第1章 警察の組織と公安委員会制度

第2節 公安委員会の活動

(1)国家公安委員会

① 組織

国家公安委員会は、国務大臣たる委員長及び5人の委員によって組織されている。委員は内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命する。

 
図表1-3 国家公安委員会の構成(令和7年(2025年)6月1日現在)
図表1-3 国家公安委員会の構成(令和7年(2025年)6月1日現在)
② 活動

国家公安委員会では、国家公安委員会規則の制定、警察庁長官や地方警務官(注1)の任命、監察の指示、交通安全業務計画や防災業務計画の策定等、警察法やその他の法律に基づきその権限に属させられた事務を行うほか、警察庁が担う警察制度の企画立案や予算、国の公安に関する事案、警察官の教育、警察行政に関する調整等の事務について警察運営の大綱方針を示し、警察庁を管理している。

国家公安委員会は、通常、毎週1回定例会議を開催するものとしている。また、委員相互の意見交換や警察庁からの報告の聴取、都道府県公安委員会委員との意見交換や警察活動の現場の視察を行うことなどにより、治安情勢と警察運営の把握に努めている。このような活動の状況については、ウェブサイト(注2)で紹介するとともに、電子メール等により国民からの要望、意見等を受け付け、警察庁を管理する上での参考としている。

注1:都道府県警察の警視正以上の階級にある警察官

注2:国家公安委員会ウェブサイトhttps://www.npsc.go.jp/
QRコード 国家公安委員会ウェブサイト

 
国家公安委員会の定例会議
国家公安委員会の定例会議

CASE

令和6年11月、国家公安委員会委員長は、「犯罪被害者週間」中央イベントに出席し、挨拶した。

 
「犯罪被害者週間」中央イベントで挨拶する国家公安委員会委員長
「犯罪被害者週間」中央イベントで挨拶する国家公安委員会委員長

CASE

令和6年5月、国家公安委員会委員は、佐賀県を訪れ、名村造船所の事業所を視察し、外国人実習生の雇用の現状や課題等について説明を受けた。

 
外国人実習生について説明を受ける国家公安委員会委員
外国人実習生について説明を受ける国家公安委員会委員

CASE

令和6年6月、国家公安委員会委員は、サイバー特別捜査部を訪れ、サイバー特別捜査部長らから事務概況説明を受けたほか、各担当者から各種捜査要領の説明を受けるとともに、各種ツールの実演状況を視察した。

 
サイバー特別捜査部を視察する国家公安委員会委員
サイバー特別捜査部を視察する国家公安委員会委員

(2)都道府県公安委員会

① 組織

都道府県公安委員会及び方面公安委員会は、都、道、府及び指定県では5人、それ以外の県及び北海道の各方面では3人の非常勤の委員によって組織されており、委員は都道府県知事が都道府県議会の同意を得て任命する。ただし、道、府及び指定県の場合は、委員のうち2人の任命は当該道、府及び県が包括する指定市の市長がその市議会の同意を得て推薦した者について行う。

 
図表1-4 都道府県公安委員会委員の構成(令和6年末現在)
図表1-4 都道府県公安委員会委員の構成(令和6年末現在)
② 活動

都道府県公安委員会は、運転免許、交通規制、犯罪被害者等給付金の裁定、古物営業等の各種営業の監督等、国民生活に関わりのある数多くの行政事務を処理するとともに、管内における事件、事故、災害の発生状況等を踏まえた警察の取組、組織や人事管理の状況等について、定例会議の場等で、警察本部長等から報告を受け、これを指導することにより、都道府県警察を管理している。

都道府県公安委員会は、通常、毎週1回定例会議を開催するほか、警察署協議会への参加、教育委員会等の関係機関との協議、警察活動の現場の視察等により、治安情勢と警察運営の把握に努めている。また、このような活動の状況について、ウェブサイトで紹介している。

 
山形県公安委員会のウェブサイト
山形県公安委員会のウェブサイト

CASE

令和6年3月、石川県公安委員会委員は、被災地である能登方面の警察署長とオンライン形式で意見交換を行った。

 
能登方面の警察署長と意見交換を行う石川県公安委員会委員
能登方面の警察署長と意見交換を行う石川県公安委員会委員

CASE

令和6年5月、北海道旭川方面公安委員会委員は、北海道ライフル射撃協会会長が店主を務める銃砲店を視察し、同会長から説明を受けた。

 
銃砲店の視察を行う北海道旭川方面公安委員会委員
銃砲店の視察を行う北海道旭川方面公安委員会委員

(3)苦情処理及び監察の指示

警察法には苦情申出制度が設けられており、都道府県警察の職員の職務執行について苦情がある者は、都道府県公安委員会に対し文書により苦情の申出をすることができ、都道府県公安委員会は、原則として処理の結果を文書により申出者に通知している。令和6年中は、全国の都道府県公安委員会において1,643件の苦情を受理した。

また、令和4年4月から、重大サイバー事案に係る犯罪の捜査等に関する警察庁の警察官等の職務執行について苦情がある者は、国家公安委員会に対し文書により苦情の申出をすることができ、国家公安委員会は、原則として処理の結果を文書により通知することとなった。

 
図表1-5 苦情申出制度の概要
図表1-5 苦情申出制度の概要

さらに、警察法の規定により、国家公安委員会は警察庁に対して、都道府県公安委員会は都道府県警察に対して、監察について必要があると認めるときは、具体的又は個別的な監察の指示をすることができる。

(4)公安委員会相互間の連絡

国家公安委員会と各都道府県公安委員会は、相互に独立した機関であるが、その職務の性質から、常に緊密な連携を保つため、各種の連絡会議を開催している。令和6年中は、国家公安委員会と全国の都道府県公安委員会との連絡会議を11月に開催し、「時代に合わせた警察力の確保とその有効な活用について」をテーマに公安委員会の役割を含めて意見交換を行った。

また、各管区及び北海道においても、管内の府県公安委員会相互、道公安委員会と方面公安委員会相互の連絡会議を開催しており、国家公安委員会委員も出席し、各道府県の治安情勢やそれぞれの取組についての報告や意見交換を行っている。

 
全国公安委員会連絡会議
全国公安委員会連絡会議

CASE

令和6年11月、北海道内公安委員連絡協議会定例総会が開催され、北海道公安委員会委員、各方面公安委員会委員、国家公安委員会委員等が出席した。同総会では、北海道警察重点目標等について、意見交換を行った。

 
北海道内公安委員連絡協議会定例総会


前の項目に戻る     次の項目に進む