![]() |
(開催要領) | |
日時: | 平成18年7月24日(月)13時01分~15時09分 |
場所: | 合同庁舎4号館共用第4特別会議室 |
出席者: |
座長 | 長井 進 | 常磐大学大学院被害者学研究科教授 |
座長代理 | 小西 聖子 | 武蔵野大学人間関係学部教授 |
奥村 正雄 | 同志社大学大学院司法研究科教授 | |
高井 康行 | 弁護士 | |
本村 洋 | 全国犯罪被害者の会幹事 | |
山上 皓 | 東京医科歯科大学難治疾患研究所教授 | |
荒木 二郎 | 内閣府犯罪被害者等施策推進室長 | |
廣田 耕一 | 警察庁犯罪被害者対策室長 | |
井上 宏 | 法務省大臣官房司法法制部司法法制課長 | |
坪田 眞明 | 文部科学省初等中等教育局児童生徒課長 | |
依田 晶男 | 国土交通省住宅局住宅政策課長 | |
代理 | 荻野 剛 | 総務省自治行政局自治政策課理事官 |
代理 | 山口 高志 | 厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐 |
説明者 | 川鍋 慎一 | 厚生労働省雇用均等・児童家庭局虐待防止対策室長補佐 |
説明者 | 薬師寺順子 | 厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子家庭等自立支援室女性保護専門官 |
(議事次第)
1.開会
2.行政からのヒアリング(現行の取組について)
1)警察庁(被害者支援連絡協議会及び被害者支援地域ネットワークについて)
2)法務省(日本司法支援センターを核とした総合法律支援構想について)
3)文部科学省(学校及び教育委員会等を核としたネットワークについて)
4)厚生労働省(児童虐待・DVに関する各ネットワークについて)
3.海外調査の実施について
・調査項目等について
4.その他
5.閉会
(配布資料)
資料1 | 警察庁資料[PDF形式:81KB] |
資料2 | 法務省資料[PDF形式:236KB] |
資料3 | 文部科学省資料[PDF形式:19KB] |
資料4 | 厚生労働省資料 [1][PDF形式:77KB] [2][PDF形式:27KB] |
資料5 | 海外調査項目等関係資料[PDF形式:74KB] |
(議事内容)
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 皆さん、こんにちは。小西先生が少し遅れられるということですが、定刻になりましたので始めさせていただきます。
ただいまから、第4回支援のための連携に関する検討会を開催いたします。
司会を長井座長にお願い申し上げます。よろしくお願いします。
○長井座長 皆様、お忙しいところご出席くださいましてどうもありがとうございます。それでは、今から司会を務めさせていただきます。
まず、本日の議事について、事務局からご説明をお願いいたします。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 お手元の議事次第をご覧いただきたいと存じます。本日は既存のネットワークの現状あるいは課題を把握いたしまして、充実強化の可能性等を探るということで、関係省庁から現行の取組についてのヒアリングを行いますとともに、先日6月30日の三検討会合同での諸外国の実情に対するヒアリングを踏まえまして、9月上旬に実施を予定しております海外調査におけます調査項目等についてご議論を賜りたいと考えております。
関係省庁のヒアリングにつきましては、説明時間1省庁約15分、質疑応答をそれぞれの説明の後約5分ということでお願いしたいと考えております。
以上でございます。
○長井座長 それでは、これより議事に入ります。現行の取組についての行政からのヒアリングは事務局からのご説明のとおり、問題点や課題を含めた既存のネットワークの現状について把握するとともに、その充実強化の可能性等を明らかにすることを目的としております。
そのような観点から、警察庁、法務省、文部科学省、厚生労働省の現行の取組についてこれよりご説明いただきたいと思います。
それではまず、警察庁長官官房給与厚生課廣田犯罪被害者対策室長より被害者支援連絡協議会及び被害者支援地域ネットワークについてご説明をお願いいたします。
○説明者(警察庁犯罪被害者対策室長) 警察庁の廣田でございます。それでは、ご説明させていただきます。お手元に所定の様式の資料が配られているかと思います。これに沿ってご説明させていただきます。
私どもで今所管といいますか、関わっておりますネットワークが2つございます。1つは「被害者支援連絡協議会」という名称のもの、それから「被害者支援地域ネットワーク」というものでございます。これは各県あるいは警察署単位で設置されているものでございますが、それぞれの県なり署レベルで名称が異なっていることもございます。
これはまた後ほどご説明いたしますが、平成10年から各都道府県警察に対しまして私どもが通達で設置を指示したものでございます。これに基づいて現在、全都道府県単位、それから基本的には全警察署単位で設置されているものでございます。趣旨等につきましてはまた後ほどご説明いたします。
そのネットワークのイメージ図につきましては、資料1のポンチ絵にあるとおりでございます。大変ざっくりしたものでございますけれども、警察と関係機関・団体、それから民間の被害者支援団体とを結ぶといいますか、大きくこれを含むネットワークということでございます。
それから、被害者支援連絡協議会の具体的な構成図につきましては資料2をご覧ください。これは高知県の事例でございますが、このように県でありますとか、あるいは国の出先機関といいますか、国の機関あるいは大学等、そういったところを含むものでございます。また、高知県のように、このような形で被害なり犯罪の種別に応じまして、分科会形式のものを置いているところもあるわけでございます。
それから、警察署単位で設置しております、被害者支援地域ネットワークの構成図につきましては資料3でございます。これもある警察署での実際のネットワークの構成図でございます。連絡協議会と比べますとかなり具体的な被害者のニーズに応えるということで、関係機関・団体だけではなくて個別の事業所といいますか事業者といったものがメンバーに加わってございます。
そこに、大くくりで相違点というふうに書かせていただきましたが、被害者支援連絡協議会におきましては、構成員が国の出先機関あるいは都道府県の機関や都道府県レベルの団体ということでございまして、その影響力なり施策の立案能力が高いであろうということでございます。2点目としては、非常に全県的な大きな事件・事案、社会的反響の大きな事件・事案に対する取組が可能である。こういったネットワークを通じてさらに下部組織といったところにいろいろな指示あるいは依頼というものを下ろしてもらうことも可能だということでございます。
他方、被害者支援地域ネットワークでございますが、これは実際、現実の事件・事故というのは警察署中心で処理されているということがほとんど大部分でございます。そういうことで、実際の被害者支援というのは、警察署レベルあるいは市町村レベルで展開されるということが多いわけですが、そういった意味で被害者支援地域ネットワークというのは被害者に身近なところで対応が可能だと、被害者のニーズに応えやすいと、そういった役割分担といいますか、連絡協議会との間の大ざっぱな役割分担というものがあるということでございます。
続きまして、2番目のネットワーク構築の理念・目的でございます。そこに書いてありますように、被害者のニーズを警察だけですべてこれに応えるということはできないということで、関係機関・団体の連携のためのネットワークを作ろうということでこういったものを設置しているわけでございます。
そういうことで、こういったネットワークによりまして警察だけではなくて他の公的機関、民間団体が連携して取り組むということが可能になり、被害者支援に向けた社会環境の醸成にも大きな役割を果たすことが可能であろうと考えております。
そのほか、例えば現実には民間被害者支援団体の設立が必要であるというような場合にもこのネットワークを活用しまして、一定の世論形成といいますか、そういった関係機関や団体の協力の取り付け、あるいは環境づくり、そういった役割も果たしてきたところでございます。
続きまして、3番のネットワーク構成機関・団体の範囲でございます。そこにありますように、かなり被害者支援連絡協議会につきましては、およそ被害者の支援に何らかの関係があると思われる機関や団体はほとんどご参画いただいているということでございます。結果として全国の被害者支援連絡協議会には合計1,682の関係機関・団体が参画しております。
その被害者支援連絡協議会の会長や副会長あるいは事務局といったものについては、資料4で一覧表にまとめております。これはもともと私どもの方でお声がけをさせていただいたということがありまして、事務局については、すべて警察が担当しております。唯一千葉県のみ警察と県の方で共同でこの事務局を担っておりますが、その他につきましては、すべて警察が単独で事務局を担っているという状況でございます。
それと、4番のネットワークの具体的な活動内容でございますが、これにつきましては資料5に平成17年中の主な活動ということで連絡協議会とネットワークとに分けて記載をさせていただいております。
まとめて申し上げますと、県レベルの連絡協議会の方ですが、ルーティーンとしては一般的な意見交換でありますとか、懇談あるいは広報・啓発事業をやる、あるいはこの参加者の間の啓発という意味で講演会等を開催する、あるいはフォーラムを開催する。それから、先ほど申し上げたような民間団体の設置についての協議をする、あるいは条例の中にこの被害者支援を盛り込んだらいいのではないかといった議論をやっております。他方で非常に大きな事件・事故が発生すれば、ここが意思決定といいますか、関係機関や団体、そういった構成員の協力依頼、協力の取り付けの場として機能するということでございます。
例えば資料5の2枚目の中ほどに兵庫県の被害者支援連絡協議会の活動内容を書いておりますが、JR福知山線列車事故に伴う被害者支援等のあり方等について検討ということで、こういった極めて大きな事件・事故が発生しますとこういう場を活用して関係機関・団体の協力を要請するといいますか、取り付けるといったようなことが行われております。
他方、被害者支援地域ネットワーク、警察署単位のものでございますが、これは逆にルーティーンとしては日々の発生する事件・事故の被害者支援の実働といいますか、実際にこのネットワークを活用して支援をやっているほか、広報・啓発活動等も行うということでございます。
いずれのネットワークにつきましても評価・監視、それぞれの構成員の活動についての評価・監視までは行っていない。非常にある意味緩やかな連携を確保するための仕組みでございます。
それで、5番の現場レベルでのネットワークの具体的な機能事例でございます。これは資料6の方で若干例を挙げております。今しがたお話ししたことと重なる部分がございますが、それぞれ被害者支援連絡協議会あるいは被害者支援地域ネットワークでの実際の活動例を少し挙げております。
1番の列車脱線転覆事故におきましては、この協議会に参画する機関・団体が連携して、その被害者遺族の方々のために各種相談窓口をわかりやすく説明したパンフレットを作成・配布するといった活動をやっております。
それから、2番の県立高校における爆破物使用事件におきましては、これは発生の場が学校ということで、いろいろなダメージを受けている学生が大勢いるわけですが、そこでの役割分担といいますか、警察と学校側での役割分担を確認するといったようなこともやっております。また、ネットワークを活用してクライシスレスポンスチーム、CRTの派遣要請をしまして、そこが初期的な精神的ケアを実施したこともございます。
それから、3番目は性犯罪の事件ですが、ビデオリンク方式による証人尋問が実施されることになったわけですが、そこに至るまでに検察官の方から意見書の提出の打診がありまして、それをこのネットワークに参画されている精神科医のご協力を得て、性犯罪被害者の心理に関する意見書を提出して証人尋問が実施されることになったものであり、さらにまたビデオリンク時においても、この精神科医の方に付添い活動をやっていただいたと、そういった例でございます。
それから、4番は殺人事件でございますが、小学生の遺族がおられたということで、協議会の会員である県の義務教育課からスクールカウンセラーあるいは県の青少年家庭課から臨床心理士を派遣していただいたということでございます。
それから、5番目はDV被害者への支援ということでございますが、このネットワークのメンバーである被害者支援センターで調停の付添い活動をやっていただく、あるいは同じく会員のハローワークに被害者の要望に沿った稼働先を紹介してもらうといったような活動をやっております。
総じて申しますと、やはり一番多いのはメンタルサポート面でのこのネットワークの活用というのが最も多いのではないか。次いで生活面、住居でありますとか生活保護ですとか就職といったようなことがあろうかと思います。
6番のその他ネットワークの概要でございますが、これは先ほど来ご説明しておりますように、このネットワークにつきましては平成10年、通達に基づいて11年2月までに全都道府県に協議会が設置されたという経緯をたどっております。また、38の都道府県におきましては、いろいろな分科会が設置されているところでございます。
また、警察署単位のネットワークにつきましては、そこに記載のように、1,219の警察署中1,213警察署の下にネットワークが設置されていることでございます。これは数がちょっとずれてきておりますのは、複数の警察署の管轄の中でネットワークを1つ設置するというようなこともございましてこういうようなことになっております。
