(議事内容)
1.行政からのヒアリング(現行の取組について)
関係省庁から既存のネットワークの取組等についての説明がなされ、質疑応答を行った。また、ヒアリングを踏まえ、ネットワークの充実強化策等について自由討議を行った。
(1)警察庁(被害者支援連絡協議会及び被害者支援地域ネットワークについて)
○説明者 警察庁で今所管というか、関わっているネットワークが2つある。1つは「被害者支援連絡協議会」という名称のもの、それから「被害者支援地域ネットワーク」というものである。これは各県あるいは警察署単位で設置されているものであり、それぞれの県なり署レベルで名称が異なっていることもある。
平成10年から各都道府県警察に対し、警察庁が通達で設置を指示したものである。これに基づき、現在、全都道府県単位、それから基本的には全警察署単位で設置されているものである。
ネットワークのイメージ図については、資料1のポンチ絵のとおりである。警察と関係機関・団体、それから民間の被害者支援団体とを結ぶというか、大きくこれを含むネットワークということである。
被害者支援連絡協議会の具体的な構成図については、資料2のとおりである。これは高知県の事例であるが、このように県であるとか、あるいは国の出先機関というか、国の機関あるいは大学等、そういったところを含むものである。また、高知県のように、このような形で被害なり犯罪の種別に応じて、分科会形式のものを置いているところもある。
警察署単位で設置している被害者支援地域ネットワークの構成図については、資料3のとおりである。連絡協議会と比べるとかなり具体的な被害者のニーズに応えるということで、関係機関・団体だけではなくて個別の事業所というか、事業者といったものがメンバーに加わっている。
相違点については、被害者支援連絡協議会においては、構成員が国の出先機関あるいは都道府県の機関や都道府県レベルの団体ということで、その影響力なり施策の立案能力が高いであろうということである。2点目としては、非常に全県的な大きな事件・事案、社会的反響の大きな事件・事案に対する取組が可能である。こういったネットワークを通じて、さらに下部組織といったところにいろいろな指示あるいは依頼というものを下ろしてもらうことも可能だということである。
他方、被害者支援地域ネットワークであるが、これは実際、現実の事件・事故というのは警察署中心で処理されていることがほとんど大部分であるため、実際の被害者支援というのは、警察署レベルあるいは市町村レベルで展開されることが多いわけだが、そういった意味で被害者支援地域ネットワークというのは被害者に身近なところでの対応が可能で、被害者のニーズに応えやすいといった、連絡協議会との間の大ざっぱな役割分担というものがある。
ネットワーク構築の理念・目的については、被害者のニーズを警察だけですべてこれに応えることはできないということで、関係機関・団体の連携のためのネットワークを作ろうということで設置しているわけであり、こういったネットワークにより警察だけでなく、他の公的機関、民間団体が連携して取り組むことが可能になり、被害者支援に向けた社会環境の醸成にも大きな役割を果たすことが可能であろうと考えている。
そのほか、例えば、現実には民間被害者支援団体の設立が必要であるという場合にも、このネットワークを活用し、一定の世論形成というか、関係機関や団体の協力の取り付け、あるいは環境づくり、といった役割も果たしてきたところである。
ネットワーク構成機関・団体の範囲について、被害者支援連絡協議会については、およそ被害者の支援に何らかの関係があると思われる機関や団体はほとんど参画している。結果として全国の被害者支援連絡協議会には合計1,682の関係機関・団体が参画している。
被害者支援連絡協議会の会長や副会長あるいは事務局については、資料4で一覧表にまとめている。もともと警察が声かけをしたことから、事務局については、すべて警察が担当している。唯一千葉県のみ警察と県の方で共同でこの事務局を担っているが、その他については、すべて警察が単独で事務局を担っているという状況である。
ネットワークの具体的な活動内容については、資料5に平成17年中の主な活動ということで連絡協議会とネットワークとに分けて記載している。
県レベルの連絡協議会については、ルーティーンとしては一般的な意見交換であるとか、懇談あるいは広報・啓発事業をやる、あるいはこの参加者の間の啓発という意味で講演会等を開催する、あるいはフォーラムを開催する、民間団体の設置についての協議をする、あるいは条例の中にこの被害者支援を盛り込んだらいいのではないかといった議論をやっている。他方で、非常に大きな事件・事故が発生すれば、ここが意思決定というか、関係機関や団体といった構成員の協力依頼、協力の取り付けの場として機能する。
例えば、資料5の2枚目の中ほどに、兵庫県の被害者支援連絡協議会の活動内容を書いているが、JR福知山線列車事故に伴う被害者支援等のあり方等についての検討ということで、こういった極めて大きな事件・事故が発生すると、こういう場を活用して関係機関・団体の協力を要請するというか、取り付けるといったようなことが行われる。
他方、被害者支援地域ネットワーク、警察署単位のものについては、これは逆にルーティーンとしては、日々の発生する事件・事故の被害者支援の実働というか、実際にこのネットワークを活用して支援をやっているほか、広報・啓発活動等も行うということである。
いずれのネットワークについても、評価・監視、それぞれの構成員の活動についての評価・監視までは行っていない。非常にある意味緩やかな連携を確保するための仕組みである。
現場レベルでのネットワークの具体的な機能事例については、資料6の方で若干例を挙げている。それぞれ被害者支援連絡協議会あるいは被害者支援地域ネットワークでの実際の活動例を少し挙げている。
1番の列車脱線転覆事故については、この協議会に参画する機関・団体が連携して、その被害者遺族の方々のために各種相談窓口をわかりやすく説明したパンフレットを作成・配布するといった活動をやっている。
2番の県立高校における爆破物使用事件については、これは発生の場が学校ということで、いろいろなダメージを受けている学生が大勢いるわけで、警察と学校側での役割分担を確認するといったようなこともやっている。また、ネットワークを活用してクライシスレスポンスチーム、CRTの派遣要請をし、そこが初期的な精神的ケアを実施したこともある。
3番目の性犯罪の事件については、ビデオリンク方式による証人尋問が実施されることになったわけだが、そこに至るまでに検察官から意見書の提出の打診があり、それをこのネットワークに参画している精神科医の協力を得て、性犯罪被害者の心理に関する意見書を提出して証人尋問が実施されることになったものであり、さらにまたビデオリンク時においても、この精神科医に付添い活動をやっていただいた、という例である。
4番の殺人事件については、小学生の遺族がいるということで、協議会の会員である県の義務教育課からスクールカウンセラーあるいは県の青少年家庭課から臨床心理士を派遣したということである。
5番目のDV被害者への支援については、このネットワークのメンバーである被害者支援センターで調停の付添い活動を行う、あるいは同じく会員のハローワークに被害者の要望に沿った稼働先を紹介してもらうといったような活動をやっている。
やはり一番多いのはメンタルサポート面でのこのネットワークの活用というのが最も多いのではないか。次いで生活面、住居であるとか生活保護であるとか就職といったようなことがあると思う。
その他ネットワークの概要について、このネットワークは、平成10年の通達に基づいて11年2月までに全都道府県に協議会が設置されたという経緯をたどっている。また、38の都道府県においては、いろいろな分科会が設置されているところである。
また、警察署単位のネットワークについては、1,219の警察署中1,213警察署の下にネットワークが設置されている。数がずれているのは、複数の警察署の管轄の中でネットワークを1つ設置するというようなこともあるためである。
協議会と分科会の設置状況については、資料7のとおりである。
被害者支援連絡協議会の開催状況については、資料8のとおりである。若干ばらつきがあり、平成17年中開催が空白、空欄になっているが、こういったところについても平成16年あるいは18年には開催している。
ネットワークにおける現状の問題点と課題については、協議会の開催状況自体にもばらつきがある。このネットワークの設立の経緯は、警察の方で声かけをしたということで、事務局も警察がとっている。そういったことで警察が被害者の方々のニーズに応えるために、何か関係機関・団体に働きかける、そういう場合に活用するネットワークという性格、実態に、ある意味とどまっているということも言えるかもしれない、そういう現状である。したがって、どうしてもそれぞれが主体的にという点では差があり、各構成員の意識や取組などにどうしても差が出てきてしまうと感じている。
ネットワークの充実強化の可能性、それから考えられる方向性については、警察が事務局をとった形で緩やかな連携をとるネットワークだが、こうしたネットワークの活用を一層充実強化させる努力をしていかなければいけないが、やはり限界があると感じる。警察が事務局をとっている姿が望ましいのかどうかも含めて何が一番問題になっているのか、被害者のニーズに迅速・的確に応えるためにどういう点が問題なのか。これは、実際にネットワークの事務局をとっている立場ではなかなかわかりづらいところなので、むしろいろいろなご意見をいただきたいと思う。そういったニーズを踏まえ、さらに諸外国の例も踏まえつつ、検討していく必要があるのではないか。特に被害者の方は、それぞれの地域において生活をしていくというか、生きていくことになるので、地方公共団体、市町村のレベルで被害者支援が着実に推進されるためのネットワークのあり方というのを検討していく必要があると感じている。
