5 大衆運動への警察の対応
警察は、公共の安全と秩序の維持に当たるという警察の責務を遂行するため、大衆運動に伴う違法行為や事故を未然に防止するために必要な警備措置を講じるとともに、違法行為が発生した際には、捜査等の必要な措置を講じることとしている。
(1)近年の大衆運動
近年の大衆運動では、平成23年の福島第一原子力発電所事故を契機に、反原発運動が幅広い年齢層の多数の市民が参加する運動へと発展し、また、平成27年には、平和安全法制等に反対する運動に諸団体が連携して取り組む抗議行動が行われるようになった。
こうした中、国内においては、国会議事堂周辺はもとより全国各地で、憲法改正や原子力政策等の様々な政策や時事問題を捉えた抗議行動が行われているほか、国際的にも、環境保護や反戦等といった多様なテーマを掲げ、国際会議等に対する抗議行動が展開されている。
令和5年中は、入管法改正、インボイス制度導入、イスラエル・パレスチナ情勢、G7広島サミットや関係閣僚会合等を捉えた抗議行動が行われた。

憲法改正に対する抗議行動(共同通信社)
(2)沖縄県内の反基地運動
沖縄県では、普天間飛行場の危険の除去と返還に向けて名護市辺野古への移設工事が進められているが、これに反対する諸団体等は、移設先であるキャンプ・シュワブや埋立用の資材を搬出する港の周辺等において、工事関係車両への立ち塞がり、道路での座込みといった危険な妨害活動を繰り返している。
警察では、令和5年中、同県内のこうした反基地運動に伴い、公務執行妨害罪等で12件、延べ7人を検挙した。

移設工事に対する抗議行動(時事通信社)