3 総合的な駐車対策
(1)違法駐車の状況
違法駐車は、交通渋滞を悪化させる要因となるほか、歩行者や車両の安全な通行の妨げとなったり、緊急自動車の活動に支障を及ぼしたりするなど、地域住民の生活環境を害し、国民生活全般に大きな影響を及ぼしている。
(2)駐車対策の推進
警察では、必要やむを得ない駐車需要への対応が十分でない場所を中心に、地方公共団体や道路管理者に対し、路外駐車場や荷さばきスペースの整備等を働き掛けるとともに、きめ細かな駐車規制、違法駐車の取締り、広報啓発活動等を行うなどの対策を推進している。
① きめ細かな駐車規制
地域住民の意見・要望等を十分に踏まえつつ、駐車規制の点検・見直しを実施しており、物流の必要性や自動二輪車の駐車需要等にも配慮し、地域の交通実態等に応じた規制の緩和を行うほか、十分な必要性が認められないパーキングメーター等を撤去するなど、きめ細かな駐車規制を推進している。

貨物集配中の貨物車を対象とする駐車可の交通規制
② 違法駐車の取締り
違法駐車の取締りについては、地域住民の意見・要望等を踏まえてガイドラインを策定・公表し、悪質性・危険性・迷惑性の高いものに重点を置いて実施している。当該ガイドラインについては、定期的に見直しを行い、常に警察署管内における駐車実態を反映したものとなるよう努めている。また、放置車両の確認事務については、警察署長から委託を受けた法人の駐車監視員や警察官等により適正に運用されている。


(3)保管場所の確保対策
警察では、道路が自動車の保管場所として使用されることを防止するため、自動車の保管場所の確保等に関する法律に基づき、保管場所証明書の交付、軽自動車の保管場所に係る届出受理等を行うとともに、青空駐車(注1)や車庫とばし(注2)の取締りを行っている。
また、関係機関と連携し、自動車の保有に伴い必要となる行政手続を対象とするワンストップサービスシステム(注3)を運用し、更なる利便性向上に係る取組を推進している。
なお、令和7年4月1日、自動車の保管場所の確保等に関する法律の一部改正により、保管場所標章は廃止された。
注1:道路を自動車の保管場所として使用する行為
注2:自動車の使用の本拠の位置や保管場所の位置を偽って保管場所証明を受ける行為
注3:1回の申請で手続を完了することのできるシステムで、国民の負担軽減及び行政事務の効率化を図るためのもの

MEMO 駐車許可等の合理化
近年、いわゆる「物流の2024年問題」を背景に、業務の性質上、短時間の駐車が不可避である業務用車両に係る駐車需要に対応する必要性が大きく高まる中、周辺の交通の安全と円滑への影響を最低限としつつも、こうした駐車需要にきめ細かく対応することが求められているほか、引き続き、訪問看護等に係る駐車需要へも適切に対応していく必要がある。
そのため、「規制改革実施計画」(令和6年6月21日閣議決定)も踏まえつつ、令和7年3月、警察庁は、都道府県警察に対して通達を発出し、道路交通法に基づく駐車許可及び駐車規制からの除外措置について運用を見直すこととした。具体的には、許可要件の明確化等を通じて運用の統一を図るほか、申請書類の統一等を通じて関係手続の簡素化及び合理化を推進することとした。