらのセンターの役割が弁護士につなぐとか、医療につなぐとかという、そういうコーディネート的な役割ではないので、そういうことよりも被害者との精神的なつながりとか、ケアとかということを中心にしていらっしゃいますので、そういう意味から、あとはご自分たちでやってくださいということのようです。
 医療については、婦人科を中心とした医師との協力関係がありますということでした。例えば強姦の直後の被害者の場合は、すぐに警察に行かなければいけない、あるいは病院に行かなければいけないというアドバイスをしなくてはならないので、婦人科との連携は必要だということだと思います。
 カウンセラーについては、なかなかこれは特定のカウンセラーとは協力するのは難しいということをおっしゃっていました。こちらは電話相談で完結するという形で、それ以上にどこかでカウンセリングをというようなこととは趣旨が違うのかなと私は理解いたしました。
 それから、財政状況ですが、これについては運営経費は会費と寄付ということです。これも、そのセンターニュース61号の最終ページに、センター会計という記事がありまして、2005年の1月から12月の会計報告がありますので、こちらをご参照いただければと思います。会費は一口3,000円、発足以来変わっていないということです。会員数の増減はありますが、現在、400人ぐらいの会員がいらっしゃる。
 それから、あとは寄付なのですが、主として外国の団体などからの寄付があります。それから、被害者ご本人からの寄付をきっかけにして、「あきらめない女たちへ」という基金ができているということです。この基金は、裁判を起こしたい場合の弁護士費用の一部として貸付などを行っているということでした。それから、アドバイザー弁護士がついて裁判をして、損害賠償を得られたというようなときには、幾らか基金の中に入れるというような形で増やしていくということです。
 市川房枝基金を受賞して、それによって1989年に連続講座を開催し、その成果が「レイプ・クライシス」という本にまとめられて発行されています。
 助成金などについては、非常に財政的に厳しいので、公的助成は受けたいということです。けれども、日本社会がこの問題に対する関心が薄いということがまず1つ、それからセンターの特色としてプライバシーの保護と危機管理の見地から、先ほど申し上げたとおり事務所の所在地もスタッフの実名も公表していないという状況で公的な助成への申請手続ができるかという問題があるということでした。公的な助成金だけではなくて、各種団体、企業からの支援についても、このような点がネックになっているということです。
 実際に名前がわからないということ、名前を公表しないということは被害者側にとっても、メリットはあるのですが、スタッフの危険ということを考えると、もう少し日本の社会がレイプの被害者に対する救援活動に理解があってもいいのではないかと思います。実際に、おまえたちは何をやっているんだというような言い方で排除をされる可能性があるというようなことをおっしゃっていますし、私自身もそういうようなことが想像できるので、それはやはり社会的な問題なのかなと思います。ですから、このセンターの場合はフェイスレスであるということをクリアできないとなかなか申請が難しいということです。
 それから、事務所等については民間の賃貸で、トレーニングは都内の公共施設を借りて行っているということです。
 関連諸機関や団体との連携というのは、警察とは特に連携はしていないのだけれども、警察から聞いたと言って電話してくる被害者も多いということです。それから、10周年記念として各地に回って、民間団体と交流して、その後も緩やかな交流は続いているということです。
 こちらのセンターの特色は、電話相談を受けているわけですけれども、いろいろなところに相談しても満足できなくて、最後にここにたどり着くという傾向が強いということでした。センターは、100%被害女性の味方というスタンスを貫いている。ですから、いろいろな支援団体がありますけれども、センターは徹底して被害者の味方というはっきりした姿勢を持っていると思います。
 仮に財政が豊かになったら、もちろん電話相談日を増やしたり、回線を増やしたり、外国語による相談について、英語はできるスタッフがいれば英語の対応はしているが、それ以外の言語による相談も可能にすることができるので、それは実現できればいいと思っていらっしゃいます。また、啓発活動としても目的ごとに、対象ごとにリーフレットを何種類も作成して配布することができるし、それから教育という観点では、デートレイプを防ぐことを目的としてDVDをつくるとか、教育プログラムをつくるとか、そういうことも財政が豊かになれば進めたいと言っていらっしゃいました。
 本来はこの強姦救援センターというのは、外国では24時間の電話対応などをしているから、本当はそういう対応や、今外国人女性の問題を考えると、いろいろな言語での対応が必要であるが、それは無償のボランティアというような組織ではとてもできることではない。常勤の有給スタッフを配することが欧米並みにできれば、救援の輪を広げることができるのにとおっしゃっていました。
 財政援助以外の援助としては、事務所についていえば、例えばラスベガスのレイプクライシスセンターは、年間1ドルで建物が借りられるそうです。このような便宜を図っていただければありがたい。まだまだこういうセンターがあるということが日本で知られていないので、広く知られるように情報も発信してもらいたいということでした。
 これは財政援助とは違いますが、おっしゃっていたのは、例えば性被害者はまず警察に駆け込めば、警察はいろいろ性被害者に配慮した形でのことをしてくれるわけです。例えば、病院に一緒に付き添って行って証拠採取をするとか可能であり、基本計画でも緊急避妊などの費用や中絶費用の公費負担とかも施策とされているわけですが、これはすべて警察に行った人の場合だということなのですね。
 センターのお話では、すべての被害者が警察に行くわけではない。すぐ警察に行ける人も少ない。告訴期間が撤廃されたということを考えても明らかなように、いろいろ考えてやはり被害を訴えようとする人もいるわけで、ただそのときには、証拠はない、警察に行かなかったから証拠保存できなかったということになる。そうであれば、性被害者には医療機関を中心にした救急サービスみたいなものがあって、とにかく性被害者は救急車か何かで、一極集中的な医療センターに運ばれ、そこでとりあえず証拠収集をしたりして、そして後に被害者が警察に訴える等法的な手続をするとなったときに、それを使うようなシステムが必要じゃないか。そうでなければ、警察に行った被害者と行かない被害者ということで格段に違ってしまうということでした。
 医療機関に行って証拠採取してくださいと言っても、警察から言われなければできないと言われるのも普通であるということもあり、このような被害者の救済システムを、海外での医療センターのような機関を考えてほしいとおっしゃっていました。
 それから、医療費の補助等についても、女性の場合は収入が少ないのが一般的なので、やはり補助や軽減を強く求めたいということです。
 シェルターについても、一般のシェルターではなくて、性被害者に特化した、性被害者が安心して住むことができるシェルターが必要であるということです。
 それから、助成の申請手続が煩わしくないように、余り細かい内容まで踏み込まずに、民間団体の自由な活動を阻害しないような形として、簡便化を求めるということです。 例えば、強姦救援センターというと、日本では強姦という言葉に非常に反応してしまって、婦女暴行という言葉でもわかるのですが、強姦という言葉を冠しているがゆえに変な団体かと思われたりすることがあるということでした。ただ、スタッフの方に言わせれば、強姦は強姦としか表現のしようがないということです。ですから、このような言葉で、何か言葉の印象などで引いてしまうような、申請が困難となるようなことのないように希望するということでした。
 やはり教育が大事で、若いころからの教育が必要であり、セクハラや出会い系、それからデートレイプを防ぐために教育プログラムの中に組み込むことも必要だし、中高生の相談窓口を設置したりすることも必要であるというお話でした。以上です。

○冨田座長 番先生どうもありがとうございました。 それでは、5分ほどですが、質疑応答をしたいと思いますが、ご質問ある方いましたらお願いいたします。
 私からよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。まず、海外のレイプクライシスセンターだと結局活動の中心は直後の、ここで言っている緊急医療みたいなものも含めた活動と、それからいわゆる直接支援が中心だというふうに私は理解しているんですが、そういう方向にしようとしているんでしょうか。

