2 高齢者の交通安全の確保
(1)高齢者の死亡事故の特徴
令和5年中の交通事故による65歳以上の高齢者の死者数は1,466人と、死者数全体の54.7%を占める。これを状態別にみると、歩行中が最も多く、687人(46.9%)となっており、歩行中死者数全体の70.6%を占めている。
また、自動車対歩行者事故における歩行中高齢者の死亡事故を事故類型別にみると、横断中が469件と、73.5%を占めているが、これら横断中高齢者側の59.5%には、走行車両の直前直後を横断するなどの法令違反が認められる。
図表5-9 高齢者の状態別死者数の推移(平成26年(2014年)~令和5年)

図表5-10 歩行中死者数の推移(平成26年~令和5年)

図表5-11 自動車対歩行者事故における歩行中高齢者の死亡事故件数(令和5年)

(2)高齢者の交通事故防止対策
警察では、運転免許を保有していない高齢者を含め、あらゆる高齢者が、加齢に伴う身体機能の変化が行動に及ぼす影響等を理解し、自ら納得して安全な交通行動を実践することができるよう、関係機関・団体等と連携し、シミュレーター等の教育機材を積極的に活用した参加・体験・実践型の交通安全教育を実施している。
特に、最近では、自動車と歩行中高齢者との死亡事故の大半が歩行中高齢者の横断中に発生し、横断中高齢者側に何らかの法令違反が認められる場合が多いことを踏まえ、横断歩道以外の場所や走行車両の直前直後等を横断することの危険性についての広報啓発等を強化している。
また、関係機関・団体等と連携し、交通安全教育を受ける機会の少ない高齢者に対する地域ぐるみの交通安全指導を促進するなど、きめ細かな対策を推進している。
このほか、自動車メーカーをはじめとする関係機関・団体等と連携し、安全運転サポート車の普及啓発を進めるとともに、その機能の限界や使用上の注意点を正しく理解し、同機能を過信せずに責任を持って安全運転を行わなければならないことについても、周知を図っている。

参加・体験・実践型の交通安全教育