○構成員 この連絡協議会は大体月に何回と決まっていて、定期的に開かれているか。
○説明者 開催状況を資料8に記載しているが、取組の差が実際のところ存在する。最低月に一回やれとか、年に一回やれという指示を警察庁の方からしているわけではないので、各県の実情に応じて行うということである。
(2)法務省(日本司法支援センターを核とした総合法律支援構想について)
○説明者 日本司法支援センターはこの4月に設立されたが、業務開始は10月の予定であり、本日は、今検討していて10月以降このような取組を行うこととしている、というあたりのご説明をさせていただく。
まず、日本司法支援センターを中核とする総合法律支援制度というものはどのようなものかという概要からご説明する。資料1をご覧いただきたい。この総合法律支援構想は、司法制度改革の一環として検討が行われてきたものである。司法制度改革審議会の意見書が平成13年6月に提出され、そこがスタートである。平成13年の段階では、法律扶助とか司法アクセスの改善、公的弁護の問題は個々に取り上げられいて、現在の姿のようなものが浮かび上がってきたのは、その後平成14年から15年にかけて、司法制度改革推進本部で、あるいはその顧問会議でどのようにそれを具体化するかを検討していった過程で、日本司法支援センターがそれを担うことになる運営主体という概念が明確化され、その運営主体でどのような業務を行うのかというのを詰めていく過程で被害者支援業務がクローズアップされ、小泉総理も非常に重要なこととして指摘されたということである。
その後、平成16年3月に通常国会に総合法律支援法が提出され、その段階では現在の法律にあるような被害者支援の関係での態勢の充実であるとか連携の確保・強化、さらに具体的な支援業務等が形づくられ、さらに国会での審議の過程で、国会議員の修正により、被害者問題に精通した弁護士を紹介するなどの業務も行うということがより明確化された。
そして、総合法律支援法は平成16年6月に公布され、その半年後、16年12月には犯罪被害者等基本法ができ、その中の第7条のところで、日本司法支援センターも国その他の関係機関とともに相互に連携協力すべきであると明示的に位置づけられた。
そして、昨年12月、犯罪被害者等基本計画では、日本司法支援センターによる各種の支援についての具体的な指摘もいただいている。そのような計画も受け、本年4月10日に日本司法支援センターが設立され、法務大臣から中期目標の提示を受け、日本司法支援センター側で中期計画を設定し、さらに業務方法書をつくっていく過程においては、基本計画等も踏まえた内容が盛り込まれている。
日本司法支援センターは独立行政法人の枠組みに従った法人であり、基本的には法律により規定された業務を行うこととされている。立法論と運用論と両方とも検討する余地はあるが、現行法の枠組みをまずご理解いただくために、条文の説明をしたい。
資料2-1には、総合法律支援構想と言われている総合法律支援とは何かという点について、総合法律支援法第一条に書いてある。総合法律支援というのは、法による紛争の解決のための制度の利用をより容易にするという、紛争解決制度の利用の容易化という問題と、弁護士・司法書士などの法律専門職のサービスを身近に受けられるようにする、そのようなことを総合的に支援していく、法による紛争の解決を専門家の力を借りて着実に行えるようにする、これが総合法律支援の基本的な考え方である。
第二条で基本理念として、総合法律支援の実施及び体制の整備については、民事・刑事を問わず、あまねく全国において法律による紛争の解決に必要な情報やサービスの提供が受けられる社会の実現を目指すということがうたわれている。
第十四条で「支援センターの目的」として、日本司法支援センター、これは総合法律支援に関する事業を迅速・適切に行うことを目的とするのだということが規定されている。
第三十条において、日本司法支援センターは、第十四条の目的を達成するため総合法律支援に関する次に掲げる業務を行うということで、一号から八号まで規定されている。
日本司法支援センターが行う業務の概要であるが、1点目が情報等の提供で、法による紛争の解決あるいは法律専門職者等に関する情報を整理して、提供できるようにする。2点目が民事法律扶助で、資力に乏しい国民等に対して弁護士費用の立替え等、無料法律相談等の援助を行う。3点目が国選弁護人確保で、刑事手続上の国選弁護人の選任についての確保業務を行う。それから、司法過疎対策。これは、いわゆる弁護士がいないあるいは一人しかいない、ゼロワン地域と言われるところを中心に司法過疎地域で、ここは有料のサービスになるが、弁護士等に法律事務を行わせるということ。5番目、ここが被害者支援の問題である。6番目の連携の確保・強化も被害者支援も含めて関係機関との連携を確保・強化していくということである。
被害者支援関係業務は具体的にどのように規定されているかというと、第三十条第一項第五号にあるように、被害者等の援助に関する次に掲げる情報、資料を収集、整理して、一般の利用に供する。そして、個別の依頼に応じて提供するということであり、どのようなことに関するのかというと、刑事手続への適切な関与等々被害者等の援助に関する制度の利用に資するものと、被害者の援助を行う団体、その他の者の活動に関するもの、これらに関する情報の収集、整理、提供という業務である。
それから、後段が議員修正で追加された点であるが、このような業務を行うに際しては、被害者等の援助に精通している弁護士を紹介するなど、被害者等の援助が実効的に行われることを確保するために必要な措置を講じなさいと。これが日本司法支援センターで行う被害者支援業務の中核的な枠を規定している条文である。
なお、関係機関との連携のあり方として、第三十条第一項第六号で関係機関との連携の確保・強化を図るということが規定されているが、もう1点だけ第三十二条の第三項で規定されているが、日本司法支援センターは、地方公共団体、弁護士会云々、被害者等の援助を行う団体、その他の者の総合法律支援に関する取組との連携の下でこれを補完することに意を用いなければならないとなっている。この連携の下での補完ということが1つの基本的なかかわり方ということで法律上規定されている。
日本司法支援センターの業務をどのような組織で行うかという点について、事務所としては本部と地方とに分けている。本部は理事長、監事、理事、事務職員、そのような者で構成されるが、特に注目すべきは地方であり、基本的には地裁の本庁所在地に地裁に対応する形で50ヶ所、地方事務所というものを設ける。これが日本司法支援センターの現場での活動の拠点になる。なお、大都市や過疎地には地方事務所の支部を設けることになっていて、また、法律扶助の関係等も大都市では出張所を設けるということも予定されている。いずれにしても、10月2日の開業に向けて今急ピッチで準備を進めている。
資料3をご覧いただきたい。被害者支援業務の主たるところは情報提供業務であるが、まず一般的にどのような情報提供の仕事をするのかを説明した後で、被害者に対してはどのような応用が施されているのかという観点で説明を進める。資料3-1は一般論の形を絵にしている。
日本司法支援センターでは、日本司法支援センターが収集・整理した情報を提供し、紛争の解決に資する情報や法律専門職の利用に関する情報をインターネットであるとか電話、面談などさまざまな方法で提供し、また関係機関にも活用のために提供していくということを考えている。
具体的には、1段階、2段階とあり、第1段階はコールセンターによる専門オペレーターによる前さばきというか、第1次的な対応という点である。これには全国から電話による非常に多数の情報提供の問い合わせが来ることが見込まれるので、それを集中的に効率的に処理するために、全国に1ヶ所コールセンター、当面は東京に置く予定であるが、コールセンターを設け、そこに専門のオペレーターを置き集中的に相談に応じることとしており、そのためには相談窓口、いろいろな機関の相談窓口についてのデータベースをこれまでに種々調査して今構築しており、また、FAQ、これは地方公共団体や警察がこれまで取り扱ってきた内容等を分析して、よくある質問と答えという意味でのFAQを今順次充実強化しているところである。
これらのデータベースやFAQを活用し、例えば消費生活相談員等の一定の資格を有する専門オペレーターを置き問い合わせに応じていく。具体的には、関連の法制度を説明するとか、当該トラブルに合っている内容に応じた適当な関係機関を紹介する、あるいは複雑な事案であるとか、契約書等の現物を見ないとわかりにくいという場合には、地方事務所へ案件を移送して、地方事務所での第2次的な対応に回すというような第1次的な対応をまずコールセンターで行う。
そして、各地方事務所の方で電話の第2次的な対応あるいは窓口に直接来られた方に対する第1次的対応を情報提供担当職員、ここも消費生活相談員の資格を有する者なども活用していくということで考えているが、そのような者が具体的に相談に応じ、情報提供、紛争の解決に役立つ情報提供を懇切丁寧に行っていく。これが一般的に法的トラブルに巻き込まれた人からの相談を受ける大枠である。