○番構成員 スタッフがおっしゃっていたのには2種類あるのかなと思います。先生がおっしゃっるように緊急のレイプクライシスセンターのような駆け込み寺的なものを想定していらっしゃる部分と、それからWOMAN’S CENTERのような、いつでも相談を受けますよと、時間がたっても受けますよというようなものの2種類のことを想定していらして、1つは緊急で駆け込んで医療と一致したもの、多分お話の中に出てきたのは最後の救急のセンターが欲しいというところであって、その前にセンターとパラレルに考えていたのは、電話相談などを常に行うことのできるところというところだと思います。

○冨田座長 それから、関連してもう1点ですが、今でも直接ケースをある弁護士の方にリファーするというようなこともしてはいないのでしょうか。

○番構成員 情報として被害者に提供するということです。

○冨田座長 実際に連携をしているある先生のところに紹介するということまではしていないということですか。

○番構成員 いや、アドバイザー弁護士ですから、やはり連携はしていますが、そういう弁護士に紹介するというよりは被害者に情報提供するという言い方でしたね。

○中島構成員 詳細なご説明をありがとうございました。1つ質問ですが、多分今のスタッフの人数であるとか、そういうこともあって限られた時間の相談とかにとどまっていると思うのです。例えば現在はフェイスレスであるがために助成とかを受けるのが非常に難しいということですが、例えば助成をする機関にのみそういう場所を明かすけれども、ほかには絶対知られないというようなセキュリティーが守れるということであれば、活動拡張のためにそういった形で申請する可能性とかはこの団体では考えていらっしゃるのでしょうか。

○番構成員 こちらのセンターはフェイスレスにこだわっていますね。いろいろな荒波をくぐっていらっしゃったのかなと思うのです。一方的な見方をされるということに強い警戒心を持っていらっしゃるのではないかなという気がしました。

○冨田座長 我が国における民間団体への援助につきまして、各関係府省庁からご説明をお願いしたいと思います。最初に、警察庁、よろしくお願いいたします。

○警察庁給与厚生課犯罪被害者対策室長 それでは、私の方から警察が行っております民間被害者支援団体との連携等についてお話ししたいと思います。
 ポンチ絵の資料、4枚のポンチ絵と1枚表になった資料の合計5枚の資料がお手元にあろうかと思います。
 まず、1枚目の資料1、警察と関係機関・団体等とのネットワークでございます。これは連携のための検討の会議でもご説明させていただいたのですけれども、警察では平成10年以降、警察庁の方から全国警察に指示をいたしまして、被害者支援連絡協議会という名称のネットワークを置くように、構築するように全国警察に指示をしております。警察の方がこの事務局をとって、各都道府県レベルと各警察署単位にこのネットワークを置いておるということでございます。
 この都道府県レベルの被害者支援連絡協議会の中に、関係機関、公的な機関も民間もありますけれども、そういったものに加えてといいますか、それとともに、民間の被害者支援団体にご参画いただいているというものでございます。
 この都道府県レベルの被害者連絡協議会の役割としましては、一般的な情報交換でありますとか意見交換、あるいは広報啓発活動も行うということもありますし、非常に大きな規模の事件、事故が発生した際に、各機関における役割分担の確認をする、あるいはその意思統一を図るといったようなことをやっております。
 それから、さらにこの被害者支援に関する例えば条例を制定しましょうですとか、ないところでは民間の被害者支援団体を設立しましょうといった、そういった合意形成の場としても使われているものでございます。
 ここにご参画いただいている民間被害者支援団体につきましては、全国被害者支援ネットワークに加盟されている団体はすべてご参画いただいていると思います。そのほか、例えば「いのちの電話」でありますとか、カウンセリングセンターと言われるようなところ、あるいはDV関係のWOMAN’S HOUSEというふうに言われているところ、あるいは被害者の方からなる遺族の会ですとか、自助グループといったような団体もその地域の状況に応じてご参画いただいているというものでございます。
 1枚めくっていただきまして、今どういう枠組みで警察は民間の被害者支援団体と連携しているかということでございます。警察は、平成4年に山上先生が東京医科歯科大学に犯罪被害者相談室を設立されて以来、協力・連携をさせていただいておりまして、あるいは平成10年に全国被害者支援ネットワークが設立されてからも、全国ネットワークでありますとか、各都道府県での民間の被害者支援団体の設立、あるいは運営に協力をさせていただく、あるいは連携させていただくということをしてきました。
 しかしながら、課題といたしましては、こういった民間の被害者支援団体の役割は大変重要で、その支援は必要不可欠であると、そういう認識を持っておりますし、また現実にそうなのですけれども、そうである反面、被害直後の被害者の方はその民間の団体が信頼できるものかどうかということの判断が非常に困難であるというようなこと、あるいは民間団体としては被害者の方からの接触を待つというある意味受け身の状況でございますので、そういったこと等から時期を逸してしまう、早期の支援というのがなかなか行えないというような問題点が指摘されておったところでございます。
 そこで、平成13年に犯給法、犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律を改正いたしまして、被害者が安心して支援を求めることができる団体を選択できるようにすると。それとともに、民間団体の活動を活性化して、被害者支援の充実を図ろうということで、この犯罪被害者等早期援助団体の制度を創設しております。これは平成14年4月1日から施行されております。
 どういうものかといいますと、一番左にございますけれども、いろいろな民間被害者支援団体があるわけでございますけれども、犯罪被害等の早期の軽減に資する事業を適正かつ確実に行うことができると認められる非営利法人を都道府県公安委員会が指定するということでございます。どういった事業を適正かつ確実に行うことが必要かといいますと、☆が4つほど並んでおりますけれども、広報啓発活動、相談活動、それから犯罪被害者等給付金の裁定の申請補助、さらに物品の供与、貸与、役務の提供、その他の方法による被害者等の援助。この最後の☆印は、いわゆる直接的支援を行うということを想定しての書きぶりでございます。私どもとしても、この4番目の☆印を非常に重視しているわけでございますが、こういった4事業を適正かつ確実に行うことができると認められる法人を指定する。
 要件はここで細かくは申し上げませんが、人的な要件、物的、施設的な要件、あるいは経理的基礎というものが必要でございまして、特に人的要件について言えば、犯罪被害者相談員の数でありますとか、選任の要件というのが定まっているところでございます。
 こういった指定をすることによりまして、いわば公的認証でございますので、社会的信用が高まって被害者が安心して援助を受けられるという、そういう効果があるであろうと。
 それから、これもまたちょっと後でご説明しますけれども、警察から援助に必要な情報が提供されることによって、民間団体の方から能動的にアプローチができると、そういう効果が期待されるところでございます。さらに、この早期援助団体に指定されますと、これは自動的にということではございませんけれども、基準をクリアいたしますと、特定公益増進法人として認定され得るということでございまして、いわゆる寄附金控除の対象となる特定公益増進法人、あるいは相続財産を贈与した場合に相続税が非課税となる法人の範囲に加えられると。これは犯給法の仕組みではもちろんございませんで、税法上の優遇措置というか、そういうものが受けられ得るということでございます。
 現在のところ、早期援助団体については全国で9団体、これは秋田、宮城、東京、茨城、埼玉、愛知、京都、熊本、宮崎というところで指定されております。また、特定公益増進法人につきましては、そのうち宮城、東京、愛知、京都、熊本というところが認定をされているということでございます。
 それで、情報といいますか、警察から情報がどのように提供されるかということでございますが、その下の矢印の三角形の図をごらんいただきますと、まずこの早期援助団体に指定されますと、警察に対しまして包括的に今後被害者の氏名や連絡先、あるいは犯罪被害の概要を教えてほしいと、情報を提供してほしいということで要請がございます。それを受けまして、警察の方では被害者の方にこういった団体がありますということをご説明して、その同意を口頭または書面で得た上で、早期援助団体に被害者の方の氏名や連絡先、犯罪被害の概要を提供すると。それに基づきまして、この早期援助団体の方が自ら被害者の方に働きかけをすると。いわゆる危機介入的な支援を行うと、こういうことになっておりまして、被害者側からの働きかけがなくとも、民間団体の方から被害者に対してアクションが起こせると。そういうことになっております。
 今、こういうふうな形で、警察としてはまだ全国的に全国被害者支援ネットワークの団体が47都道府県すべてで設立されているわけではございませんので、その設立を支援しますとともに、この民間被害者支援団体が早期援助団体に、早期に指定が受けられるように、できるだけ早いうちに、できるだけ近い将来に全国で早期援助団体が存在するようにということで、いろいろな支援と連携をさせていただいているということでございます。
 続きまして、そういった民間の被害者支援団体に対して、特にこの検討会の主要なテーマである財政的な援助はどのように行っているのかということでございます。これは国によるということで、国としてどれだけの援助をさせていただいているかということでございます。一番左側の上の方にあります民間被害者支援団体等に対する活動支援に要する経費、これは18年度予算で新規に国費で容認されたものでございます。これは、全国の各県の民間被害者支援団体が意見交換をやったり、情報共有化をする、あるいは研修をする機会、こういったものを国の事業として行うということでの予算措置でございます。
 それから、上の右側の民間の犯罪被害者相談員に対する委嘱に要する経費、これは民間団体で電話相談なり面接相談をやっていただいている方の委嘱の経費です。費目としては、謝金という形でお支払いしているわけですけれども、それとそういった民間団体において相談業務をやっていただいている方の研修に要する経費、これを都道府県に要する経費ということで、その2分の1を国が補助するということで補助金を措置しております。これは今年度から9,300万円に増額されたところでございます。
 それから、下の段の左側でございます。犯罪被害者等早期援助団体の直接支援員に対する委嘱に要する経費、これは相談員に対する委嘱に要する経費とパラレルといいますか、同様の制度でございまして、直接支援に従事している方に対する委嘱経費、これも謝金の形ですけれども、それと直接支援をやっていただいている方の研修に要する経費、これを都道府県警察に要する経費の2分の1という、同じく補助金の形で措置させていただいている。これも今年度1,300万円から2,000万円に増額されております。
 それから、下の右側の方ですけれども、これは今年度から新規ということで、民間の被害者支援団体に対する広報啓発業務の委託に要する経費ということで、民間の被害者支援団体の活動の大きな柱であります各種の広報啓発活動、この経費を委託費として同じく補助金で措置しておるということであります。
 補助金につきましては、これは国が2分の1出しまして、都道府県が2分の1を出すということでございますので、事業費ベースとしては、その倍になるということでございます。そういった国費、補助金もろもろ合わせまして、18年度においては1億7,600万円ほどの国としての財政支出を、警察庁分としては行っているということでございます。
 それと、もう1枚めくっていただきまして、次のものは財政的な支援以外のものということでございまして、人的、物的、その他ということで、こういった民間被害者支援団体の設立や運営についての支援をさせていただいている。あるいはその研修における講師の手配、派遣、あるいは会議室の手配、貸出といったようなこともやっております。
 それから、民間被害者支援団体が行う直接支援業務に場合によっては同行する、あるいは警察の車両、これは貸し出すということではありませんけれども、警察の者も一緒に行っておりますけれども、同乗してもらうといったようなことをやっております。
 それから、当然のことながら、こういった民間被害者支援団体がありますよということで、被害者の方にお配りする「被害者の手引」に連絡先を掲載するといったこと、それから各種のキャンペーンを後援する、あるいは一緒になってやるといいますか、そういうような活動をやっているところでございます。
 最後に、表になっております民間被害者支援団体に対する財政支援措置状況ということでございますが、1として書いたのが、先ほどポンチ絵で説明した国による財政支援措置状況でございまして、2の表になっているのが地方公共団体における財政支援措置状況でございます。これは、警察として常日頃密に連携して把握可能なものということで、全国被害者支援ネットワークに加盟している団体に限った調査ということになっております。かつ、科目、費目として委託料なり補助金なり負担金という名目で予算措置されているものという調査をしたものですから、そうでない費目で措置されているものについては計上されていないケースがございます。これにつきましては、内閣府さんの方で非常に詳細な調査をされておりまして、若干異なるところが出てくるのですけれども、それは今申し上げたように、調査の費目をこちらの方が絞っているというようなことですとか、18年度の予算措置状況を調べたのですけれども、内閣府さんの方で17年度のものを調べていたりとか、そういったその他ちょっと細かい点で違いはありますけれども、大体同じような数値と結果が出てきているかと思います。
 実は、この中にはいわゆる県単、県単独事業で措置しているものもありますけれども、先ほど申し上げた国庫補助金で国が2分の1出して、都道府県が2分の1出すといったそういった事業にかかるものも含まれておりますので、先ほど国が総計で1億7,600万円措置させていただいているというお話をしましたけれども、今ここの表で言うと、最後に合計とは書いてありませんけれども、合計額が1億2,593万5,000円という数字が上がっておりますけれども、これと1億7,000万円を足せばいいのかというと必ずしもそうではなくて、ちょっと重なっている部分があるということはご了解いただきたいと思います。
 私の方から非常に簡単ですけれども、以上でございます。