そういうことで、協議会と分科会の設置状況については、資料7のとおりでございます。
それから、この被害者支援連絡協議会の開催状況については、資料8のとおりでございます。若干ばらつきがございまして、平成17年中開催が空白、空欄になっているところがございますが、こういったところにつきましても平成16年あるいは18年には開催しているということでございます。
続きまして、7番のネットワークにおける現状の問題点と課題ということでございます。そこにちょっとやや抽象的に書いてありますけれども、今ご覧いただいたように、協議会の開催状況自体にもばらつきがございます。先ほど申し上げたように、このネットワークの設立の経緯は、私どもの方でお声がけをさせていただいたということで、事務局も警察がとっているということでございます。そういったことで警察が被害者の方々のニーズに応えるために、何か関係機関・団体に働きかける、そういう場合に活用するネットワークという性格、実態に、ある意味とどまっているということも言えるかもしれませんが、そういう現状でございます。したがって、どうしてもそれぞれが主体的にという点では差があるのかなと、各構成員の意識や取組などにどうしても差が出てきてしまうのかなという感じはしております。
それから、次の8番のネットワークの充実強化の可能性、それから考えられる方向性ということでございます。そこにまた基本法や基本計画の趣旨を踏まえて云々ということを記載させていただいているわけですが、今申し上げたことに関係するわけですが、こういった警察が事務局をとった形で緩やかな連携をとるというネットワークなわけですが、こういったネットワークの活用を一層充実強化させるということは私ども努力していかなければいけないのですが、やはり限界があるのかなと感じております。警察が事務局をとっている姿が望ましいのかどうかも含めて何が一番問題になっているのか、被害者のニーズに迅速・的確に応えるためにどういう点が問題なのか。これは私ども実際にネットワークの事務局をとっている立場ではなかなかわかりづらいところでありますので、むしろいろいろなご意見をいただかなくちゃいけないと思います。そういったニーズを踏まえて、さらに諸外国の例も踏まえつつ、検討していく必要があるのではないか。特に被害者の方は、それぞれの地域において生活をしていくといいますか、生きていくことになりますので、地方公共団体、市町村のレベルで被害者支援が着実に推進されるためのネットワークのあり方というのを検討していく必要があるのかなと感じております。
ちょっと雑駁でございますが、以上でございます。
○長井座長 ありがとうございました。
ただいまの警察庁からのご説明につきましてご質問等があればよろしくお願いいたします。
○高井構成員 すみません、高井ですが。この連絡協議会というのは大体月に何回というふうに決まっていて、定期的に開かれているのでしょうか。
○説明者(警察庁犯罪被害者対策室長) 先ほどちょっとご説明したように、開催状況というのを資料8で記載させていただいておりますが、取組の差が実際のところございます。私どもの方ではこれを最低月に一回やれとか、年に一回やれという指示を警察庁の方からしているわけではございませんで、各県の実情に応じてそれはやってくださいということでございます。
○高井構成員 必要に応じて。
○説明者(警察庁犯罪被害者対策室長) はい。
○長井座長 ほかにはいかがでしょうか。
それでは、ほかにございませんようでしたら、次に法務省、大臣官房司法法制部井上司法法制課長より、日本司法支援センターを核にした総合法律支援構想についてご説明をお願いいたします。
○説明者(法務省大臣官房司法法制部司法法制課長) 法務省の井上でございます。本日のヒアリングの趣旨は現行の取組をということでございましたが、日本司法支援センターはこの4月に設立されましたが業務開始は10月の予定でございまして、本日は、今検討しておって10月以降このような取組を行うこととしている、こととなろうというあたりのご説明をさせていただくということでご容赦をいただきたいと思うところでございます。
まず、日本司法支援センターを中核とする総合法律支援制度というものはどのようなものかという概要からご説明申し上げたいのですが、資料1をご覧ください。ちょっと歴史的な話になりますが、この総合法律支援構想というものは司法制度改革の一環として検討が行われてきたものでございます。資料1の右上の四角にありますように、司法制度改革審議会の意見書が平成13年6月に提出され、そこがスタートになるところでございます。平成13年の段階では法律扶助とか司法アクセスの改善、公的弁護の問題というのは個々に取り上げられていたわけでございまして、現在の姿のようなものが浮かび上がってきたのは、その後平成14年から15年にかけて、司法制度改革推進本部で、あるいはその顧問会議でどのようにそれを具体化するかを検討していった過程で、日本司法支援センターがそれを担うことになる運営主体という概念が明確化されまして、その運営主体でどのような業務を行うのかというのを詰めていく過程で被害者支援業務というものがクローズアップされ、小泉総理も非常に重要なこととして指摘されておったということでございます。
その後、平成16年3月に通常国会に総合法律支援法が提出されたわけでございますが、その段階では現在の法律にあるような被害者支援の関係での態勢の充実でありますとか連携の確保・強化、さらに具体的な支援業務等が形づくられてきておりまして、さらに国会での審議の過程で、国会議員の修正によりまして、後に説明いたします被害者問題に精通した弁護士を紹介するなどの業務も行うということがより明確化されてきたわけでございます。
そして、総合法律支援法は平成16年6月に公布されたわけでございますが、その半年後、16年12月には犯罪被害者等基本法ができたわけでございまして、その中の第7条のところで日本司法支援センターも国その他の関係機関とともに相互に連携協力すべきであるということで明示的に位置づけをしていただいておるところでございます。
そして、昨年12月、犯罪被害者等基本計画では日本司法支援センターによる各種の支援につきましての具体的な指摘もいただいておるところでございます。そのような計画も受けまして、本年4月10日に日本司法支援センターが設立され、法務大臣から中期目標の提示を受けまして、日本司法支援センター側で中期計画を設定して、さらに業務方法書をつくっていく過程におきましては、基本計画等も踏まえた内容が盛り込まれておるところでございます。
日本司法支援センターは独立行政法人の枠組みに従った法人でございまして、基本的には法律により規定された業務を行うこととされておるところでございます。立法論と運用論と両方とも検討する余地はございますが、現行法の枠組みをまずご理解いただくということで、以下ちょっと条文の説明をさせていただきたいと思います。
資料2-1をごらんいただきたいと思います。総合法律支援構想と言うときの総合法律支援とは何かという点でございます。総合法律支援法の第一条に書いてございますが、少し単純化して申し上げますと、総合法律支援というのは法による紛争の解決のための制度の利用をより容易にするという、紛争解決制度の利用の容易化という問題と、弁護士・司法書士などの法律専門職のサービスを身近に受けられるようにする、そのようなことを総合的に支援していく、法による紛争の解決を専門家の力を借りて着実に行えるようにする、これが総合法律支援の基本的な考え方でございます。
そして、第二条で基本理念といたしまして、総合法律支援の実施及び体制の整備につきましては、民事・刑事を問わず、あまねく全国において法律による紛争の解決に必要な情報やサービスの提供が受けられる社会の実現を目指すということがうたわれておるところでございます。
第十四条には「支援センターの目的」といたしまして、日本司法支援センターは総合法律支援に関する事業を迅速・適切に行うことを目的とするのだということが規定されています。
さらに第三十条において、日本司法支援センターは第十四条の目的を達成するため総合法律支援に関する次に掲げる業務を行うということで、一号から八号まで規定されておるわけでございます。
そこで、日本司法支援センターが行う業務の概要ということでございますが、戻って資料1の右下のところをご覧いただきたいと思います。概要のご説明ということでポンチ絵で説明いたしますと、右下、日本司法支援センターの設立の枠内に主な業務内容として6つの枠があります。
1点目が情報等の提供ということでございまして、法による紛争の解決あるいは法律専門職者等に関する情報を整理して、提供できるようにする。
2点目がその右側、民事法律扶助でございまして、資力に乏しい国民等に対して弁護士費用の立替え、無料法律相談等の援助を行う。
3点目、その右側の、国選弁護人確保で、これは刑事の問題でございますが、刑事手続上の国選弁護人の選任につきましての確保業務を行う。
それから、左下、司法過疎対策。これは、いわゆる弁護士がいないあるいは一人しかいない、ゼロワン地域と言われるところを中心に、司法過疎地域で、ここは有料のサービスになりますが、弁護士等に法律事務を行わせるようにしましょうということ。
それから、5番目、ここが被害者支援の問題でございまして、後でもう少し詳しくご説明いたします。
6番目の連携の確保・強化、被害者支援も含めて関係機関との連携を確保・強化していくということでございます。
そこで、被害者支援関係業務は具体的にどのように規定されているかと申し上げますと、資料2-1の、第三十条第一項第五号のところでございます。被害者等の援助に関する次に掲げる情報、資料を収集、整理して、一般の利用に供する、そして、個別の依頼に応じて提供するということでございまして、どのようなことに関するのかといいますと、イとロとあります。刑事手続への適切な関与等々、被害者等の援助に関する制度の利用に資するものがイ。それから、ロとしては、被害者の援助を行う団体、その他の者の活動に関するもの、これらに関する情報の収集、整理、提供という業務までございます。
それから、後段が総合法律支援法案の審議の際に衆議院において議員修正で追加された点でございますが、このような業務を行うに際しては、被害者等の援助に精通している弁護士を紹介するなど、被害者等の援助が実効的に行われることを確保するために必要な措置を講じなさいとされています。これが日本司法支援センターで行う被害者支援業務の中核的な枠を規定している条文でございます。
なお、関係機関との連携のあり方といたしまして、第三十条第一項第六号で関係機関との連携の確保・強化を図るということが規定されておりますが、もう1点だけ申し上げておきたいのは、第三十二条の第三項、日本司法支援センターは地方公共団体、弁護士会云々、被害者等の援助を行う団体、その他の者の総合法律支援に関する取組との連携の下でこれを補完することに意を用いなければならないとなっております。この連携の下での補完ということが1つの基本的なかかわり方ということで法律上規定されておるということでございます。
日本司法支援センターの業務はそのようなものでございまして、これをどのような組織で行うかという点につきましては資料1の左下に戻っていただきたいと思います。事務所としては本部と地方と分けてございます。本部は理事長、監事、理事、事務職員、そのような者で構成されますが、特にご注目いただきたいのは地方でございまして、基本的には地裁の本庁所在地に地裁に対応する形で50ヶ所、地方事務所というものを設けます。これが日本司法支援センターの現場での活動の拠点になるところでございます。なお、大都市や過疎地には地方事務所の支部を設けるということになっておりますし、また法律扶助の関係等もございまして、大都市では出張所を設けるということも予定されておるところでございます。いずれにいたしましても、10月2日の開業に向けまして今急ピッチで準備を進めておるというところでございます。
それでは、日本司法支援センターで予定されている被害者支援業務としてもう少し具体的なイメージを抱いていただくために説明を進めます。資料3をご覧いただきたいと思います。被害者支援業務の主たるところは情報提供業務でございますが、まず一般的にどのような情報提供の仕事をするのかをご説明した後で、被害者に対してはどのような応用が施されているのかという観点で説明を進めます。資料3-1は一般論の形を絵にしております。
日本司法支援センターでは、日本司法支援センターが収集・整理した情報を提供し、紛争の解決に資する情報や法律専門職の利用に関する情報をインターネットでありますとか電話、面談などさまざまな方法で提供いたしまして、また関係機関にも活用していただくために提供していくということを考えてございます。
具体的に言いますと、1段階、2段階とございまして、第1段階はコールセンターの専門オペレーターによる前さばきと申しましょうか、第1次的な対応という点でございます。これには全国から電話による非常に多数の情報提供の問い合わせが来ることが見込まれますので、それを集中的に効率的に処理するために、全国に1ヶ所コールセンター、当面は東京に置く予定でございますが、コールセンターを設けまして、そこに専門のオペレーターを置きまして集中的に相談に応じることとしており、そのためには相談窓口、いろいろな機関がお持ちの相談窓口についてのデータベースをこれまでに種々調査して今構築しておりますし、また、FAQ、これは地方公共団体や警察がこれまで取り扱ってこられた内容等を分析して、よくある質問と答えという意味でのFAQを今順次充実強化しておるというところでございます。