次に資料3-2は犯罪被害者等からの問い合わせに対してどのような対応になるかということである。まず、コールセンターには犯罪被害者等の専用のダイヤル、番号を設けるということにしている。そして、犯罪被害者に対する対応ができる専門オペレーターを常駐させるということを予定している。具体的には、被害者支援団体とか警察署、検察庁等での被害者支援の相談等の経験がある者の中から専門オペレーターを配置していきたいと考えているところである。
そして、同様に中央のコールセンターで第1次的対応をした後、必要に応じて地方事務所に案件を移送し、そこで専門の相談員あるいは情報提供担当職員においてより細やかな情報提供を行っていきたい。それは電話でご相談に応じることもあれば、実際に来所していただき相談に応じる場合もある。
いずれにしても、各地域の実情を踏まえた関係団体との連携関係を構築していく中で実用に耐える詳細な情報を収集し、それを適切に提供して、いろいろな説明をする、あるいは適切な機関や団体にご紹介する、あるいは精通弁護士等をご紹介する、あるいは法律扶助の利用も助言する。そのようなことを迅速に丁寧に対応していきたいと考えている。
そこで、犯罪被害者支援精通弁護士の紹介については、現在、弁護士会との具体的な協力が不可欠な問題なため、どのような形で紹介をしていく手順を踏むのがよいのか、その手続的なこと、名簿をつくって名簿に基づいて紹介していくということが基本線であるが、どのような名簿をつくるか、得意分野などどのような記載事項をつくるか、どういう順に紹介するか、あるいは近隣の県により適当な弁護士がいる場合にどのように紹介していくかの協力関係について、鋭意検討、協議を進めている段階である。したがって、開業後可及的速やかに充実した紹介業務の実施を目指して現在準備を進めている段階である。
それから、もう1点、民事法律扶助の活用については、資料3-3。民事法律扶助とは、一定の要件の下に資力の乏しい人に弁護士や司法書士との法律相談であるとか、訴訟手続の代理、書類作成の費用の立替えをする制度である。現在の民事法律扶助法の下において、またこれが日本司法支援センターに引き継がれた後も、民事上の請求に当たっての法律相談、損害賠償訴訟における代理、DVの保護命令などの民事手続、書類作成等々の費用の立替えができるわけで、今後とも充実して行っていきたい。具体的には、コールセンターのオペレーターがそのような案件で相談を受けたら、地方事務所の担当職員に回して迅速に精通弁護士の紹介等も併せ、充実した援助を提供していく仕組みになっている。
最後に、関係機関とのネットワークの構築に関して、現状においてはまだ開業前のため、具体的なネットワークはできていないが、開業の準備の段階から法務省において警察庁、日弁連、扶助協会、犯罪被害者支援ネットワーク等の関係機関と協議を行っており、現在のところは各地方事務所に対して、まず各地方にある被害者支援連絡協議会への参加するようにと指示している。ただ、それだけで十分であるということではないので、開業に向けてあるいは開業後それをよくしていくために随時の意見交換会の開催を要望していく必要もあるし、あるいは支援連絡協議会が大き過ぎる場合には、関係の密接な機関・団体だけによってもう少し細かな対応についての事務的な打ち合わせ会を早急に行っていくよう検討する必要があると考えている。
連携の確保・強化に関係して、資料2-3で日本司法支援センター中期計画というものがある。中期計画とは、独立行政法人の枠組みに従った法人たる日本司法支援センターが4年間の計画期間の中でこういうことを行っていくという計画を立ててそれを実行していくための作成が法定された文書である。
その1の(6)(1)は各地方事務所段階で連携強化を頑張りますと、12以上の機関と連携しますということであり、さらに(2)において、連携関係の強さをあらわす連携指数というものを設定し、これを平成18年度から21年度までに上昇させていくという具体的な計画を立てている点について補足説明する。
連携の度合いとして現在のところ4つの段階を想定している。第1段階は、日本司法支援センターと関係機関・団体が相互に紹介し合う、相互に紹介し合うだけで実際に紹介先へ連絡するのは個々の相談者の方が自分の責任でやる。ただ「こんな機関がありますよ」という情報を互いに提供し合うだけというのが第1段階の連携段階である。
第2段階は、日本司法支援センターと関係機関・団体が相互に紹介するとともに、紹介先の連絡も日本司法支援センターとか関係機関の方で、つまり相談者ではなくて日本司法支援センターとか関係機関の方で紹介先との間の連絡もきちんととるような連携関係を第2段階としている。
第3段階は、単に連絡をとるだけではなくて、その段階において相談者等から聞き取った、あるいは面接等で得た情報を相談者の同意を得た上で、このような案件でこういうご相談であるということを相手方に責任を持って伝えるという形での紹介をする、これが第3段階である。
第4段階は、3段階の発展であり、紹介した最適な相談機関が予約制の場合には、そこの面接等の予約までとってあげる。要するに、相談者の負担の軽減という見地から、可能な限り密な連携を構築しようということでその連携の段階を一応4つ立て、その連携の強さをどんどん上げていうこという前進的な計画を立てたものである。
なお、今後は10月の開業に向けて現在一生懸命準備をしているが、なかなかスタートの時点から完璧なものをつくるというのは非常に大変なことである。実際に被害者支援の業務を始めていろいろ連携を図っていく中で、業務開始後も不断にそれを改善していく必要があると、そのために関係機関との情報交換とか具体的事例を検証したり、不適切な事案の改善を行う、そういう着実な積み重ねが重要であると思っているが、今後どんどんつくっていく、育てていく部分が多いので、皆様方からも適切なご意見、ご支援をいただきたい。
○構成員 弁護士の都市集中に対応するために、ゼロワン地域に新たに弁護士を司法支援センターから配置するということだが、その弁護士は自立で採算を見合わせるのか、それとも支援センターから何らかの援助等があって、積極的に例えばこういう地域に行ってくださいというお願いをされのか。
○説明者 日本司法支援センターで過疎地に置く事務所というのは、法人としての日本司法支援センターの一事務所になる。そこには、日本司法支援センターが雇用した勤務弁護士を派遣することを原則に考えているので、通常の自営の弁護士による法律事務所における採算という意味でいくと二次的な問題になるかもしれない。
○構成員 勤務弁護士というのは給与を出すということになるわけか。
○説明者 日本司法支援センターから定額の給与を払う。ただし有料のサービス提供であるため、利用者からはあらかじめ定めた一般の弁護士レベルの弁護士費用に相当するものをいただき、それは日本司法支援センターに入るという形になる。
○構成員 専門オペレータの役割が相当高いなという、窓口で一番の最初の対応ということで非常に大きい役割ですが。この能力、先ほどいろいろなキャリアを持った方だということでそういう相談業務とかに活躍されてこられた方だということですが、その人材確保ですね、これから相当な数が予想されるかなということの問題について。
それから、地方の電話での対応が難しい場合は地方事務所に送るということですけれども、地方の専門オペレータというのは予定されてないんでしょうか。
○説明者 まず、コールセンターのオペレーターの人材だが、まさにご指摘のように非常に重要な役割と認識している。それについては、まず開業当初は消費生活相談員等の相当のご経験のある即戦力の方々を中心に採用し、これは東京で当面置くので、給源的には相当広いものがある。そして、業務を遂行していく中でノウハウもたまるので、さらに一般オペレーターにその研修をすることによってFAQも充実していくし、そのようなものにだんだん広げていける方向で進めていこうと考えている。
それから、2点目のご質問の地方での対応がどのようになるかということであるが、地方にはコールセンターはない。地方事務所においては、電話で対応する場合にも地方事務所における情報提供担当職員が対応する。この情報提供担当職員も一定の経験を有する方、あるいはそれなりに研修を受けて、対応の能力を有した方を当てるということを考えている。
○構成員 被害者支援精通弁護士の役割に期待しているが、民事訴訟に限らず刑事事件で直後に非常に困難な状況にあって、例えば加害者側の弁護士から告訴を取り下げろと迫られるようなことで困っているという人たちもいるが、そういうことで相談されるときの経費というのをこのセンターは目標としてどういうふうなことを考えているのか。あるいはこういう困窮した方でなければこういう公費のような扶助ができないのか、民事訴訟も含めてですが。そういう弁護士費用のことで負担を軽くする方法についてどういう見通しがあるかを教えてほしい。
○説明者 ご指摘の問題は公費による被害者弁護というような問題と思うが、とりあえずは現行法の枠内で民事法律扶助を活用してやっていくということが当面のスタートラインからできるところである。そこをさらにどれだけ大きく広げることができるか、それが適当かというのは、経済的援助の方の検討会で検討されると理解している。
(3)文部科学省(学校及び教育委員会等を核としたネットワークについて)