○冨田座長 どうもありがとうございました。質問ありましたら、どうぞ。

○番構成員 ご説明ありがとうございました。資料2のところで、早期援助団体と警察との連携の方法等はわかったのですけれども、例えば早期援助団体をご紹介したケースで、犯罪発生後どのぐらいでご紹介したかとか、あるいはどのぐらいで早期援助団体のスタッフが被害者と会ったかとか、早期援助団体の援助が始まったかとかというような統計など、何かそういうまとめはありませんか。

○警察庁給与厚生課犯罪被害者対策室長 申しわけございません。そういう統計は実はとっておりません。ただ、一般論として、本当の意味の被害直後の被害者の方というのは、やはり警察の支援が中心でございまして、この早期援助団体をご紹介はする、あるいは情報提供するのですけれども、直ちに早期援助団体からの支援をいただきたいといいますか、支援を必要としてご連絡をされる、あるいは早期援助団体の方からの介入といいますか、連絡を受けてその支援を受けるというケースはそれほど実は多くはないのではないかと。やはりある程度落ち着いた状況といいますか、そういう段階で支援を受けられるケースが多いというふうには聞いてはおりますけれども、統計的なものはございません。

○中島構成員 ご説明ありがとうございました。今年度新規の新設されました民間被害者支援団体等に対する活動支援に要する経費ですが、この内容のイメージというのは、例えば全国被害者支援ネットワークが全国研修会などをするとか、そういったものに対する補助というようなイメージでよろしいのでしょうか。

○警察庁給与厚生課犯罪被害者対策室長 この3枚目の資料3の左の上の方、国費と書いてある、これについてはおっしゃるとおりでございます。そういうイメージでの予算措置でございます。

○冨田座長 質問ですが、被害者支援連絡協議会についてですが、これもかなり大きな役割を果たしていると私も認識しているんですが、この開催頻度などについての情報があったら教えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○警察庁給与厚生課犯罪被害者対策室長 実はそれにつきましては、支援のための連携に関する検討会で資料を提供いたしましてご説明したところでございまして……。

○冨田座長 それはまたそちらの方の議事録を見るということで。

○警察庁給与厚生課犯罪被害者対策室長 簡単なところだけご紹介しますと、平成17年中は全国で総計114回の被害者支援連絡協議会を開催していると。ただ、支援のための連携に関する検討会でも申し上げたのですけれども、県によって開催状況というのはかなりばらつきがございまして、17年中は開催をしていないという県もありますし、16回開催をしたという県もございます。

