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日時: | 平成17年4月28日(木) 14時~15時 |
場所: | 総理大臣官邸4階大会議室 |
会長 | 細田 博之 | 内閣官房長官 |
委員 | 村田 吉隆 | 犯罪被害者等施策担当大臣、国家公安委員会委員長 |
同 | 井上 正仁 | 東京大学大学院法学政治学研究科 教授 |
同 | 大久保 恵美子 | 社団法人被害者支援都民センター事務局長 |
同 | 小西 聖子 | 武蔵野大学人間関係学部教授 |
同 | 山田 勝利 | 弁護士 |
委員代理 | 今井 宏 | 総務副大臣 |
同 | 滝 実 | 法務副大臣 |
同 | 衛藤 晟一 | 厚生労働副大臣 |
同 | 蓮実 進 | 国土交通副大臣 |
専門委員 | 岡村 勲 | 全国犯罪被害者の会代表幹事 |
同 | 久保 潔 | 読売新聞東京本社論説委員兼編集委員 |
同 | 中島 聡美 | 国立精神・神経センター精神保健研究所成人精神保健部成人精神保健研究室長 |
同 | 宮澤 浩一 | 慶應義塾大学名誉教授 |
同 | 山上 皓 | 東京医科歯科大学難治疾患研究所教授 |
同 | 加地 隆治 | 内閣府犯罪被害者等施策推進室長 |
同 | 片桐 裕 | 警察庁長官官房総括審議官 |
同 | 荒木 慶司 | 総務省大臣官房総括審議官 |
同 | 河村 博 | 法務省大臣官房審議官 |
同 | 太田 俊明 | 厚生労働省政策統括官(労働担当) |
同 | 平田 憲一郎 | 国土交通省総合政策局次長 |
(議事次第)
1.開会
2.内閣総理大臣あいさつ
3.委員及び専門委員の紹介
4.会長あいさつ
5.推進会議の議事運営について
6.自由討議
7.閉会
〔附属資料〕
(議事内容)
※ 発言の紹介においては、便宜上、委員、委員代理、専門委員の別なく、すべて「委員」と表記した。
○ 冒頭、内閣総理大臣から、「皆様方にはお忙しいところを委員をお引き受けいただき、感謝。今まで、ともすれば加害者の人権はよく議論されるが、思いがけなく被害に遭われた、いわゆる被害者の人権については、どちらかというと軽視された傾向があるのではないか、それではいけないということで、こういう対策もしっかりやらなければいかんということで皆さんには委員をお願いし、そして、このような会議を設立する運びになった。どうかさまざまな分野から議論をいただき、今後しっかり被害者に対して対応できるような提言をいただければと思っているので、よろしくお願いしたい。」旨、挨拶があった。
その後、各有識者委員・専門委員からも、自己紹介を兼ねた挨拶が行われ、最後に、総理から、「お話を聞き、皆さん方の今までの憤慨の気持ちはよくわかる。いつ、どこで思いがけない被害に遭うか、誰にもわからないのだから、せっかくこういう会議ができたので、しっかりした対策、対応もしていかなければならないと思う。今後ともよろしくご協力をお願い申し上げたい」旨、発言があった。
○ 審議を始めるに当たり、会長(内閣官房長官)より、概略次のとおり、挨拶があった。
「安全で安心して暮らせる社会の実現は、政府に課せられた重大な使命である。政府は、これまでも、犯罪等の抑止のためにたゆみない努力を重ねてきた。しかし、犯罪等が絶えることはなく、犯罪被害に遭われた方々からは、十分な支援を受けられず、社会において孤立することを余儀なくされているとの声や、犯罪等による直接的被害にとどまらず、副次的な被害に苦しめられることも少なくないとの切実な声がある。犯罪被害者等の権利利益が十分に保護される社会の実現のために、今こそ、犯罪被害者等の視点に立った施策を、長期的かつ計画的に推進していかなくてはならない。
このような視点から、犯罪被害者等基本法に基づき、犯罪被害者等のための施策の大綱等を定めた犯罪被害者等基本計画を策定し、推進していくこととなり、本日、お集まりいただいた閣僚と有識者による犯罪被害者等施策推進会議を開催する運びとなった。
有識者委員の皆様方におかれては、御多忙のところご参加いただき、厚く御礼申し上げる。それぞれの御経験、御見識に基づく忌憚のない御意見をいただけるようお願い申し上げる。また、関係大臣各位におかれては、それぞれの所管の立場にとらわれず、国務大臣としての高い視点に立って、積極的に御発言をいただくようお願い申し上げる。
犯罪被害者等の権利利益の保護が図られる社会の実現に向け、この推進会議における議論が十分に実りあるものとなるよう私自身も全力で取り組むことをお約束し、あいさつとさせていただきたい。」
