第4章 組織犯罪対策

3 犯罪収益の剝奪

犯罪収益が、犯罪組織の維持・拡大や将来の犯罪活動への投資等に利用されることを防止するためには、これを剝奪することが重要である。警察では、没収・追徴の判決が裁判所により言い渡される前に犯罪収益の隠匿や費消等が行われることのないよう、組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法に定める起訴前の没収保全措置を積極的に活用し、没収・追徴の実効性を確保している。

(1)没収・追徴の状況

第一審裁判所において行われる通常の公判手続における組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法の没収・追徴規定の適用状況は、図表4-28のとおりである。

 
図表4-28 組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法の没収・追徴規定の適用状況の推移(令和2年~令和6年)
図表4-28 組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法の没収・追徴規定の適用状況の推移(令和2年~令和6年)
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(2)起訴前の没収保全

令和6年中における起訴前の没収保全命令は、組織的犯罪処罰法に基づくものとして風営適正化法違反、詐欺、入管法違反、窃盗、賭博事犯等に関して225件(前年比14件(6.6%)増加)が、麻薬特例法に基づくものとして27件(前年比7件(35.0%)増加)が、それぞれ発出されている。

 
図表4-29 起訴前の没収保全命令の発出状況の推移(令和2年~令和6年)
図表4-29 起訴前の没収保全命令の発出状況の推移(令和2年~令和6年)
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CASE

会社員の男(31)らは、SNSを通じて犯罪実行者募集情報に応募し、令和4年8月から令和5年1月にかけて、運転免許証11通を偽造した。令和6年5月までに、同男ら2人を有印公文書偽造罪で逮捕するとともに、偽造した運転免許証のうち5通に対する報酬として得た暗号資産に対して、組織的犯罪処罰法の規定に基づく起訴前の没収保全命令が発出された(警視庁、北海道、宮城、茨城、群馬、千葉、静岡、大阪、兵庫、奈良、岡山、広島、愛媛、福岡、長崎及び熊本)。



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