○冨田座長 それでは、次に移りたいと思います。厚生労働省お願いいたします。

○厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子家庭等自立支援室女性保護専門官 厚生労働省でございます。
 厚生労働省におきましては、配偶者からの暴力及び児童虐待の被害者等を支援する民間団体への援助の実態ということで資料を用意させていただいておりますが、簡単な資料を3枚用意させていただいております。
 1つ目としましては、そういった被害者に対する支援を行う人材の養成への支援ということでございます。厚生労働省におきまして、都道府県が実施します配偶者からの暴力被害者等の相談を直接受ける職員、例えば婦人相談所を中心といたしまして、婦人相談員ですとか、福祉事務所の職員、医療保健、その他警察等の職員も含めまして、そういったネットワークの中で入る職員に対する専門研修、これについて補助しております。また、その中に民間シェルターのスタッフの方の参加を促しまして、被害者の支援に必要な専門知識ですとか、技術の習得に向けて支援を図っているところでございます。
 また、特に予算措置は伴わないものでございますが、婦人相談所や児童相談所においては、配偶者からの暴力被害者や児童虐待を受けました児童等の支援を行う民間団体が実施します支援者やボランティア等の養成や研修の実施に対しまして、専門的知識や技術を持った医師ですとか、ケースワーカーですとか、心理職等の職員につきまして講師派遣を行っており、民間団体の人材養成の支援を行っているところでございます。
 支援を行う人材の養成につきましては、被害者支援におきましても重要な要素であると認識しておりまして、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 2枚目の資料を見ていただきまして、婦人相談所による一時保護の委託ということがございます。配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律が平成14年度から施行されておりますが、厚生労働省におきましては、そういった配偶者からの暴力被害者については平成14年度から、平成17年度からは新たに人身取引被害者につきまして一定の基準を満たす民間シェルターを含む施設に一時保護の委託をしております。
 DV被害者の相談件数や保護件数とも法律の施行とともに平成14年度から急増しておる状況でございますが、3枚目の資料を見ていただきますと、平成17年度における一時保護委託人数は、被害女性及び同伴家族、これはほとんど女性の子供でございますが、合わせまして3,125人となっております。平成18年度に都道府県とDV被害者等の一時保護委託について契約した施設は、前年度の198施設より増えまして229施設となっております。そのうち民間団体、民間シェルターにつきましては、35%の81カ所となっております。民間シェルターにおける被害者の保護に当たりましては、委託しました都道府県の婦人相談所が今後の支援について話し合いをするとともに、必要に応じて外国人の被害者であれば通訳ですとか、心理的なケアということで心理療法担当職員の派遣等の援助を行っているところでございます。
 以上のように厚生労働省におきまして国や地方自治体において、実施すべき事業につきまして「委託」という形をとることによって、民間団体が目的とする活動が実施しやすいように援助をしているところでございます。以上でございます。

○冨田座長 どうもありがとうございました。1点よろしいでしょうか。この委託の費用はだれがどういうふうに負担しているのでしょうか。さっきの国費が2分の1で都道府県が半分とか、そんなようなことですか。

○厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子家庭等自立支援室女性保護専門官  一時保護委託費につきましては、国単価において被害者女性1人1日当たりおよそ6,500円ほどなのですが、これにつきまして、都道府県の婦人相談所が一時保護委託した場合に、その日数に応じて都道府県が民間シェルター等に委託費を出します。そのうちの2分の1について国が補助をしているという状況でございます。

○番構成員 DV事件をたくさん扱っているにもかかわらず基礎的なことを伺うのは恥ずかしいのですけれども、一時保護を民間に委託した場合には、被害者の方は一切お金は要らないのでしょうか。一時保護の期間は要らないということになるのでしょうか。つまり、被害者が通常の民間の保護施設に紹介を受けて行く場合もありますよね。その場合は自分でお支払いになったりしているのですけれども、その点はどうなのでしょうか。

○厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子家庭等自立支援室女性保護専門官  婦人相談所の一時保護所における一時保護と同様に、婦人相談所から一時保護委託先で保護された場合は、費用は要りません。

○警察庁給与厚生課犯罪被害者対策室長 先ほど、私、間違った説明をしてしまいまして、ちょっと訂正させていただきたいと思います。
 国による財政的な措置で1億7,600万円と地方公共団体による財政措置で1億2,500万円余り、これは当然国のお金と都道府県ないしは市町村のお金でございますので、お金として重なりはございません。申しわけございません。あくまで事業として同じ事業について計上されるといいますか、事業に重なりはございますけれども、金目としては重なりはございませんので、訂正させていただきます。
 それと、先ほどちょっと舌足らずだったのですけれども、番先生のご質問に対してコメントした際に、早期援助団体における支援の時期の状況ですけれども、正確に申しますと、私どもが都道府県警察の方の担当の人から聞きますと、被害直後、被害者の方に早期援助団体というのがあって、こういう支援ができるのだけれども、情報を提供していいですかというふうに同意を求めますと、実は思いがけずといいますか、意外に当面警察だけでいいですというふうに回答される方が実はかなりいて、その後、いろいろなことを知って同意をされるという、こういうケースがあるということでございます。ちょっと補足させていただきます。

○冨田座長 わかりました。続きまして、内閣府の男女共同参画局にお願いしたと思います。

○内閣府男女共同参画局推進課配偶者間暴力対策調整官 内閣府の男女共同参画局でございます。
 私の方からは、民間シェルター等に対する財政的援助に関する交付税措置についてご説明をさせていただきます。
 この民間シェルターに対する財政的援助は、DV法の26条にございます「国及び地方公共団体は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るための活動を行う民間の団体に対し、必要な援助を行うよう努めるものとする」という規定を受けまして行っているものでございます。具体的には地方公共団体から民間団体に対する財政的援助について、平成13年度から地方交付税法上の特別財政需要としまして、各年度末の特別交付税の算定基準に措置率1/2として盛り込まれております。
 特別交付税につきましては、お配りしております資料の最後のページに省令をおつけしております。
 まず、民間シェルターの把握の状況という一番初めの1枚紙をご覧いただきたいと思います。13年度からの把握状況についてペーパーに書いてございますが、平成17年度把握した民間シェルターの施設でございますけれども、全国で93になっています。前年度に比べまして12施設増えていまして、特に増えましたのが沖縄県で4施設増えています。下の表に施設の属性を書いてございますが、増えましたのは主にNPO法人で、あとは宗教法人が3法人増えているということでございます。
 次に、2ページ目のところ、民間シェルターに対する財政的援助の状況という2枚目をご覧いただきたいのですけれども、上の3つの表は今度は施設ではなくて団体の延べ数で数えておりまして、1枚目の資料は施設だったのですけれども、ちょっと対応していなくてわかりにくいのですが、こちらの団体の方は延べ数で数えておりまして、つまり事業ごとに延べで数えていますので、1つの団体でも別の事業が異なる補助金を受けている場合は、複数団体で数えてございます。
 したがいまして、初めの資料と対応関係が余り明確ではないのですが、財政的援助の状況につきましては、初めにご覧いただきました施設の増加に伴いまして、全体としては大体2,000万円ほど増えているという状況でございます。都道府県と市町村別に見てみますと、市町村では増えていますが、都道府県では若干減っているという状況でございます。この援助額のうち、措置率1/2として、特別地方交付税の算定基準に盛り込まれているということです。
 1枚目の対応関係で見ますと、一番下の4番目の表でございますが、平成17年に把握された民間シェルター93施設のうち68施設が財政的援助を受けているという状況になっています。大体7割の施設が財政的援助を受けているということでございます。3割は受けていないのですけれども、これにつきましては理由は様々なんですけれども、都道府県、市町村の財政事情が厳しくて難しい、あるいは団体からの要請がない、それから基準を満たしていないので今実績を見ているというような理由が財政的援助をしていない主な理由でございます。
 次の3枚目の資料でございますけれども、都道府県別に民間シェルターの施設数、それから地方公共団体が民間シェルターに対して援助している額を掲げてございます。2番目の欄が初めの資料の平成17年度と同じ数字でございまして、3番目の蘭が都道府県別に行っている援助額でございます。
 援助の内訳につきましては、私どもの資料の方には詳しく記載していないんですけれども、犯罪被害者等施策推進室のお出しになっている資料の方に具体的に書いていただいていますが、主なものといたしましては、シェルターの管理運営に係る経費、あるいは相談事業の運営に係る経費ということでございます。具体的に申し上げますと、シェルターの賃料、それから人件費、通信・運搬費などが具体的な中身になっております。私どもの方から以上でございます。

