第7章 警察活動の支え
第1節 警察活動の基盤
1 警察の体制
(1)定員
警察庁や都道府県警察の職員は、警察官、皇宮護衛官及び一般職員で構成されている。

(2)警察力強化のための取組
社会情勢の変容に伴って複雑化する治安課題に的確に対処するため、多彩な能力や豊富な知見を有する人材を確保・育成するとともに、こうした人材が活躍することができる環境の整備を行うことが必要である。
このため、警察では、警察力強化のために次のような取組を強力に推進している。
① 優秀な人材の確保と育成
警察では、能力と適性を有する優秀な人材を確保するため、合同企業説明会への参加や民間就職サイトを通じた情報提供を行っているほか、高度な専門性を有する人材を確保するため、中途採用等を推進している。警察庁では、警察官という職業の魅力をアピールするため、全国警察合同WEBセミナーの開催、採用募集活動強化のための研修、警察庁ウェブサイトやSNSを活用した情報発信等を行い、都道府県警察の採用募集活動を支援している。
また、職員の有する専門性に応じ、高度な技術が必要な業務に従事させるなどして更なる技術の向上等を図っているほか、実務経験が豊富で卓越した専門的技能・知識を有する職員による指導・助言を体系的に行うなどして、他の警察職員の専門的技能等の向上を図っている。

全国警察合同WEBセミナーの広報ポスター
② 多彩な人材が活躍することができる環境の整備
警察では、多彩な人材が、その置かれている生活環境等にかかわらず、能力や知見を十分に発揮することができるよう、超過勤務の縮減、休暇取得の促進のほか、男性職員の育児への参加促進といった仕事と私生活の両立支援等を図り、ワークライフバランスの向上に努めるなど、働きやすい職場環境の整備を推進している。
(3)女性警察官の採用・登用の拡大
警察では、女性警察官の採用に積極的に取り組んでいる。女性警察官数は年々増加しており、令和5年度には1,810人(新規採用者総数に占める比率は24.7%)の女性警察官が採用された。
女性警察官の幹部への登用も進んでおり、都道府県警察で採用され警部以上の階級にある女性警察官は、令和6年4月1日現在861人に上るほか、警察署長や警察本部の課長等にも登用されている。
また、警察庁及び都道府県警察では、女性活躍推進法に基づく特定事業主行動計画をそれぞれ策定し(注)、女性がその個性と能力を十分に発揮して活躍することができるよう様々な取組を推進している。
注:警察庁においては、「警察庁におけるワークライフバランス等の推進のための取組計画」を策定している。https://www.npa.go.jp/bureau/soumu/20231001wlb.pdf


(4)教育訓練
警察職員には、適正に職務を執行するため、良識と確かな判断能力や実務能力が必要とされる。警察学校や警察署等の職場では、誇りと使命感に裏打ちされた高い倫理観と職務執行能力を兼ね備えた警察職員を育成するため、教育訓練の充実強化を図っている。
① 警察学校における教育訓練
都道府県警察の警察学校、警察庁の管区警察学校、警察大学校等では、採用時及び昇任時の教育訓練のほか、特定の業務分野に関する高度な専門知識及び技能を修得させるための教育訓練を行っている。また、効率的かつ効果的に教育訓練を実施する観点から、オンライン形式による教育訓練も行っている。
② 職場における教育訓練
警察署等の職場では、個々の警察職員の能力又は職務に応じた個人指導や研修会の開催等により、職務執行能力の向上を図っているほか、経験豊富な警察官や退職警察官の講義等を通じ、専門的な知識及び技能の伝承に努めている。また、職務執行の際に求められる高い倫理観を培うため、有識者による講習会等を行っている。
③ 実戦的な術科訓練の推進
凶悪犯罪に的確に対処することができる精強な執行力を確保するため、逮捕術、拳銃、柔道、剣道等の術科訓練を実施している。特に、凶器等を所持した犯人と対峙する事案に柔軟かつ迅速・的確に対処するための総合対処法訓練や、映像射撃シミュレーター(注)等による拳銃訓練をはじめとする実戦的な訓練を推進している。
注:スクリーンに投影した映像に向け、レーザー光線で射撃を行う訓練装置

実戦的な訓練
(5)警察職員の殉職・受傷
警察官は、個人の生命、身体及び財産を保護し、公共の安全と秩序の維持に当たるため、自らの身の危険を顧みず職務を遂行し、その結果、不幸にして殉職・受傷をする場合がある。
警察では、殉職・受傷した警察職員又はその家族に対して、公務災害補償制度による公的補償のほか、賞じゅつ金の支給等の措置をとっている。また、特記すべき職務執行に対しては、警察庁長官による表彰を行っている。