第2章 パネル調査結果
1.調査設計
調査対象者抽出方法
平成19年度に実施した調査において回答いただいた犯罪被害者等187名。
調査方法
被害者のプライバシー保護及び安全確保、二次的被害防止の観点から、個々の被害者等への調査依頼及び調査票配布については、平成19年度に実施した調査において調査票配布等の協力を得 た被害者団体や被害者支援団体の担当者を通じて行った。具体的には以下のとおりである。
本調査事務局(調査実施機関である株式会社ノルド社会環境研究所)から各団体に対して調査票を送付し、対象者への配布を文書等で依頼した。調査票は番号で管理することとし、各団体において、調査対象者に調査票を配布した。回答後は、対象者が事務局に直接返送する形をとった。
内閣府及び事務局では番号と対象者との対応は把握せず、返送された調査票の回答のみを管理することで、対象者の個人情報は団体等の外には伝わらない形とした。
調査期間
平成21年1月16日(金)~3月3日(火)
回収結果
発送数:187
回収数:138、有効サンプル数:138(回収率73.8%)
類型別構成(複数回答のため、割合の合計は100%ではない)


※上記類型別構成は、本年度調査のサンプルに合わせ、平成19年度調査結果を再集計したものである。
回答状況別にみる今年度調査回答者の特徴
昨年度回答データを今年度調査への回答状況(回答者138サンプルと未回答者49)を分析軸として再集計した結果に基づき、今年度調査の回答者グループの特徴を以下に示す。(集計結果については、「補足資料1.パネル調査回答状況別集計結果」を参照されたい。)
- 類型別構成でみると、回答者では、殺人・傷害等及び交通事故の被害者等の割合が多く、性犯罪による被害者等の割合が少ない。特に未回答者に比べて、殺人・傷害等及び交通事故については、回答者で遺族の割合が多く(回答者:殺人・傷害等30%、交通事故46%、未回答者:殺人・傷害等8%、交通事故33%)、また、性犯罪による被害については、回答者で自身が被害にあわれた方の割合が少ない(回答者4%、未回答者29%)。
- 身体・精神状況についてみると、全体的な傾向として、回答者と未回答者の間で大きな違いはないが、回答者では、精神的な問題や悩みの解決策に「自助グループへの参加」をあげる人の割合(回答者53%、未回答者19%)が多い。また、昨年度調査での「この1年間での非就業日数」をみると、未回答者では平均132.7日であるのに対して回答者では平均97.6日と少ない。
- 経済状況についてみると、未回答者に比べて、回答者で犯罪被害者等給付金(回答者20%、未回答者10%)や自動車保険(回答者45%、未回答者35%)、生命保険(回答者60%、未回答者35%)の受給者の割合がやや多い。
- 生活状況については、事件から昨年度調査時点までに「転居した」(回答者17%、未回答者37%)、「自分が別居・離婚した」(回答者6%、未回答者27%)、「学校や職場、地域の人々との関係が悪化した」(回答者35%、未回答者53%)とする人の割合が未回答者で多い。また、昨年度調査時点の主観的な回復度合いでは、回答者で半分程度以上回復したとする人の割合は28%なのに対し、未回答者では43%と多くなっている。
- 支援や制度については、全体的な傾向として、回答者の利用率が未回答者よりやや高く、利用した支援や制度に対する満足度についても、回答者の間でやや高い傾向がみられる。
- 今後実現・充実させていくことが望ましい施策・事業について、回答者と未回答者の間で全体的な傾向に大きな違いはないが、回答者で「民事損害賠償請求への援助」(回答者42%、未回答者22%)や「刑事裁判・少年審判への参加の機会の拡充」(回答者40%、未回答者16%)を求める声が未回答者より強くなっている。
今年度調査結果を昨年度調査結果と比較する際などには、以上のような違いについて留意する必要がある。
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