○ 犯罪被害者等施策推進会議運営規則案について
犯罪被害者等施策推進会議運営規則(案)(資料2)に関して、事務局より説明し、議論の後、原案通り決定された。なお、会長より、条文の修正は、事後的でも必要に応じ考えることとするとともに、運営規則第7条について、村田大臣より会議後に記者ブリーフを行うこと、第8条の議事要旨の作成・公表についても村田大臣にお願いする旨の指名があった。
○ 犯罪被害者等基本計画の案の作成スケジュールについて
犯罪被害者等基本計画の案の作成に係る今後のスケジュール(案)(資料3)について、事務局より説明し、原案のとおり決定された。
○ 犯罪被害者等基本計画の案の作成方針について
犯罪被害者等基本計画の案の作成方針(案)(資料4)に関し、事務局より説明し、原案のとおり決定された。なお、「犯罪被害者等基本計画の案の作成方針」第3項、第4項に関し、検討会は、宮澤専門委員を座長とし、閣僚委員を除く有識者委員4名及びすべての専門委員11名で構成する旨の指名があった。
○ 犯罪被害者等基本計画検討会の開催について
犯罪被害者等基本計画検討会の開催について(案)(資料5)に関し、事務局より説明し、会長が決定した。
○ 自由討議
自由討議においては、会長から、議事進行を村田大臣に引き継ぎ、議論。
(事務局)まず、お手元の資料、参考2-1をごらんいただきたい。この資料は、2月19日と2月23日に行った犯罪被害者団体等からのヒアリングの結果や、いただいた要望等を整理したものである。そして、この要望を推進会議に引き継ぐためのものである。
内容についてご説明する。説明の便宜を図る観点から、犯罪被害者団体等からいただいた数々の要望を大きく5つに括っている。
その1つ目であるが、「損害回復・経済的支援に関する要望」として括らせていただいたもの。犯罪被害者団体等からは、第12条の「損害賠償の請求についての援助等」に該当するものとして、附帯私訴制度、損害賠償命令制度の導入、損害賠償債務の国による立替払・求償、公費により弁護士を選任しての公的支援、国による損害賠償請求費用の補償など、第13条の「給付金の支給に係る制度の充実等」に該当するものとしては、犯罪被害者等給付金制度の充実、医療費の支給等新たな犯罪被害者等補償制度の導入など、第16条の「居住の安定」に該当するものとしては、公営住宅への優先入居、第17条の「雇用の安定」に該当するものとしては、事業主等の理解の増進、被害を回復するための休暇制度の導入などが要望として挙がっている。
2つ目は、「精神的・身体的被害の回復・軽減に関する要望」として括らせていただいたもの。犯罪被害者団体等からは、まず、第14条の「保健医療サービス及び福祉サービスの提供」に該当するものとして、PTSDに関する医療・福祉サービスの充実、女性被害者・少年被害者に対する医療・福祉サービス体制の充実など、第15条の「安全の確保」に該当するものとしては、出所の際の住所、矯正の程度等犯罪被害者等が求める情報の開示、刑事手続における被害者の氏名・住所の原則非公開など、第19条の「保護、捜査、公判等の過程における配慮等」に該当するものとしては、関係職員への研修の実施、関係職員の対応・施設の改善、弁護活動における配慮が要望として挙がっている。
3つ目であるが、「刑事手続への関与拡充に関する要望」として括らせていただいたもの。犯罪被害者団体等からは、第18条の「刑事に関する手続への参加の機会を拡充するための制度の整備等」に該当するものとして、起訴への関与等、公訴参加制度の導入、犯罪被害者等のための公的弁護人制度の導入、捜査情報の提供、不起訴事案に関する情報提供、判決確定後の加害者情報の提供、犯罪被害者等に関する情報の加害者への伝達、刑事司法手続に関する情報の提供の充実、少年保護事件への参加が要望として挙がっている。
4つ目であるが、「支援等のための体制整備に関する要望」として括らせていただいたもの。犯罪被害者団体等からは、第11条の「相談及び情報の提供等」に該当するものとして、犯罪被害者等支援窓口の一本化、日本司法支援センターの相談窓口としての機能充実、犯罪被害者等に提供する情報の内容の充実、早期支援体制の確立、長期支援体制の確立など、第21条の「調査研究の推進等」に該当するものとして、PTSDに関する調査研究及び専門家の養成、犯罪被害実態等に関する調査研究の充実など、第22条の「民間の団体に対する援助」に該当するものとして、民間の団体に対する財政的援助の充実が要望として挙がっている。
