コラム

犯罪被害者等に関する国民意識調査 コラム
(社団法人被害者支援都民センター 阿久津 照美)

 現在、46都道府県に46団体の民間被害者支援団体が設立されている。犯罪被害者が「全国どこでも同じような支援を受けられるように」という目標のもとに活動や研修等を重ねているところである。

 今回の調査では、「民間被害者支援団体との接点を持たなかった」、「被害者団体、支援団体等からの支援を全く受けなかった」と答えた犯罪被害者がかなり多かったことにまず目に留まった。

 また、国民一般の犯罪被害関連用語認知状況を見ると、「犯罪被害者等基本法」、「自助グループ」、「法テラス」、「被害者参加制度」の認知度が低く、それらと同じように民間被害者支援団体の認知度も低いのではないかと考えさせられた。

 犯罪被害という突然の理不尽な出来事に被害者だけで対処することはとても難しく、身近な人の支えはもちろんのこと、その他様々な支援が必要であると思う。特に被害直後から刑事手続に関わっている間は、日頃なじみのない状況や手続に対処しなければならない。被害者の負担を軽減するため、情報提供や精神的ケアなどの支援を提供し、時にはより専門的な支援者、支援機関への橋渡しをすることが民間被害者支援団体の役割である。その役割を果たすためには、出来るだけ被害後早い時期から被害者と出会い、信頼関係を築くことが重要である。

 被害にあって傷つき、周囲への信頼感が揺らいでいる被害者にとって、それまで見聞きしたことのない組織に自ら連絡を取るのは勇気がいることだと思う。公安委員会から早期援助団体と指定されることで、警察から被害者の情報を得ることが出来、支援者からの積極的な働きかけも可能であるが、それだけではなく、多くの人にその存在や活動内容を知ってもらうことが大切であると思う。支援を必要としている被害者へ、確実に支援を提供することができるよう、今後も地域への広報啓発活動を継続していきたい。また、被害者のための適切な支援を行えるよう真摯に努力していきたい。