○説明者 学校及び教育委員会等を核としたネットワークについて、サポートチームというものを今全国の学校でやるように推進している。これは、犯罪被害に着目しただけではないが、問題行動、少年非行、不登校等といった問題を抱えた個々の児童生徒に対しどう対応するかということについて、学校、教育委員会だけでなく、関係機関等が情報を共有して共通理解の下に多様な指導、支援を行うためにどんなことができるかということでできたものである。平成14年度からモデル事業として事業化して取り組んでいる。
ネットワーク構築の理念・目的については、最近の児童生徒が問題を抱えるに至った背景が非常に多様化しているため、事前にその児童・生徒の心のサインが出ていることをいかに早く把握するかということにある。さらに、多様な問題や背景を抱えている場合は、教育上の対応だけでは十分な対応ができないため、福祉医療的な観点からのアプローチ、あるいは家庭教育へのアプローチ、それから非行的な傾向があれば警察的なアプローチ、そうしたものがいろいろ考えられ、学校と関係機関との間で単なる情報交換のレベルの連携だけではなく、当該児童生徒への指導支援を関係機関が一体的に行うことが非常に重要ではないかという問題意識からもこういう考え方が出ている。
学校、教育委員会、関係機関でネットワークを形成し、情報を共有して、共通理解でそれぞれの権限等に基づいた指導・支援をやっていこうというものである。
4枚目にサポートチームについてという表がある。日常的な情報はじめ、学校を中心としたいろいろな情報レベルの連携は当然今までも行っている。学校を中心に保護司であるとか児童委員であるとか少年補導員であるとか地域の諸団体、PTA等が連携して、常時、問題行動あるいは子どもの問題についてのいろいろな相談、対応にネットワーク的に応じている。それを「校区内のネットワーク」と言っている。大体、中学校区あたりを単位としている。
さらにそうした考え方だけでなく、個々の子どもに対する指導・支援を行うに際して、例えば、学校や地域人材の対応では十分な対応ができない、困難な場合、それから複数の関係機関が対応せざるを得ない場合は、校区内のネットワークを超えて、市町村のしかるべき権限を持った関係機関、具体的には、学校、教育委員会、警察、児童相談所、福祉事務所、地域のNPOのネットワークの下に連携して対応することが必要ではないかということで、資料に示している。
どんな活動を想定しているかについては、もちろん地域の実情であるとか対象児童生徒がどのような問題を抱えているかによってさまざまであるが、一般的には、同じ方向性を持った指導者、もちろん複数の機関がそれぞれの権限のもとに関係し、それぞれの専門性を生かしてということになるわけだが、共通理解に基づいて、共通の指導目標、指導計画、活動記録などをつくることで、同じ方向性を持って一人の子どもに対して多方面からアプローチするということが可能ではないかと考えている。
情報問題意識の共有ということについては、日ごろから情報連携を行っているところだが、特の児童生徒に対する対応ということなので、いろいろ個人情報の取り扱い等についても関係機関の間で共通認識を持って対応する必要があると考えている。
継続的な指導ということについては、指導目標の達成状況をもとに各機関でそれぞれの取組の進捗状況を適宜判断し、あくまでもチームとしての成果を定期的に出してもらうものと考えている。指導目標、指導計画の見直しに応じてメンバーを入れ替えたりということも考えられる。
学校を中心に関係機関、行動連携で対応することで具体的に効果があったとして報告されている点としては、1つは、児童生徒の問題に対していろいろ複眼的な対応が可能になったことである。関係機関が共通理解の下で支援を行うので、その問題に対する多面的な支援が行えるということと、特に学校生活においていろいろな問題を抱えているという場合に、学校以外の関係機関からのいろいろな働きかけが重要な場合もある。保護者に対する対応が求められることが多く、その場合は学校と若干問題のある家庭等に対して柔軟な対応が可能になる。また、役割分担が明確になり、取組がより充実したものになる。
ここでは2つ例を挙げているが、1つは問題を抱えた児童生徒への支援を進めるための関係機関との連携についての新しい取組として、スクールソーシャルワーカーを福祉関係の機関との連携の充実を図るために使っている例がある。
2番目の例であるが、これは家庭内の暴力を受けていたために問題を抱えている子どもについて、サポートチームを形成している各関係機関がそれぞれの機能を生かして相談活動等の支援を行い、保護者も含めて子どもの支援に携わるような事例が報告されている。
このサポートチームの取組、それから市町村ネットワークの取組、これは平成14年度から全国100校ぐらいで行っていたが、平成16年度からは、「問題行動に対する地域における行動連携推進事業」として、平成18年度で47都道府県で4ヶ所ずつ、大体全国で200ヶ所ぐらいの地域を指定して、学校、教育委員会、関係機関等からなるサポートチームによる支援システムづくりに務めている。
問題点・課題としては、関係機関間の連携調整の上で欠かせないコーディネーターの人材の確保、質の向上がある。
また、ネットワークを構成する関係機関の間の理解、役割や所掌範囲についての認識について、当然各関係機関がネットワーク的にそれぞれの所掌範囲の下にできることは行うべきものだが、なかなかお互いの機関の役割とか所掌範囲についての共通の認識というのがとれておらず、まだまだ十分な意識や認識の共通性に欠く場合もあり、今後また取組を進めていく上でこういう関係機関の役割、所掌範囲についての認識、意識をどんどん深めていく、解消することが必要だろう。
さらに、最近の児童・生徒の問題の背後に保護者、家庭の問題が大きいというのは知られているが、保護者の理解、協力が連携のためには特に不可欠なのに、関係機関が連携して対応したとしても、なかなか保護者とか家庭の理解、協力というのは進まないという場合もある。そうしたものがネットワークの抱える課題ではないかと考えている。
そうしたことから、関係機関の連携の核になるコーディネーターに適切な人材を確保すること、質の向上を図ること、学校、保護者、教育委員会、関係機関で同じ方向性を持って問題を抱えた子どもに対して効果的な指導・支援が行えるということが必要ではないかと思う。
○構成員 学校サイドでネットワークの担い手になる人は決まっているのか。
○説明者 生徒指導上の問題であれば学校であれば大体、生徒指導主事が担当になっていると思う。学校として関与するという場合は当然、学校長、教頭という責任者は関与せざるを得ないと思う。
○構成員 コーディネーターの人材の確保、資質の向上が課題ということだが、このコーディネーターという位置づけが市町村教育委員会の公務員であるということか。
○説明者 市町村教育委員会でいえば、市町村教育委員会の指導主事とかその辺が担当になると思う。
○構成員 一般の外部の有識者とかそういった者ではなくて、自分のところの職員であるということか。
○説明者 関係機関の職員になることが多いと思う。
○構成員 このサポートチームという中の活動内容で、指導目標の設定と指導計画の作成という項目が書かれているが、これは具体的にある個人の児童や生徒に対して1年間とか半年とかいうスパンを切った上でこうしましょうああしましょうというのを各機関で決めていくと、役割分担を決めて実行して管理していくということか。
○説明者 各機関というか、これは共通の1つのサポートチームなので、各機関ではなくてその共通の指導計画の中で各機関で何をするかということを具体的に書き込んで、その期間をどの程度切っているか分からないが、ある程度の期間を切って、この期間内に各機関でどんなことをするということを計画にしてやっていくとだと思う。
○構成員 コーディネーターのことに関心を持ったが、その人材確保が資質の向上を図ることが課題だとおっしゃられたが、具体的には何か指導主事とかがなられるということだが、現状ではなかなか難しいところがあるのか。コーディネーターになるためには、資質の向上を図る必要がある、課題だとおっしゃられたということは。
○説明者 質の向上というか、やはりこの取組に対する認識、理解をどこまで深めてもらうかということだと思うし、その辺は、平成16年度から全国200ヶ所ぐらいのモデル事業として取組を進めているところであり、その中で、お互いの取組のいいところとか、すぐれた点を情報交換させるために、地域ごとに情報交換のための会議を設け、そうしたところに核となる教育委員会の指導主事に参加してもらって、どこでどういうすぐれた事例があるということも勉強してもらうようにしている。
おっしゃるように、さらに専門的な連携として、福祉とか医療との連携に着目すれば、コーディネーターということではないが、スクールソーシャルワーカーのような方を外部から委嘱して活動してもらうというようなこともやっているところはある。機関としての連絡調整役と能力向上のために、研修とか情報交換のための会議を充実させていくということを行っているところである。
(4)厚生労働省(児童虐待・DVに関する各ネットワークについて)
○説明者 厚生労働省から2つ対応・対策として、1つは児童虐待防止、もう1つはDV対策ということでご説明したい。
厚生労働省の資料4のところ、児童虐待に関するネットワークについて、要保護児童対策地域協議会、それから児童虐待防止ネットワークと2つ書いてあるが、これは経緯があり、次の2ページの6番の枠のところ、その他ネットワークの概要というところを先に見ていただきたい。
