特集 SNSを取り巻く犯罪と警察の取組

警察活動の最前線

高校生をいわゆる「闇バイト」から守る


熊本県警察本部生活安全部

生活安全企画課少年保護対策室

肥後っ子サポートセンター

若松 慎吾

 
ゆっぴー

肥後っ子サポートセンターは、非行少年の支援活動、少年や保護者からの電話相談、広報啓発等の活動によって、日々生きづらさを抱えた少年と向き合い、少年の健全育成という最終目的達成を目指しています。

令和6年10月、当県においても、高校生がSNSで高収入をうたった「割のいいバイト」につられ、いわゆる「闇バイト」に応募する事案が発生しました。その高校生は、犯罪行為に加担する前に不安を感じ、警察に相談してくれたため事なきを得たのですが、以後、高校生を犯罪者にしないための緊急対策を実施することになりました。

対策は、令和6年末までに県内全ての全日制高等学校における非行防止教室を実施するもので、実話に基づいた動画入りの注意喚起資料を新たに作成しました。肥後っ子サポートセンター、警察署及び学校間で迅速に連携を図り、目標期間内に実施し終え、生徒さんからも分かりやすかったなど高評価の反応をいただきました。

少年警察業務は、時間を費やしても結果が現れにくいと感じることもありますが、この手記を書いている令和7年4月1日現在まで当県においては高校生のいわゆる「闇バイト」事案は認知しておらず、対策の重要性を再認識しているところです。少年を犯罪から守るため、これからも情熱を持って少年自身の規範意識の向上を目指す取組を行っていきます。

 
熊本県警察本部生活安全部 生活安全企画課少年保護対策室 肥後っ子サポートセンター 若松 慎吾

高度な知識及び技術を用いた破損スマートフォンの解析


東京都警察情報通信部情報技術解析課解析第1係

永壽 綾子

 
警察庁ワッペン

新たな情報サービスや機器が次々に登場し、社会経済活動上欠かせない基盤となっているところ、犯罪捜査における情報技術解析の役割は、日々増大の一途をたどっています。特に、スマートフォンについては、近年一層の多様化・多機能化が進み、犯罪グループの連絡手段として使用されるなど、犯罪の取締りや実態解明に向けた解析の重要性が高まっています。

私は、東京都警察情報通信部の情報技術解析課に所属し、警視庁では対応が困難な事例について要請を受け、破損したスマートフォンや特殊なアプリの解析といった、高度な知識や技術が求められる解析を行っています。

情報技術解析課に解析要請されるスマートフォンの多くは、証拠隠滅のため意図的かつ巧妙に破壊されています。このような場合、データ抽出自体が困難なケースも多く、解析に高度な技術力と多くの時間が必要です。時には対応に苦戦することもありますが、解析を通じて捜査に貢献できるため、非常にやりがいを感じています。

破損機器は一つとして同じ状態のものがなく、解析をやってみないと分からないことばかりですが、これからも経験を積み、知識や技術力の向上に努め、犯罪の取締りや実態解明に向け、多くの犯罪捜査を支援していく所存です。

 
東京都警察情報通信部情報技術解析課解析第1係 永壽 綾子

注:掲載されているキャラクターは、都道府県警察のマスコットキャラクターです。



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