これらのデータベースやFAQを活用いたしまして、例えば消費生活相談員等、そういう一定の資格を有する専門オペレーターを置きまして問い合わせに応じていく。具体的には関連の法制度を説明するとか、当該トラブルに合っている内容に応じた適当な関係機関を紹介する、あるいは複雑な事案でありますとか、契約書等の現物を見ないとわかりにくいという場合には、地方事務所へ案件を移送いたしまして、地方事務所での第2次的な対応に回すというような第1次的な対応をまずコールセンターで行うわけでございます。
そして、第2段階はその下段にございます、各地方事務所の方で電話の第2次的な対応あるいは窓口に直接来られた方に対する第1次的対応を情報提供担当職員、ここも消費生活相談員の資格を有する者なども活用していくということで考えておりますが、そのような者が具体的に相談に応じて、先ほどと同じような情報提供、紛争の解決に役立つ情報提供を懇切丁寧に行っていくということでございます。これが一般的に法的トラブルに巻き込まれた人からの相談を受ける大枠でございます。
犯罪被害者等からの問い合わせに対してどのような対応になるかということで、資料3-2をご覧ください。これは資料3-1を少し応用しておるものでございます。まず、コールセンターでございますが、コールセンターには犯罪被害者等の専用のダイヤル、番号を設けるということにしてございます。そして、犯罪被害者に対する対応ができる専門オペレーターを常駐させるということを予定してございます。具体的には被害者支援団体とか警察署、検察庁等での被害者支援の相談等の経験がある者の中から専門オペレーターを配置していきたいというふうに考えておるところでございます。
そして、一般の情報提供の場合と同様に中央のコールセンターで第1次的対応をした後、必要に応じまして地方事務所に案件を移送いたしまして、そこで専門の相談員あるいは情報提供担当職員によりましてより細やかな情報提供を行っていきたい。それは電話でご相談に応じることもあれば、実際に来所していただいて相談に応じる場合もございます。
いずれにいたしましても、各地域の実情を踏まえた関係団体との連携関係を構築していく中で実用に耐える詳細な情報を収集いたしまして、それを適切に提供して、いろいろな説明をする、あるいは適切な機関や団体にご紹介をする、あるいは精通弁護士等をご紹介する、あるいは法律扶助の利用も助言する。そのようなことを迅速に丁寧に対応していきたいというふうに考えておるところでございます。
そこで、犯罪被害者支援精通弁護士の紹介のことでございますが、これにつきましては現在、これは弁護士会との具体的な協力が不可欠な問題でございますので、どのような形で紹介をしていく手順を踏むのがよいのか、その手続的なこと、名簿をつくって名簿に基づいて紹介していくということが基本線でございますが、どのような名簿をつくるか、得意分野などどのような記載事項をつくるか、どういう順に紹介するか、あるいは近隣の県により適当な弁護士がいる場合にどのように紹介していくかとかそういう協力の関係につきまして鋭意検討、協議を進めておるという段階でございます。したがいまして、これは開業後可及的速やかに充実した紹介業務の実施を目指して現在準備を進めておるという段階でございます。
それから、もう1点、民事法律扶助の活用でございます。これは資料3-3でございます。民事法律扶助といいますのは一定の要件の下に資力の乏しい人に弁護士や司法書士のこともございますが、法律相談でありますとか訴訟手続の代理、書類作成の費用の立替えをする制度でございます。現在の民事法律扶助法の下において、またこれが日本司法支援センターに引き継がれた後におきましても、民事上の請求に当たっての法律相談、損害賠償訴訟における代理、DVの保護命令などの民事手続、書類作成等々の費用の立替えができるわけでございます。そのようなことを今後とも充実して行っていきたい。具体的にはコールセンターのオペレーターがそのような案件で相談を受けましたら、地方事務所の担当職員に回しまして迅速に精通弁護士の紹介等も併せまして、充実した援助を提供していく仕組みになっておるわけでございます。
最後に、関係機関とのネットワークの構築に関することでございます。現状におきましてはまだ開業前でございますので、具体的なネットワークはできてございません。しかし、開業の準備の段階から法務省におきまして警察庁、日弁連、扶助協会、犯罪被害者支援ネットワーク等の関係機関と協議を行ってきてございます。そして、現在のところは各地方事務所に対して、今警察庁からご説明ございましたが、各地方にござます被害者支援連絡協議会への参加をまずするようにということで指示してございます。ただ、それだけで十分であるということではございませんので、開業に向けてあるいは開業後それをよりよくしていくために随時の意見交換会の開催を要望していく必要もありましょうし、あるいは支援連絡協議会が大き過ぎる場合には関係の密接な機関・団体だけによってもう少し細かな対応につきましての事務的な打ち合わせ会を早急に行っていくよう検討する必要があると考えておるところでございます。
連携の確保・強化に関係いたしまして、もう1点だけご説明を申し上げたいのですが、資料2-3で、日本司法支援センター中期計画というものがございます。中期計画といいますのは、独立行政法人の枠組みに従った法人たる日本司法支援センターが4年間の計画期間の中でこういうことを行っていくという計画を立ててそれを実行していくことを宣言し約束するもので、総合法律支援法に日本司法支援センターが作成し法務大臣が認可することが定められた文書でございます。
その1の(6)の(1)は各地方事務所段階で連携強化を頑張りますと、12以上の機関と連携しますということであり、さらに(2)において、連携関係の強さをあらわす連携指数というものを設定いたしまして、これを平成18年度から21年度までに上昇させていくという具体的な計画を立てておるところでございますので、この点につきまして補足してご説明申し上げます。
連携の度合いとして現在のところ4つの段階を想定してございます。第1段階は、日本司法支援センターと関係機関・団体が相互に紹介し合う、相互に紹介し合うだけで実際に紹介先へ連絡するのは個々の相談者の方が自分の責任でやる。関係機関・団体は相互に「こんな機関ですよ」という情報の提供をし合うだけというのが第1段階の連携段階です。
第2段階は、日本司法支援センターと関係機関・団体が相互に紹介するとともに、紹介先の連絡も日本司法支援センターとか関係機関の方で、つまり相談者ではなくて日本司法支援センターとか関係機関の方で紹介先との間の連絡もきちんととると、そのような連携関係を第2段階としております。
第3段階は、単に連絡をとるだけではなくて、その段階において相談者等から聞き取った、あるいは面接等で得た情報を相談者の同意を得た上で、このような案件でこういうご相談であるということを相手方に責任を持って伝えるという形での紹介をする、これが第3段階であります。
第4段階は、3段階の発展でありまして、紹介した最適な相談機関が予約制の場合には、そこの面接等の予約までとってあげる。要するに相談者の負担の軽減という見地から、可能な限り密な連携を構築しようということでその連携の段階を一応4つ立てまして、その連携の強さをどんどん上げていうこという前進的な計画を立てたということでございます。
なお、今後のことでございます。10月の開業に向けて現在一生懸命準備をしてございますが、なかなかスタートの時点から完璧なものをつくるというのは非常に大変なことでございます。実際に被害者支援の業務を始めていろいろ連携を図っていく中で、要するに業務開始後も不断にそれを改善していく必要がある、そのために関係機関との情報交換や具体的事例の検証をしたり、不適切な事案の改善を行う、そういう着実な積み重ねが重要であると思っておりますが、今後作っていく、育てていく部分が多うございますので、皆様方からも適切なご意見、ご支援をいただきたいと思っております。
以上です。
○長井座長 ありがとうございました。
ただいまの法務省のご説明についてご質問等ございましたらよろしくお願いいたします。
では、本村構成員。
○本村構成員 すみません。弁護士の方の都市集中に対応するためにゼロワン地域に新たに弁護士の方を司法支援センターの方から配置するということですが、その弁護士の方々は自立で採算を見合わせるわけですか、それとも支援センターの方から何らかの援助等があって積極的に例えばこういう地域に行ってくださいというふうにお願いをされるんでしょうか。すみません、お願いします。
○説明者(法務省大臣官房司法法制部司法法制課長) 日本司法支援センターの方で過疎地に置く事務所というのは法人としての日本司法支援センターの一事務所になります。そこには日本司法支援センターが雇用した勤務弁護士を派遣することを原則に考えておりますので、通常の自営の弁護士による法律事務所における採算という意味でいきますと二次的な問題になるかもしれません。
○本村構成員 勤務弁護士というのは給与を出すということになるわけですか。
○説明者(法務省大臣官房司法法制部司法法制課長) 日本司法支援センターから定額の給与を払います。ただし、有料のサービスの提供でございますので、利用される方からはあらかじめ定めた一般の弁護士レベルの弁護士費用に相当するものをいただいて、それは日本司法支援センターの方に入るという形になります。
○本村構成員 わかりました。ありがとうございます。
○長井座長 奥村構成員、よろしくお願いします。
○奥村構成員 先ほどの資料のところのイメージ図に関して、専門オペレータの役割が相当高く、窓口で一番の最初の対応ということで非常に大きい役割を有することになるように思われます。この能力については、先ほどいろいろなキャリアを持った方が予定され、相談業務とかで活躍されてこられた方だということですが、その人材確保をどうするのか、これからは相当な数が必要になると予想されると思われますが。
それから、地方の場合はこの図でいくと来所の相談になるんですか。地方のそういう電話での対応が難しい場合は地方事務所に送るということですけれども、地方の専門オペレータというのは予定されてないんでしょうか。
○説明者(法務省大臣官房司法法制部司法法制課長) まず、コールセンターのオペレーターの人材でございますが、まさにご指摘のように非常に重要な役割と認識しております。それにつきましては、まず開業当初は消費生活相談員等の相当のご経験のある即戦力の方々を中心に採用いたしまして、これは東京に当面置きますので、給源的には相当広いものがあるだろうと思います。そして、業務を遂行していく中でノウハウもたまりますので、さらに一般オペレーターにその研修をすることによってFAQも充実していきますし、そのようなものにだんだん広げていける方向で進めていこうと考えておるところでございます。
それから、2点目のご質問の地方での対応がどのようになるかということでございますが、地方ではコールセンターというものはございません。地方事務所におきましては電話で対応する場合にも地方事務所における情報提供担当職員が対応いたします。この情報提供担当職員も一定のそのような経験を有する方、あるいはそれなりに研修を受けてそういう対応の能力を有した方を当てるということを考えてございます。
○長井座長 ほかには何かございませんか。山上構成員、お願いいたします。
○山上構成員 被害者支援精通弁護士の役割に期待しているんですが、民事訴訟に限らず刑事事件で直後に非常に困難な状況にあって、例えば加害者側の弁護士さんから告訴を取り下げろと迫られるようなことで困っているという人たちもいるんですが、そういうことで相談されるときの経費というのをこのセンターは目標としてどういうふうなことを考えているのか。あるいはこういう困窮した方でなければこういう公費のような扶助ができないのか、民事訴訟も含めてですが。そういう弁護士費用のことで負担を軽くする方法をどういう見通しがあるかを教えてほしいんですが。
○説明者(法務省大臣官房司法法制部司法法制課長) 今、山上先生ご指摘の問題は公費による被害者弁護というような問題と思いますが、とりあえずは現行法の枠内で民事法律扶助を活用してやっていくということが当面のスタートラインからできるところでございます。そこをさらにどれだけ大きく広げることができるか、それが適当かというのは、私の理解しているところでは、この検討会ではなくて、経済的援助の検討会の方で合わせてご検討していただけるというふうに理解しておりますので、その中での検討の際に考えていただければと思っております。
○長井座長 ほかにはいかがでしょうか。
それでは、どうもありがとうございました。
では次に、文部科学省初等中等教育局坪田児童生徒課長より、学校及び教育委員会等を中核としたネットワークについて、ご説明をお願いいたします。
○説明者(文部科学省初等中等教育局児童生徒課長) 児童生徒課長の坪田でございます。学校及び教育委員会等を核としたネットワークということでございまして、最初のネットワークの名称というところにございます。当初考えていますネットワーク的なものということなんですけれども、サポートチームというものを今私どもの方で全国の学校でやってもらうように推進しております。これは個々の問題を抱えた児童・生徒、これは被害に着目しただけではないわけですが、もちろん問題行動ですね、非行等の傾向のある児童・生徒、それから不登校でありますとか、そうした問題を抱えた児童・生徒についてどう対応するかということを学校、教育委員会だけでなくて、やはり関係機関等が情報を共有して共通理解の下に多様な指導、支援を行うためにどんなことができるかということでできましたのが、このサポートチームということでございます。これは、実際平成14年度ぐらいからモデル事業として事業化いたしまして取り組んでいるわけでございます。