児童虐待については2つの法制度で行っている。1つは、児童虐待防止法という法律である。それからもう1つは、児童福祉法という法律である。児童虐待防止法は、平成12年5月に議員立法でできた法律であるが、平成16年10月から改正された改正法が施行されている。これが今の直近の児童虐待防止法の制度になっているが、平成16年に何を改正したかというと、1つは通告義務を拡大した。要するに、今まで虐待を受けた児童については通告義務があったのだが、虐待を受けているか受けていないかというのはわからない。わからないけれども、受けているのではないか、確証がなくても通告義務があると拡大している。それから、例えば、子どもに対しての間接的な暴力、子どもの目の前でDV被害が行われていた場合、子どもには直接的な危害はないが、その目の前で行われた場合にはこれも児童虐待としてみなすとしたもの。それから、保護者以外の同居人が行う虐待も当然これは虐待だというもの。それから、もう1つは、児童相談所は必要に応じた場合、子どもの安全を守るためには警察署の援助を求めなければならない。ほかにもあるが、主にこういった内容に改正され強化されている。
このことを受けて、平成17年4月から児童福祉法の改正法が施行されている。児童福祉法では市町村と児童相談所の相談体制を整理して強化しましょうとなった。こういった制度の改正があり、虐待防止法の改正がなされる平成12年度のときにはネットワーク事業というのが実はあった。ただ、これは補助事業という形で制度的な法的な位置づけはない。したがって、平成16年のときにこの2つの法律を改正したときに、ネットワークが非常に大事なので児童福祉法で制度的にこのネットワークを協議会という名称で法定化したということになっており、基本的に従来のネットワークは児童福祉法に基づく協議会に移行していくという考え方で今まできている。
具体的なイメージとして、右上のところに6と書いたページがあるが、どういうものかということだが、基本的にいわゆる虐待を含めた要保護児童の協議会ということで、特に関係機関、警察、医療機関、それから学校、教育委員会といった関係機関、子どもが関わるような関係機関すべてこの中に構成員として取り込むという形で協議会をつくるということを考えている。
具体的に現に設置しているところがあり、例えば3ページのところに、大阪府に泉大津市におけるネットワークの取組がある。愛称がCAPIO、これはチャイルドアビューストブリベンション泉大津の略称である。今むしろ市民にはCAPIOで通っているような状況である。平成11年につくり、今はもう法定の協議会として設置をしているところである。
基本的には、市の児童福祉課が事務局、いわゆる調整機関といいますかコーディネーターみたいな形でそこが中心となって関係機関、関係機関は例えば、保健所とか警察署、それから病院、弁護士、消防署、教育委員会、小中学校、幼稚園といったところが関係機関に入っている。これでかなり活動をやってきた。
この効果としては、ネットワークとして動いた結果として、対応するスピードがかなり速くなるとか、役割分担をするので、いろいろな多面的な支援ができるとか、地域に虐待を見る目といったものが養われ、虐待の把握率がアップするとか、役割分担をすることによっていわゆる押しつけ合いとかそういったことがなくなってきたとかいう効果があらわれている。
それからもう1つ、東京都の例で5ページに、三鷹市に同じようなネットワーク、これも法定の協議会として移行しているが、東京都の場合は東京の独自制度として子ども家庭支援センターというセンターがある。このセンターには常勤・非常勤の職員が設置され、必ずここのセンターに入った情報は、児童相談所を初めとしていろいろな機関、病院も、保健センターも、学校も、保育所も、幼稚園も、児童館も、いろいろな機関と全部これが連絡がとれるようになっている。必ず必要なところにつなげていくという仕掛けができている。
協議会を法定化したが、資料7ページのところに、今設置状況がどうなっているかということで、現在この市町村レベルでつくることになっている協議会について、ちょうど半分がつくっている。残り半分はできていない。半分できていない理由として一番大きいのは、市町村合併である。市町村合併があると、こういう具体的な協議会というよりは、むしろ自分たちの組織がどうなるかという問題があるので、その問題がちょっと先ですという答えがほとんどである。
それともう1つ多いのは、人材がなかなかいないという話がある。1つ我々の課題として考えているが、どういうふうに支援をこの問題についてやっていくかということをこれからどういうふうにして後押しできるかなというのを考えているところである。
もう1つは、なぜ法定の協議会にしたかというと、虐待を初めとしたこのネットワークは、取り扱う内容がそれぞれ家庭の問題、個人情報そのものであり、その中で守秘義務というのは当然考えなければいけない。したがって、法律上に基づく協議会とした場合には、ここできちっと整理、確保、担保ができるわけで、法律ですべてそういったものを課してしまわなければいけないという形で整理をしたということである。
○説明者 続いて、DV関係について、資料1枚目からめくっていただくと、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律が、議員立法により平成13年4月13日に公布され、全面施行が14年4月1日である。厚生労働省としては、平成14年度から国庫補助事業として都道府県内の配偶者からの暴力被害者保護支援ネットワークの推進を図ってきたところである。
DV防止法についても、3年後の検討規定があり、また、平成16年2月からの施行状況を踏まえ、現在、平成16年5月に制定されて平成16年12月2日から改正法が施行されている。
支援のための連携について、資料5枚目、現在の配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の概要のとおり、DV被害者の支援については、支援のための連携が関係機関によって行われている。
具体的な各関係機関の役割として、まずは被害者の相談を受ける県や市が設置した配偶者暴力相談支援センターが黄色の部分である。これは現在、152ヶ所であるが、従来売春防止法に基づいて設置されていた都道府県の婦人相談所とか女性センター、福祉事務所、児童相談所等に設置されている。
被害者の保護に当たっては、右の緑の部分にあるとおり、自ら婦人相談所が一時保護を行うか、一定の基準を満たす民間シェルター等で行われているという状況である。
また、一時保護後の被害者の自立に向けての支援については、下の福祉事務所や民間団体等において行われている。
警察については、暴力の制止や被害者の保護、被害防止のための援助を行うとともに、加害者処罰を行うということである。
医療関係者については、被害者を発見したときに通報することができるということで、右上の方に書いている。
ご存じのとおり、地方裁判所はDV防止法において定められた保護命令を発令しているところである。
資料に掲載ないが、DV被害者の同伴する児童については学校関係者との連携が欠かせない。
以上のような関係機関の連携協力がDV被害者の保護と支援には不可欠であり、被害者の支援する関係機関職員の共通認識、従来ご指摘のあった被害者が支援を受けることによってその支援者から二次的被害を受けることがあるということを防ぐ意味もあり、DVに関する共通認識を持つということと、総合調整が必要であるということで、平成14年度からネットワークの支援を行っているところである。
次に、3番の方で、構成機関については社会福祉関係のみならず、保健関係、法務・警察関係、教育関係等々の民間団体も含めまして構成機関として範囲を定めている。
具体的な活動内容については、連絡会議を年度内におおむね4回以上開催し、参加機関相互の情報交換及び状況把握を行っている。
2つ目に、学識経験者等を講師として、事例検討会を年度内におおむね2回以上開催し、配偶者からの暴力被害女性等の保護支援に関する事例を検討している。
3つ目には、2番の事例検討会議をもとに事例集等を作成して関係機関の職員に配布し、専門性の向上を図る事業もしくは婦人相談所や関係機関の役割等の内容を掲載したパンフレットを作成し、関係機関に配布している。
こうしたネットワークにより緊密な連携を図ることができれば、被害女性等の保護支援は円滑に進めることが可能となると思っている。
次の2ページ、現場レベルでのネットワークの具体的な機能事例であるが、1つ千葉県においては、県内16ヶ所、配偶者暴力相談支援センターがあり、その連絡会議を行うとともに、県内の5地域でそれぞれの各市町村とか警察、弁護士会、民間団体、児童相談所等の関係機関を含めて事例検討、情報・意見交換を行っており、対応する実務者の連携を図っているところである。
神奈川県においては、市町村の福祉事務所、児童相談所、医療機関等を含む具体的な事例検討を行うとともに、警察本部とは日常的に連絡調整を行っており、市町村・福祉事務所を対象としたDV相談の手引書であるとか事例集を作成し、職員の研修に活用している。
香川県においては、県レベルのネットワーク会議を設置するとともに、地域におけるブロックネットワーク会議を開催し、具体的な福祉事務所、民間団体、警察や医師会等の関係機関の地域レベルの連携を強化している。
ネットワークにおける現状の問題点・課題について、ネットワーク会議が関係機関の施策状況の情報交換にとどまり、具体的な事例の検討が行われていない場合については、なかなか被害者の保護支援についての共通認識とか具体的な関係機関の役割、機能、連携方法が明確にならないというものがある。
