特集 SNSを取り巻く犯罪と警察の取組

3 サイバー特別捜査部による暗号資産の追跡

SNSを悪用した犯罪等においては、犯罪収益が暗号資産の形で隠匿されるなどの実態がみられる。関東管区警察局サイバー特別捜査部では、こうした犯罪に悪用される暗号資産の移転状況を追跡するとともに、追跡結果の横断的・俯瞰(ふかん)的な分析を行い、その結果を都道府県警察と共有している。こうした分析により、従来の捜査では必ずしも明らかにならなかった複数事案同士の関連性や背景にある組織性及び上位被疑者が浮き彫りになっており、今後もこうした犯罪の更なる匿名性の打破が期待される。

また、警察庁サイバー警察局では、暗号資産の移転状況の追跡を困難にし得る技術や手法に対抗するため、外国捜査機関から職員を招へいするなど、追跡技術の研究を推進するとともに、国際連携を通じた追跡能力の強化に取り組んでいる。

CASE

西アフリカの組織犯罪グループによる金融犯罪に対し、ICPO(注)が主導する国際共同捜査であるオペレーション「ジャッカル」が進められており、日本警察も令和6年4月から同オペレーションに参画している。関東管区警察局サイバー特別捜査部は、我が国で発生したSNS型投資・ロマンス詐欺事案について、関係都道府県警察の捜査によって得られた情報を横断的に分析するとともに、暗号資産追跡を実施した結果、複数の事案の被害金がナイジェリア人名義の暗号資産アカウントに送金されている事実を突き止めた。同情報をナイジェリア警察に提供したところ、同警察において同国内の被疑者の検挙が行われるとともに、関係都道府県警察において、日本国内の仲介者も検挙した。

注:International Criminal Police Organization(国際刑事警察機構)の略



前の項目に戻る     次の項目に進む