5つ目であるが、「国民の理解の増進と配慮・協力の確保に関する要望」として括らせていただいたもの。犯罪被害者団体等からは、第20条の「国民の理解の増進」に該当するものとして、生命の大切さ、暴力防止や犯罪被害に関する教育活動の充実、記念日や週間を活用した定期的な広報啓発活動の実施、メディアを活用した広報啓発活動、メディアの過剰な取材活動、プライバシー侵害に当たる報道等の改善が要望として挙がっている。
これら5つの大きな括りに該当するもののほか、第23条の「意見の反映及び透明性の確保」に該当するものとして、犯罪被害者等からの継続的な意見聴取等の実施、意見を反映した基本計画の策定、基本計画策定における犯罪被害者等の関与の充実、基本計画の効果的な公表などが要望として挙がっている。
犯罪被害者等からの要望事項についての概略は、以上である。
続いて、お手元の資料、参考2-2をごらんいただきたい。この資料は、現在、関係省庁において行われている犯罪被害者等支援の取組の現状と、新しく検討されている施策について、基本法の基本的施策に掲げられている条文ごとに整理をしたものである。
次に、お手元の資料、参考2-3であるが、これは参考2-2で掲げられている施策のうち特に刑事司法手続に関する施策について、犯罪被害の発生時点から、時間の流れを追って整理をしたものである。
これらの資料、参考2-2、参考2-3と、先ほどご紹介した犯罪被害者等からの要望事項とを対比させながら、必要な施策について、今後、基本計画検討会での検討も踏まえ、ご議論をしていただくことになる。
(委員)犯罪被害者団体等からのヒアリングについては、2月19日と23日に行われ、私も2月19日のヒアリングの会には出席させていただいた。大変限られた時間であったけれども、犯罪被害者の方々の置かれている状況に対する理解を深め、そのニーズを把握することができたと思う。大変有意義な会であったと私自身、考えている。こうした犯罪被害者の方々のご意見、ご要望がふさわしい形で犯罪被害者等基本計画に反映され、犯罪被害者等の視点に立った施策が総合的かつ計画的に推進されるよう、皆様とともに取り組んでまいりたい。
また、国家公安委員会委員長の立場から申し上げると、警察は被害者と密接にかかわる機関であることから、これまでにも犯罪被害者の方々の視点に立った各種施策を推進してきているが、さらなる被害者救済のために何ができるか、また何をなすべきかなどについて、今後、さまざまな角度から研究・検討するよう警察を督励してまいりたい。
(委員)麻生大臣にかわりまして出席させていただいた。ご案内のように、総務省は地方自治体を所管しているので、地方公共団体において既に被害者の支援体制、制度にかかわる情報の提供、あるいは相談、カウンセリング等体制の整備など、その対策を、一部ではあるが講じている。これからも犯罪被害者等が置かれている事情に対応するために、国と地方との適切な役割分担を踏まえ、自治体においても地域の状況に応じて適切な対応に取り組んでいかなければならない、このように考えているところである。
(委員)本日、法務大臣は参議院の法務委員会で刑事施設法の法案審議に出ており、今日は私がかわりに出席させていただいた。法務省としては、犯罪被害者の方々の保護や支援に資すると思われる施策を講じてきたけれども、皆様方からのご要望事項にもたくさん法務省関係、出ている。そしてまた、その中で皆さん方にご協力いただかなければならんこともある。例えば加害者に罪の意識を認識してもらうためには、やはり被害者の方々の意見というものを聞いてもらわなければならないし、そのためのご協力もいただかなければいけないことはもとよりであるけれども、刑事手続、なかんずく公判の点における扱い、あるいは、これから立ち上がる日本司法支援センター、そういうものを被害者の方々のためにどうやって利用してもらうかということも大変大事なことである。日弁連ともこういったことについては、現在、協議をしている最中であるけれども、そういったもろもろの点を踏まえてやらせていただくと法務大臣も申しているので、法務大臣のそういう気持ちだけを今日はお伝えさせていただきたい。