○冨田座長 どうもありがとうございました。それでは、質問がありましたらどうぞ。

○中島構成員 ご説明ありがとうございました。2点あるのですけれども、1点はこの助成を受ける団体についての認定資格というのは各都道府県に任されて個別の判定、基準に任されているのかということが1点と、もう1点は、民間の場合だと1つの都道府県に限らず、かなり広域に活動しているところもあると思うのですが、そういうような場合、例えば複数の都道府県であるとか、市町村から助成を受けるというようなことも可能な状況になっているのかの2点についてお教え願います。

○内閣府男女共同参画局推進課配偶者間暴力対策調整官  1点目でございますけれども、事業を行っている都道府県、市町村においては、事業の実施要綱のようなものをつくっていまして、それで援助対象等を決めているということでございます。  2点目でございますけれども、団体ごとの援助になりますので、広域的に活動している団体については、各自治体からでている場合もあると思います。

○番構成員 確認なのですけれども、このペーパーの2枚目の民間シェルターに対する財政的援助の状況と、それから次の都道府県別の援助額、これは同額ですが、これを国と地方公共団体で半々に分けているという理解でよろしいのですね。

○内閣府男女共同参画局推進課配偶者間暴力対策調整官  措置率1/2として、各年度末の特別地方交付税の算定基準に盛り込まれているということでございます。

○林構成員 この各シェルターの入っている人員というか、入っているパーセンテージですか、100人に対して100人とか、入っている人たちのパーセンテージはどのくらいになるんですかね。収容率という言葉を使ったらいけないのかもしれないのだけれども、ごめんなさい。

○内閣府男女共同参画局推進課配偶者間暴力対策調整官  こちらの調査では財政的な状況についてはは把握しているのですが、そのようなパーセンテージは把握しておりません。

○林構成員 要は、今後ともまた増えていく方向にあるのか、多分あるのでしょうけれども、どのくらいかなと思ってお聞きしたんですけれども。

○内閣府男女共同参画局推進課配偶者間暴力対策調整官  例えば必要となる賃料とか、それから通信・運搬費のような援助の額を把握している調査でございまして、そのような入居について把握しておりません。

○林構成員 ないわけですね。収量もまだないと考えたらいいわけですね、把握されていないということですね。

○内閣府男女共同参画局推進課配偶者間暴力対策調整官 はい、そうです。

○林構成員 わかりました。

○冨田座長 私から1点お伺いしたいんですが、先ほどの中島構成員の質問のフォローみたいな形、追加の形なんですが、先ほど対象となるシェルターについての基準というのが各都道府県等で決まっているということをご説明くださったわけですが、たくさんあるんでしょうが、その要点というか、特に重視される点はどのようなところでしょうか。

○内閣府男女共同参画局推進課配偶者間暴力対策調整官  都道府県、市町村によってそれぞれ違う実施要綱をつくっておられまして、一番ポイントとなると思われますのは、やはり援助の対象でございます。都道府県、市町村によって援助事業の内容をかなり詳しく決めておられるところもありますし、人件費とか電話料といった形で決めているところもありますが、その内容が一番ポイントになるのではないかと思います。

○冨田座長 どうもありがとうございます。それでは、次に移りたいと思いますが、内閣府の犯罪被害者等施策推進室、お願いいたします。

○事務局(府犯罪被害者等施策推進室長) 地方公共団体において、民間団体にどのような援助を行っているかということで、6月の初めから7月の半ばにかけまして、都道府県と政令指定都市を対象といたしましてアンケート調査を行いました。これは都道府県と政令指定都市だけですので、全市区町村の取組というのを、把握しているものは教えてくださいという形で各都道府県にお願いしまして、これは余り数は多くないのですけれども、少し上がってきております。詳細につきましては、資料に基づいて参事官の方から説明をさせることといたしますが、この調査を行う際に、以前よい取組があれば現地に行ってインタビューをやろうかというようなことも申し上げたわけですけれども、現時点ではわざわざ行ってまで聴取するようないい取組というのが余り見当たらないのかなというふうに事務局としては考えております。
 また、いろいろ詳細把握の必要が出てくれば、事務局の方から照会等行ってまいりたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、参事官の方から調査結果について説明をさせます。