2のネットワーク構築の理念・目的のところにございます。非常に最近の児童・生徒は問題を抱えるということの背景というのは非常に多様化しているということでございます。当然心に問題を抱えるという場合には事前にその児童・生徒の心のサインが出ているということをいかに早く把握するかということでございます。さらに多様な問題を抱えている、多様な背景を抱えているということであれば、なかなか教育上の対応だけでは十分な対応ができない、やはり福祉医療的な観点からのアプローチ、あるいは家庭教育へのアプローチ、それから非行的な傾向があれば警察的なアプローチ、そうしたものがいろいろあるわけでございまして、やはりこうしたものに適切に対応するということにつきましては、やはり学校と関係機関との間で単なる情報交換のレベルの連携だけではなくて、やはり当該児童・生徒への指導支援をこの関係機関が一体的に行うということが非常に重要ではないかという問題意識の下にこういう考え方が出ているわけでございます。
こうしたことから、学校、教育委員会、関係機関で情報を共有して、共通理解でそれぞれの権限等に基づいた指導・支援ということになりますが、それをネットワークとして形成して、そのネットワークの下にやっていこうというものでございます。
4枚目にサポートチームについてという表がございます。もちろんこういう日常的ないろいろな情報、学校を中心としたいろいろな情報レベルの連携と申しますのは当然今までもやられております。学校を中心に保護司でありますとか児童委員でありますとか少年補導員でありますとか地域の諸団体、PTA、そうしたものをいろいろ常時の問題行動あるいは子どもの問題についてのいろいろな相談、対応に応じるということでネットワーク的に対応しているわけでございます。それを私どもは校区内のネットワークということで言っております。大体、中学校区あたりを単位に学校を中心にそういう問題に対するいろいろな相談、対応に関するネットワーク的な考え方、そうしたものをやっているわけでございます。
さらにそうした考え方だけではなくて、さらに先ほど申しました一歩進めて、個々の子どもに対する指導・支援を行うためにネットワーク的な対応をする。例えば、やはり学校や地域人材の対応では十分な対応ができない、困難な場合、それからやはり複数の関係機関が対応せざるを得ない場合、そうしたものがございます。そうしたものは、やはり校区内のネットワークを超えて、市町村のやはりそのしかるべき権限を持った関係機関、学校、教育委員会、市町村であれば教育委員会が主になって、メンバーとしては警察、児童相談所、福祉事務所、地域のNPO、こうした関係機関のネットワークの下に連携して対応するということが必要ではないかということでネットワーク構成機関・団体の範囲では書いております。
ここでどんな活動を想定しているかというのは4番目のところでございます。もちろん地域の実情でありますとか対象児童・生徒がどのような問題を抱えているかによってさまざまございますが、一般的にはここに書いてあるような活動、1つはやはり共通理解に基づく、同じ方向性を持った指導者、もちろん複数の機関がそれぞれの権限のもとに関係するわけですから、それぞれの専門性を生かしてということになるわけですが、やはり共通の指導目標、指導計画、活動記録、こうしたものをつくることで同じ方向性を持って一人の子どもに対して多方面からアプローチするということが可能ではないかということでございます。
それから、2枚目のところで情報問題意識の共有と書いております。やはり日ごろからの情報連携というのをやっているわけでございますが、特にこういう特定個人のものに対する対応ということでありますので、いろいろ個人情報の取り扱い等についても関係機関の間で共通認識を持って対応する必要があります。
それから、3つ目にありますように、継続的な指導。これは先ほどの計画的、指導計画に基づいた指導、支援ということでございますが、指導目標の達成状況をもとに各機関でそれぞれの取組の進捗状況を適宜判断していただいて、あくまでもチームとしての成果を定期的に出してもらおうということを考えているわけでございます。それで、それなりに指導目標、指導計画の見直しに応じてメンバーを入れ替えたりというようなことも考えおるというわけでございます。
それから、5番目でございますが、5番目は具体的な機能事例ということで、いろいろこういう学校を中心に関係機関、行動連携で対応するということについてはいろいろなメリットがあるということが報告されております。1つはやはり先ほど申しました児童・生徒の問題に対していろいろ複眼的な対応が可能になったことであります。やはり関係機関が共通理解の下で支援を行うということですので、その問題に対する多面的な支援が行えるということと、先ほどからまだ出ていませんけれども、特に学校に対していろいろな問題を抱えているという場合に、学校以外の関係機関からのいろいろな働きかけというのも重要な場合もございます。特に保護者に対する対応というのは多うございまして、そういう学校と若干問題のある家庭等に対して柔軟な対応が可能になるというようなことであります。
それから、当然のことですけれども、役割分担が明確になりますので、取組が効果的充実したものになるというふうなことで考えております。
ここに書いておりますのは2つ例を挙げていますが、1つは問題を抱えた児童・生徒への支援を進めるためのその関係機関との連携についての少し新しい取組といいますか、スクールソーシャルワーカーというようなもの、こうしたものを福祉関係の機関との連携の充実を図るためにこの取組の中で使っておるという例がございます。
それから、2番目の例でございますが、これは家庭内の暴力を受けていたために問題を抱えているという子どもでございますが、これもやはりサポートチームを形成している各関係機関がそれぞれの機能を生かして相談活動等の支援、これは保護者も含めてですが、携わるような形で支援を図っているというような機能事例が報告されております。
このサポートチームの取組、それから市町村ネットワークの取組、これは平成14年度から100ヶ所ぐらい、全国100校ぐらいでやっていたわけでございますが、現在平成16年度からは、この一番最後にございます「問題行動に対する地域における行動連携推進事業」ということで、平成18年度で47都道府県で4ヶ所ずつ、大体全国で200ヶ所ぐらいの地域を指定して、今申しました学校、教育委員会、関係機関等からなるサポートチーム、この取組を「問題行動に対する地域における行動連携推進事業」ということで支援システムづくりに務めているところでございます。
それから、7でございますが、問題点、課題、これはもともとこうした事業を始める前からも当然言われてきましたし、日常的な連携に伴う問題点もあったわけですが、やはり関係機関間の連携調整ということですから非常にコーディネーターといった関係機関の連携調整を行う人材の質というのが非常に重要でございます。そして、こういうコーディネーターの人材の確保、質の向上というのがやはり今後の課題ではないかということがございます。
それからあと、ネットワークを構成する関係機関の間の理解、役割、所掌範囲についての認識、これは当然各関係機関がネットワーク的にそれぞれの所掌範囲の下にできることはやっていただくということでございますので、なかなかお互いの機関の役割とか所掌範囲についての共通の認識というのがもともととれていないということがございまして、その辺がまだまだ十分な意識や認識の共通性に欠く場合もございます。やはりこれは今後また取組を進めていく上でこういう関係機関の役割、所掌範囲についての認識、意識、こうしたものをどんどん深めていく、解消することが必要だろうということでございます。
それから、3つ目になりますが、特にこういう取組というのは保護者、いろいろな最近の児童・生徒の問題の背後に保護者、家庭の問題というのが大きいというのは知られているところでございますが、そういう保護者の理解、協力がこの連携のためには不可欠でございますが、なかなかこういう関係機関が共通して対応したとしてもなかなか保護者とか家庭の理解、協力というのは進まないという場合もございます。そうしたものがネットワークの抱える課題ではないかということで考えております。
8のところはそうしたことで、今申しましたような関係機関の連携の核になりますコーディネーターに適切な人材を確保すること、質の向上を図ること、学校、保護者、教育委員会、関係機関で同じ方向性を持って問題を抱えた子どもに対して効果的な指導・支援が行えるということが必要ではないかと思っております。
簡単でございますが、以上でございます。
○長井座長 ありがとうございました。
ただいまの文部科学省のご説明についてご質問等があればよろしくお願いいたします。
高井構成員、よろしくお願いいたします。
○高井構成員 学校サイドでネットワークの担い手になる人というのは決まっているんでしょうか。
○説明者(文部科学省初等中等教育局児童生徒課長) 生徒指導上の問題であれば大体学校であれば生徒指導主事というのがございまして、そういう人が担当になっていると思います。学校として当然関与するという場合は当然学校長、教頭というような責任者は当然関与せざるを得ないと思っております。
○高井構成員 ありがとうございました。
○長井座長 ほかには。どうぞ。
○本村構成員 今コーディネーターの人材の確保、資質の向上が課題ということでしたが、最後のページのサポートチームの絵を見させていただきますと、このコーディネーターという位置づけが市町村教育委員会の方の公務員の方でいらっしゃるということでありますか。
○説明者(文部科学省初等中等教育局児童生徒課長) 市町村教育委員会でいえば、多分教育の方から働きかけたネットワークであれば、市町村教育委員会の指導主事とかその辺が担当になると思います。
○本村構成員 一般の外部の有識者とかそういった者ではなくて、自分のところの職員であるということですか。
○説明者(文部科学省初等中等教育局児童生徒課長) そうですね、関係機関の職員になることが多いと思います。
○本村構成員 なるほど。
それとあともう1つ、このサポートチームという中の活動内容で、指導目標の設定と指導計画の作成という項目が書かれていますが、これは具体的にある個人の児童や生徒に対して1年間とか半年とかいうスパンを切った上でこうしましょうああしましょうというのを各機関で決めていくと、役割分担を決めて実行して管理していくということでよろしいですか。
○説明者(文部科学省初等中等教育局児童生徒課長) 各機関というか、これは共通のサポートチームとして1つなので、各機関ではなくてその共通の指導計画の中で各機関で何をするかということを具体的に書き込んで、ちょっと私もその期間をどの程度切っているかわかりませんが、ある程度の期間を切って、この計画内に各機関でどんなことをするというようなことをそういう計画にしてやっていくということだと思います。
○本村構成員 ありがとうございました。
○長井座長 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。
○奥村構成員 今の本村委員のご質問と重複するんですが、私もちょっとコーディネーターのことに関心を持ちました。その人材確保が資質の向上を図ることが課題だとおっしゃっていますけれども、具体的には何か指導主事の方とかそういう方がなられるということですが、現状ではなかなか難しいところがあるということなんでしょうか。そのコーディネーターになるためにはそういう資質の向上を図る必要があるが、それが課題だとおっしゃっていることについてちょっと教えてください。
○説明者(文部科学省初等中等教育局児童生徒課長) 質の向上というか、やはりこの取組に対する認識、理解をどこまで深めてもらうかということだと思いますし、その辺はいろいろこの取組についても今平成16年度から全国200ヶ所ぐらいのモデル事業として取組を進めていると申しましたけれども、その中でもお互いの取組のいいところといいますか、すぐれた点を情報交換させるために、地域ごとに情報交換のための会議を設けていまして、そうしたところに核となるような教育委員会の指導主事の方に参加してもらって、どこでどういうすぐれた事例があるとそんなことも勉強してもらうとか、そうしたことをやってます。
おっしゃるように、さらに専門的な、特に連携ですね、福祉とか医療との連携に必要な機能といいますかそうしたところに着目するとすれば、先ほどご紹介しましたような、これはコーディネーターということではございませんが、そういうスクールソーシャルワーカーのような方を外部から委嘱して活動してもらうというようなこともやっているところはあります。今のところ私ども機関としての連絡調整役と能力向上のためにそういう研修とか情報交換のための会議、そうしたものを今充実させていくということをやっていると申し上げたいと思います。
○奥村構成員 わかりました。ありがとうございました。
○長井座長 ほかにはございますでしょうか。
それでは、ありがとうございました。
最後になりますが、厚生労働省雇用均等・児童家庭局川鍋虐待防止対策室長補佐及び母子家庭等自立支援室薬師寺女性保護専門官より、児童虐待、DV(ドメスティックバイオレンス)に関するネットワークについてご説明をお願いいたします。
○説明者(厚生労働省雇用均等・児童家庭局虐待防止対策室長補佐) 厚生労働省でございます。私どもの方から2つ対応・対策ということで、1つは児童虐待防止、もう1つはDV対策ということでご説明したいと思います。
まず、児童虐待防止対策ということで、厚生労働省の資料4のところですが、1ページをお開きになっていただくと、児童虐待に関するネットワークについてということで、1のネットワークの名称のところで2つ書いてあります。要保護児童対策地域協議会、それから児童虐待防止ネットワークというのが2つ書いてありますが、これは経緯的なものがございまして、次の2ページの6番の枠のところ、その他ネットワークの概要というところを先に見ていただきたいと思います。