(委員)基本法が施行され、とにかく安全で安心して暮らせる社会の実現のために頑張ってまいりたいと思っている。厚生労働省においては、犯罪被害者等を含む支援が必要な方々に対して、特に災害においてもであるが、いろいろな形での心のケアが必要であると理解しており、その方々への相談支援や、虐待などの被害を受けている児童や女性の保護といった保健・医療・福祉サービスなどを、今、充実しようと頑張っているところである。この数年の間、大分頑張ってきたけれども、まだまだ行き届いていない。特にまだ、犯罪被害者に対するケアも行き届いていないことは事実であるので、この法施行に伴い、基本計画策定に向けて積極的に取り組んでまいりたいと思うので、ぜひご指導、そしてまたご論議をお願い申し上げたいと思っている。
(委員)本日、北側大臣は鉄道事故の対策の陣頭指揮を現地でとっているので、私がかわりに申し上げたい。国土交通省においては、犯罪被害者等に係る施策の推進という国の責任を果たすために、不幸にも交通事故に遭われた被害者等の方々に対し政府の保障事業等を行うとともに、経済的負担を軽減する施策を充実する。また、犯罪被害のため現在の住居に住むことが困難になった被害者等に対し、管理主体の判断による公営住宅への優先入居など、居住の安定を図る新たな施策を検討する。海上保安庁の犯罪捜査については、警察等の関係機関と連携をとりながら犯罪被害者等の安全の確保、救済、不安の解消に向けた取組を強化してまいりたい。このような取組により、犯罪被害者等の権利と利益の保護が図られるよう全力を尽くしてまいりたい。
(委員)被害者団体から2回ヒアリングをやっていただいたけれども、そのヒアリングの結果に基づいて、いろいろこれから議論していくことをまとめていただいたが、そのヒアリングにあらわれていないこと、漏れていたこと、こういうものについても随時問題とさせていただいてよろしいか。
(委員)それは結構であるし、それから、まだ代表されていないご意見の被害者の方々もおられるので、これから随時そういう機会を設けていきたい。
(委員)今のお話に引き続きだが、ヒアリングをなさった団体を見ると遺族の方と障害の被害者の方が中心になっているが、やはり性暴力というのは非常に大きな比重を占めている。それから、ほかにもさまざまな暴力被害があるが、そちらがまだ聞き切れていないように感じる。私のところも相談を実施しているが、実際に支援をしている団体に一番相談が多いのは性暴力被害。そういう点で、個人的にも集めたいと思っているけれども、なかなか声にならないので、そういうほかの被害者の声をまず集めていただくことができればと考えている。
(委員)私どもも、2回のヒアリングですべての被害者のご意見がお聞きできたとは考えていない。前回おいでいただいた団体の方々は、一応団体というものができている、そういう方を優先的に考えたわけで、今、委員がおっしゃるように出にくい方もおられるだろうし、それから、まだばらばらの方もおられるだろうし、そういう意味では、委員の方々がこれからそういう意見を聞き取っていただいて、この場でご意見を発表していただいても結構だし、書面による方法もあるわけだし、いろいろな方法を使ってできるだけ幅広く、これからの検討の時間の中でちょうだいしていきたいと考えている。これでもう全部ストップということではないので、よろしくお願いしたい。
(委員)特に心のケアとかいろいろあるけれども、実際のところ、例えば地下鉄サリン事件でも、犯罪被害だとわかるまでに時間がかかる。それから今度の尼崎の問題も。要するに何が言いたいかというと、結局、本当のところ事故か災害か何かわからない状態が続く、原因究明まで。その間、どういう手が打てるのか。心のケアという問題で、では一体それをどういう形で派遣したり、どうできるのか。具体的に言えば、今度はJRで起こった事故であるので国土交通省になるが、その境目のところがよくわからないまま、しばらくの間いく。はっきりするまで。実際のところ、もしあれがテロ行為みたいなものであったら事故から犯罪被害に変わるのだろう、恐らく。だから、そういう部分をどうするか議論しておかないと、初期の段階において。それから、最終的にどこが体制的に責任を持っていくのかということをどこかで議論しておかないと、なかなか動きようがわからない。それでずるずる来たのではないかという気がする。ここのところの整理をぜひお願いしたい。
(委員)今の話は、これからの話の中身に入りかけているような感じがするので、これから検討会の中でそういうことも取り入れていっていただけるのではないかと思う。それから、犯罪被害者といっても、原因者がある場合からいろいろ幅広いものだから、いろいろな対応があり、そこのところが大変難しいわけであるけれども、ぜひ皆さん方からいろいろなご意見を出していただいて、そこを皆さんで、当初の目的、この基本法の目的に合うような形で施策ができたらと私どもは考えている。