○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官) それでは、地方公共団体における犯罪被害者等支援団体等に対しましての援助状況に関して行いましたアンケート調査の結果について説明させていただきます。
 資料5がその結果を取りまとめたものでございますので、ご覧になっていただきたいと思います。
 最初の3枚が概要を取りまとめたもの、詳細につきましては、その後のページに記載してございます。
 最初に、本調査の概要につきまして簡単に説明させていただきますと、本年の6月5日から7月14日にかけて行いました47都道府県及び15政令指定都市を対象として実施したアンケート調査ということであります。何分にも期間を区切って任意協力の形で実施したアンケート調査でございますから、先ほど警察庁の方からの発表でもありましたけれども、17年度と18年度のものが同時に記載されていたりということもありますし、回答漏れも全くないとまでは言えませんが、回答自体はすべての都道府県と政令指定都市からいただいているところであります。
 なお、これらの地方公共団体が行っている援助につきましては、調査範囲に一切限定を設けず回答を求めているところでありますので、知事部局の行っている援助にとどまらず、教育委員会事務局、各種行政委員会、警視庁及び道府県警本部、各種センター等の出先機関が実施している援助も含まれておりますし、DV、児童虐待等特定の罪種類型の被害者を支援する団体に対する援助もすべて含まれているところであります。
 続いて、調査の結果について説明させていただきます。
 まず、財政的援助の状況でありますが、犯罪被害者全般を対象とする支援団体に対しましては34都道府県及び3政令指定都市で財政的援助が実施されておりました。県と政令市の両者から援助を受けているという支援団体が3団体ありますので、援助を受けている団体の実数は34団体ということになります。このうち33団体は全国被害者支援ネットワークの加盟団体もしくは加盟予定団体でありまして、唯一の例外が前回ヒアリングにおいてご説明をいただきましたおかやまサポート・ファミリーズということになっております。
 なお、同団体に対する援助がまさに該当しますが、援助を受けている団体と申し上げました中には、今年度実施予定となっていて未実施のものも含んでおります。この点は、以下の説明についても同様ですので、ご承知おきください。
 次に、財政の支出の形態を見ますと、補助金、委託料、負担金、報償金、会費、寄付という形態となっております。
 担当課室につきましては、ご覧になればおわかりのように、警察を通じた援助というものが大半を占めております。茨城県、群馬県、神奈川県、京都府、岡山県、京都市、仙台市、名古屋市の5府県3政令市では、警察以外の担当課を通じての援助も実施されているところであります。
 神奈川県、岡山県の事例につきましては、公募企画型事業に支援団体が応募するという形で援助を受けるという形になっているところです。
 支援の対象事業について見ますと、相談や面談、広報啓発、人材育成が中心となっているところですが、18府県市では付き添い、10府県市では情報提供に、10県市では自助グループへの援助に、12府県市では運営管理一般という対象事業についても援助対象となっているところがあります。
 金額の上限等について見ますと、特に定めのない地方公共団体が多くなっておりますけれども、一定額の上限等を定めているもの、事業累計別に上限等を定めているもの、経費全体への援助割合を定めているものも見られるところであります。
 援助の実績額について、1団体当たりの金額を見てますと、20万円から1,600万円までとかなり幅があるところですが、1,600万円といいますのは、都民センターに対する東京都の補助でありまして、これを除きますとおおむね数十万円から数百万円の範囲に集中しているということができるかと思います。
 次に、特定の被害類型を対象とする支援団体に対します財政援助を見ますと、24都道府県5政令市で実施されておりました。性被害、DV、児童虐待については男女共同参画課やこども家庭課といったところを通じて援助が行われており、性被害については沖縄で、人身取引については東京で事例がありました。DVが中心ですが、一時保護、シェルター事業に関して委託料、補助金という形で援助をするという形態が中心となっております。
 そのほかにも交通事故を対象とする支援団体、消費者被害を対象とする支援団体に対する援助についても8県1市で行われておりました。
 次に、財政的援助以外の援助の状況についてご説明いたします。
 犯罪被害全般を対象とする支援団体に対しましては35都道府県、3政令市で実施されておりました。類型ごとに見ていきますと、広報啓発への協力に関してはほとんどの地方公共団体がポスター掲示やリーフレットの配布、講演会やシンポジウムへの講師派遣等という形で行っておりまして、警察の協力が大半となっております。人材養成への協力についても、警察による研修会やボランティア養成講座に対する講師派遣という形態での援助が大半を占めておりますが、精神保健センター等の福祉部局による協力の事例も秋田県、兵庫県、京都市で見られたところであります。
 情報提供につきましても早期援助指定団体に対する被害者情報の提供を含めまして、警察によるものが大半でありますが、福祉部局による協力事例や知事部局における意見交換の事例なども5府県でありました。場所提供につきましては、7団体に対して県の施設や庁舎の一部を事務所等として提供している事例が見られたところであります。
 特定の被害類型を対象とする支援団体に対します財政的援助以外の援助につきましては、18府県2政令市で実施されており、財政援助同様に男女共同参画課やこども家庭課等を通じた広報啓発、人材育成への協力、情報提供等の協力のほか、交通事故や消費者被害を対象とする団体への協力の事例も見られたところです。
 最後になりますが、先ほどもありましたように今回の調査は都道府県管下の市区町村における取組については、知事部局が把握しているものについてご報告をお願いしたところであります。特筆すべきものというものはありませんでしたけれども、県同様に被害者支援センターに対して負担金・寄付金・補助金の支出、会員となっての会費負担といった形態での援助を行っている事例の報告があったところでございます。
 推進室において実態把握のために行いましたアンケート調査の結果についての説明は以上であります。

○冨田座長 どうもありがとうございました。質問があればお願いいたします。

○中島構成員 とてもわかりやすいアンケート結果で、とても勉強になりました。実はちょっとこのアンケートでわかったかどうかわからないことの質問で申しわけないのですが、多分犯罪被害者等基本法ができまして、いろいろ民間の活動が活発化するのではないかと思いますが、都道府県は今後例えばこういう増えてくるような活動に対して助成金を増やす方向で検討しているのか、なかなか財政上そういうような厳しい状況にあるのか、わかる範囲でよかったらお教えいただけたらと思うのですが。

○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官)  アンケート調査事項自体にはなっておりませんので、この調査でわかるものではないのですが、資料を見ますとおわかりのように、検討中というようなものがかなりありますので、恐らくこの辺は増えていっている過程にあるのかなと、これは想像でありますが、そういうご回答をさせていただきたいと思います。

○冨田座長 私の方から質問させていただきます。1つは、今の中島構成員の質問とも関係するのですが、この基本計画ができて、都道府県の知事部局の方の担当する課、これは何か変化が出ているとか、新たな動きみたいなものが見えてきているのかどうかというのが1つと、それからもう1点は全く別の質問で、1ページの公募企画型の事業を行っているところが神奈川と岡山にあるということなのですが、これは何か活動というものを指定しているとか、もうちょっと詳細を教えていただけるとありがたいのですが。

○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官)  まず第1点目、知事部局において新たな動きがあるのかどうかというご質問だったと思うのですが、知事部局に担当の窓口をつくっていただきたいというのは、これは基本計画にも記載があったところでありまして、去年度末にそういうお願いをして、その後も引き続きお願いをしてきたところであります。この結果、既にそれまでは決まっていなかったところが相当数だったのですけれども、すべての地方公共団体に一応施策の担当窓口ができていると。
 また、例えば犯罪被害者週間が今年の末にある、11月の末ぐらいにかけて予定されているところですが、これについても参加団体に手を挙げてくれる団体があったということで、開催地が決まったなど、地方公共団体の取組もそれぞれ違いは、温度差というものは当然あるのですけれども、徐々に高まってきているということは感じられるところであります。
 次に、公募企画型事業についてもう少し詳しくという内容だったと思うのですが、これは犯罪被害者団体に別に限ったものではありませんで、一定の要件を定めて、それに該当する団体が公募に応じてそれを審査の上で決まると。言ってみれば、犯罪被害者団体側の自助努力というのではないですけれども、という形での事業の援助を受けていくという実態になろうかと思います。
 ご参考までに、認められる要件がありますので、それをちょっと挙げさせていただきますと、最初の3枚の次にあります詳細版の方の資料の3枚目に対象事業に該当する要件の記載があろうかと思います。

○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室長)  3ページの神奈川県の根拠規定のところに、かながわボランタンリィ活動推進基金21条例、それから協働事業負担金交付要領という根拠がありまして、これは被害者に限らず、そういう(1)、(2)、(3)と援助の資格要件がありますけれども、こういった活動に対して支援を行っていくということで公募して、企画を出した被害者団体の方にお金がいくと、こういう状況です。
 それから、1枚めくっていただきまして、4ページ、岡山県の例がありますけれども、これはこの間サポート・ファミリーズの方からもありましたけれども、協働事業提案募集要項というものがありまして、公益的、社会的貢献事業で広く社会的課題の解決が図られること云々ということで、これに該当するような事業を民間団体が行った場合にお金が出ていくと、この2つが公募型というような、こういうやり方も有効かなということでご紹介をさせていただきます。

○林構成員 本当に詳細にしていただきましてありがとうございます。
 ここで事務所等の提供というのがあって、これまでのヒアリングでもどこの団体も事務所等々が欲しい、欲しいという話だったんですが、こういう動きというのはこれから広がりそうなというか、私たちからすると是非お願いしたいなというぐらいの気持ちがあるんですけれども、どうだったんでしょうね、こういう7団体の方は。提供する側としては渋々やったのか、それともやらねばならないとしてやってはったのか、どうでしょうか。

○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官)  そこまで把握できる調査ではなく、ご回答がやっている、やっていないは幾らという、そういうベースでの回答ですので、その辺はちょっとわかりかねるのですが、警察を中心としたものとか、比較的熱心にやっておられるようなところも含んでおりますので、嫌々やったというようなことはなかろうかと思います。

○林構成員 質問の仕方が悪くすみません。

○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官)  また、今後は広がっていくのではないかと、こちらとしても期待しているところであります。