最後に、充実強化の可能性、考えられる方向性としては、実際に学識経験者等の講師を交えた事例検討会議を通し適切な対応について職員の共有化を図るため、検討した事例をもとに事例集を作成し研修を行うといった実務者の専門性の向上を図ることがまず考えられる。
それに加え、現在都道府県県域にネットワークを推進しているが、地域レベルのネットワーク会議を開催することが実際の実務者レベルの連携を強化するということで課題、可能性として考えられる。
○構成員 まず、児童虐待関連であるが、資料3ページ目にCAPIOという大阪の泉大津市の事例を挙げておりますが、それの下の図の左の方に、すべてにおいて連絡調整、カルテの管理、取組の記録とありますが、これは児童の方の情報を何か一定の書式か情報をデータにしてカルテというもので一括管理をされているということか。
○説明者 基本的に相談を受けた場合にはそれぞれ個別ケースということでケース対応記録ということになるので、カルテという表現は使わないかもしれないが、似たような形で整理をしている。
○構成員 その情報というのは事務局とか関係する機関というのは見ることが可能になっているのか。
○説明者 それは一定の守秘義務がかかるが、法定の協議会なので、その中で情報はできる。
○構成員 それとDV関係の方で1点、民間団体との連携で、この民間団体というのはドメスティックバイオレンスに関する専門の民間団体なのか、それとも普通の犯罪被害者支援センターとかそういったところも含まれるのか。
○説明者 各県の状況にもよるが、女性を中心にシェルターを設立されており、そういったDV被害者、被害女性を保護するシェルターを運営していたり支援する団体ということである。
○構成員 あくまで情報交換のレベルであって、例えば運営の経費についての相談とかそういったことにのったりすることはまずはないということか。
○説明者 団体の運営に関して、現実にはそのレベルまでには至っていない。
○構成員 情報交換のレベルではどうか。
○説明者 情報交換というか、具体的な被害女性の方にどのように支援するかというそういう情報交換になる。
○構成員 個人情報の取り交わしはあるのか。
○説明者 婦人相談所と委託先である民間シェルターとの連携であるため、それが可能になっている。
○構成員 現場レベルのネットワークの具体的な機能事例を、千葉、神奈川、香川とご紹介いただいたが、これは単なる例を挙げられただけで、ほかの都道府県レベルにおいてもこういう取組が、自治体によって、その地域によって取組の仕方がそれぞれ違うのかもしれないが、これは一事例なのか、それともこういうところだけができているのかということなんですか。他の地域でも、たまたまこれは3つ挙げられただけで、ほかもこのようなそれぞれの取組が行われていると理解してよろしいのか。
○説明者 このネットワークの事業については、平成17年度のレベルでしたら43都道府県で実施されていると、この国庫補助事業については。ただ、残り4県につきましても県独自でそういった県域とか地域レベルのネットワーク会議を開催しているということを承知している。
○構成員 実務者の専門性の向上を図ることが必要だとおっしゃっていたが、こういうふうにほかの都道府県も含めて行われていても、その辺が問題が残っているということか。
○説明者 やはり地域によってばらつきはあると思う。
(関係省庁からのヒアリングを踏まえ、ネットワークの現状や課題、充実強化策についての自由討議)
○構成員 これから新しいネットワークを考えるときに、まず考えなければいけないことは、警察がそのネットワークで果たすべき役割はいかなるものかということだと思う。警察庁からの説明にもあったが、現状のネットワークでは警察関係で事務局を全部とっているということだが、果たしてそれがいいかどうかも検討してもらいたいというご指摘があった。まさにその点非常に正しい指摘だと思う。
特に基本的に警察というのは犯罪を捜査する機関であって、被害者だからといってそれを頭から信用するということは警察の職責からしていかがなものかという場合もあり得る。これは秋田の例を見ればそれは明らかである。一方、あれは一時期被害者保護という形で捜査をしていた、内定捜査をしていたのではないかという指摘も一部からされていて。ですから、警察サイドが被害者とどの程度の距離を保つかというのは非常に難しい問題だと思う。
一方、当初の被害直後の危機管理、危機介入という点においては警察の存在というのはなくてはならないもので、非常に大きな役割をそこで果たしておられるわけですし、また果たしていただかなければいけない立場でもあって、非常に難しい問題だと思うが、基本的にはやはり新しい制度を、しかも大きな制度を考えるときに、その事務局をすべて警察におんぶに抱っこということは新しい制度のあり方としては余り、いろいろな意味で、警察サイドから見ても適切とは言えないのではないかというふうに思う。そういう意味では新しい制度をつくるときに警察をどういうふうに位置づけ、それに仮に代わるものとしてはどういうものを考えるかということがこの検討会の大きな課題であろうというふうに考えている。
それから、今お聞きしていると、それぞれのネットワークにはそれぞれ意味があると思うが、やや異質だなと思ってお聞きしていたのは、やはり学校の関係。学校の関係のネットワークは被害者の保護あるいは支援ということよりは、問題児童、逆に言うと、問題児童といった場合は加害者側の児童というものも含むわけですが、むしろその問題児童をどう立ち直らせていくかという観点でつくられているネットワークのような気がする。
そうすると、今のような文部科学省が思っておられるこのネットワークをそのまま被害者支援のネットワークの中に組み込んでいいのかという問題もあろうかと思う。被害者支援という意味と加害者の改善、更生というのが混同される可能性はないのかというふうに思うわけである。被害者サイドに立ってみると、加害者の更生のために被害者が利用される、あるいは被害者支援という形でその行き着くところは加害者の更生であるということになることについては非常に強い抵抗がある。そういう観点から見ると、この今つくられている学校サイドのネットワークというものはそのままの形で新しい被害者支援のネットワークに取り込んでいいのかというのは検討課題であろうというふうに考える。
例えば、今、文部科学省のご説明を聞きながら思っていたのは、例えば秋田の事件で、豪憲君の兄弟がいるわけですね。豪憲君の兄弟、いくつかちょっと忘れましたが、もしかしたら学校へ行っているかもしれません。そのときに学校サイドでは特段のそれを配慮をする。あるいはそういうようなシステムが果たしてあるんだろうかというふうに思いながら聞いていた。そういうような観点から言うと、やはりある程度の手直しをしたものが必要なのではないかと思う。
それから、やはり被害者の支援のことは被害者本人でないとわからないという部分が相当あると思う。ここに本村さんがおられますが、被害者の方にそういう役割を担っていただくということは非常にある意味では大変なことをお願いすることになるのかもしれませんが、被害者当事者の方、そういう経験をされた方をこのシステムの中でどのように位置づけて、どのようにお手伝いをいただくか、中心的な立場でお手伝いをいただくのかということを、どうすればそういうことが可能になるのかということを考えていかなければいけないというのもこのテーマであろうと思う。
○構成員 先ほどの犯罪被害者のための連絡協議会の事務所をどこに置くかという問題に関連して、私も警視庁での会議にときどき出ることがあるんですが、やはり警察が中心で、それにいろいろな関連機関が、求められれば協力するという感じの参加の仕方が今まで目立っていたわけです。基本法ができて、やはり長期の支援、継目のない支援ということを考えると、福祉などの、自治体の機関が本当は中心にならなきゃいけない問題がたくさん出てきているはずなものですから、警察に置くのがまずいということではなくて、やはりもっとそういう生活の面できちんと支えるいろいろな関連のある福祉の領域が、あるいは地方自治体のそういうところが大きな役割を担っていくような方向が望ましいのではないかと感じた。
それからもう1つ、私も学校の問題で少し感じているんですが、例えば学校内で事件が起きて加害者と被害者が生じた場合など、あるいは被害者の遺族あるいは被害者本人に関して学校が先ほどのサポートチームで対応できるんだろうか。やはり被害者には被害者の特別な対応をそのときにできるようなそういう体制をつくらなきゃいけないのではないだろうかと感じた。
○構成員 それぞれの省庁からの取組についてお話を伺ったわけですが、それがうまく他の機関同士、つまりその分野だけの連携、それぞれの1つの連携の中での対応だけじゃなくて、それがうまく総合的に機能するような組織化を図っていく必要があるだろうと思う。具体的には、今警察での取組のお話が出ていますが、法務省の取組とか、あるいは裁判所での取組とか、そういった犯罪被害にかかわるそれぞれの省庁のかかわりがうまく継目のない形でいかに図れていくかという、それぞれお立場のところがあるのでなかなか難しいところも実際はあるかと思うが、それが円滑に機能するような仕組みが必要だろうと思う。
それから、文部科学省の方の話が出ているが、私は十分に承知はしておりませんが、自治体レベルで、例えば被害児童が起こらないような、子どもの見守りの取組などが自治体レベルで進んでいるところがあるやに聞いているが、そういった点での取組というのはいかがか。この点についてご質問させていただければと思う。
