第5章 安全かつ快適な交通の確保

4 飲酒運転の根絶に向けた警察の取組

(1)安全運転管理者の確実な選任・飲酒運転の根絶に向けた使用者対策の強化

令和3年6月に千葉県八街市で発生した交通死亡事故を受け、同年8月に決定された「通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策」を踏まえ、警察では、安全運転管理者の未選任事業所の一掃に向けて、安全運転管理者が確実に選任されるよう、関係機関と連携し、選任義務(注1)等の周知を図っている。また、使用者対策の強化に向けて、道路交通法施行規則の一部改正により、運転者の運転前後における酒気帯びの有無の確認等を安全運転管理者に義務付ける規定が新設され(注2)、そのうちアルコール検知器を用いた酒気帯びの有無の確認等を義務付ける規定が令和5年12月1日から施行された。

注1:令和4年10月1日から、安全運転管理者の選任義務違反等に対する罰則が引き上げられた。

注2:目視等により酒気帯びの有無について確認を行うことなどを義務付ける規定については、令和4年4月1日から施行された。

(2)飲酒運転の根絶に向けた交通安全教育と広報啓発活動等の推進

警察では、飲酒運転の危険性や飲酒運転による交通事故の実態等について積極的に広報するとともに、飲酒が運転等に与える影響について理解を深めるため、映像機器や飲酒体験ゴーグルを活用した参加・体験型の交通安全教育を推進している。また、飲酒運転根絶の広報啓発をより積極的に展開するため、交通ボランティアや交通安全関係団体、酒類製造・販売業、酒類提供飲食業等の関係業界と連携して、一般財団法人全日本交通安全協会等が推進している「ハンドルキーパー運動」(注)への参加を広く国民に呼び掛けるなど、関係機関・団体等と連携して「飲酒運転を絶対にしない、させない」という国民の規範意識の更なる向上を図っている。

注:自動車によりグループで酒類提供飲食店に来たときには、その飲食店の協力を得て、グループ内で酒を飲まず、他の者を自宅まで送る者(ハンドルキーパー)を決め、飲酒運転を根絶しようという運動

(3)飲酒運転根絶の受け皿としての運転代行サービスの普及促進

飲酒運転根絶の観点からは、その受け皿としての運転代行サービスの普及促進を図っていく必要がある。警察庁では、国土交通省と共同で策定した「安全・安心な利用に向けた自動車運転代行業の更なる健全化対策」に基づき、自動車運転代行業の健全化及び利用者の利便性・安心感の向上を図るための施策を推進している。

(4)飲酒運転の根絶に向けた取締りの一層の強化

飲酒運転の根絶に向け、飲酒運転をした運転者のみならず、車両等の提供者、飲酒場所、同乗者、飲酒の同席者等に対する徹底した捜査を行い、車両等の提供、酒類の提供及び要求・依頼しての同乗や教唆行為について、確実な立件に努めている。

また、事業活動に関して行われた飲酒運転について、運転者の取締りにとどまらず、飲酒運転を下命・容認していた自動車の使用者等(注)に対する責任追及を徹底している。

注:使用者のほか、安全運転管理者その他自動車の運行を直接管理する地位にある者を含む。

 
図表5-15 飲酒運転の取締り件数(令和5年)
図表5-15 飲酒運転の取締り件数(令和5年)
Excel形式のファイルはこちら、CSV形式のファイルはこちら

CASE

県内で発生した大型貨物自動車と自転車による死亡事故に関し、同大型貨物自動車を所有する建築資材運搬会社では、平成30年6月から令和4年12月までの間、同社本店を使用の本拠として大型貨物自動車5台以上を使用していたにもかかわらず、安全運転管理者が選任されていなかったことが判明したことから、令和5年2月、同社の代表取締役の男(52)を道路交通法違反(安全運転管理者の選任義務違反)で検挙するとともに、同社に両罰規定を適用した(栃木)。



前の項目に戻る     次の項目に進む