○林構成員 そうですか。ありがとうございます。

○番構成員 特に質問ということではないのですが、これを見せていただいて、金額を全部合わせますと相当なものになるのかもしれないのですが、やはり援助額、実績のところ、1団体当たり1,600万円から20万円という記載を見ますと、なかなかボランティアから脱してきちっとした形でスタッフを集めて行うというのは非常に厳しい状況なのだろうなということが実態としてわかって、国の施策として総合的に考えなければいけないと思いました。感想ですが。

○冨田座長 どうもありがとうございました。これから本当に議論の基礎になる大変意味のある調査だったと考えます。
 それでは、この件につきましてはここまでにいたしまして、先に進めてまいりたいと思います。
 それでは、今一通り担当の省庁から説明をしていただいたわけですが、全体を通して確認したいこと、質問したいことなどがありましたらお受けしたいと思います。ないようですので、先に進みたいと思います。それでは、議事次第の4の今後のスケジュールについてです。お願いいたします。

○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室長) それでは、今後のこの検討会のスケジュールの案をお示ししておりますので、資料6をご覧いただければと思います。
 一応、今回でヒアリング、当面予定したものは一応終了いたしまして、これまでのヒアリング、あるいは今後行います海外調査等の結果を踏まえまして、まさに民間団体に対する支援のあり方、国による援助のあり方について議論をしていただくということになります。その資料6のスケジュールにお示ししておりますように、おおむね来年の春ごろに中間報告をまとめたいということで考えておりまして、それに至るまでの当面のプロセスということでご理解をいただければと思います。
 まず、次回の会合なのですけれども、10月を予定させていただいておりまして、この10月は支援のための連携の検討会と一緒にやってはどうかということを考えております。海外調査あるいは支援のための連携の方で、別途膨大な連携実態調査というものをやるようになっておりますので、この検討会とも関連いたしますので、合同でやって、そういう調査の結果についてご報告をいただくと。それから、連携の方の現状と問題点みたいなことについても、一応お示しできればと。
 あるいはこれまでのヒアリング等、あるいは今の調査等を通じまして、先ほど番構成員の方からもありましたけれども、現状がどうなっていて、やはり問題点としてはこの辺があるのではないかというようなことについて、一応お示しをして、10月の段階、この検討会においては合同会議で連携あるいは民間団体による支援について、まず自由討議をしていただいてはいかがかというふうに考えております。その辺を踏まえまして、あとどういうことから順番にやるかというのはまた検討させていただきますが、11月から1月、3月というようなことで考えております。
 当面、検討の状況によりますので、日程、もう少しやった方がいいということになれば、もう少し増やすことも可能ですけれども、いずれにしても、中間報告を4月あるいは5月ごろまでに取りまとめまして、6月ごろには中間報告をまとめてパブリックコメントにかけて、秋ごろにさらに議論を行いまして、19年中の最終報告という形にいたしたいということで考えております。
 議論をやってまいります中で、多分、この検討会においても財源というのが大変大きな問題になってくると思いますので、その辺につきまして、例えば経済的支援の検討会との合同が必要であれば、そういったことについても必要な対応を行ってまいりたいというふうに考えております。
 スケジュールについてご議論いただければと思います。

○冨田座長 どうもありがとうございました。特に中間報告の取りまとめに向けての今後のスケジュールについてご説明いただいたわけですが、これにつきまして、ご意見、ご質問があればお願いいたします。

○林構成員 すみません、できたら1回、支援のあり方というか、支援団体の効果がどうかということを調べるためにも、被害者の方から1回直接早期支援団体の支援を受けた被害者の人、そうでない組織から受けた人とか直接被害者の方から意見を聞きたいと。
 といいますのは、私も被害者ですけれども、全然ゼロの時点から被害者支援をつくってほしいなという気持ちがあるのですけれども。実際、今の支援ネットの相談というか、支援というか、に相談された被害者の人がそれをどう思っているかというのが、私たちも被害者だけど、余り聞く機会がないものですから、是非そうしてもらうと、今の支援ネットの方々のやっている被害者に対する支援のありようが十分なものなのか、やはりもうちょっと工夫した方がいいのではないかという新たな次の問題点が出てくるのかもしれないかなと思っているんですけれども、どうでしょうか。

○冨田座長 ちょっと確認させていただきますと、多分支援というか、財政的援助の対象となりそうな、現在支援活動をしている幾つかの団体からサービスの提供を受けた人ということですね。

○林構成員 そうですね、被害者の人ですね。

○冨田座長 そうすると、全国被害者支援ネットワーク加盟団体には限らないということですか。

○林構成員 基本的には大きなところはネットワークの団体が基本ですから、そこのやっているネットワークの支援のあり方というか、被害者に対する相談とか取組というのが私たちの目から見たら、もうちょっとわからない部分と、もっとその人たちが満足しているのか、評価の部分ですよね。ちょっと聞いてみて次のステップになるのかなとも思ったりしているものですから。

○冨田座長 私の意見も入るんですが、支援サービスの効果測定というのは非常に重要な部分で、ただ、効果測定をどう行うのかというのは調査が全然ないわけではないんですが、かなり難しいわけで、支援サービスの効果があったかなかったかというのは何をもって測定するのかということ自体、なかなか難しいと。それから、回復の程度をとって、それが被害直後とその後でどうだったかというようなことで調べるという方法もあるかもしれませんが、ただちょっと細かい話になりますが、回復というか、それをとった場合としても、ただ変数というかファクターが多いので、なかなか効果測定というのは難しいということを言われているわけですね。学問的に言えばそういうことなのですが、ただそれを、だからどういう事件についてどういう方でというようなことをかなり具体化しないと、印象をお聞きするだけで、実際の効果を確認できることにはならないのではないかという気が、多少学問的な言い方ですが、するものですから、その辺についてのお考えをちょっとお聞きしたいんです。

○林構成員 今までずっと来まして、今日の話でもそうですけれども、DVとかストーカーとか性被害はいろいろな形でシェルターとかもあり、資料もちょっと調べればわかる話ですけれども、やはり抜けているのが殺人犯等の被害者による評価です。ですから、そういう方だけでいいから、数人でいいから聞いてみて、もっとこういうものがあってほしいなという印象を聞いてもらったら。だから、学問的なことは僕はわからないので難しいのですが、大まかな枠組みをつくる上で、そういう方々の意見というか体験談を聞いてみても、これからの方向性とすれば大事かなと思ったりもしているんですよね。

○冨田座長 この点について、ほかの構成員の方、何かご意見ありますでしょうか。

○番構成員 おっしゃることはわかるのですけれども、ここでそういう方1人2人聞いても、だからといって民間団体の助成をどうするかという話になかなかつながっていかないと思います。このスケジュールを見ると、かなり厳しいと思うのです。被害者の声というのは、基本法をつくる段階でヒアリングをなさって、それから基本計画の段階でもヒアリングをしてきたわけですから、それは資料としては使わせていただいて、民間支援がこれからどのように進んでいくか、あり方と密接に関連するので、もちろんそれは大事なのですが、お金を出してこういうふうに進めてほしいというところの話をしていかないと、その前までさかのぼると、スケジュール的に難しいなという気はしています。
 それから、非常に個人的な問題を含んでくるのだろうと思うのですよ。支援団体との関係でもいろいろな人間関係などの問題で。余りそういうものを出してきても、ここでは混乱するだけだろうと思いますので、ここではそれは前提とした上で、民間支援団体を伸ばしていくという方向で、合意をしていくということでいかがでしょうね。

○林構成員 わかりました。大体そのことも私も思っていて、ただどうしても今までは民間団体というと市民団体の話ですから、それじゃない、またこれからひょっとしたら新たに団体が出てくるかもしれないじゃないですか。そこが具体的に何をどうしようとして手を挙げてくるのかを理解する意味でも必要になるのかなと思ったものですから、今言わせてもらったんですけれども、番構成員のおっしゃったことははっきりわかりましたので、それでいいかなと思います。