○説明者 実は学校安全の担当ではございませんで、お尋ねの点につきましては、学校安全担当の方に確認して詳しくお答えしますが、最近は非常に子どもの被害が相次いでおりますので、被害防止、学校安全の観点から、いろいろ地域での取組というか、子どもたちに危険なことを認識させる、場所を認識させるとか、いろいろなことを自分たちで調べさせてやっている。それから、警察と特に協力をして、いろいろ被害が生じないような指導をするというようなことをやっている。その辺はちょっと調べまして、次にご報告させていただきたい。
○構成員 今私も初めてこういった各機関の方がどういった連携をつくってどういう支援をなさっているかということを聞いて大変勉強になって、まだそういった知識がないので大したことは言えないが、やはり法務省も文部科学省も厚生労働省も皆様人材が最後の課題だと。結局各機関は充実していてそれぞれに機能を持っているが、各機関の役割分担とか機能をフル発揮できるようなコーディネートできる人材がいないことが今の各機関の連携における日本のシステムの総じた問題なのかなというふうに強く私は感じた。
今回これから新しい犯罪被害者の支援を構築するに当たって、当然日本にはもうすばらしい福祉が充実していて、それぞれの機関の機能を活かし連携すればかなりの支援ができると思っているが、では、どれだけ責任を分担してどの機能にどれだけの負担をかけるのかというところをうまく分担できるシステムなり、それは人材に頼ってその人の能力に頼るのかというところはあるが、連携をするためにどういった法整備がいるのか、もしくは人材育成してその人に託すのかというところがやはりあいまいになっていて、最後は今はその各サポートチームであればそのサポートチームを構成する人の力量だったりとかになっているのかなと非常に感じた。
これから法テラスが立ち上がって、法務省では多分コールセンターの方が最初にどの弁護士を紹介するかとかそういったところで相談された方の命運が分かれるかもしれないが、やはりコーディネートする、全体を総括できるという方の人材をいかにつくるかということがやはり大事だなと思った。今回、海外調査の中でも研修とか支援員の方をどう教育しているかということがありましたので、まずその人材の育成ということが1つの大きな課題だなと思う。
それで、やはり当然人材をつくれば、それぞれ立場があるわけですから、社会的な立場ができてきますので、どの機関の方がそこを担うのかということで当然立場から逃げられませんから、それが警察がいいのであるか別の機関がいいのであるか、もしくはいろいろなところがつくった連絡協議会の中の中間的な立場をつくっておくのかというようなことも考えなきゃいけないのかなと、今皆さんのお話を勉強させてもらって私の感じた所感である。
2.海外調査の実施について
9月上旬にイギリス、アメリカ、ドイツ、フランスにおいて行う海外調査に関して、事務局から、調査訪問機関・団体及び調査項目の案を提示し、ご議論いただいた。
○構成員 今いただいている海外調査の件ですが、まず、私たち含めて構成員で意見書を出したものに対してご丁寧にご回答いただいてありがとうございました。9月上旬に行く旨と、あと構成員の数、予算関係、了解いたしました。各構成員の方の意見は統一していませんが、私自身は今お聞きして了解したと感じている。
期間が少ない中で構成員としてどこをどう見たらいいのかとか、日本のイメージはこうしたいからここを聞くべきだということがなかなかきちっとご提示できないのは大変申しわけない中でおつくりさせていただいた資料で、それをほとんど網羅していただいてありがとうございました。
ただ1つ、この各訪問先で何を聞くかという主要な質問事項、核となる質問事項があると思う。それについては、まだこれはかなり粗い段階だと思うので、また後日の検討会でもう少し詳細を詰めたものを議論させていただいて、この構成員のいる場でみんなでこれでいきましょうという決議をした上で訪問先と質問事項というのが決まれば今後、みな同意してやったものですから、いいのではないかなと思う。
それと、今後の議事の進行のことだが、当然私も海外見たことありませんので、何があるかどうかというのはわからないんですが、ここに行けばこんなことが聞けると思うからこういうことを聞こうとか、そういったことを全構成員が理解してその質問事項からある程度の回答も想定しながらできるような調査にしていただければなというふうに考えている。
○事務局 ただいまの構成員のご意見ですが、実はちょっと日程的に今から先方といろいろやったりしてやりますので、実は多分経済支援の検討会のところでは、あれは8月の末ですので何かもうちょっと具体的なものを示せるかもしれませんが、実はこの検討会は日程がございませんので、できればメール等でこういう形にいたしましたということでご報告をさせていただければと思う。もちろんその段階でまたご意見があれば修正させていただいても結構です。いずれにしてもちょっと集まっての検討というのはなかなか難しいかなと事務局としては考えている。
○構成員 9月の上旬ぐらいに行かれるということだと、次は8月7日しかないということですか。
○事務局 ええ。ですから、8月7日までにはちょっとなかなか、まだ先方の都合ももちろんございますし、要するにここに行きますよ、必ず行けるとわかっていればですが、そこがまだ詰まらないものですから、なかなかちょっとお示しできないかなと思います。ご趣旨はよくわかりますので、またそういう形でご報告をさせていただきいたと考えている。
○構成員 では、電子メール上での交換でここも聞いてもらいたいとか、ここはどうしても行けないんですかとか。
○事務局 先方の都合もありますし、日程の都合もありますので、必ずしも全部ここに書いてある機関も全部行けるかどうかわからないんですが、いずれおっしゃったような、ここでは必ずここだけは主要なところですねということはお示しできると思う。
○構成員 そうですか。私はそれで了解いたしますけれども、ほかの構成員の方は。
○構成員 今日私たちが過去に調査した資料を提出させていたたきましたので、参考にしていただければと思う。こういう調査の場合には、ある団体を本部とか支部とかできちんと説明を聞いていくとそこがやっていることは見えるんですが、そこがやっていないことは見えない。
それで、私たちいろいろな機会を通してそういう情報を聞いていくと、例えばイギリスのVSであれば、全国で同じレベルで、等しく事件後早期にきちんと援助ができるということはあるのですが、長期的な、事件からずっと経った方たちはほとんどあてにできないというのを、遺族の人たちから聞くことがある。
あるいは「白い環」についても、ボランティアグループで非常に金銭の経済的な扶助の問題など本当にボランティア的に警察のOBの方たちとかいろいろなOBがいますが、そういう方たちがしてくださっているのはわかるんですが、例えば日本の民間団体が目指しているような早期の援助とかそういうものにはなかなかできるだけの体制がない。以前宮澤先生の報告のことに触れまして、今回この提出した資料の中に書かれていますが、正式な名称が「ドイツ被害者支援活動グループ」という、より専門的で、直後のさまざまな心身の問題に対する援助をきちんとできるような組織が育ってきているとかいうこともあるようです。
ですから、全体をできれば見てきていただけるようにしていただきたいというのと、もう1つは、アメリカの場合にはやはり州あるいは対象の地域によってものすごく違いがあるものですから、その選択よって結論が出てしまうところがあるので、その決定のところで少しじっくりと意見を聞いて相談をして、日本に役立ちそうなところを選ぶというようなことが必要ではないかというふうに感じる。
○事務局 貴重なご助言をいただきましてありがとうございます。最初の全体が大事であるというのは我々も認識しておりますので、しっかりとしかるべきところに行って見てまいりたい。
それから、アメリカは確かにどこの州にするかというのは非常に大事なので、ちょっと我々今のところはワシントンには必ず行きますから、余り遠いところはなかなか行けないなと思っておりまして、またここがいいよというのがございましたらお教え賜ればと考えている。
○構成員 私は調査の当事者でありまして、課題、おっしゃるご趣旨よくわかりますし、ただ限られた時間内に的確に見聞を広めてくる、これはなかなか至難の業かなと思う。それから、例えば今、構成員からお話出ましたが、イギリスのビクティムサポートの組織でも本部に行けば本部のいわゆる総論的な話、建前の話はちゃんと聞けると思うが、それが具体的に各支部に行ってどうなっているのか。支部を紹介されて私も行ったこと何度かありますが、模範的なところを紹介してもらうことになります。またそこでも模範的な答えが出てきます。でも、中に一度必ずしもコントロールされていないところも行ったことがありまして、そうするとまたちょっと意見が違ってきて、そういうところを本当は見てくる必要があるんだろうと思うんですが、なかなか回るのが難しいかなと思う。
だから、要は現状も大事なんでしょうが、現状について二、三時間視察するだけでわかるというのは無理だと思うので、実際はそこでの被害者支援のエッセンスですね、姿勢というものを学んでくる必要が大事なのではないかなというふうに感じている。
○構成員 僕は基本的には今までおっしゃっているもので十分だと思う。この計画の中には被害者本人にも接触するということは前提として入ってくるんですか、それは被害者本人には会わないという前提なんですか。