実は、児童虐待については2つの法制度で今私ども行っております。1つは、児童虐待防止法という法律があります。それからもう1つは、児童福祉法という法律があります。実は児童虐待防止法という法律は平成12年5月に議員立法でできた法律です。実はこの児童虐待防止法は平成12年に議員立法でできたのですが、平成16年10月から改正された改正法が施行されています。これが今の直近の児童虐待防止法の制度になっていますが、平成16年に何を改正したかといいますと、1つは通告義務を拡大した。要するに今まで虐待を受けた児童については通告義務があったのですが、虐待を受けているか受けていないかというのはわからない。わからないけれども、受けているのではないか、確証がなくても通告義務があるというふうに拡大しています。それから、例えば子どもに対して間接的な暴力、子どもの目の前でDV被害が行われていた場合、子どもには直接的な危害はありませんが、その目の前で行われた場合にはこれも児童虐待としてみなすといったもの。それから、保護者以外の同居人が行う虐待も当然これは虐待だといったようなもの。それから、もう1つは、児童相談所というものがありますが、児童相談所は必要に応じた場合、子どもの安全を守るためには警察署の援助を求めなきゃいけない。ほかにもありますが、主にこういった内容に実は改正され強化されています。
このことを受けて、平成17年4月から児童福祉法の改正法というのが施行されています。児童福祉法の方では市町村と児童相談所の相談体制を整理して強化しましょうということになりました。こういった制度の改正がありまして、実は虐待防止法の改正がなされる平成12年度のときにはネットワーク事業というのは実はありました。ただ、これは補助事業という形で制度的な法的な位置づけはありません。したがいまして、先ほど申し上げたように、平成16年のときにこの2つの法律を改正したときに、ネットワークが非常に大事なので児童福祉法の方で制度的にこのネットワークというものを協議会という名称で法定化したということになっています。したがいまして、このネットワークというものは基本的に私どもは従来のネットワークは児童福祉法の法律に基づく協議会にみんな移行していってもらうという考え方で今まできています。
具体的に言いますと、イメージとして、右上のところに6と書いたページがありますが、どういうものかということですが、今までネットワークのご説明はいろいろありましたが、基本的に私どもはいわゆる虐待を含めた要保護児童の協議会ということで、特に関係機関、警察、医療機関、それから学校、教育委員会、下の資料にありますが、こういった関係機関、子どもが関わるような関係機関すべてこの中に構成員として取り込むという形で協議会をつくるということを考えています。
具体的に現に設置しているところがありますので、例えば3ページのところに、これは大阪府に泉大津市という市があります。ここはかなり前からネットワークをつくっていまして、私どもの中ではかなり取組が進んでいるというところです。実は愛称がCAPIO、これはチャイルドアビューストブリベンション泉大津の略称です。今むしろ市民にはCAPIOで通っているような状況です。平成11年に既につくりましたので、今はもう法定の協議会として設置をしているというところです。
基本的には、市の児童福祉課が事務局、いわゆる調整機関といいますかコーディネーターみたいな形でそこが中心となって関係機関、関係機関は例えば保健所とか警察署、それから病院、弁護士さん、消防署、教育委員会、小中学校、幼稚園、こういったところが関係機関にみんな入っています。これでかなり活動をやってきたというところです。
この効果として上の資料の文章のところにも書いてありますが、かなりネットワークとして動いた結果として、対応するスピードが速くなるとか、それから役割分担をするのでいろいろな多面的な支援ができるとか、それから地域に虐待を見る目といったものが養われる。虐待の把握率がアップするとか、それからいわゆる役割分担をすることによって押しつけ合いとかそういったことがなくなってきたとかいう効果があらわれています。
それからもう1つ、東京都の例で申し上げますが、5ページに、これは東京都の三鷹市に同じようなネットワーク、これも法定の協議会として移行していますが、東京都の場合は東京の独自制度として子ども家庭支援センターというこういうセンターがあります。このセンターには常勤・非常勤の職員が設置されていて、必ずここのセンターに入った情報は、児童相談所を初めとしていろいろな機関、病院もそうですし、保健センターもそうですし、学校もそうですし、保育所もそうですし、幼稚園もそうですが、児童館もそうですが、いろいろな機関と全部これが連絡がとれるようになっております。必ず必要なところにつなげていくという仕掛けができています。こういった、これは実際にできているところでございます。
実は協議会法定化したんですが、資料7ページのところに、実は私ども昨年調査をしまして、今設置状況とかどうなっているかということで、現在この市町村レベルでつくることになっている協議会について、ちょうど半分がつくっています。残り半分はできていません。半分できていない理由としては、やはり一番大きいのは市町村合併です。市町村合併がありますとこういう具体的な協議会というよりはむしろ自分たちの組織がどうなるかという問題があるので、その問題がちょっと先ですという答えがほとんどです。
それともう1つ多いのは、人材がなかなかいないんですよという話があります。1つこれは我々課題として考えていますが、どういうふうに支援をこの問題についてやっていくかということをこれからというか今もそうですが、少しそこら辺をどういうふうにして後押しできるかなというのを考えているところです。
もう1つは、なぜ法定の協議会にしたかというと、この虐待を初めとしたこのネットワークというものは取り扱う内容がそれぞれ家庭の問題、個人情報そのものですので、その中で守秘義務というのは当然考えなければいけない。したがって、法律上に基づく協議会とした場合には、ここできちっと整理、確保、担保ができるわけですね。したがって、法律ですべてそういったものを課してしまわなければいけないという形で整理をしたということでございます。
虐待関係、ざっと言いましてこんなところです。
○説明者(厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子家庭等自立支援女性保護専門官) 続きまして、DV関係ということで、資料1枚目からめくっていただきますと、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律というのが、これもまた議員立法によりまして平成13年4月13日に公布されて、全面施行が14年4月1日ということでございます。厚生労働省としましては、平成14年度から国庫補助事業として都道府県内の配偶者からの暴力被害者保護支援ネットワークの推進を図ってきたところでございます。国の補助事業としてのネットワークの名称として書かせていただいております。
DV防止法につきましても、3年後の検討規定というのがございまして、また現在平成16年2月からの施行状況を踏まえまして、現在は平成16年5月に制定されて平成16年12月2日から改正法が施行されております。
支援のための連携について、資料5枚目なんですが、現在の配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の概要のとおり、DV被害者の支援につきましては支援のための連携が関係機関によって行われております。
各関係機関の役割を具体的に示したものでございますが、まずは被害者の相談を受ける県や市が設置しました配偶者暴力相談支援センターが黄色の部分でございます。これ現在152ヶ所ございますが、これにつきましては従来売春防止法に基づいて設置されておりました都道府県の婦人相談所ですとか女性センター、福祉事務所、児童相談所等に設置されております。
被害者の保護に当たりましては、この右の緑の部分にもございますように、自ら婦人相談所が一時保護を行うか、一定の基準を満たす民間シェルター等で行われているという状況でございます。
また、一時保護後の被害者の自立に向けての支援については、下の福祉事務所や民間団体等において行われているということです。
あと、警察につきましては、暴力の制止や被害者の保護、被害防止のための援助を行うとともに、加害者処罰を行うということでございます。
医療関係者につきましては、被害者を発見したときに通報することができるということで、右上の方に書かせていただいております。
ご存じのように、地方裁判所はDV防止法において定められた保護命令を発令しているところでございます。
資料には掲載ございませんが、DV被害者の同伴する児童につきましては学校関係者との連携が欠かせないということでございます。
以上のような関係機関の連携協力がDV被害者の保護と支援には不可欠ということでございまして、被害者の支援する関係機関職員の共通認識、従来ご指摘のありました被害者が支援を受けることによってその支援者から二次的被害を受けることがあるということを防ぐ意味もありまして、そういったDVに関する共通認識を持つということと、総合調整が必要であるということで、平成14年度からネットワークの支援を行っているところでございます。
次に、3番の方で、先ほども申し上げましたとおり、構成機関につきましては社会福祉関係のみならず、保健関係、法務・警察関係、教育関係等々の民間団体も含めまして構成機関として範囲を定めております。
具体的な活動内容、4番でございますが、連絡会議を年度内におおむね4回以上開催しまして、参加機関相互の情報交換及び状況把握を行うということでございます。
2つ目に、学識経験者等を講師としまして、事例検討会を年度内におおむね2回以上開催しまして、配偶者からの暴力被害女性等の保護支援に関する事例を検討するということでございます。
3つ目には、2番の事例検討会議をもとに事例集等を作成しまして、関係機関の職員に配布しまして、専門性の向上を図る事業もしくは婦人相談所や関係機関の役割等の内容を掲載しましたパンフレットを作成し、関係機関に配布するということでございます。
こうしたネットワークによりまして緊密な連携を図ることができれば、被害女性等の保護支援は円滑に進めることが可能となるというふうに思っております。
次の2ページ、2枚目をめくっていただきまして、現場レベルでのネットワークの具体的な機能事例でございますが、1つ千葉県におきましては、県内16ヶ所、配偶者暴力相談支援センターがございますが、その連絡会議を行うとともに、県内の5地域でそれぞれの各市町村ですとか警察、弁護士会、民間団体、児童相談所等の関係機関を含めて事例検討、情報・意見交換を行っており、対応する実務者の連携を図っているところでございます。
神奈川県におきましては、市町村の福祉事務所、児童相談所、医療機関等を含む具体的な事例検討を行うとともに、警察本部とは日常的に連絡調整を行っておるということでございまして、市町村・福祉事務所を対象としたDV相談の手引書でありますとか事例集を作成し、職員の研修に活用しているということでございます。
香川県におきましては、県レベルのネットワーク会議を設置するとともに、やはり地域におけるブロックネットワーク会議というのを開催しまして、具体的な福祉事務所、民間団体、警察や医師会等の関係機関の地域レベルの連携を強化しているということでございます。
7番のネットワークにおける現状の問題点・課題でございますが、ネットワーク会議が関係機関の施策状況の情報交換にとどまり、具体的な事例の検討が行われていない場合については、なかなか被害者の保護支援についての共通認識とか具体的な関係機関の役割、機能、連携方法が明確とならないというものでございます。
最後に、充実強化の可能性、考えられる方向性としましては、今申し上げました課題に対応するということで、実際に学識経験者等の講師を交えました事例検討会議を通して適切な対応について職員の共有化を図るということでございますし、検討した事例をもとに事例集を作成し研修を行うといった実務者の専門性の向上を図ることがまず考えられます。
それに加えまして、現在都道府県県域にネットワークを推進しておりますが、地域レベルのネットワーク会議を開催することが実際の実務者レベルの連携を強化するということで課題、可能性として考えられるものでございます。
以上です。
○長井座長 どうもありがとうございました。
ただいまの厚生労働省のご説明について、何かご質問等がありましたらよろしくお願い申し上げます。
どうぞ。
○本村構成員 まず、児童虐待関連ですが、資料3ページ目にCAPIOという大阪の泉大津市の事例を挙げてくれておりますが、それの下の図の左の方にすべてにおいて連絡調整、カルテの管理、取組の記録とありますが、これは児童の方の情報を何か一定の書式か情報をデータにしてカルテというもので一括管理をされているということでありますか。
○説明者(厚生労働省雇用均等・児童家庭局虐待防止対策室長補佐) 基本的に相談を受けた場合にはそれぞれ個別ケースということでケース対応記録ということになりますので、カルテという表現は使わないかもしれませんが、似たような形で整理をしているということです。
○本村構成員 その情報というのはこの事務局の方とか関係する機関というのは見ることが可能になっているのですか。
○説明者(厚生労働省雇用均等・児童家庭局虐待防止対策室長補佐) それは一定の守秘義務がかかりますので、これは法定の協議会なので、その中で情報はできます。