○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室長) 事務局としても、1つは、ここは番先生がおっしゃったように、やはり民間団体援助はいかにあるべきかの制度のあり方を議論する場ですので、それだけでも大変だと思います。それで、連携の問題点というのは、我々も民間団体援助は全然足らないと思っていますし、それから連携に欠陥があると、被害者の方は決して満足していないというのは十分わかっているつもりです。連携の方の検討会で、実は連携調査という膨大な調査を一遍かけますので、それによって連携の問題点なんかもある程度出てくるんだと思うのですよね。ですから、その辺も踏まえて次の10月の合同会議なんかでもご議論いただければと。十分に被害者の方の意見を聞いてまいりたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いします。

○林構成員 ありがとうございます。

○冨田座長 それでは、今ご指摘のあった点については、大方の合意が得られたようですので、基本的にはこの事務局の方から示されたスケジュールをもとにして、今後この検討会を運営していきたいというふうに思います。それでは、今後のスケジュールについて特にほかにありますでしょうか。

○警察庁給与厚生課犯罪被害者対策室長  そうすると、確認ということになりますけれども、民間の被害者支援団体がどんな被害、あるいはどんな被害者を対象にどんな支援をどの程度までやるべきかということを考えるに当たっては、新たなヒアリング等はしないけれども、今までの基本計画策定に当たって寄せられた声ですとか、これまで被害者を支援する団体の方が行ったヒアリング等をもとにして、整理して、あるいは海外調査の結果を踏まえて議論していくと、そういう理解でよろしいのでしょうか。

○冨田座長 今、整理してくださいましたが、私はそれでよろしいかと思うのですが、推進室の方から何か今のご意見についてありましたらお願いします。

○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室長)  ぜひこの検討会の構成員の方にお考えもいただき、当然検討していただかなければならないんですけれども、やはり支援ネットワーク、まさに警察がやっておられる支援ネットワークをどう位置づけるのかというような問題は、多分かなり大きな問題になってくると思うのですよね。ですから、そういう民間団体をどういうふうに分けて、そのうちどういう対象にどういう内容の援助をだれが行うのかというようなことになると思うんですけれども、そのときに、やはり警察庁さんにも是非今のままでいいのかどうかですね。先ほどありましたけれども、必ずしもばらつきがあって十分ではないというのは警察の方もそういうふうに認識されていると思うんですけれども、それを今後どうしていこうとされるのかというようなことについても、ぜひご議論いただければというふうに思います。

○警察庁給与厚生課犯罪被害者対策室長  私が申し上げたのは、民間団体に援助するという援助をいかにあるべきかを考えるに当たっては、民間の団体にまさにどういう支援をすべきか、どんな犯罪被害、あるいはどんな犯罪被害者を対象にどんな支援をどの程度までやるべきかということがあって、初めてどういう財政的支援をしなくちゃいけないかということになるんじゃないかと思ったものですから、その前提となる論点といいますか、あるべき姿、民間団体の支援のあるべき姿の議論というのをどういうふうに、何をもとに議論するのかなと思ったものですから、先ほどそこを確認させていただいたということでございます。

○冨田座長 今の問題は、私も論点として最初にここでの議論すべき事柄のテーマの中に含めてお話ししたことで、結局、そこがはっきりしなければ財政的援助のあり方も当然出てこないと思うわけです。このスケジュールを見ますと、第7回、第8回あたりがその辺を行うと。その材料としては、今、私が理解するところによれば、今まで基本計画をつくるときでのヒアリングで得られた資料であるとかということで行っていけるのではないかというふうに考えています。

○番構成員 このスケジュールを見ますと、6回のときに自由討議で連携のあり方とか、民間団体による支援のあり方、これを議論して、その前にいろいろな資料、海外調査の結果や、連携についての調査結果を出していただいて、それをもとに自由討議してもう1回、7回目に討議する。それと並行しながら民間団体への援助というのを考えると、これはそういう意味合いですね。私はそれでよろしいかと思います。

○冨田座長 いろいろ意見が出ましたけれども、大方の合意というかイメージ、これからの進め方についての、スケジュールについてのイメージができ、合意もなされたかと思いますので、この意見を踏まえて、先に進めていっていただきたいと、事務局の方にはお願いしたいと思います。
 それでは、次にまいりたいと思います。その他でございますけれども、事務局の方から何か連絡事項等がありましたらお願いいたします。

○事務局(内閣府犯罪被害者等施策推進室長) 資料7をご覧いただきたいと存じます。
 先般、ご議論をいただきました海外調査についての聴取項目、訪問先につきまして、前回の会合、それから会合の後にいただきましたご意見等を踏まえまして、改訂版をつくらせていただきました。また、中島構成員から要望のありましたほかの検討会の調査事項についても参考までに配布をさせていただいております。
 これから具体的な訪問先等について先方と折衝いたします。全体的な日程の制約、先方の都合もございますので、必ずしも全部満足できるものになるかどうかはわかりませんが、ある程度調整ができた段階で各構成員の皆さんにご報告を申し上げたいというふうに考えております。
 それから、次回の会合は先ほど申し上げたように10月ということで予定をさせていただいております。具体的な日時につきまして、また構成員の皆様に日程照会を行いまして決定をし、ご連絡をさしあげたいと考えておりますので、よろしくご協力のほどお願いしたいと思います。以上でございます。

○冨田座長 ただいまのご説明に対して意見などありますでしょうか。

○林構成員 非常にこの間の意見を酌んでくださって、海外調査のこと、どうもありがとうございます。
 その中に一つ加えてほしいんですけれども、各国の民間団体の活動や政府からの援助についてどのように評価されているのか、括弧の中に制度の企画立案や評価の段階でどのようにとあるんですけれども、もう1つ追加してですね……。

○冨田座長 何ページですか。

○林構成員 1ページ、海外調査における主な聴取項目について、民間団体への援助に関するというところですね。ちょうど真ん中からちょっと下ぐらい、括弧があって「制度の企画立案や評価の段階で」あるんですけれども、ありがとうございます。
 実際、ここでヨーロッパとかアメリカ、結構制度改正していますよね。そこで、私、実際の改正のときに被害者の声をどう酌んでくださったのかというところを追加で調べていただけたらありがたいと。
 と申しますのは、私の推察ですけれども、犯給法ができたころ、昭和50年代ですが、よく考えたらそのころというのは健康保険で病院の窓口で医療費負担というのがゼロだったような気がするんですよ。その後、改正で1割負担、2割負担となり、結局そういうのを変えなければいけなかったのに、犯給法の中で、結局犯給法にちゃんと反映されずに、私もそうですけれども、今、医療費負担、妻の事件で負担させられているわけですよね。何かちょっと1割負担が出た時、被害者の声がすっと入って、同じように連動して変えていけば、今の私たちの被害者が医療費を自己負担になっている事もなかったような気もするものですから、そういうところで言うと、被害者の声をいかに制度改革に拾い上げられるシステムがあるかないかというのが大事な気がするんですね。そこを調べてきてもらえたらうれしいかなというところでございます。

○冨田座長 そうすると、今言ったことは入っているように思うんですが……。

○林構成員 いいですよ、変えなくてもいいですから、システムの有無を追加項目として調べてきてもらえたらそれでうれしいので、お願いいたします。

○冨田座長 それも検討して、項目等、今後検討したいということにいたします。
 それでは、これについては特にそのほかに質問ないようですので、それでは予定されておりました議題はすべて済みましたので、これをもちまして、民間団体への援助に関する検討会第5回会合を終了いたします。本日は、長い時間にわたりましてどうもありがとうございました。

(以上)


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