○事務局 特に決めているわけではありませんが、時間がないのではないかという気はしております。ただ、その辺も被害者の方に直接会ってそういうことができればいいなとは思っていますが、一応は計画としてはそういう政府機関あるいは公の機関と支援団体みたいなところ。支援団体の中には多分、うちの支援センターもそうですが、そういう被害者の方もおられる場合もあると思いますので、そこはそういうことで考えています。
○構成員 出し手と受け手というのは大体感覚が違うのが基本。出し手の方はこれでいいぞと思って出していても受け手の方は足りないと思っているか、こんなの迷惑だと思っているかもしれない。理想から言えば、各国で被害者に会ってくる、インタビューしてくる、それが理想だが、それは無理だと思うので。しかし、どこかで一人ぐらい被害者の方にインタビューできれば非常にいいのではないかと思う。
せっかく我々日本は遅れていると言われているわけで、逆に言えば他国の先進の国のいい点悪い点を踏まえてつくることができるという利点はあるわけだから、こんな立派なことをやってるとかではなくて、先進と言われていてもこんなことしかできないのかとか、あるいはここには穴があるなというところを見つけてきていただいた方が役には立つんじゃないかなと思う。感心してだけ帰って来られてはちょっと困ると思う。
○構成員 では、ちょっとお時間もないので簡単に。私A3横の、6月30日に合同検討会で勉強させていただいたことを、見たことも行ったこともないのを想像だけで簡単に資料をつくらせていただいた。私が海外調査で大事だと思っているのは、上にイギリス、フランス、ドイツ、アメリカと絵を書いているが、必ず絶対に、私も会社の組織に属していますが、ネットワークは絵に書ける。絵に書けないネットワークというのは破綻するし、絵に書けて初めてものの流れとか情報の流れが見えて、問題点とか課題が明らかになる。逆にいかにコストをかけずにスムーズに連携させるかということがポイントだと思っている。6月30日に聞いたことを自分なりにノートを書いて絵にしたものである。
そうすると、いろいろと特徴が見えてきて、まずイギリスであるが、イギリスは絵だけで説明する。内務省の下、これは当然警察であるが、そこにビクティムサポートの本部がある。それにビクティムサポートの支部があるという流れになっていて、こうやって見ると、ビクティムサポートというのはまさに警察だけの意思が反映された組織になっていると。しかもビクティムサポートはボランティアだけで構成されている。いわば専門家と弁護士とかそういった方はいらっしゃらない。ボランティアだけで運営されているという組織ですので、そういったときに他の内務省以外の公的機関であったりとか、イギリスは犯罪の被害に対する補償というのは等級制になっていますが、そういったCICAとの連携、あと、地方自治体とはどうやってやっているのか。あと、他の民間団体、VSに所属していないものはどういう連携しているのかとか。特にあとは専門家ですね、弁護士とか医者とか臨床心理士等々との被害者が支援を受けるきにはVSというのはどう関与してくるのかというところが見えてこないので、ここはよく見ておかなければいけないと思っている。
あと、私が聞いた範囲なんですが、下の方に海外調査に追加してもらいたい項目というのを幾つか書いているが、イギリスでは海外調査項目の支援側からの視点というところの(5)というところに赤字で「コミュニティリーガルサービスパートナーシップ」と書いているが、何かよくわからないが、こういった地域社会で被害者を支えていこうというような取組をしているようである。その中にVSが1個あるだけで、あと地方公共団体とか地方自治体で何かやっているようなので、そういったものがもし分かれば見てきてもらいたいなと思っている。
フランスは、いろいろお話を聞くと、被害者政策協議会というのがあって、これはもう厚生、内務、国防、財務、すべての各省庁が基本的には入っていくということで、いわゆる国策としての被害者の政策協議会であると、それにINAVEMというNGOですが、政府から独立した事業活動としていくつもこの被害者政策協議会に入ったものがあると。ですから、日本の警察の連絡協議会とは全く異質な、すべての省庁が入っているNGO団体であると。その下に加盟機関としてオルレアンというものがあるということで、このオルレアンには実は市役所、県議会、裁判所、弁護士会、社会保険事務所、警察。また、その受入事務所、実際に被害者に当たるところにも弁護士や心理学者、自治体から派遣された職員等がいる。ここはもしかしたらいきなりネットワークが組まれていて、その個別の被害者に対していきなり弁護士の方が行って話をしている場合もあるかもしれないし、もしかしたら名前だけ連ねてていて実際にはやっていないかもしれないし、もしフランスが本当に機能していれば、実は受入事務所に弁護士とか心理学者がいらっしゃるというのは相当いいものですから、本当にそんなことができているのかというところである。
フランスには法律扶助組織でメイソンディラジャスティス何とかがあるということなので、こういった法律扶助組織とINAVEM等の支援団体がどういう連携をしているのか、まさに今後法テラスが立ち上がる上で問題になるかと思うんですが、ここが見聞できればいいのではないかなと思っている。
それと、ドイツでありますが、ドイツというとすぐに「白い環」という話が出てきてしまって、それで話が終始するんですが、確かにドイツは「白い環」が被害者のダイレクトラインになっていましてそれがいろいろな支援をしているようですが、実は「白い環」っていろいろ調べるとボランティアの3分の1が警察官であるというようなこととかOBであるということもちらっとインターネットでは情報があるし、また専門家、弁護士、医師、大学教授等が連携しているということなので、その「白い環」に相談したからといって、これは本当に素人のボランティア集団ではない。いろいろな専門家の方がいらっしゃると。そういった方たちが実際にどうやって連携をして支援しているのかというところを知ることができれば非常にいいかなと思っている。
また、ドイツにはその「白い環」というボランティア団体だけではなくて、当然国もやっているわけでして、特に各州に援護庁というところがあるようである。そこにはヒルフェと呼ばれる州立支援機関ということで、これは被害者支援を専門的にやるような公的機関がある。こういった公的機関と民間のボランティア団体の「白い環」というのはどういう連携をしているのかということを知ることも、ドイツに行って「白い環」見たらすべてを見た気になってはいけないのではないかなと思っている。
特にドイツはケルン州というところに、これは被害者支援における連携状況というところに項目に赤字で書いているが、ケルン州というところはケルンモデルというものがあって、警察とケルン大学、援護庁、「白い環」、官民一体になって被害直後から被害者に接して精神的なカウンセリングをすることで早期に被害者が立ち直れるという試みをやっているということなので、ドイツでも全部できてないということですから、かなりの難しいモデルケースかもしれないが、こういった取組等も見聞することができれば、大変すばらしい調査になるのではないかなと思っている。
あとアメリカですが、先ほど事務局が言われたように、州によっても全然違いますし、よくわからないということでちょっと複雑な絵になっている。ただ、ここは、とにかく民と官が本当に入り交じったような状況になっているというところで、今回調査項目に追加していただいているが、やはりNOVAは見なきゃいけないだろうと思っている。
それともう1つは、全米犯罪被害者センター、NCVCと呼ばれる組織があるようで、この活動内容をちょっと簡単に調べると、これは1985年に設立した非営利団体で、司法における被害者の地位向上への取組とか、民事訴訟における損害賠償の獲得、専門家への教育などをやっているという機関で、どちらかというと専門家や国に対してロビー活動ではありませんが、被害者の地位を上げるために取り組んでいる機関だそうである。
注目したのが、被害者のために全米犯罪被害者弁護士会というところと連携して民事訴訟のバックアップをしていると書いてあったので、もしかしたら法律扶助的な取組をしているところではないかなということがあったので、ぜひともこの全米犯罪被害者センターというところも何をやっているかと見ていただければおもしろいのではないかなと思う。非営利団体でやっているというところがポイントなのかなと思っている。
というようなことが、6月30日の検討会から自分なりにまとめさせていただいて段階ですが、こういったところをちょっと少ない人数と期間で難しいとは思いますが、見ていただければなと思っている。
3.その他
第5回会合(8月7日)においては、連携を強化する「仕組み」について、有識者からのヒアリングを実施するとともに、国内の関係機関・団体の連携の現状把握のための調査や今後の検討の進め方に関して検討を行う予定。
○構成員 1つは、いろいろな構成員からご指摘ご発言があったが、被害者に対する支援活動、働きかけというのは、善意に基づくものであれば確実に通じるという保証は全くない。私もそういうことを現場にいて見聞するところである。したがって、いろいろな構成員の方からご指摘があったが、被害者等の観点を含め複数の観点を同時にバランスよく保つような形で議論が進んでいけば、非常によいものができるのではないか。
またもう1つは、今後我々がずっと見守り続けるべきことだと思うが、支援のために取り組まれる連携の中で不具合のあるものについては、いろいろな観点から考えて、最終的に被害者等の方々に実質的な利益が及ぶような形のものに常に改善していくことが重要であろうと感じている。
(以上)