○本村構成員 なるほど。
それと、DV関係の方で1点なんですが、民間団体との連携というのがあったんですが、この民間団体というのはドメスティックバイオレンスに関する専門の民間団体なのでしょうか、それとも普通の犯罪被害者支援センターとかそういったところも含まれると思った方がよろしいでしょうか。
○説明者(厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子家庭等自立支援女性保護専門官) 各県の状況にもよりますが、女性を中心にシェルターを設立されておりまして、そういったDV被害者、被害女性を保護するシェルターを運営していたり支援する団体ということでございます。
○本村構成員 あくまで情報交換のレベルであって、例えば運営の経費についての相談とかそういったことにのったりすることはまずはないということでよろしいですか。
○説明者(厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子家庭等自立支援女性保護専門官) 団体の運営に関してですか。
○本村構成員 はい。
○説明者(厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子家庭等自立支援女性保護専門官) 現実にはそのレベルまでには至っておりません。
○本村構成員 情報交換のレベルだと。
○説明者(厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子家庭等自立支援女性保護専門官) 情報交換と申しますか、具体的な被害女性の方にどのように支援するかというそういう情報交換になります。
○本村構成員 個人情報の取り交わしはあるということですか。
○説明者(厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子家庭等自立支援女性保護専門官) はい。婦人相談所と委託先である民間シェルターとの連携ですので、それが可能になっております。
○本村構成員 なるほど。わかりました。ありがとうございます。
○長井座長 ほかには何かございますでしょうか。どうぞ。
○奥村構成員 現場レベルのネットワークの具体的な機能事例を、千葉、神奈川、香川とご紹介いただいていますが、これは単なる一例を挙げられただけで、ほかの都道府県レベルにおいてもこういう取組が、自治体によって、その地域によって取組の仕方がそれぞれ違うのかもしれませんが、これは一事例なのか、それともこういうところだけができているのかということなんですか。他の地域でも、たまたまこれは3つ挙げられただけでほかもこのようなそれぞれの取組が行われているというふうに理解してよろしいのでしょうか。
○説明者(厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子家庭等自立支援女性保護専門官) このネットワークの事業につきましては、平成17年度のレベルでしたら43都道府県で実施されていると、この国庫補助事業につきましては。ただ、残り4県につきましても県独自でそういった県域とか地域レベルのネットワーク会議を開催しているということを承知しております。
○奥村構成員 さっきの実務者の専門性の向上を図ることが必要だというふうにおっしゃっていましたけれども、こういうふうにほかの都道府県も含めて行われていても、その辺の問題が残っているということでしょうか。
○説明者(厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子家庭等自立支援女性保護専門官) やはり地域によってばらつきはあると思います。
○奥村構成員 はい、わかりました。
○長井座長 ほかにはいかがでしょうか。
それでは、以上の関係省庁からのヒアリングを踏まえ、ネットワークの現状や課題、充実強化策について自由討議を行いたいと思います。構成員の皆様には積極的なご議論をお願い申し上げます。
どうぞ。
○高井構成員 これから新しいネットワークを考えるというときに、まず考えなければいけないことは、警察がそのネットワークで果たすべき役割はいかなるものかということだと思うんですね。警察庁からの説明にもありましたが、現状のネットワークでは警察の関係で事務局を全部とっているということなんですが、果たしてそれがいいかどうかも検討してもらいたいというご指摘がありました。まさにその点非常に正しい指摘だと思うんですね。
特に基本的に警察というのは犯罪を捜査する機関であって、被害者だからといってそれを頭から信用するということは警察の職責からしていかがなものかという場合もあり得るわけですよね。これは秋田の例を見ればそれは明らかなわけですね。一方、あれは一時期被害者保護という形で捜査をしていた、内定捜査をしていたのではないかという指摘も一部からされていて。ですから、警察サイドが被害者とどの程度の距離を保つかというのは非常に難しい問題だと思うんですね。
一方、当初の被害直後の危機管理、危機介入という点においては警察の存在というのはなくてはならないものなので非常に大きな役割をそこで果たしておられるわけですし、また果たしていただかなければいけない立場でもあって、非常に難しい問題だと思うんですが、基本的にはやはり新しい制度を、しかも大きな制度を考えるときに、その事務局をすべて警察におんぶに抱っこということは新しい制度のあり方としては余り、いろいろな意味で、警察サイドから見ても適切とは言えないのではないかというふうに思います。そういう意味では新しい制度をつくるときに警察をどういうふうに位置づけ、それに仮に代わるものとしてはどういうものを考えるかということがこの検討会の大きな課題であろうというふうに考えているということです。
それから、今お聞きしていると、それぞれのネットワークにはそれぞれ意味があると思うんですが、やや異質だなと思ってお聞きしていたのは、やはり学校の関係ですね。学校の関係のネットワークは被害者の保護あるいは支援ということよりは、問題児童、逆に言うと、問題児童といった場合は加害者側の児童というものも含むわけですが、むしろその問題児童をどう立ち直らせていくかという観点でつくられているネットワークのような気がするんですね。
そうすると、今のような文部科学省が思っておられるこのネットワークをそのまま被害者支援のネットワークの中に組み込んでいいのかという問題もあろうかと思うんです。被害者支援という意味と加害者の改善、更生というのが混同される可能性はないのかというふうに思うわけです。被害者サイドに立ってみると、加害者の更生のために被害者が利用される、あるいは被害者支援という形でその行き着くところは加害者の更生であるということになることについては非常に強い抵抗があるわけですね。そういう観点から見ると、この今つくられている学校サイドのネットワークというものはそのままの形で新しい被害者支援のネットワークに取り込んでいいのかというのは検討課題であろうというふうに考えるわけです。
例えば、今、文部科学省のご説明を聞きながら思っていたのは、例えば秋田の事件で、豪憲君の兄弟がいるわけですね。豪憲君の兄弟、いくつかちょっと忘れましたけれども、もしかしたら学校へ行っているかもしれません。そのときに学校サイドでは特段のそれを配慮をする。あるいはそういうようなシステムが果たしてあるんだろうかというふうに思いながら聞いておりました。そういうような観点から言いますと、やはりある程度の手直しをしたものが必要なのではないかというふうに思います。
それから、やはり被害者の支援のことは被害者本人でないとわからないという部分が相当あると思うんですね。ここに本村さんがおられますが、その被害者の方にそういう役割を担っていただくということは非常にある意味では大変なことをお願いすることになるのかもしれませんが、その被害者の当事者の方、そういう経験をされた方をこのシステムの中でどういうように位置づけて、どういうふうにお手伝いをいただくか、中心的な立場でお手伝いをいただくのかということを、どうすればそういうことが可能になるのかということを考えていかなければいけないというのもこのテーマであろうというふうに思います。
○長井座長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。山上構成員、お願いいたします。
○山上構成員 先ほどの犯罪被害者のための連絡協議会の事務所をどこに置くかという問題に関連してですが、私も警視庁での会議にときどき出ることがあるんですが、やはり警察が中心で、それにいろいろな関連機関が、求められれば協力するというそういう感じの参加の仕方が今まで目立っていたわけです。基本法ができてやはり長期の支援、継目のない支援ということを考えると、福祉など、自治体の機関が本当は中心にならなきゃいけない問題がたくさん出てきているはずなものですから、警察に置くのがまずいということではなくて、やはりもっとそういう生活の面できちんと支える、いろいろな関連のある福祉の領域が、あるいは地方自治体のそういうところが大きな役割を担っていくような方向が望ましいのではないかというふうに感じました。
それからもう1つ、私も学校の問題で少し感じているんですが、例えば学校内で事件が起きて加害者と被害者が生じた場合など、あるいは被害者の遺族あるいは被害者本人に関して学校が先ほどのサポートチームで対応できるんだろうか。やはり被害者には被害者の特別な対応をそのときにできるようなそういう体制をつくらなきゃいけないのではないだろうかというふうに感じました。
○長井座長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。
○奥村構成員 先ほど出ていますように、こういうそれぞれの省庁からの取組についてお話を伺ったわけですが、それがうまく他の機関同士、つまりその分野だけの連携、それぞれの1つの連携の中での対応だけじゃなくて、それがうまく総合的に機能するような組織化を図っていく必要があるだろうと思います。具体的には今警察での取組のお話が出ていますが、法務省の取組とか、あるいは裁判所での取組とか、そういった犯罪被害にかかわるそれぞれの省庁のかかわりがうまく継目のない形でいかに図れていくかという、それぞれお立場のところがありますのでなかなか難しいところも実際はあるかと思うんですが、それが円滑に機能するような仕組みが必要だろうと思います。
それからちょっと文部科学省の方の話が出ていますが、私十分承知はしておりませんが、自治体レベルで、例えば被害児童が起こらないような、子どもの見守りの取組などが自治体レベルで進んでいるところがあるやに聞いておりますが、そういった点での取組というのはいかがなんでしょうか。この点についてご質問させていただければと思うんですが。その辺の点で、今日のお話以外に、今申し上げたように、犯罪被害の児童を生まないような取組が自治体レベルで行われているようなことを聞いておりますので、その点のご認識がもしあれば。
○長井座長 文部科学省の方でお答えいただけますでしょうか。
○説明者(文部科学省初等中等教育局児童生徒課長) 私どもちょっと実はその学校安全の担当ではございませんで、またお尋ねの点につきましては学校安全担当の方に確認いたしまして詳しくお答えしますが、最近は非常に子どもの被害が相次いでおりますので、被害防止、学校安全の観点からいろいろ地域での取組といいますか、子どもたちに危険なことを認識させる、場所を認識させるとかいろいろなことを自分たちで調べさせてやっているとか。それからあと、警察と特に協力をしていろいろ被害が生じないような指導をするというようなことをやっておると思います。その辺はちょっと調べまして、また次にご報告させていただきます。
○長井座長 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。
○本村構成員 今私も初めてこういった各機関の方がどういった連携をつくってどういう支援をなさっているかということを聞いて大変勉強になって、まだそういった知識がないので大したことは言えないんですが、やはり法務省も文部科学省も厚生労働省も皆様人材が最後の課題だと。結局各機関は充実していてそれぞれに機能を持っているが、各機関の役割分担とか機能をフル発揮できるようなコーディネートできる人材がいないというようなことが今の各機関の連携における日本のシステムの総じた問題なのかなというふうに強く私は感じました。
今回これから新しい犯罪被害者の支援を構築するに当たって、当然日本にはもうすばらしい福祉が充実していて、それぞれの機関の機能を活かし連携すればかなりの支援ができると思っているんですが、では、どれだけ責任を分担してどの機能にどれだけの負担をかけるのかというところをうまく分担できるシステムなり、それは人材に頼ってその人の能力に頼るのかというところはあるが、連携をするためにどういった法整備がいるのか、もしくは人材育成してその人に託すのかというところがやはりあいまいになっていて、最後は今はその各サポートチームであればそのサポートチームを構成する人の力量だったりとかになっているのかなというふうに非常に感じました。
これから法テラスが立ち上がって、法務省では多分コールセンターの方が最初にどの弁護士さんを紹介するかとかそういったところで相談された方の命運が分かれるかもしれませんが、やはりコーディネートする、全体を総括できるという方の人材をいかにつくるかということがやはり大事だなと思いました。今回、海外調査の中でも研修とか支援員の方をどう教育しているかということがありましたので、まずその人材の育成ということが1つの大きな課題だなと思います。
それで、やはり当然人材をつくれば、それぞれ立場があるわけですから、社会的な立場ができてきますので、どの機関の方がそこを担うのかということで当然立場から逃げられませんから、それが警察がいいのであるか別の機関がいいのであるか、もしくはいろいろなところがつくった連絡協議会の中の中間的な立場をつくっておくのかというようなことも考えなきゃいけないのかなというふうに、今皆さんのお話を勉強させてもらって私の感じた所感であります。
以上です。
○長井座長 ありがとうございました。
ほかにはよろしゅうございますでしょうか。
それでは、大変有意義なご意見をちょうだいし、ありがとうございました。いただきましたご意見につきましては、第6回以降の具体的な検討に反映させたいと存じます。
警察庁、法務省、文部科学省、厚生労働省の方々におかれましてはお忙しいところご説明くださいましてまことにありがとうございました。
それでは次に、議事次第の3、海外調査の実施について、事務局からご説明願います。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 資料5ですが、海外調査項目等についてご議論を賜りたいと存じます。合同ヒアリング等を踏まえまして、既にメール等で調査項目についてお諮りをいたしました。山上構成員、本村構成員、それから警察庁の方から貴重なご意見を賜りましたので、それを踏まえまして調査項目等について改訂版をお示しをしております。後ほど詳しくは参事官の方から説明をさせたいというふうに考えております。
また、海外調査の体制でありますが、前回までの会合におきましてご一任いただいたということで、有識者の構成につきましては、アメリカには民間団体援助検討会の冨田座長、イギリス・フランス・ドイツにつきまして、経済的支援の検討会の平井構成員、それと本検討会の奥村構成員にお願いをいたしております。
なお、事務局宛てに、既にこれもメール等で配布してございますが、一部の構成員の方から海外調査は性急ではないか、もう少し遅い方がいいのではないか、あるいは調査人数や日数が少ないのではないかというようなご意見を賜りました。実施体制、スケジュール等につきましては既に前回会合までに秋の議論の準備として海外調査を行う、実施時期としては9月の上旬が望ましいのではないかということで既に3つの検討会でご了解を得たと理解をいたしております。また、調査人数等につきましては予算上の制約もございましてなかなか増やせないというご事情をご賢察いただければ幸いであります。
ただ、ご指摘がございましたように、大変大事な海外調査であるというふうに我々も認識をしておりまして、内容の充実した調査となりますようにこの調査項目について十分なご議論をお願いしたいと考えております。きょうも山上先生から大変貴重なご資料をご提示もいただいておりますので、こういった過去の財産を踏まえまして、しっかりした調査にしたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室参事官 それでは、事務局で作成いたしました海外調査項目案、及び想定しております訪問先について説明させていただきます。引き続きお手元にあります資料5をご覧ください。
その2枚目に参考1として別添いたしました資料にまとめておりますとおり、前回の海外の実情に関する有識者からのヒアリングにおいて本検討会に関する事項といたしまして、各国に公的機関や民間の団体で構成される協議会や運営委員会等のネットワークが存在していること、被害者支援を担当する公的部門や全国規模の民間団体においては支援者のための研修等を実施していること、犯罪被害者専用のホットラインやシステム化された被害者通知制度等が整備されている国があることなどのご説明をいただいたところであります。
これらのご説明の内容を踏まえまして、本検討会における主な論点に対応させて調査項目をまとめさせていただきましたのが資料の本文の方になります。先ほど室長からもありましたように、本日お配りした調査項目等の案につきましては事前にお送りしました事務局案に対しまして、本村構成員、山上構成員、警察庁よりそれぞれご意見をいただきましたのでそれも踏まえて追加修正を行ったものとなっております。
まず、1の既存の枠組みを活用したネットワーク、及び起点となることが想定される機関・団体等に着目した更なるネットワークの構築に関しましては、事前にお送りした事務局案の関係機関・団体を網羅したリストあるいは連携マニュアルの有無、そのリスト等に掲載されている機関・団体の範囲、リスト等の課題や今後の改善方策、適切な機関・団体へ「橋渡し」する方法、内容等に加えまして、関係機関・団体の連携を確保するための法的制度的システム等の有無・内容、自助組織等との連携の有無・内容、被害者情報を関係機関・団体に通知・照会するシステムの有無・内容、被害者の置かれている状況や犯罪類型に応じた連携体制の有無・内容についてを調査項目に加えております。
2の民間団体で支援を行う者の育成等に関しましては、事務局案にありましたとおり、ボランティアの質を全国的に保つための研修や資格制度等の有無・内容やその課題、今後の改善方策、ボランティア活動に係る費用の弁償制度等の有無・内容等につきまして、3のコーディネーター等の育成等については、コーディネーター等の有無・役割、配置状況等やその育成システム、資格制度等の有無・内容、今後の課題や改善方策についてを調査項目としております。
4のワンストップサービス等に関しましては、事前の事務局案である被害者等の被害内容や支援内容などの被害者情報を一括して管理するシステムの有無・内容に加えまして、一本化された相談窓口の有無・内容、被害者通知システムの有無・内容についてそれぞれ調査項目に加えているところであります。
訪問先につきましては、主要な調査項目や各国側との調整、調査日程等の諸条件と照らし合わせて、最もふさわしいところを選定したいと考えているところでありますが、現在のところ候補として想定しております訪問先については、5のところに記載しているとおりであります。アメリカにつきましては、司法省、いずれかの州の担当部局、NOVA、全米犯罪被害者センター、実際に被害者支援活動を行っている民間組織の中から。イギリスにつきましては、内務省など公的機関、VS本部・支部、その他の民間支援機関の中から。フランスについては、法務省・被害者政策協議会などの公的機関、INAVEM本部とオルレアンと呼ばれるINAVEMの加盟機関、他の民間支援機関・団体の中から。ドイツにつきましては、被害者支援に関わる公的機関、州の援護庁や州立支援センター、「白い環」本部・支部の中から。それぞれ訪問先を選定したいと考えているところであります。
各国とも被害者施策を担当している政府部局と被害者支援を行っている民間組織の双方を訪問する形としたいと考えているところです。もちろん調査に当たりましては被害者支援者の視点から関連諸機関、団体が有効に機能しているかという観点を十分に踏まえた形で実施したいというところであります。
調査項目や訪問先に関しましての事務局案の説明は以上です。
○長井座長 ありがとうございました。
聴取項目、訪問先につきましては、構成員の皆様のお考えを反映させたものにすべきと考えておりますので、ぜひとも具体的なご意見をちょうだいできれば幸いに存じます。
それでは、ご意見のある方、よろしくお願いいたします。
○本村構成員 今いただいている海外調査の件ですが、まず、私たち含めて構成員で意見書を出したものに対してご丁寧にご回答いただいてありがとうございました。9月上旬に行く旨と、あと構成員の数、予算関係、了解いたしました。各構成員の方の意見は統一していませんが、私自身は今お聞きして了解したと感じております。
期間が少ない中で構成員としてどこをどう見たらいいのかとか、日本のイメージはこうしたいからここを聞くべきだということがなかなかきちっとご提示できないのは大変申しわけない中でおつくりさせていただいた資料で、それをほとんど網羅していただいてありがとうございました。
ただ1つ、この各訪問先で何を聞くかという主要な質問事項、核となる質問事項があると思うんですね。それにつきましてはまだこれはかなり粗い段階だと思いますので、また後日の検討会でもう少し詳細を詰めたものを議論させていただいて、この構成員のいる場でみんなでこれでいきましょうという決議をした上で訪問先と質問事項というのが決まれば今後、みな同意してやったものですから、いいのではないかなと思います。
それと、今後の議事の進行のことなんですが、当然私も海外見たことありませんので、何があるかどうかというのはわからないんですが、ここに行けばこんなことが聞けると思うからこういうことを聞こうとか、そういったことをみんな構成員が理解してその質問事項からある程度の回答も想定しながらできるような調査にしていただければなというふうに考えております。
○長井座長 ありがとうございます。
ほかに。どうぞ。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 ただいま本村構成員のご意見なんですが、実はちょっと日程的に今から先方といろいろやったりしてやりますので、実は多分経済支援の検討会のところでは、あれは8月の末ですので何かもうちょっと具体的なものを示せるかもしれませんが、実はこの検討会は日程がございませんので、できればメール等でこういう形にいたしましたということでご報告をさせていただければと思います。もちろんその段階でまたご意見があれば修正させていただいても結構です。いずれにしてもちょっと集まっての検討というのはなかなか難しいかなというふうに事務局としては考えております。
○本村構成員 9月の上旬ぐらいに行かれるということだと、次は8月7日しかないということですかね。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 ええ。ですから、8月7日までにはちょっとなかなか、まだ先方の都合ももちろんございますし、要するにここに行きますよ、必ず行けるとわかっていればですが、そこがまだ詰まらないものですから、なかなかちょっとお示しできないかなと思います。ご趣旨はよくわかりますので、またそういう形でご報告をさせていただきいたと実は考えております。
○本村構成員 では、電子メール上での交換でここも聞いてもらいたいとか、ここはどうしても行けないんですかとか。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 先方の都合もありますし、日程の都合もありますので、必ずしも全部ここに書いてある機関も全部行けるかどうかわからないんですが、いずれおっしゃったような、ここでは必ずここだけは主要なところですねということはお示しできると思います。
○本村構成員 そうですか。私はそれで了解いたしますけれども、ほかの構成員の方は。
○長井座長 ほかの構成員の方々、いかがでいらっしゃいますか。
山上構成員、お願いいたします。
○山上構成員 今日私たちが過去に調査した資料を提出させていただきましたので、参考にしていただければと思います。こういう調査の場合には、ある団体を本部とか支部とかできちんと説明を聞いていくとそこがやっていることは見えるんですが、そこがやっていないことは見えないんですね。
それで、私たちいろいろな機会を通してそういう情報を聞いていくと、例えばイギリスのVSであれば、全国で同じレベルで、等しく事件後早期にきちんと援助ができるということはあるのですが、長期的な、事件からずっと経った方たちはほとんどあてにできないというのを、遺族の人たちから聞くことがあるんですね。
あるいは「白い環」についても、ボランティアグループで非常に、金銭の経済的な扶助の問題など本当にボランティア的に警察のOBの方たちとかいろいろなOBがいますが、そういう方たちがしてくださっているのはわかるんですが、例えば日本の民間団体が目指しているような早期の援助とかそういうものにはなかなかできるだけの体制がない。以前宮澤先生の報告のことに触れまして、今回この提出した資料の中に書かれていますが、正式な名称が「ドイツ被害者支援活動グループ」という、より専門的で、直後のさまざまな心身の問題に対する援助をきちんとできるような組織が育ってきているとかいうこともあるようです。
ですから、全体をできれば見てきていただけるようにしていただきたいというのと、もう1つは、アメリカの場合にはやはり州あるいは対象の地域によってものすごく違いがあるものですから、その選択よって結論が出てしまうところがあるので、その決定のところで少しじっくりと意見を聞いて相談をして、日本に役立ちそうなところを選ぶというようなことが必要ではないかというふうに感じます。
○長井座長 ありがとうございます。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 貴重なご助言をいただきましてありがとうございます。最初の全体が大事であるというのは我々も認識しておりますので、しっかりとしかるべきところに行って見てまいりたいと思います。
それから、アメリカは確かにどこの州にするかというのは非常に大事なので、ちょっと我々今のところはワシントンには必ず行きますから、余り遠いところはなかなか行けないなと思っておりまして、またここがいいよというのがございましたらお教え賜ればというふうに考えております。
ありがとうございました。
○長井座長 奥村構成員、いかがでしょうか。
○奥村構成員 私は調査の当事者でありまして、課題、おっしゃるご趣旨よくわかりますし、ただ出ていますように限られた時間内に的確に見聞を広めてくる、これはなかなか至難の業かなと思います。それから、例えば今、山上先生からお話が出ましたが、イギリスのビクティムサポートの組織でも本部に行けば本部のいわゆる総論的な話、建前の話はちゃんと聞けると思うんですが、それが具体的に各支部に行ってどうなっているのか。支部を紹介されて私も行ったことが何度かありますが、模範的なところを紹介してもらうことになります。またそこでも模範的な答えが出てきます。でも、中に一度必ずしもコントロールされていないところも行ったことがありまして、そうするとまたちょっと意見が違ってきて、そういうところを本当は見てくる必要があるんだろうと思うんですが、なかなか回るのが難しいかなと思います。
だから、要は現状も大事なんでしょうが、現状について二、三時間視察するだけでわかるというのは無理だと思いますので、実際はそこでの被害者支援のエッセンスですね、姿勢というものを学んでくる必要が大事なのではないかなというふうに感じております。
○長井座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○高井構成員 僕は基本的には今までおっしゃっているもので十分だと思います。この計画の中には被害者本人にも接触するということは前提として入ってくるんですか、それは被害者本人には会わないという前提なんですか。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 特に決めているわけではありませんが、時間がないのではないかという気はしております。ただ、その辺も被害者の方に直接会ってそういうことができればいいなとは思っていますが、一応は計画としてはそういう政府機関あるいは公の機関と支援団体みたいなところ。支援団体の中には多分、うちの支援センターもそうですが、そういう被害者の方もおられる場合もあると思いますので、そこはそういうことで考えています。
○高井構成員 出し手と受け手というのは大体感覚が違うのが基本ですよね。出し手の方はこれでいいぞと思って出していても受け手の方は足りないと思っているか、こんなの迷惑だと思っているかもしれないわけだから。理想から言えば、各国で被害者に会ってくる、インタビューしてくる、それが理想ですが、それは無理だと思うので。しかし、どこかで一人ぐらい被害者の方にインタビューできれば非常にいいんじゃないかなと思います。
せっかく我々日本は遅れていると言われているわけで、逆に言えば他国の先進の国のいい点悪い点を踏まえてつくることができるという利点はあるわけですから、こんな立派なことをやってるとかではなくて、先進と言われていてもこんなことしかできないのかとか、あるいはここには穴があるなというところを見つけてきていただいた方が役には立つんじゃないかなというふうに思いますね。感心してだけ帰って来られてはちょっと困るよなと思います。
○長井座長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
本村構成員、いろいろ詳細な資料もご提示いただいていますが、何か追加的にご説明いただくようなことありますか。
○本村構成員 では、ちょっとお時間もないので簡単に。私A3横の、6月30日に合同検討会で勉強させていただいたことを、見たことも行ったこともないのを想像だけで簡単に資料をつくらせていただきました。私海外調査で大事だと思っていますのは、上にイギリス、フランス、ドイツ、アメリカと絵を書いているんですが、私も会社の組織に属していますが、必ずネットワークは絵に書けます。絵に書けないネットワークというのは破綻しますし、絵に書けて初めてものの流れとか情報の流れが見えて、問題点とか課題が明らかになります。逆にいかにコストをかけずにスムーズに連携させるかということがポイントだと思っています。6月30日に聞いたことを自分なりにノートを書いて絵にしたものです。
そうすると、いろいろと特徴が見えてきまして、まずイギリスでありますが、イギリスは絵だけで説明いたします。内務省の下、これは当然警察ですが、そこにビクティムサポートの本部がある。それにビクティムサポートの支部があるという流れになっていまして、こうやって見ると、ビクティムサポートというのはまさに警察の影響力が強く反映された組織になっていると。しかもビクティムサポートはボランティアだけで構成されています。いわば専門家と弁護士とかそういった方はいらっしゃらない。ボランティアだけで運営されているという組織ですので、そういったときに他の内務省以外の公的機関であったりとか、イギリスは犯罪の被害に対する補償というのは等級制になっていますが、そういったCICAとの連携、あと、地方自治体とはどうやってやっているのか。あと、他の民間団体、VSに所属していないものはどういう連携しているのかとか。特にあとは専門家ですね、弁護士とか医者とか臨床心理士等々との被害者が支援を受けるきにはVSというのはどう関与してくるのかというところが見えてこないということでありますので、ここはよく見ておかなければいけないと思っております。
あと、私が聞いた範囲なんですが、下の方に海外調査に追加してもらいたい項目というのを幾つか書いているんですが、イギリスでは海外調査項目の支援側からの視点というところの(5)というところに赤字で「コミュニティリーガルサービスパートナーシップ」と書いてますが、何かよくわからないんですが、こういった地域社会で被害者を支えていこうというような取組をしているそうです。その中にVSが1個あるだけで、あと地方公共団体とか地方自治体で何かやっているようなので、そういったものがもし分かれば見てきてもらいたいなというふうに思っております。
フランスは、いろいろお話を聞くと、被害者政策協議会というのがあって、これはもう厚生、内務、国防、財務、すべての各省庁が基本的には入っていくということで、いわゆる国策としての被害者の政策協議会であると、それにINAVEMというNGOですが、政府から独立した事業活動としていくつもこの被害者政策協議会に入ったものがあると。ですから、日本の警察の連絡協議会とは全く異質な、すべての省庁が入っているNGO団体であると。その下に加盟機関としてオルレアンというものがあるということで、このオルレアンには実は市役所、県議会、裁判所、弁護士会、社会保険事務所、警察。また、その受入事務所、実際に被害者に当たるところにも弁護士や心理学者、自治体から派遣された職員等がいるということです。ここはもしかしたらいきなりネットワークが組まれていて、その個別の被害者に対していきなり弁護士の方が行って話をしている場合もあるかもしれないし、もしかしたら名前だけ連ねてていて実際にはやっていないかもしれませんし、もしフランスが本当に機能していれば、実は受入事務所に弁護士さんとか心理学者がいらっしゃるというのは相当いいものですから、本当にそんなことができているのかというところです。
フランスには法律扶助組織でメイソンディラジャスティス何とかと書いてあります、ちょっとフランス語読めないんですが、があるということなので、こういった法律扶助組織とINAVEM等の支援団体がどういう連携をしているのか、まさに今後法テラスが立ち上がる上で問題になるかと思うんですが、ここが見聞できればいいのではないかなというふうに思っております。
それと、ドイツでありますが、ドイツというとすぐに「白い環」という話が出てきてしまって、それで話が終始するんですが、確かにドイツは「白い環」が被害者のダイレクトラインになっていましてそれがいろいろな支援をしているようですが、実は「白い環」っていろいろ調べるとボランティアの3分の1が警察官であるというようなこととかOBであるということもちらっとインターネットでは情報がありますし、また専門家、弁護士、医師、大学教授等が連携しているということですので、その「白い環」に相談したからといってこれは本当に素人のボランティア集団ではないわけですよね。いろいろな専門家の方がいらっしゃると。そういった方たちが実際にどうやって連携をして支援しているのかというところを知ることができれば非常にいいかなと思っております。
また、ドイツにはその「白い環」というボランティア団体だけではなくて、当然国もやっているわけでして、特に各州に援護庁というところがあるそうです。そこにはヒルフェと呼ばれる州立支援機関ということで、これは被害者支援を専門的にやるような公的機関があります。こういった公的機関と民間のボランティア団体の「白い環」というのはどういう連携をしているのかということを知ることも、ドイツに行って「白い環」見たらすべてを見た気になってはいけないのではないかなというふうに思っております。
特にドイツはケルン州というところに、これは被害者支援における連携状況というところに項目に赤字で書いていますが、ケルン州というところはケルンモデルというものがあって、警察とケルン大学、援護庁、「白い環」、官民一体になって被害直後から被害者に接して精神的なカウンセリングをすることで早期に被害者が立ち直れるという試みをやっているということでございますので、ドイツでも全部できてないということですからかなりの難しいモデルケースかもしれませんが、こういった取組等も見聞することができれば大変すばらしい調査になるのではないかなというふうに思っております。
あとアメリカですが、先ほど荒木室長が言われたように、州によっても全然違いますしよくわからないということでちょっと複雑な絵になっています。ただ、ここはとにかく民と官が本当に入り交じったような状況になっているというところでございましたが、冨田先生のお話だとOVCの話しか出てきませんでしたが、今回調査項目に追加していただいておりましたが、やはりNOVAは見なきゃいけないだろうと思っております。
それともう1つは、全米犯罪被害者センター、NCVCと呼ばれる組織があるようでして、この活動内容をちょっと簡単に調べると、これは1985年に設立した非営利団体で、司法における被害者の地位向上への取組とか、民事訴訟における損害賠償の獲得、専門家への教育などをやっているという機関でして、どちらかというと専門家や国に対してロビー活動ではありませんが、被害者の地位を上げるために取り組んでいる機関だそうです。
ちょっと注目したのが、被害者のために全米犯罪被害者弁護士会というところと連携して民事訴訟のバックアップをしていると書いてありましたので、もしかしたら法律扶助的な取組をしているところではないかなというふうなことがあったので、ぜひともこの全米犯罪被害者センターというところも何をやっているかと見ていただければおもしろいのではないかなと思います。非営利団体でやっているというところがポイントなのかなと思っております。
というようなことが、すみません、6月30日の検討会から自分なりにまとめさせていただいて段階ですが、こういったところをちょっと少ない人数と期間で難しいとは思いますが、見ていただければなというふうに思っております。
以上です。
○長井座長 ありがとうございました。
ほかには何か追加発言ございますでしょうか。
今日ご出席の各省庁の方々ももし何かございましたらお願いいたします。どうぞ。
○警察庁犯罪被害者対策室長 今後のスケジュールに係ることなんですが、たしか海外調査と並んで連携調査ですか、を実施するというふうにお聞きしておったんですが、その関係のご予定がどうなっているかというようなことと、あと、たしか有識者からのヒアリングというのも何か予定されていたように思うのですが、そのあたりもどういう方からお話、どういう観点からお話を聞こうとお考えになっているのか、合わせてお聞かせいただければと思います。
○長井座長 事務局の方、お願いいたします。
○内閣府犯罪被害者等施策推進室長 すみません、時間がありません。実は次の予定ということで今お話ししようと思っていたところですので、合わせてご説明を申し上げたいと思います。
次回の会合は8月7日に1時からということで、隣の共用第2特別会議室で予定いたしております。内容は、今警察庁の方からございましたが、連携を強化する仕組みということで、きょうも出ましたコーディネーター的な役割をやっておられる方、あるいはアドボカシーシステムについて詳しい方等々の有識者の方からの、ちょっと今個人名はもう少し待っていただきたいんですが、ヒアリングを実施するということとしております。
また、海外もそうですけれども、実は国内の支援団体の状況とかどんな連携状況なのかというのが実はほとんどわからない状況でございまして、この調査をやろうということで、調査対象、項目について今週中には皆様方のところにちょっとメール等でご相談してまたご意見をいただきまして、8月7日の次回の会議で最終的な詰めをお願いできればと思っております。8月にその項目を決めたら、これ膨大な調査になりますので、民間団体に委託をいたしまして、おおむね海外調査の報告と同じぐらいには何とか検討会で報告できるようにまとめをしていきたいというようなことで考えております。
以上でございます。
○長井座長 それでは、ほかにはございませんでしょうか。
私、最後にほんの少しだけ発言させていただきます。1つはいろいろな構成員からご指摘ご発言がございましたが、被害者に対する支援活動、働きかけというのは善意に基づくものであれば確実に通じるという保証は全くございません。私もそういうことを現場にいて見聞するところでございます。したがいまして、いろいろな構成員の方からご指摘がございましたが、被害者等の観点を含め複数の観点を同時にバランスよく保つような形で議論が進んでいけば非常によいものができるのではないかと思います。
またもう1つは、今後我々がずっと見守り続けるべきことだと思いますが、支援のための取り組まれる連携の中で不具合のあるものについてはいろいろな観点から考えて、最終的に被害者等の方々に実質的な利益が及ぶような形のものに常に改善していくということが重要であろうと感じております。
それでは、今日はいろいろ有意義なご意見ご発言、非常にありがとうございました。これをもちまして、第4回支援のための連携に関する検討会を終了いたします。
本日は長時間にわたり精力的なご議論をいただき、どうもありがとうございました。
午後3時06分 閉会